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2010年第1回定例会・予算特別委員会 総括質疑  2010年3月15日

吉田信夫議員(杉並区選出)

オリンピック招致活動における浪費と知事の海外出張について

知事の海外出張での浪費について
経費節減の約束について
オフィシャルパートナーへの発注について
監理団体、外郭団体からの寄附金について

 

知事の海外出張での浪費について

〇吉田議員 私は、オリンピック招致活動における浪費と知事の海外出張について質問をさせていただきます。
 失敗に終わった二〇一六年オリンピック招致にかかわった経費は、当初示された五十五億円を大幅に超え百五十億円になり、さらに、生活文化スポーツ局を初め都の各局が招致活動、招致機運を盛り上げるために投入した経費を合わせれば、二百億円を超える結果となっています。その中には、どうしても浪費としかいいようがないものが数多くあります。にもかかわらず、招致活動報告書では、浪費についての反省は一言もありません。
 また、その一方で知事は、使われた招致経費について、痛くもかゆくもないと発言をしました。経済悪化の中で、つめに火をともすように暮らし、身を切られる思いで納税している都民からは厳しい批判の声が上がりました。
 都民の税金である以上、一円たりとも浪費は許されません。この点で具体的にただしたいことの一つは、オリンピック招致の名による石原知事の海外出張での浪費についてです。
 そもそも知事の海外出張における浪費について、我が党は見過ごせない問題だとして調査し、二〇〇六年の第四回定例会で実態を告発し、知事に改善を求めました。知事は専ら事務方の問題として責任を逃れましたけれども、結果的には翌二〇〇七年二月、ちょうど知事選挙の直前だと思いますけれども、知事本局は、知事海外出張の透明性向上等についてと題する文書を発表し、一定の改善策を発表いたしました。
 そこでお伺いいたしますけれども、この発表で示された改善策のうち、経費節減策について、知事本局長、簡潔に説明をしてください。

〇吉川知事本局長 平成十九年の改善策では、経費節減のための一層の工夫として、第一に航空運賃は随行職員の割引制度活用などにより縮減を図ること、第二に、ホテルの選定については、セキュリティーの十分な確保、要人との会見ができる格式と設備、非常事態発生時での都庁との緊密な連絡の確保などの条件を備えたものから、最も価格の低いものを選定すること、第三に、出張メンバーにつきましては、これまでも政策目的を実現するために必要な規模で実施してまいりましたが、出張目的などに応じまして精査していくことの三つを経費節減の基本としてございます。
 特に、ローザンヌやコペンハーゲンといった今回のオリンピック招致活動に伴う海外出張におきましては、IOC関連の会議や国際的スポーツイベントなどのためホテル需要が急増し、会場地域全体の宿泊料が急騰していたこと、また、IOC委員や各国要人との面談や、東京都の招致委員会幹部やJOC役員などの方々との緊密な打ち合わせが想定されたこと、さらに、プレゼンテーション会場やIOC委員が宿泊しているホテルへのアクセスも考慮する必要があったことなどの厳しい条件の中で、最も適切な宿泊先を選定し、経費節減に努めたものでございます。

〇吉田議員 問題は、今の経費節減策が本当に遵守をされているのかということについてこれからただしたいと思います。
 知事は、オリンピック招致のために、昨年、一昨年、五回の海外出張を行いました。〇八年、北京、昨年は、ローザンヌ、シンガポール、ベルリン、そしてコペンハーゲンです。この五回の総経費は一億四千三百二十二万円、最高はベルリン一回で四千八百十一万円。これは、この間の知事の海外出張で最高ということになります。

経費節減の約束について

 この五回の海外出張で、経費節減の約束は本当に遵守されたんでしょうか。
 指摘したい第一の問題は、ホテル代です。他の道府県でもそうですけれども、海外出張に当たっては、その地域に応じて、知事の場合も含めて宿泊料の上限が定められております。東京都知事は全国の知事の中で最高だと思いますが、最高の上限は四万二千円です。もちろん食事代は別です。
 しかし、我が党の調査では、この五回の海外出張でホテルの宿泊、合計二十三回というふうに計算できますけれども、そのうちで、規定額内で宿泊したのは二泊だけ、残りの二十一泊は規定された上限を大きく超える支出となっています。
 上限を超えてホテルを使う場合には、増額理由を出して事前に申請をするということとなっています。その理由として共通に挙げられていることは、セキュリティーの確保や非常時の連絡体制などとともに、各国要人との会見の可能性への対応ということが繰り返し増額の理由として掲げられています。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、この上限を超えた二十一泊の中で、知事の部屋で海外要人と会見等を行ったという実績は一体何泊あるいは何回あったのか、知事本局長、お答えください。

〇吉川知事本局長 今回のオリンピック招致に係る海外出張での知事の宿泊先における部屋選定の条件等は先ほど答弁したとおりでございまして、特に今回の一連の海外出張では、IOC委員を初め国際スポーツ団体等の要人との接触が現地でにわかに可能となることも考えられ、その好機を逃さないための万全の備えとして、要人の応接などができる部屋を用意したものでございます。
 なお、今回も、規定で定められた宿泊費を超えることが想定された海外出張すべてにつきまして、人事委員会の承認を事前に得て、適正に執行しております。
 いずれにいたしましても、現に最終プレゼンテーションの場であったコペンハーゲンのホテルにおいては、ロビーなどあらゆる場所を活用しまして、東京への支持取りつけのため、知事は最後の最後まで渾身の努力をされておりました。
 結果として知事の部屋において海外要人との会談は行われませんでしたが、招致委員会幹部やJOC役員などとの、チーム日本として極めて重要で緊密な打ち合わせを行う場所として、知事の部屋は十二分に活用されておりました。

〇吉田議員 増額の最大の理由の一つとした海外要人との会談、面会、会見、こういうことは結局、規定を超えた二十一回の中で一度も行われていないというお話がありました。
 実は、これまでも含めて、この海外要人との会談ということが常に強調されて、上限額を超える宿泊が行われてきました。まさに、上限を超えるのが常態化するという事態になっていましたけれども、実際には一度として会見はしていないと。
 そもそも、今、コペンハーゲンの話がありましたけれども、私が見た限りでは、ベルリンでもコペンハーゲンでも、IOC委員はIOC指定のホテルに宿泊をされていて、知事が宿泊をされているホテルには一人も泊まっていないはずなんですよ。それを、誘致活動だったら、相手のホテルに行くことはあるかもしれませんけれども、わざわざ知事のホテルに呼びつけるということはしていないでしょうけれども、そういうことはそもそも成り立たないことではないでしょうか。
 問題は、事実上、海外要人との会談を理由に規定を、わずかじゃないんです、大幅に上がるということが常態化しています。私は、これが、他の、とりわけ首都圏や、あるいは他県の知事の海外出張において同じように行われているのかということについて調べてみました。
 その結果をまとめたのがこの表です。(パネルを示す)埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪ですけれども、埼玉、千葉、神奈川、京都は一回も規定を超えた知事の宿泊はありません。大阪は八回中一回、一泊だけなんです。こういうことから見ても、都知事の宿泊代が上限を超えるというのは極めて異常なことだというふうに指摘せざるを得ません。
 さらに強調したいことは、ただ単に超えているだけではないんです。極めて高額な、何倍ものホテル代にはね上がっていると。例えば昨年のローザンヌでは、上限額は三万三千五百円でしたが、その三・七倍、約九万円も高い十二万二千八百五十円の部屋代を使っているということが残されております。平均でも八万円を超えます。
 さらに驚くべきは、北京オリンピックのときのホテルです。このときは一泊でしたが、知事は夫人同伴で行かれました。このときの一泊の部屋代は、夫人同伴で二十四万三千円です。一人当たり十二万一千五百円。ちなみに、部屋のクラスは、ホテルニューオータニの最高級スイートですよね。広さでいいますと、何と百二十八平米と。これは、ホテルのインターネットを調べますと、これが知事が泊まられた部屋だと思います。百二十八平米。見取り図も参考までに入手をいたしました。これは、多くの都民から見れば驚きの声が上がるのが現実だと思います。
 それで、知事本局長に伺いますけれども、もちろん、ホテルニューオータニに泊まらなければならなかった理由は理解できます。それにしても、その中で、なぜ最高級の豪華なスイートルームに都民の税金二十四万円も使って泊まらなければならなかったのか、なぜこういう選択をされたのか、ご答弁をお願いします。

〇吉川知事本局長 なぜその部屋を選択したのかというのは、先ほど来繰り返し答弁しましたから避けますけれども、今、吉田議員がおっしゃっている、例えばコペンハーゲンの例は、先ほどもいいましたけれども、パネルで他県の知事の上限額を超えた云々という表示がありましたけれども、私どもは、オリンピック招致に向けて、四年に一遍、チーム東京というか、チームジャパンとして集中的に向かって、そこで招致活動をやっていた。逆にいうと、コペンハーゲンには世界の立候補していた四都市の関係者が全部集まって、世界じゅうの注目を浴びていたと。ですから、現にコペンハーゲンのホテルでは、通常だと一泊六万七千五百円から八万一千五百円のところが、このIOC期間中はすべての部屋が、いわゆるスイートのところですけれども、期間中、十万一千二百五十円という形で大変高騰していたんです。
 それで、知事は、先ほどもいいましたけれども、お部屋で極めて重要な打ち合わせもしましたし、知事は、ほかの、例えばチームジャパンの関係者の部屋へ出向いていろんな打ち合わせもされたり、大変多くの行動をされました。

〇吉田議員 もう一度、知事本局長、私が聞いたのはコペンハーゲンではなくて、北京の百二十八平米。たとえ夫婦同伴であったとしても、二十四万円の最高スイートになぜオリンピックという理由があったとしても泊まらなければならなかったのか、もう一度お答えください。

〇吉川知事本局長 三回目の答弁になりますからゆっくり読みますが、ホテルの選定については、セキュリティーの十分な確保、要人との会見ができる格式と設備、非常事態発生時での都庁と緊密な連絡の確保等の条件を備えたものから最も価格の低いものを選定したものでございます。

〇吉田議員 私は、だから、ホテルニューオータニを選んだこと自身を非難しているわけじゃないんですよ。その中でも、さまざまなクラスの部屋があった中で、あえて最も高い、最も最高級のホテルを使う必要がなぜあったのかということです。結局、知事本局長は答えることができませんでした。
 この中に、例えばほかに部屋がなかったのかというふうにお思いかもしれませんけれども、これはツーリストから来た一覧表があります。これだけの部屋を確保いたしましたというものです。その中では、例えばスタンダードツイン、これは七万五千円ですけれども、二十七室。デラックスダブル、これは八万円ですけれども、二室。エグゼクティブダブル、これは八万五千円ですけれども、十室。こういうふうに選択があったんですよ。その中から知事は最も高い部屋を、知事が選んだか、吉川さんが選んだか知りませんけれども、そういう選択をなぜしたのかということなんです。
 さらにもう一ついわせていただきます。オリンピック招致や外国要人との面談の可能性があったからということが先ほどから繰り返しいわれました。しかし、私は、オリンピック招致という名目がつくならば、あるいは東京都知事だからどれだけの浪費も許されるということでは決してないと思います。
 しかも、ちなみに、今はもうここにいらっしゃいませんけれども、谷川前副知事が、閉会式は石原知事の代理として北京に赴きました。そのときももちろんホテル代の増額申請がありました。そして、そこにはどう書いてあったかというと、知事の場合と同じように、要人との会見の可能性があるので、この場合には若干ですけれども増額して、次の部屋に泊まらせてくださいというものでした。同じホテルニューオータニです。泊まった部屋は、知事の使った最高級スイートよりも、数段ランクとしていえば低いスタンダードツインです。部屋代は一泊七万五千円ですよ。
 副知事は、オリンピック招致、要人との会見だといいながら、このクラスの部屋を使っているんですよ。なぜ知事の場合には、ホテルニューオータニはいいとしても、今いったように、スタンダードツインからエグゼクティブ、いろんな種類があって、一番最高級ですよ。それで、私は、幾らオリンピック招致、知事だといっても、都民の理解と納得は得られるものではないというふうにいわざるを得ません。
 結局、オリンピック招致を至上命題にして都政が進められる中で、二〇〇七年二月に発表した、一定の条件を占めたホテルの中でも最も安いものを選びますというふうな経費削減の四文字というものは紙くずのように投げ捨てられてきたというふうにいわざるを得ません。
 知事、ご自分はこういうことを認識されていたんですか。今改めてこういうことを知事にただすわけですけれども、どのようにお考えですか。百二十八平米、二十四万円。

〇石原知事 私は、自分の泊まるホテルの部屋を指定したことはございません。

〇吉田議員 いや、ございませんというんじゃなくて。いつも知事はそういういい方をされるんです。ですから、改めてこういう現実を知ってどのようにお考えですかと聞いているんですよ。

〇吉川知事本局長 先ほど来申し上げているような要素を加味して、一番安い額を私どもとしては見定めてホテルを決めてきているわけです。
 繰り返し、先ほども申し上げましたが、いずれにしても、規定を超えた宿泊費については、人事委員会の承認を事前に得て、適正に執行しております。

〇吉田議員 知事、お答えされませんでしたけれども、実は、今挙げたのはあくまでもホテル代だけなんですよ。率直にいって、それにとどまらないんです。
 例えば、航空費や、あるいは現地の車両ということを見ても、他の県知事とは全く違います。例えば、先ほど例に挙げた埼玉、京都、大阪の場合は、ファーストクラスを使うということは規定上認められています。しかし、こういう規定があったとしても、埼玉、京都、大阪、これらの知事は、ファーストクラスは使わないで、ビジネスないしエコノミーですよ。さらに、行った現地で知事が専用車を使うということも、他の県知事の場合には多くは見られません。埼玉、千葉、大阪などは使っていないんですよ。スタッフと一緒にマイクロバスを使うということがされているんです。
 ちなみに、ベルリン−成田往復のファーストクラスは約二百四十万円ですね。これ、ビジネスクラスと比べるだけでも百万円から高いわけですよね。そういうことから見ても、ホテル代だけではなくて、異常に高いと。
 しかも、専用車が、じゃあどのぐらいするのかということですけれども、たとえホテルと飛行場のわずか二十分、三十分の移動であっても、知事、笑っていらっしゃいますけれども、専用車は半日単位でチャーターするんですよ。ですから、そのために、一日二十四万円も専用車に使うという事例まであります。
 さらにいわせていただければ、北京に夫人を同伴されましたけれども、一泊の出張でありながら四万三千百二十円の支度料が支払われています。
 経済悪化の中で、本当に国民健康保険料も払えない、病院に行くのも我慢しなければならないという中小業者の方々がいらっしゃるんですよ。高齢者の中には、節約のためにトイレの水はおふろの残り水、光熱費を節約するために早くから消灯して、暖房もつけずに我慢するという、現実に都民の方がいらっしゃるんですよ。そういう人に、知事、思いをはせて、やはり少しは節約をするという努力をするということを今後の問題としていえませんか。

〇吉川知事本局長 経費節減のための工夫につきましては、先ほど申し上げたように、平成十九年に改善策を取りまとめております。
 その改善内容に従って今後とも適正に処置していきますが、先ほど雇い上げ車の問題がございましたけれども、治安状況が日本と異なる海外において、知事など幹部の安全性の確保、確実な公務執行、急な事情への柔軟な対処という観点から専用車を借り上げているものでございまして、この専用車は、知事のセキュリティーの確保にかんがみて、車種を適正に選定したものでございます。

〇吉田議員 まあ、知事には耳の痛い話だったかもしれませんけれども、二〇〇七年に経費節減の公約を知事選挙の前に出されながら、そのほとんどが遵守されていないんですよ。
 改めて、知事、どうですか。節約の努力について、ご意思を答えていただけませんか。

〇吉川知事本局長 繰り返し申し上げますが、平成十九年に取りまとめた、経費節減のための一層の工夫を含む改善策に沿いまして、適正に執行してまいります。

〇吉田議員 私は、知事が答えていただかなかったというのは極めて残念ですし、これをもし都民の方が見られていれば、本当に残念だと思うんですね。
 ましてや、幾ら知事を擁護したいという思いがあるかもしれませんけれども、知事本局は自分で発表したんですよ。全然遵守されていないじゃないですか。それを、所管の局長が、知事をかばうために、自分の約束を守ることができないにもかかわらず居直るという態度は何ですか、一体。私は本当にひどいと思いますよ、知事本局長の態度も。(吉川知事本局長発言を求む)いや、いいですよ、質問していないんだから。もういいよ、あなたの答弁は。
 私は幾つかの問題を挙げてきましたけれども、私があえて知事の海外出張をただしたのは、オリンピック招致の名で都政のこれまでのルール、規定がいとも平然と破られていると。そういうことを、知事だから、オリンピックだからという理由のもとで見過ごされるということを、私、ちょっと声が大きくなりましたけれども、都民の立場からすれば許されないと思うんですよ。

オフィシャルパートナーへの発注について

〇吉田議員 さて、次に話を進めますけれども、昨年の予算特別委員会で我が党は、オリンピック招致活動の多くが電通に特命で委託をされているという実態を明らかにいたしました。
 実は、調べてみますと、電通は、計画策定や、あるいは国際招致活動あるいは宣伝やイベントだけではなく、寄附金を集める事業も含めて、あらゆる分野にわたって取り組んで、しかも、その中で莫大な利益を得ているということを指摘せざるを得ません。
 そこで、お伺いいたしますけれども、この間の招致本部あるいは招致委員会の支出の中で、電通が受託をした総額、ご答弁をお願いいたします。

〇荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 オリンピック招致活動に要した経費、全体で百四十八・五億円でございますけれども、そのうち、民間企業等への発注総額が百十四億五千万円で、そのうち株式会社電通への発注総額は六十六億九千万円であります。
 この電通への発注がこういう形になっておりますのは、今、先生おっしゃったとおり、立候補ファイルですとか、あるいは国際招致活動に当たりまして、電通の持つオリンピック招致の経験ですとか、あるいは情報、ノウハウを活用したことによるものでございます。

〇吉田議員 今ご答弁がありましたけれども、百五十億近い、これは皆さん方の発表で、我々はもっとあると思っていますけれども、その金額の中の比重を見ても、四五%が電通なんですよ。これは極めて異常な事態ですよね。これは笑い話じゃ決してないんですけれども。
 そこで、そうした事業の一つとして、協賛金を出しているオフィシャルパートナーを電通が組織し、その企業にはさまざまな優遇策を行うということをやっていますよね。
 知事の海外出張の多くを請け負ったJTBや近畿日本ツーリストも、この十七社のオフィシャルパートナーの一員です。そして、開示をされた資料を見ると、現地ガイドに時給一万六千円、白黒プリンターのレンタル料が四十四万数千円など、常識では考えられない支出が、いわばJTBいいなりという形で支払われていると。
 しかも、驚くべきは、都議会の海外出張の場合には、履行記録というのがそのたびごとにチェックされます。しかし、知事が行った場合の海外出張では、履行記録すら残されておりません。実際どれだけどう使ったかが不明なんです。
 そこで伺いますけれども、オフィシャルパートナーであるJTBと近畿日本ツーリストの二社について、これは関連会社も含めてですけれども、招致本部、招致委員会からの受注額をご説明ください。

〇荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 まず、招致本部からJTBのグループ企業に対しましては約一億四千万円、それから、近畿日本ツーリストに対しましては三千万円の発注を行っております。
 それから、招致委員会でございますけれども、この招致委員会につきましては、両社ともオフィシャルパートナーとして資金協力をしてくれている団体でございまして、その団体の契約額を公表することは、手のうちを見せるということになり、相手方との信頼関係を損ないかねず、また、今後の活動にも支障を及ぼすおそれがあることから、発注額の公表は控えさせていただきたいと思います。

〇吉田議員 この問題を我が党が今質問をしたのは、結局、オフィシャルパートナーは、もちろん協賛金を払っていますけれども、こうしたところに優遇的に招致にかかわる事業が発注されているという疑問を持ったからであります。
 ここにそれを表にまとめてみました。十七社が支払った協賛金総額は約五億七千万です。そして、今いわれたのは極めてごく一部にすぎません。いわれたように招致本部限定であり、招致委員会からの発注はありません。
 また、知事の海外出張の場合には、知事本局の案分の負担分などがありますが、それは金額から外されています。
 そうしたものを足し込みますと、少なくとも、我々が今持っている資料で確認できるだけで、JTB、一億九千万円近く、ヤフージャパンなども九千万円近い。これはさらにその上に続くわけですよね。今把握しているだけで約四億七千万円の受注を受けているわけです。
 結局、招致活動を請け負う電通のもとで特権を与えられるオフィシャルパートナーという制度を設け、そして、もちろん協賛金を集めてもらいますけれども、その一方で、招致委員会、招致本部、さらに電通も含めて、これらの組織が大量の仕事をJTBなどオフィシャルパートナーに発注をする、こういう構図が結果的にはつくられているわけです。
 かき集めた民間の資金の中に、こうした税金への協賛金としての環流が相当額含まれているというふうにいわざるを得ないのが現実だと思いますが、どうですか。

〇荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 少し話を分けてさせていただきたいと思います。
 オフィシャルパートナーというのは、東京都のオフィシャルパートナーではなくて、招致委員会のオフィシャルパートナーでございます。
 このJTBにしましても、それから近畿日本ツーリストにしましても、旅行業務をお願いしているわけでございますけれども、まず招致本部の方につきましては、先ほど北京オリンピックの話がございましたけれども、北京オリンピックですとか、あるいはIOC総会につきましては、やはりこれはお願いをしております。
 しかし、これらの、北京オリンピックなりIOC総会というのは、国家元首が集まるような非常に大きな、重要な会議でございまして、それも前提にIOCのさまざまな行事も予定しております。
 その中で招致活動を滞りなくやってもらうためには、やっぱり経験のある会社にお願いするということで、確かにこのJTBには特命を随契したことはございます。
 しかしながら、すべてがそうかというと、そうではございませんで、もちろん国内でのイベントでJTBを使ったものはございますけれども、これは、昨年の九月、代々木公園で開催されました、アスリートも参加した行事でございますけれども、そういうものもきちんと、特命ではなくて、企画提案をもらってやっております。
 それから、それ以外の海外出張につきましては、見積競争あるいは競争入札を行うことによって、東京都の方は事業者を選定しております。
 オフィシャルパートナーを実際やっているのは招致委員会でございまして、招致委員会は、やはり民間の資金を集めて活動するのが招致委員会の命でございます。
 そういう意味では、オフィシャルパートナーでもあるJTBや近畿日本ツーリストを旅行代理店として使うのはむしろ当然でございまして、むしろ積極的に活用してきたというところがございます。
 その際の見積もりにつきましては適正に行いましたし、また、価格交渉も行っております。

〇吉田議員 オリンピック招致特別委員会の中でも、世論調査をなぜヤフージャパンの関連会社に発注したのかという質問に対して、オフィシャルパートナーであり、密接な関係を構築するためだということが答弁をされています。

監理団体、外郭団体からの寄附金について

〇吉田議員 もう一つ、税金環流というふうにいわざるを得ない仕組みがあります。
 それは東京都の監理団体、外郭団体からの寄附金の問題ですけれども、都の外郭団体からの寄附金は何団体で、幾ら納められているか、ご答弁ください。簡潔にお願いします。

〇荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 寄附金をいただいた企業名、金額につきましては、招致委員会と相手方とのいわゆる民民の契約でございまして、相手方が公表を可とする場合を除いて、申し上げることはできません。
 なお、その資金協力につきましては、各団体の自主判断で行われたものでございまして、また、税の環流につきましても、各団体の所管局でしっかりと補助金等の管理を行っておりますので、その指摘は当たらないと思います。

〇吉田議員 これも含めて税金環流なんですよ。改めてとにかく徹底的に検証すべきだ、そして、四千億円は温存するのではなくて都民に還元すべきだということを述べまして、時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。

以上