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二〇〇九年第三回定例会 本会議・討論 二〇〇九年九月二五日
大島よしえ(足立区選出)
日本共産党都議団を代表して、第百四十号議案 環二地下トンネル(仮称)築造工事請負契約他一議案に反対の立場から討論します。
今定例会は、都議選、総選挙に示された自民・公明政権ノーの国民、都民の審判を受けて、くらしや福祉を大切にする政治への転換や、新銀行東京の継続や築地市場の豊洲移転計画ノーの審判を受け止め、都政の歪みと浪費をただすすることが求められた議会でした。
ところが、石原知事は、「今回の都議選の結果は、国政の影響を大きく受けたものである」とか、「国の総選挙の前哨戦にされてしまった」などと言って、国政に責任を転嫁し、都民の願いをふみにじって高齢者福祉や医療を切りすてる一方、新銀行東京の設立や追加出資、築地市場の豊洲移転などはゴリ押しするという自らの姿勢をただす立場を示さなかったことは、民意にそむくものといわざるを得ません。
これに対して、日本共産党は、選挙結果を受けた新しい政治の流れのなかで、建設的野党として自らかかげた公約の実現とともに、少人数学級、高校授業料の無償化や軽減、介護施設整備促進、保育園の待機児解消など、わが党の政策と各党のマニフェストなどで共通する政策が生まれはじめたことに着目し、その実現のために全力をつくしました。
このなかで、給付制の奨学金について都が、「国の動向を注視しながら適切に対応する。」という前向きな答弁をしたことは重要です。また、わが党がいっかんして都民のみなさんと取り組んできた少人数学級も民主党や自民党の政策にもかかげられ、今議会で、教育長が、「都教育委員会として学級編成のあり方について適切に判断していく」と答えたことはたいへん重要な変化と考えます。
わが党が二〇〇一年に尼崎市を視察して、その後繰り返し取り上げてきたケアつき住宅もようやく都の検討会の中で整備を打ち出すところまできました。少なくともこうした多くの党が一致した政策については、来年度予算編成の中で踏み出すことが求められていることを強調するものです。
一方、三月の都議会で、八王子、清瀬小児病院、梅が丘病院の廃止条例が強行されましたが、都議選の結果でも廃止反対の勢力が都議会での過半数を占め、存続を求める都民の世論と運動は、座り込み行動などでますます大きく広がっています。そのうえ、新型インフルエンザの大流行などあらたな事態が生まれているなかで、小児病院の必要性はますます高まっています。
にもかかわらず、都があくまでも廃止に固執する立場をとったことは、民意にそむくものであり、許されません。しかも、病院経営本部長は、八王子小児病院が転出する地域の小児医療体制については、二つの大学病院に小児病床を新たに十二床確保できる見通しとなり、条件整備が整ったかのようなぎまん的な答弁をおこないました。事実は、八王子市議会で明らかになったのは、小児病床を増床するのでなく、既存病床のやりくりをおこなうというものでしかありません。国も全国の社会保険病院と厚生年金病院の売却方針を、公営で維持する方向に転換するという大きな変化が起きています。都立三小児病院存続こそ都民の審判にこたえる道であることは明白です。
知事は、都議選告示後の世論調査で都民が示した、「新銀行東京は清算すべきが七一%」、「築地市場の豊洲移転反対五七%」の民意を無視して、「新銀行東京や、築地市場の豊洲移転をはじめ、都政の限られた案件について審判が行なわれたものとは考えていない」と開き直りました。そればかりか、世論調査の数字によって決めることはしないとの立場まで示したことは驚くべき暴言といわなければなりません。
新銀行問題について、日本共産党は、六月期決算の分析も行ったうえ、さらなる経営悪化を避けるために、専門家の意見も聞きながら、現実的な清算手段を提案しましたが、知事は、この提案に対して、何一つ根拠を示さず、「銀行そのものが不幸になる」などと言って拒否しました。これは、知事が自分のメンツのために、新銀行東京の存続しか考えないという都民不在の立場をあらわにしたものでした。
また、日本共産党は、築地市場の問題でも、現在の技術水準であれば、現在地再整備が可能であることを示し具体的な提案をおこないました。これに対し、都側がひと昔前の技術水準の例をあげることなどで「不可能」といいはったことは、進取の気概にもとるものです。
都議選・総選挙で都民が示した「暮らしを守るために浪費をなくせ」の声にどう応えるかも問われています。なかでもオリンピックの招致予算は百五十億円にのぼり、二〇一六年オリンピック開催都市を決定するIOC総会に向けての多額の経費や、二三日に開催された「開催決定応援パレード」や、「トップアスリートとスポーツ体験」には、たった一日でおよそ一億円もかけるという大盤振る舞いで都民の批判が広がっています。このことについても、知事は「予算の範囲内であり、税金のむだ遣いではない」などと強弁し、予算の範囲内なら何でも許されるという態度をとりました。思いあがりもはなはだしいものです。
オリンピック招致を看板とした巨大開発、一メートル一億円もかける外環道路事業は、総選挙の結果を受け、国も事業を中断せざるを得なくなっているのに、都があくまでもごり押しする立場をとっていることも、民意にそむくものです。少なくとも建設を凍結し都民的議論を尽くすべきです。
また、今回提案されている環状二号地下トンネル工事契約は、再開発事業二千四百四十九億円に加え、延長千三百五十メートルの地下トンネル幹線道路に都民の税金四百七十億円を投資するものであり、このような巨大道路開発に投資をつづけることには反対であることを申し述べておきます。
日本共産党は、国土交通省が本体工事の入札を中止した八ッ場ダムについても、民意にそってダム建設中止に協力するよう知事に迫りました。しかし、担当局長は、必要不可欠なダムと強弁し、関係住民の生活再建などをあげて、これを拒否しました。これは都がいまだに過大な水需要予測にしがみつき、国と一体となって地元の根強い反対を押し切ってダム建設を押し付けてきた責任をタナ上げするものにほかなりません。
「ムダな公共事業ノー」の国民、都民の声にこたえて、都はダム建設中止と関係住民の生活再建のため、真摯に協力すべきです。
最後に、日本共産党は都議選・総選挙で示された都民、国民の声にこたえる都政への転換と都民要求実現のために全力をつくすことを申し述べて、討論を終わります。
以上