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文書質問趣意書

2009年12月16日
清水ひで子(八王子市選出)

多摩地域の漁業振興について

 はじめに奥多摩湖のアオコの大量発生の問題についてです。
 奥多摩湖のアオコ大量発生は2007年には多少減少したものの、2008年にはまた増加するなど毎年のように問題になっています。悪臭、景観などで、釣り客、ハイカーなど奥多摩湖の水と緑のふれあいを求めてくる年間100万人とも言われる観光客などにマイナスの影響を与えています。良好な水質にしてほしいというのは、地元の人たちばかりではなく、観光客も含めて強い要望になっています。
 奥多摩湖のアオコ対策の現状は、水道局が行っているアオコ発生場所の広がりを押さえ、表層部のアオコを底の方に移送するというものですが、現在の発生状況を考えると、事態は対策をもっと強める必要があります。
 アオコ発生の対策は、水道水の水質確保の点ばかりでなく、奥多摩の環境改善、地域経済振興をすすめるうえで、重要性な柱となるものです。関係者の連携した取り組みが求められております。

Q1 生活系・養魚場・温泉などからの排水対策、森林の適切な管理による自然流水の水質浄化対策、発生してしまった湖での繁殖抑制など、関係自治体、東京都の各関係局などの連携した取り組みが欠かせません。また、東京都の各研究機関の協力も得て、都として、奥多摩湖アオコ対策プロジェクトなどを発足させ、一日も早く長期的・系統的な対策にのりだしてはどうですか。答弁を求めます。

 奥多摩湖では、ブラックバスの放流対策も重要な課題となっています。ブラックバスの無秩序な放流により在来種の量が激減し生態系に、深刻な問題を起こしているからです。
Q2 ブラックバスを放流することが禁止されていることを知らない人も、まだ少なくありません。都として奥多摩湖に「ブラックバスを放流するな」とのお知らせを徹底するよう求めます。

Q3 琵琶湖などでは、釣り上げたブラックバスを再放流しないよう「回収ボックス」を設置し、その回収を徹底しているとのことです。都としても、こうした回収ボックスを設置するよう求めます。

 次に東京都が、関係者と取り組んでいる、ヤマメ発眼卵放流事業についてです。
 これは漁業協同組合、釣り団体、旧水産試験場、東京都が連携・協力して、奥多摩、檜原でヤマメ発眼卵放流をおこない、もともと生存していた多摩川系ヤマメを保存、育成するというものです。東京都が、放流日・場所・数量などを内容とする発眼卵放流の計画を作成し、養殖センター産のヤマメ発眼卵約10万個を参加者が分担して約200個ずつの特殊なカゴに入れて各地域に放流しています。そして奥多摩で多くのヤマメが成長し、釣り客、キャンプ、観光に訪れる方々の観光資源となり、奥多摩の地域経済振興に役立っています。
 ところが、この発眼卵放流事業をいつまで継続できるか、不安になっています。
 それは、この発眼卵放流に使われる「ふ化器」と言われるカゴが、釣り団体の寄附により補充していますが、一つ2000円ほどかかり、それを補充することが釣り団体にとっては大きな負担になっているからです。台風などがくると流れてしまい、年に数個が消耗してしまいます。
 この発眼卵放流には、「ふ化器」といわれる魚の卵をいれる特殊なボックスが欠かせません。それは、長年の研究、経験から成長しやすい河床をみつけ埋められ、魚が外敵から守られ育っていく上でも、必要不可欠なものです。しかも、卵からの放流は、稚魚放流に比べ経費がかからず、良い条件の河川であればほぼ100%近くが稚魚となり、その効果が確認されています。

Q4 釣り団体からは、不足分を東京都で補って欲しいとの要望が出ています。こうした要望に応えヤマメの発眼卵放流に使うボックスの不足分を補うことは、多摩の水産業、観光業など地域経済振興につながると思いませんか。都として支援をしてはどうですか。答弁を求めます。

 一方、養殖によって育成されている「奥多摩やまめ」は、多摩地域の特産品として開発され、刺身や寿司、洋食などにも広く利用され需要拡大が見込まれ、地元の期待が強いものがあります。
 この「奥多摩ヤマメ」の需要拡大の上で、魚病の発生は養殖業者の経営に大きな影響をもたらし、河川への魚の放流・増殖に支障が生じるので、東京都では優良種苗の生産・配付を充実するとともに養殖業者に対する指導を強化し、魚病被害のまん延防止・被害の軽減化を図ることが必要です。
 しかし、養殖技術の改良・普及、種苗の生産配布、漁病対策をおこない養殖業の経営安定を図る事業をになってきた奥多摩水産試験場が、2004年度から奥多摩さかな養殖センターとなり事業が東京都農林水産振興財団に委託されるにともない、水産試験場の漁病対策専門の担当者が常駐しなくなり、漁病対策に遅れが生じ、地元から改善を求める声が高まっています。
 2003年度までの5年間の漁病被害率が平均約8%だったのにたいして、2004年度以降の5年間の漁病被害率は11%と3%も増えました。2007年度は、過去15年間で最高の被害率となっており、急いで対策する必要があります。
Q5 「奥多摩ヤマメ」の需要を拡大するうえで、都の支援は欠かせません。奥多摩水産試験場を復活するよう求めますが、いかがですか。

Q6 少なくとも、従来の漁病対策を従前の体制水準に回復するよう求めます。

Q7 奥多摩地域の内水面漁協の経営能力の向上と財務体質の改善をおこなうことも重要です。それは、養殖業者の経営力の強化につながっていきます。都として、河川漁協組合への支援を拡充するよう求めます。

以上