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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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石原知事の韓国併合正当化発言について
石原知事のいわゆる韓国併合正当化発言について文書質問します。
知事は、10月28日、都内で開かれた集会で、日本による韓国併合について「武力で侵犯したんじゃない」「彼らの総意で」行われた、「どちらかといえばこれは彼らの祖先の責任」などと発言し、その後の記者会見では日本の植民地支配が、人道的で人間的であったかのように発言をしました。
知事のこうした韓国併合正当化、植民地支配美化発言は、歴史的事実をねじ曲げるものであり、知事という立場を利用して都民に誤った歴史観を植えつけるという点でも、韓国・朝鮮の人々を侮辱しアジアの友好に重大な障害をつくりだすという点でも見過ごせません。
よって知事発言について、以下の点で質問します。
第1に、韓国併合が当時の韓国・朝鮮の人々の総意によったという発言です。
「韓国併合条約」締結にいたる経過をみれば、明治政府による開国要求段階から武力の威嚇と行使をくりかえしながら屈辱的条約を次々とおしつけてきたことは明白です。開国を認めさせた「日朝修好条約」は軍艦六隻と砲兵小隊、歩兵中隊が取り囲むなかで締結されました。日本の支配に反対する中心だった王妃・閔妃を、日本公使の命令で宮殿内で襲撃し暗殺するという事件まで起こしたことは、陸軍省関係の報告書にもしるされています。1910年の「韓国併合条約」も、二千数百人の兵隊と海上での艦隊による示威行動が展開され首都を戒厳令下において結ばれたものです。
問1、知事は、韓国併合が、こうした武力の威嚇と行使を中心とした無法なものであったという歴史的事実をどう認識しているのですか。
「総意」といいましたが、1905年の「第2次日韓協約」によって外交権は日本の外務省に奪われ、独自に外交を展開することができる状態ではありませんでした。また当時の大韓帝国には国会に相当する合議機関は存在せず、大臣会議はありましたが、1907年の「第3次日韓協約」以降は各部(日本の省に相当)の実権は日本人次官に握られていたというのが朝鮮史研究家の指摘です。
問2、知事は何を根拠に、当時の韓国の人々の総意で決まったというのですか。
なお、知事は会見のなかで当時「国際連盟もありましたけれども」日本は批判されなかった旨の発言をし、韓国併合を正当化する根拠の一つにあげていますが、国際連盟の設立は1920年で、当時は存在していませんでした。
問3、国際連盟が存在していたかの発言は明らかに誤りであり、訂正すべきです。
第2に、知事の日本の植民地支配が他国にくらべ人道的であったかの旨の発言です。
しかし、武力によって民族の主権を奪い、植民地支配を行うことそのものが、韓国の人々の主権を踏みにじり人道に反することは明白ではありませんか。
問4、知事は、植民地支配そのものを肯定するのですか。
知事が人道的と評価する根拠にあげているのは、朴元韓国大統領の発言や、一部の学者などの断片的発言にすぎません。しかし、日本の植民地支配が「人道的」どころか屈辱的で非人間的であったかは、創氏改名や神社参拝、日の丸掲揚などの強要、さらに日本での強制労働などの歴史的事実をみても明白です。
問5、知事はこうした事実が人道的で人間的と評価するのですか。
いかに屈辱的であったかは、日本の軍隊や警察の残虐な弾圧のもとでも、「民族独立」を叫んだ3・1運動など日本の支配に反対し民族の誇りの回復を求める抵抗がつづいたことでも明白ではありませんか。
知事発言が、いかに歴史的事実をねじまげ、韓国・朝鮮の人々を侮辱するものであるかは、知事発言にたいする在日の韓国・朝鮮団体からの厳しい撤回、謝罪を求める行動、さらに東京都と友好都市にあるソウル市が批判の声明を出すという異例の対応でも明らかです。ソウル市の声明では「歴史を歪曲する反時代的妄言が繰り返されることに失望感を隠せない」「1千万ソウル市民の名において深い遺憾を表明する」というものです。
問6、知事はこうしたソウル市の声明をどのように受け止めますか。
戦後の日本は、日本が行った侵略戦争と植民地支配にたいする反省から出発し、アジアの国と人々との信頼を回復し友好をきづいてきました。21世紀にはいり東アジアの平和と安定をきづくことが、日本の平和にとってもますます重要になっています。
そのとき、首都東京の知事が韓国併合を正当化し、植民地支配を美化する発言を行ったことは、アジアの人々との平和と友好に重大な障害をつくりだすものです。韓国外交通商省スポークスマンは「日本の責任ある政治家が誤った歴史観にもとづき、時代に逆行するような発言をしたことに深く失望せざるをえない」と発表しました。
知事はこれまでも、靖国神社公式参拝や三国人発言など、アジアの人々から厳しい批判をうけてきました。知事が都民の代表、都知事としての立場を利用し、都民に誤った歴史観を植えつけ、アジア諸民族を侮辱する独善的な排外主義をあおる発言を行うことは、歴史を逆行させるものとして許せません。
問7、知事は韓国併合を正当化し、植民地支配を美化した発言を撤回し謝罪すべきです。
以上
質問事項
一 石原知事の韓国併合正当化発言について
1 知事の、韓国併合が韓国・朝鮮の人々の総意によったという発言について
ア 知事は、韓国併合が、武力の威嚇と行使を中心とした無法なものであつたという歴史的事実をどう認識しているのか、見解を伺う。
回答
当時、朝鮮半島の政治情勢は極めて不安定であり、清国、ロシアあるいは日本のいずれかに委ねざるを得ないところまで追いつめられておりました・その結果、彼らの総意として日本を選んだものであり、決して日本が武力で朝鮮を侵犯したのではないと考えております。
質問事項
一の1のイ 「総意」と言ったが、「第二次日韓協約」によって外交権は日本の外務省に奪われ、当時の大韓帝国には国会に相当する合議機関は存在せず、「第三次日韓協約」以降は各部の実権は日本人次官に握られていたというのが朝鮮史研究家の指摘である。知事は何を根拠に、当時の韓国の人々の総意で決まったというのか、見解を伺う。
回答
日韓併合に関する条約を締結するに当たって、李朝政府は、閣議に諮るなど、国家意思決定の手続を踏まえており、こうしたことから総意と申し上げました。
質問事項
一の1のウ 知事は会見のなかで当時「国際連盟もありましたけれども」日本は批判されなかった旨の発言をし、韓国併合を正当化する根拠の一つにあげているが、国際連盟が存在していたかの発言は明らかに誤りであり、訂正すべきである。見解を伺う。
回答
日韓併合条約を締結するに当たり、欧米諾国から実質的に支持されたという歴史的事実を申し上げたものであります。国際連盟が当時存在していなかった点はご指摘のとおりです。
質間事項
一の2 知事の日本の植民地支配が他国にくらべ人道的であったかの旨の発言について
ア 武力によって民族の主権を奪い、植民地支配を行うことそのものが、韓国の人々の主権を踏みにじり人道に反することは明白ではないか。知事は、植民地支配そのものを肯定するのか。見解を向う。
回答
植民地主義はとりわけ19世紀から20世紀半ばにかけて世界を動かした歴史原理ともいえるものであり、世界中で植民地支配が行われたことは歴史的事実であります。
質問事項
一の2のイ 日本の植民地支配が「人道的」どころか屈辱的で非人間的であったかは、創氏・改名や神社参拝、日の丸掲揚などの強要、さらに日本での強制労働などの歴史的事実をみても明白である。知事はこうした事実が人道的で人間的と評価するのか。見解を伺う。
回答
19世紀から20世紀にかけての欧米諸国による植民地支配は、現地の住民を大量に殺戮し、その恐怖支配のもとで劣等視し差別する、極めて非人間的なものでありました。これに比べて日本の植民地統治は、社会的インフラや教育制度の整備にも配慮したものであったと考えております。
質問事項
一の2のウ 知事発言にたいするソウル市の声明は歴史を歪曲する反時代的妄言が繰り返されることに失望感を隠せない」「一千万ソウル市民の名において深い遺憾を表明する」というものである。知事はソウル市の声明をどのように受け止めるのか。見解を伺う。
回答
歴史に対する見解が立場によって食い違うのはいたしかたありませんが、歴史的事実を正確に認識して議論する必要があると考えております。私はそのように心掛けており、妄言と謗られるものではないと思います。
質問事項
一の3 知事が都民の代表・都知事としての立場を利用し、都民に誤った歴史観を植えつけ、アジア諸民族を侮辱する独善的な排外主義をあおる発言を行うことは、歴史を逆行させるものとして許せない。知事は韓国併合を正当化し、植民地支配を美化した発言を撤回し謝罪すべきである。見解を伺う。
回答
日韓併合の歴史を100パーセント正当化するつもりはないことは、再三、申し述べてきました。発言の一部だけが針小棒大に取り上げられ、故意に捻じ曲げられて報道されることは誠に遺憾であります。
また、日本の朝鮮半島で行った植民地支配については.、韓国の近代化を指導した朴大統領が自らの体験をもとに相対的に積極的な評価をしていたことをふまえて、私は発言しており、欧米に比べれば人道的なものであったと理解しております。
故に発言を撤回する必要はないと考えております。