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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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財界の要求を優先させ、都民をかえりみない石原知事の姿勢が鮮明に
教育基本法改悪を求める意見書の強行採決は許されない
私は、日本共産党都議団を代表して、第163号議案、東京都公立大学法人評価委員会条例他8議案に反対する立場から、討論を行います。
第163号議案は、知事の新大学構想に基づいて、大学法人評価委員会を先行して立ち上げるものです。
都民や受験生から信頼され、国際的評価も高い都立大はじめ現4大学を統合し、独立行政法人化する新大学構想は、少人数指導の手厚い教育体制や、高い水準の専門教育など、これまで4大学がつくり上げてきた蓄積をご破算にし、経済効率優先の大学作りを進めるものです。
すでに現都立大学でも、文化系学部は軒並み研究費の大幅削減で定期刊行物も買えない事態が進行中であり、法人化によって不採算の基礎研究はなおざりにされ、企業などに貢献できる研究部門がますます優遇されることになることは明らかです。だからこそ都立4大学の過半数の教員や都立大の学生・院生、国内外の大学関係者などがこぞって反対の声を上げているのです。
しかし今回提案の評価委員会条例は、法人化にともなって設置すべきものを、大学法人認可を待たずに具体化しようというものであり、委員は全て知事の任命で公募による都民参加もないため、知事の意を受けて経営のさらなる効率化に拍車をかける役割を担うことになる心配があるものです。よって本条例案には反対します。今定例会では、自治体のあり方が鋭く問われました。それは第二次の財政再建推進プランと都庁改革アクションプランによって財界戦略にそった都政をおし進めるのか、住民福祉の増進という自治体本来のあり方に立ち戻るのかと言う問題です。
今定例会に出された東京都調布福祉園の廃止条例は、2つのプランを具体化したものです。この間、調布福祉園の管理委託料が3年間で1億1千万円も減額されましたが、質疑を通じて、これが「民間移譲するため」先行して人員配置基準を引き下げてきたためであることが明らかにされました。
民間移譲したらさらに六千万円も減額されます。これでは利用者サービスの後退は免れません。よって本議案には反対であり、都立施設の民間移譲計画そのものを根本から再検討することを求めます。わが党はこれにとどまらず、石原知事が「東京都の強みは現場をもっていること」とだと口ぐせのように言いながら、5年間のなかで、都立病院や労政事務所など百箇所もの都立施設が廃止・民間移譲されるなど、いうこととやることがあべこべではないかと質しました。
知事は「現場というのは建物ではありません」などと答弁しましたが、保健所や労政事務所、福祉の授産所など身近な都立施設が失われてしまった多くの都民の怒りの声を、まったく意に介さない姿勢は許されないことを、厳しく指摘しておきます。高齢者や障害者の福祉手当や医療費助成など経済給付的事業の廃止・縮小、保育園のサービス推進費補助の削減など、都民施策を切りすててきた結果、社会福祉予算で六百六十一億円という、政令市のある道府県に比べて突出した減額となっています。その上さらに、公立・私立保育園の都加算補助の削減など、新たな切り捨てをねらっています。
わが党が明らかにしたように、他県が在宅酸素電気代助成など、東京に比べてもっと苦しい財政の中で少しでも住民の痛みを和らげようと努力している姿勢に比べて、何と大きな違いでしょうか。福祉・医療切りすての一方、知事が、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」を都政の柱にすえ、三環状はじめ幹線道路に二百七十九億円も増額するなど大型公共事業に大盤振る舞いをつづけていること、今後も首都高新宿・品川線、圏央道、外環など国事業に法外な財政負担を引き受けようとしていることも、鮮明になりました。
このような石原知事の都政運営は、大企業さえ栄えれば全てうまく行くというものであり、根本から間違っていると言わねばなりません。これでは都政はゆがむのも当然です。環境審議会が財界代表委員に押されて、地球温暖化防止のCO2削減計画で、ビル事業者への義務付けなしの答申を出したのに対して、知事自身が「ああいう誘導策だけで、私はこの問題の解決はとても進まない」と発言していたのに、なぜか一転して容認する姿勢へと後退し、それを指摘したわが党の再質問には知事自身、答弁に立てませんでした。都民に約束した環境対策を反故にしてでも、財界主導の「都市再生」を優先させるという知事の政治姿勢を示すものであり、断じて認められません。
私は改めて、大型公共事業の無駄遣いを1千億円節約すれば、特別養護老人ホーム二十箇所、都営住宅1千戸、介護保険減免制度拡充、小学校での三〇人学級などがいっぺんに実現できること、この方向にこそ転換すべきだということを強く求めておきます。都政のゆがみが学校と子どもたちを深刻に苦しめている、日の丸・君が代の強制に対して、都内はもちろん、全国や海外からも驚きと批判の声が巻き起こっています。
六月十二日に中野ゼロホールの千三百席をあふれさせた「学校に自由の風を」の都民集会では、卒業式に参加した生徒、父母、教員などが「強制は生徒に考えることをやめさせることで、全く教育的ではない」などと都教委の実施指針の押し付けに批判の声をあげ、これに共鳴して東大の小森陽一氏、ジャーナリストの斉藤貴男氏、前レバノン大使の天木直人氏らが発言しました。十四日には、都教委の、元部長などを含むOB百十人が連名で、「日の丸・君が代」強制の撤回と斉唱時の不起立などを理由とする処分の取り消しを要請しました。
その中で、自らの現役時代には「憲法・教育基本法の理念を大事に、都民本位の仕事を心がけてきた」と振り返りながら、今では「独立した行政委員会なのに、知事の意向がストレートに反映されるようになっている」と厳しく批判しています。教育長は、都民の世論に応えて、直ちに「日の丸・君が代」強制の実施指針を撤回すべきです。ましてや自民党議員の質問に答えて、教育長が、今後、教員に職務命令を出してでも「国旗国歌の指導を適正におこなわせる」とさらにふみこんで答弁したことは、教員への職務命令による指導を強要することで、生徒の良心の自由を権力の力で踏みにじることであり、絶対に許すわけにいきません。
生徒の不起立で教員に「厳重注意」が言い渡された板橋高校の卒業生は「私は君が代の歌詞が自分の考えと違ったから座ったんです。ほかの人たちも自分の意思で座ったといっていました。それなのに先生を処分するなんておかしい。私たちぐらいの年になれば、自分の考えがあって当然。誰かにいわれたから座ったように言うのは失礼です」と証言しているのです。
知事は、生徒の良心の自由の問題に、答えられないばかりか、ひたすら都教委の対応を追認する態度を示しましたが、憲法に保障された最も基本的な権利である生徒の良心の自由をふみにじる態度を、直ちにやめるよう改めて強く要求するものです。最後に、自民・公明が提出しようとしている「教育基本法の改正に関する意見書」案など2議案について、申し上げます。
これらはすでに文教委員会で会派の態度が分かれて、調整つかずとなったものです。
意見書の採択は全会一致を原則とするという都議会のルールを公然と踏みにじり、強行することは、議会制民主主義にもとる行為であり、絶対許されません。教育基本法は、その前文にあるとおり、憲法の精神にのっとり、その理想を教育において実現することを目的に、教育の基本を定めるものとして制定されたものです。憲法と同じく、「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」決意のもとに、第一〇条において、わざわざ「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負って行なわれるべきもの」と定めているのです。
意見書は、これらの憲法がさだめている教育の基本理念などを「いっさいの聖域なし」に見直すことを求めているものであり、このような教育基本法の改悪の動きに対して、おおくの都民、教育関係者から反対のこえがあげられているものです。日本共産党都議団は、学校に「日の丸・君が代」を強制し、教育基本法、さらに憲法を改悪して、再び戦争への歯止めなき道を突き進もうとする一連の野望に対して、大多数の国民・都民の世論とともに断固としてたたかい、子どもたちを二度と戦場に送らせないとの、戦後教育の原点というべき誓いをまもりぬくため全力をあげることを表明して、討論を終わります。