日本共産党都議団は、3月29日、記者会見をおこない、下記の文書を発表しました。
築地市場の豊洲移転をめぐる石原知事の責任逃れの虚偽発言を糾弾する
2007年3月29日
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党都議団は、築地中央卸売市場の豊洲移転について、移転先の土壌が高濃度の有害物質で汚染されていること、文化遺産と言われる「築地」が失われること、市場関係者の合意が形成されていないことなどを指摘し、中止することを求めてきました。 先の都議会第1回定例会でも、石原知事が就任するまでは、築地現地での再整備としてすすめられてきた計画が、石原知事の築地視察(1999年9月1日)を契機として豊洲に移転する方向となり、濱渦副知事(当時)がその折衝にあたり、移転にともなう護岸工事費が免除されるなど、都が東京ガスに便宜をあたえていたことを明らかにしたところです。
ところが、石原知事は、その後の記者会見やテレビ討論の中で、豊洲移転は自分が知事に就任するまえに決まっていた、それを契約しただけだなどという発言をくり返しています。
自らの責任を逃れようとするこのような虚偽発言は断じて許されません。本日、あらためて日本共産党都議団が入手した、東京ガスが東京都に提出した文書「弊社豊洲用地への築地市場移転に関わる御都のお考えについて(質問)」(2000年6月2日)を公表し、築地市場の豊洲移転が、石原知事のもとで無理押しで決定されたことを明らかにするものです。
- 豊洲移転は石原知事のもとで決定された
文書は、東京ガスが、同社が所有する豊洲用地の開発について、「東京都臨海部における地域開発の基本方針」「豊洲・晴海開発基本方針」などにもとづいて、「粛々と新しい街づくりに取組んでまいりました」とし、2000年当時、この方向で豊洲先端部の都市開発をすすめる計画であることを明らかにしています。
これは、東京都の当時の計画でも裏づけられています。青島都政の1997年に策定された「豊洲・晴海開発整備計画−改定−」では、従来の方針を引き継ぎ、豊洲地区は住居、商業・業務系の開発とされており、市場の整備は計画にはありません。これが、石原知事のもとで2002年に策定された「豊洲・晴海開発整備計画−再改定(豊洲)案」ではじめて、築地市場の豊洲移転が計画として明記されるにいたったのです。
また、文書は、「昨年11月(注:1999年)の御都からの移転打診の折」と、東京都からの移転の打診時期を明記しており、東京都からの移転の話が、石原知事の築地視察の直後に始まったことを裏づけています。
事実は、東京ガスの文書が示すように、石原知事のトップダウンで、それまでの都の方針をくつがえして、豊洲移転が決定されたものであることは明らかです。
- 東京ガスは「築地市場の豊洲移転は受入難い」としていた
文書は、「卸売市場は、広大な面積を必要とする都市施設であり、都市計画ならびに都民のニーズに沿った質の高い住居・商業・オフィス等と馴染まず、トラック等の増加による周辺環境への影響も懸念されます。従いまして、築地市場の豊洲移転は、弊社としては基本的に受入れ難い所であります」と明確に、豊洲への築地市場の移転を拒否しています。
- 石原都政は築地市場豊洲移転を無理矢理押し通すため、東京ガスに「補償」をおこなっていた
文書は、東京ガスが「豊洲用地の開発・利用に当たっては、土地の所有を基本とし収支・資金見通しを想定しています」としたうえで、「広大な規模での土地譲渡となると、含みが一挙に顕在化する課税問題とともに、環境への影響等による近傍地価の低下、開発投入資金の回収不能等が出て」くるとして、「補償等」について言及しています。
この文書は、日本共産党都議団が先の予算特別委員会で追及したように、濱渦副知事(当時)がいやがる東京ガスに無理やり受け入れさせるために、「築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスとの基本合意」(2001年7月)で、防潮護岸の整備経費は区画整理事業の事業費から除外し、「開発者負担金については、負担の仕組みを見直す」ことを取り決め、600億円と見こまれた防潮護岸整備事業費のうち、東京ガス負担分の免除するという「補償」をおこなったことを証明するものと言えます。
- 東京ガスは、豊洲用地の土壌汚染は深刻で、対策に巨額な費用がかかると通告していた
文書は、「豊洲用地は工場跡地であり、土壌処理や地中埋設物の撤去等が必要です」としたうえで、「弊社では、土壌の自浄作用を考慮したより合理的な方法を採用し、長期的に取り組む予定でありますが、譲渡に当たりその時点で処理と言うことになれば、大変な改善費用を要することになります」としています。土壌汚染が深刻であり、対策費用が巨額になることは、当初から東京ガスが通告していたのです。
- 築地市場の移転は、跡地の再開発が最大の目的であることは明らか
文書のなかで、東京ガスは、東京都が「築地周辺は、利便性の高い居住環境を創出すべきエリアへと変化し、市場の適地とは言えない」という見解をもっていたことを紹介しています。
これは、石原都政が市場移転させることで、汐留に隣接する都心の一等地と言われる築地市場の広大な跡地の再開発をおこなうことこそが最大の目的であることを、文書は示すものといえます。
以上、東京ガスの文書は、石原知事の一連の発言及び東京都の見解をくつがえすものであり、日本共産党都議団は、東京ガスの質問に対する回答をはじめ、関係資料すべてをただちに提出すること、および築地市場の豊洲移転計画を中止するよう求めるものです。
以上
- 発表文書PDF版
- 資料集1
資料集2
資料集3
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