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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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1.呼吸機能障害者の施策拡充について
内部障害者といわれる障害者のなかで、呼吸機能障害者は全都で9000人をこえています。しかも高齢化の進行とともにCOPD(慢性閉塞性肺疾患)等の患者はふえる傾向にあり、呼吸機能障害者の施策拡充は、これからの都政の重要課題となっています。
在宅酸素療法の普及にともない、呼吸器疾患の患者、呼吸機能障害者は地域の中で生活することができるようになり、在宅療養のもっとも先進的分野ともいわれていますが、その一方で、医療・福祉が連携した地域生活支援体制の構築は、いまだきわめて遅れた状態にあります。この深刻な遅れを早急に打開することを求めて、何点か伺います。第一に、ショートステイ、およびデイサービスの体制整備です。
地域で生活する呼吸機能障害者にとって、いちばん心配なのは体調をくずしたときです。とくに風邪ひきはこわい。呼吸機能障害者の風邪は、すぐ肺炎を併発したり、ときには生命にもかかわることになります。ところが、風邪をひいたといって病院に行っても、なかなか入院はできません。そんなときショートステイがあったら−−。呼吸機能障害者のだれもが切実に望んでいます。また、入退院をくり返す生活のなかで、退院後、すぐにわが家に帰宅するのでなく、体力が回復し、日常生活に戻れるまでショートステイを何日か利用することができたら、入退院のくり返しもすくなくなるのでは−−との声もあがっています。どの病院も入院日数短縮がつよまっているため、十分に体力が回復しないまま退院となり、無理な生活を強いられ、また入院を余儀なくされる悪循環となっているのです。Q1 そこで伺います。呼吸機能障害者のための都立入所授産施設である清瀬喜望園で、ショートステイの受け入れができないものでしょうか。清瀬喜望園は、重度の呼吸機能障害者が24時間、安心してくらせるよう、廊下も浴室もトイレにも、酸素設備を完備しており、診療室が設置され呼吸器専門医師、看護師が専任配置されています。都立施設であるだけに地域支援に積極的にふみだし、ショートステイの実施を求めるものです。
Q2 同時に、清瀬喜望園でのデイサービスの実施も切実な要望です。清瀬喜望園では、呼吸器リハビリや作業療法、七宝焼きや袋物づくりなどの日中活動、入浴、食事サービスなどが可能ですが、地域でくらす呼吸機能障害者が清瀬喜望園に通うには送迎車の確保も不可欠です。送迎車の体制も確保し、清瀬喜望園の機能をぜひ地域支援のデイサービスのために活用していただきたいと思います。お答えください。
呼吸機能障害者のショートステイのためには、老人保健施設の活用も重要です。
東村山市の新山手病院内にある老人保健施設「保生の森」は結核予防会の運営ですが、100床のベッドのうち48床が酸素対応となっています。しかし、そのうち41床は酸素を必要としない利用者で満杯状態、酸素が必要な呼吸機能障害者は現在7床しか利用できていないのが実態で、利用の希望があっても残念ながら対応できないとのことでした。Q3 このように、酸素設備がある老人保健施設で、呼吸機能障害者のショートステイが対応できるように、各施設せめて1〜2床でもベッドを確保するなどの都の支援をおこなうことを提案するものです。見解を伺います。
高齢の呼吸機能障害者は、酸素対応ができる施設をさがすために、たいへんな苦労をしています。「保生の森」の利用者にも、酸素対応を求めたために他の老人保健施設で断わられ、ようやくたどりついたという人もいます。
Q4 都内で酸素対応ができて呼吸機能障害者が利用可能な老人保健施設の状況を都として把握し、都民にわかりやすい情報提供をしていただきたいと思いますが、お答えください。
第二に、地域生活をささえるため、どうしても必要な経済的支援です。
呼吸機能障害者の多くは高齢者で、なかでも多くをしめているのが結核回復者です。これらの結核回復者は、若い頃に発症して病床にあり、正規勤務につけなかったり、その期間が短いため、60歳をすぎても厚生年金をうけている人は少ないという状況にあります。収入は、老齢基礎年金プラス障害加算でも1カ月10万円足らず、あるいは10万円にはとてもとどかないという人も多くいます。そのうえ病院通いはかかせません。入退院をくり返すことも少なくない。医療費そのものは都の障害者医療費助成で無料の人でも、交通費や入院食事代など出費はかさみます。
2000年の都の障害者医療費助成制度改悪で、住民税課税の人は医療費が有料化され、COPDの疾患等により65歳をすぎて内部障害の認定をうけた人は、医療費助成そのものの対象外とされました。それにつづく2002年の国の医療改悪で在宅酸素療法患者の医療費がはねあがり、深刻な負担増となっています。
また介護保険がはじまってからの負担は大きく、かつて無料だったベッドのレンタル料や訪問看護料などがすべて利用料のかたちで有料になっています。清瀬市在住の71歳のひとり暮らしの呼吸機能障害の女性の例ですが、1か月の収入は遺族年金、障害加算をあわせて10万円弱。そのなかから、ヘルパー代、訪問看護料、ベッドのレンタル料、介護保険料だけで1万6720円を月々支払っています。たいへん重い負担であることは明白です。
それにくわえて呼吸機能障害者のばあい、どんなに苦しくても空気清浄機をともなうヒーターやエアコンは欠かせません。その分、食費を切りつめる。そのことが体力を弱めるというように、悪循環の生活がつづきます。これらの人に、行政は光をあてるべきではないでしょうか。Q5 呼吸機能障害者にとってきってもきれない、こうした医療、看護、介護をはじめとした重い経済的負担にたいする何らかの支援策を都として講じていただきたい。答弁を求めます。
せめて在宅酸素濃縮器の電気代助成は、ただちに実施してほしい−−それが呼吸機能障害者の切実な要求です。この願いにこたえて、東村山市は、地域でくらす呼吸機能障害者にたいし、在宅酸素濃縮器の電気代助成にふみきりました。月2000円の助成ですが、1年目は所得税非課税者で、24時間とおして濃縮器を使用する身体障害者手帳1級のみとしたため、思ったほど申請者がいませんでした。そこで、市は詳細な実態調査をおこない、翌年からおおきく枠をひろげ、酸素濃縮器使用者全員を対象にしたことで、濃縮器使用者のほとんどの人が申請し、喜ばれています。
Q6 住みなれた地域でくらしつづけ、生命をつなぐためどうしても必要な在宅酸素濃縮器ですが、電気代が毎月5000円前後かかることが負担になっています。都は、在宅酸素濃縮器の電気代は国の医療保険制度で対応すべきだといいますが、それが実現する見通しがあるのですか。それどころか、2002年の国の医療改悪で、在宅酸素療法患者の医療費負担がはねあがり深刻な問題となっているではありませんか。都は、障害者の地域生活支援を大方針としているのですから、そうであるなら、呼吸機能障害者が地域でくらしつづけるために必要な在宅酸素濃縮器の電気代助成にふみきるべきです。大きな予算が必要なものではなく、その一方で、当事者の方々にとってはほんとうに切実な要求です。ぜひ、お答えください。
第三に、呼吸リハビリテーションの普及促進です。
呼吸機能障害者にとって、口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの理学療法、持久力・筋力トレーニングをはじめとした運動療法、栄養指導などをくみあわせた包括的な呼吸リハビリテーションが、QOLの改善、入院回数・入院期間の減少、社会参加の促進などに、大きな効果があることがあきらかになっています。
医療機関でおこなう呼吸リハビリテーションは、チーム医療が原則であり、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、ソーシャルワーカー、薬剤師、保健師など専門のスタッフが連携し、さらに家族やボランティアが参加しておこないますが、診療報酬が低いこともあり、専門的な人材や対応できる医療機関は不足しており、スタッフの教育・研修体制も整備されていません。また、医療機関だけでなく、身近な地域で呼吸リハビリテーションをうけることができるよう、地域における人材育成、医療・福祉が連携した体制整備が急がれます。Q7 まず、都として包括的呼吸リハビリテーションの効果をどう認識しているのか伺います。
Q8 呼吸リハビリテーションにとりくむ医療機関をふやすとともに、専門スタッフの教育・研修体制整備など支援を強化する必要があると考えますが、答弁を求めます。
Q9 東京都心身障害者福祉センターが地域支援事業としてとりくんできた呼吸リハビリ教室は、地域における呼吸リハビリテーションを普及するうえで先駆的役割をはたしてきました。この事業をさらに拡充するとともに、身近な地域における呼吸リハビリテーションの推進体制および呼吸機能障害者にたいする相談支援体制の確立をはかる必要があると考えますが、見解を伺います。
2.シカ被害対策について
まずはじめに、早急な対策が求められている奥多摩のシカ被害対策についてです。
近年、奥多摩地域の山林において、サル・シカなどによる森林や農作物の被害が増大しています。とりわけ、シカ被害は、サルの被害額を大幅にうわまわる毎年、5000万円を超える被害にみまわれています。
被害の影響は、農林業に深刻な打撃をあたえるだけでなく、森の植生をくずし、河川の汚濁や豪雨時の氾濫などの危険も指摘されているところです。
こうしたなか、わが党は、去る8月6日に、野生シカが木の皮や根などを食い荒らして、木々が枯れ、山はだがあらわになっている奥多摩の川苔山などを視察し、その被害のおおきさに、認識をあらたにしたところです。
その際、「氷川保全会」の関係者は、「町や猟友会などで毎年約400頭を駆除しているが、繁殖に追いついていない」と実情をのべるとともに、東京都が、「特定鳥獣保護管理計画をつくり、生息数や駆除数を管理していくこと」の必要を訴えていました。
また、奥多摩町議会は「大規模な森林崩壊」「河川汚濁」「飲料水源」など多方面への影響を危惧し、シカの食害などによる被害にかかわる早期の対策を要望をしています。
一方、東京都は、関係者による「シカ対策連絡調整会議」を設置し、シカの捕獲、治山・治水工事、植生の保護と回復、隣接県との連携などをすすめるとしていますが、十分ではありません。
問題の第1は、広域的連携が不可欠だと言うことです。この点では、かつて山梨県が捕獲にふみだしたときに、シカの狩猟禁止地域となっている奥多摩町におおくのシカが逃げこんできたといわれています。Q そこで、まず、山梨県、埼玉県、神奈川県などと連携し、広域的なシカの保護管理計画を策定し、統一的方針と計画のもとに対策にあたることが、必要と考えますが、見解を伺います。
Q 保護管理計画の策定にあてっては、生態系の保全をはかる立場から、シカの頭数監理とともに、保護のための対策を講じること。
Q 地元、奥多摩町や農林業関係者にとって、おおきな負担となっているシカの駆除費や防護柵の購入費などについて、補助の拡充を行うこと。
Q また、シカやサルの被害を防ぐためには、荒れた奥多摩の森林の回復と保全をはかることも欠かせないと考えますが、どうか。それぞれ答弁を求めます。
3.農林水産試験場のあり方について
次いで、農林水産関係の試験研究機関の廃止、機能縮小の問題についてです。
石原都政は、この5年の間、「都庁改革アクションプラン」などにもとづいて、多摩地域の経済事務所の廃止や畜産試験場の統廃合、水産試験場奥多摩分場の農林水産振興財団への移管などを、関係者、都民の反対をおしきってすすめてきました。
そして今回、あらたに農業試験場江戸川分場の廃止、畜産試験場、林業試験場の財団移管が検討されているとのことです。
しかし、本来、これらの試験研究機関は、広域行政たる都道府県の仕事とされ、その業務は、試験研究という性格上からも、直営がのぞましいとされているものです。実際に、すでに、「食の安全・安心や都市農業の振興などの課題に対してより機動的に対応」するためとして、(財)東京都農林水産業振興財団財団に移管され、「奥多摩さかな養殖センター」とされた水産試験場奥多摩分場の場合、「機動的な対応」どころか、試験、研究機能が縮小されることによって、「飼育の指導がなくなった」「気軽に相談できる機関がなくなった」「魚病の対応に時間のロスがある」などの問題が生まれていることが指摘されています。
また、漁業協同組合などの関係者からは、「魚病対応の遅れ」、「巡回指導が減少」「川づくりの調査に影響」など、共通して不満の声が出されていることも、重大です。
このように農林水産業振興財団への、移管はあきらかに試験・研究機能の低下をまねき、関係者におおきな影響をあたえるものとなっているのです。
ご承知のように、東京の農林水産業関係の総生産出荷額は年間344億円を超え、その振興は、東京に活力をもたらすだけでなく、奥多摩の森林や河川、さらには生態系の保全などにおおきな役割をはたすものです。Q そこで、「奥多摩さかな養殖センター」は試験場分場として直営にもとどし、地元関係者の声に応えられるような体制にすべきです。また、「魚病対策の担当者を近くに配置してほしい」「巡回指導を今までの様にしてほしい」などの漁業関係の声については、真摯に受け止め、今すぐにでも改善すべきと思いますが、あわせて答弁を求めます。
石原知事は、これまでも「東京の農業は、畜産も含めて、都民に非常に新鮮で安全な農産物を間近なところで生産して供給する場として、非常に重要な存在だ」、とのべ、「東京農業を魅力と活力ある産業として再生するため、都民の皆さんと農業者、行政がしっかりと手を結び、都民生活に一層貢献するよう様々な可能性を積極的に開拓していきたい」などと表明してきました。
また、東京都農林漁業振興対策審議会の答申では、「農業は東京になくてはならない重要な産業」「林業及び木材産業が果たす役割は大きい」「豊かで安心できる都民生活を支える水産業として発展させていくことが求められる」などとされています。Q 東京都のこれらの試験研究機関の役割と意義について、どのように認識しているのか、知事の見解を伺います。
来年度予算編成にむけて廃止、財団への移管等の機能縮小が検討されている農業試験場江戸川分場、林業試験場、畜産試験場についてです。
うち、廃止が検討されている江戸川分場は、江戸川、足立、葛飾地域を所管していますが、その地域から出荷される農産物は、コマツナなど東京全体の農業生産額の1割以上を生産し、都市農業を代表する地域となっています。
江戸川分場は、入谷の朝顔市に合わせた開花調整、コマツナの周年栽培をはじめ、エダマメ、ワケネギなどの野菜、シクラメンなどの鉢花、花壇苗の生産基地として都市地域独特の集約的な産地を形成してきました。また、都内での生産緑地の追加指定もすすんでおり、現場にそくした研究成果は、都市農業をすすめる農家の支えとなっています。今後、品質・土壌の改良、栽培技術の改善・普及、環境に配慮した生産技術など、21世紀における東京農業の振興をはかるうえで、江戸川分場のはたす役割はますます、重要になっています。
今回の廃止の計画に対して、関係農家、住民からは「分場の廃止には反対」の声があげられ、「子どもの教育にも必要な場」などの声が上がっています。
生産緑地の存在は、ヒートアイランド対策としてもその役割が期待されているところです。Q 知事、江戸川分場を直営とし、試験・研究の機能の拡充をはかることこそが、東京都が行うべきことではありませんか。答弁を求めます。
林業試験場の試験・研究の機能の縮小、廃止も道理がありません。
林業試験場は、現在、木材利用拡大、東京にあった森林経営の確立、森林の育成管理、森林被害対策、鳥獣害対策などで役割を発揮しています。
また、最近では「多摩産材の品質向上」「木質バイオマスの利用開発」「下刈り、間伐などの省力化」「獣害対策」など、林業振興、環境対策など重要な役割を果たしており、機能の縮小は時代の要請に逆行するものといわざるを得ません。
このため、東京の木を使った家づくりの運動に取り組んでいる団体の理事長は「林業試験場は、東京の林業をサポートする組織」、「林業試験場の仕事を財団にうつせば、、林業家の生産意欲は今以上にうすれ、木材がうまく入ってこなくなるし、森林が放置されて荒廃がすすみ、環境にも悪影響を及ぼします。林業施策は後退させるのではなく、充実すべきです」と話しています。
また、畜産試験場は、東京X豚、東京シャモ、東京うこっけい、乳牛の飼養技術試験、飼料作物の研究など、マスコミでもたびたび紹介されるような、成果をあげてきた試験場です。また、畜産経営に有効な試験・研究課題を設定してとりくみ、その成果は農家・都民に還元し、都内畜産業の振興と都民の食生活の安定・向上に寄与してきました。今日、BSE、コイヘルペス、鳥インフルエンザなど農畜魚産物の輸入拡大に伴う海外からの感染病の侵入、発生が相次いでおり、試験研究機関の重要性はますます高まっています。Q 畜産試験場が、財団に移管されることになれば、採算が重視され、これまでの試験・研究の水準が後退せざるを得ないことはあきらかではありませんか。なぜ、林業試験場や畜産試験場を財団に移管しなければならないのですか。直営ではいけない理由は何なのか、明確に説明してください。
昨年、策定された「第2次都庁改革アクションプラン」では、「農業試験場、畜産試験場、林業試験場及び水産試験場について、全庁的な検討をふまえ、事業のあり方を整理したうえで、(財)東京都農林水産振興財団への移管など、17年度までにふさわしい形態に移行します」としており、今回の廃止・統合、財団移管の方向は、これに基づいてすすめられているものです。
しかし、このアクションプランが、道理も説得力もないことは、都自身がこれまで、これらの各試験・研究機関の役割を高く評価してきたことでもあきらかです。
例えば、2001年に策定された「農業振興プラン」は、「都は、21世紀における東京農業の振興を図るうえで、その裏付けともなるあらたな技術の開発とその確実な普及を積極的に行わなければなりません。安全や環境に一層配慮した持続性の高い農業生産方式や交流型の農業を展開するための経営手法を確立するためにも、試験研究や普及指導の果たす役割がますます重要となっています。このため、都は、研究課題等の目標設定を明確にしつつ、国や大学などの研究機関等との協力関係を強めるとともに、試験研究部門と普及指導部門の緊密な連携の下に技術開発のスピード化、情報提供の迅速化に努めていきます」としていたのです。
水産試験場については、昨年の農林漁業振興対策審議会答申が、「広域的な資源管理を効果的に行っていくためには、試験研究機関は、近隣県の研究機関や民間企業、大学などとの共同研究や調査船を活用したより広範囲に及ぶ調査を実施するとともに、資源を増やすための技術開発や水産資源・漁業に影響を及ぼすサメやイルカなどの被害防止対策の研究にも積極的に取組むべきである」としています。同様に、林業試験場については、「(着実な施策の遂行には)単一的ではない多様な施策を有機的かつ効果的に展開していく必要がある。その際の基礎的なデータや技術手法の確立を目指して、林業試験場には、地域に根ざし、行政ニーズに即した研究や技術開発を担うことを期待する」としているのです。Q 知事、こうした立場に立ちかえって、これらの農林水産関係試験研究機関については、直営とすること。また、この5年の間に、半減させられている試験研究予算を、復元、拡充することをもとめるものですが、答弁を求めます。
以 上
平成16年第三回都議会定例会
小松恭子議員の文書質問に対する答弁書質問事項
一 呼吸機能障害者の施策拡充について
1 ショートステイ、デイサービスの体制整備について
ア 呼吸機能障害者のショートステイの要望は多い。呼吸機能障害者のための都立入所授産施設である清瀬喜望園でのショートステイの実施を求めるが、所見を伺う。回答
清瀬喜望園は、一般就労が困難な呼吸器機能障害者について、入所により授産等の活動を行う施設であり、常時の医学的管理は行っていません。
従って、入院等を必要とする障害者のショートステイ事業の実施は、考えていません。質問事項
一の1のイ 清瀬喜望園でのデイサービスの実施も切実な要望である。送迎車の体制も確保し、清瀬喜望園の機能を地域支援のデイサービスのために活用すべきである。答弁を求める。回答
デイサービス事業は、施設の近隣地域からの利用を前提として行うものであり、都内の身体障害者デイサービス事業のほとんどは、区市町村により行われています。
清瀬喜望園における呼吸器機能障害者を対象としたデイサービス事業の実施について、特に地元等の自治体からの要望は聞いていません。質問事項
一の1のウ 酸素設備がある老人保健施設で、呼吸機能障害者のショートステイが対応できるよう、各施設でベッドを確保するなど、都の支援を提案する。見解を伺う。回答
介護老人保健施設は、介護保険の要介護者に対して、在宅生活への復帰を目指して、看護、医学的管理下での介護、機能訓練等のサービスを提供することを目的とした施設です。
介護老人保健施設における、呼吸器機能障害者を対象としたショートステイ事業の実施については、各施設の判断によるべきものと考えています。質問事項
一の1のエ 都内で酸素対応ができ、呼吸機能障害者が利用可能な老人保健施設の状況を都として把握し、都民に情報提供すべきだが、答弁を求める。回答
介護老人保健施設における、呼吸器機能障害者を対象としたサービスの実施については、各施設の判断によるべきものと考えています。
現にサービスを実施している施設が都内にあることは承知しており、情報提供については、施設が自主的にインターネット等により行っています。質問事項
一の2 経済的支援について
ア 呼吸機能障害者に不可欠な医療・看護・介護をはじめとした経済的負担に対する何らかの支援策を都として講じるべきである。答弁を求める。回答
都は、現在、障害者の経済的負担を軽減する方策として、心身障害者医療費助成制度や心身障害者福祉手当の支給等を実施しています。質問事項
一の2のイ 都は、障害者の地域生活支援を大方針としているのだから、呼吸機能障害者が地域で暮らし続けるために必要な在宅酸素濃縮器の電気代助成にふみきるべきである。答弁を求める。回答
酸素濃縮器は、医療保険によって貸与されており、利用に際して必要となる消耗品も医療保険の対象とされています。
電気代の負担については、基本的に医療保険制度の中で解決されるべきものと考えています。質問事項
一の3 呼吸リハビリテーションの普及促進について
ア 呼吸機能障害者にとり、包括的な呼吸リハビリテーションは、入院回数、入院期間の減少などに大きな効果がある。都としてその効果をどう認識しているのか、伺う。回答
呼吸リハビリテーションは、呼吸器機能障害者に対して、可能な限り機能を回復又は維持させることにより、障害者の自立を目指すものです。
呼吸器機能障害者の日常生活における行動能力やQOL(生活の質)を向上させる上で、一定の効果があるものと認識しています。質問事項
一の3のイ 呼吸リハビリテーションに取り組む医療機関を増やすとともに、専門スタッフの教育・研修体制整備など支援を強化すべきだが、答弁を求める。回答
呼吸リハビリテーションは、呼吸器疾患に力を入れている日本呼吸器学会の認定医療機関など、専門的医療機関を中心に提供されています。
現在、同学会が他の学会と合同で、一定の経験のある看護師、理学療法士などを対象に呼吸療法認定士の制度を設けるなど、呼吸リハビリテーションの普及や人材育成の取組が行われています。質問事項
一の3のウ 都心身障害者福祉センターの呼吸リハビリ教室事業をさらに拡充するとともに、地域における推進体制及び呼吸機能障害者に対する相談支援体制を確立すべきだが、見解を伺う。回答
本事業は、呼吸器機能障害者が地域で自立した生活を継続していくことを目的に、都立心身障害者福祉センターにおいて実施している事業です。
区市町村が自主的に呼吸リハビリ教室を開催できるよう、情報提供や研修などの支援を行い、身近な地域における支援体制が整った段階で、心身障害者福祉センターによる事業は終了することとしています。質問事項
二 シカ被害対策について
1 山梨県がシカを捕獲した際、狩猟禁止区域である奥多摩町に多くのシカが逃げてきたと言われている。山梨県、埼玉県、神奈川県などと連携し、広域的な保護管理計画を策定し、統一的に対策にあたるべきと考えるが、見解を伺う。回答
シカ被害対策として、都は、今後、シカ保護管理計画を策定するとともに、隣接する山梨県及び埼玉県と連携して捕獲を行うなど、広域的な取組も進めていきます。質問事項
二の2 保護管理計画の策定にあたっては、生態系の保全を図る立場から、シカの頭数管理とともに保護対策を講じるべきである。答弁を求める。回答
都が策定するシカ保護管理計画は、個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策等を総合的に講じることにより、地域個体群の長期にわたる安定的な保護を図るものです。質問事項
二の3 奥多摩町や農林業関係者にとって負担となっているシカの駆除費や防護柵の購入費などについて、補助の拡充を行うべきである。答弁を求める。回答
シカ被害の抜本的対策としては、増えすぎたシカを捕獲し、適正密度にコントロールすることが必要です。
シカの捕獲については、奥多摩町が行っている有害鳥獣捕獲に加え、平成16年度は、都が委託により200頭を目途に特別捕獲を実施します。
食害防止措置については、農作物被害防止のための電気柵や苗木を守るネットの設置などの補助を引き続き行っていきます。質問事項
二の4 シカやサルの被害を防ぐためには、荒れた奥多摩の森林の回復と保全を図ることも欠かせないと考えるが、答弁を求める。回答
間伐補助などにより計画的な間伐を進めるとともに、健全な人工林や針広混交林の育成により、森林の回復と保全を図っていきます。
一方、シカ被害地の復旧については、平成16年度に緊急の治山・砂防工事を実施していきます。質問事項
三 農林水産試験場のあり方について
1 水産試験場奥多摩分場の農林水産振興財団への移管は試験・研究機能の低下を招いており、直営に戻すべきである。また、魚病対策や巡回指導などはすぐに改善すべきである。答弁を求める。回答
水産試験場奥多摩分場については、種苗生産事業の効率的な運営と本場との一体的調査研究活動を進めるため、試験研究と事業を分離し、事業を財団へ委託しました。
魚病対策等については、水産試験場で集約的に対応しているほか、種苗生産事業に伴う魚病対策等については、「奥多摩さかな養殖センター」で適切な対応をしています。質問事項
三の2 都の農林水産関係試験研究機関の役割と意義について、どのように認識しているのか、見解を伺う。回答
都の農林水産関係研究機関は、新品種の開発や病害虫等の危機管理、食の安全・安心の確保など、行政と地域の課題に密着し、農林水産業の振興に必要な試験研究を行っています。質問事項
三の3 農業試験場江戸川分場の廃止計画に対し、関係農家、住民からの反対の声が上がっている。江戸川分場を直営とし、試験・研究機能の拡充を図るべきである。答弁を求める。回答
第二次都庁改革アクションプランに基づいて、農業試験場等の今後の事業のあり方について検討を進めており、その中で江戸川分場のあり方についても検討していきます。質問事項
三の4 林業試験場や畜産試験場は重要な役割を担っているが、財団に移管されれば採算が重視され、試験・研究の水準が後退せざるを得ない。林業試験場や畜産試験場を財団に移管する理由について伺う。回答
東京都農林水産振興財団に移管した場合、都民のニーズに迅速に対応した試験研究や事業が可能となることや外部からの人材や資金の確保が容易になるなど、試験研究・事業の活性化を図ることができると考えています。質問事項
三の5 各試験研究機関の役割を高く評価してきた立場に立ち返り、農林水産関係試験研究機関は直営とし、この五年間に半減した試験研究予算を復元、拡充すべきであるが、答弁を求める。回答
東京の財政が厳しい状況にあることはご案内のとおりであり、全ての事業について見直しを進めているところです。
農林水産関係の試験研究についても、今日的な課題に的確に応える観点から内容を精査し見直しを進めています。
また、産学公の連携の拡大を図り、他機関との共同研究や外部資金・外部人材の活用などによる効率的かつ効果的な試験研究のあり方についても検討していきます。