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文書質問趣意書
2010年3月30日
古館 和憲
『島しょ振興』に向けたいっそうの施策展開について
離島のガソリン、軽油等の価格はもともと本土に比べ、割高です。特に東京都のガソリン価格は全国離島のベストテンに入っているという異常な状態が続いています。
Q1、離島ガソリン、軽油等の価格の実効ある値下げ対策を国に働きかけるとともに、東京都として、ガソリン価格をはじめとする燃料価格の実態調査及び高値の原因解明を行い、海上貨物運賃補助対象品目に加えるなど、東京都独自の実効ある値下げ対策を具体化していただきたいがどうか。
A1 海上貨物運賃補助の対象品目は、島民の日常生活に不可欠な品や、島の産業を支える特産品の中から、補助制度の効果が高く、かっその効果が幅広く島民に還元される品を、地元町村など関係者と調整のうえ、指定しているものです。ガソリン、軽油等の本土との価格差が生じる主な要因は、貨物運賃よりも、島ごとの需要量の多寡、輸送形態の違いにより生じており、プロパンガス等、価格差の大半が貨物運賃による品とは異なります。したがって、貨物運賃補助の効果は小さいと見込まれることや、より生活に必要とされる他の品を優先すべきことから、新たにガソリン、軽油等を対象品目に加えることは考えていません。なお、平成19年には、島の特産品の価格競争力を高めるため、魚介類を新たに指定し、平成20年には、補助率30%だったものを50%に引き上げるなど、常に地元町村等の意向を踏まえながら制度の改善に努めています。
島しょ漁業において資源の枯渇は深刻な事態となっています。その大きな原因の一つが、巻き網操業にあります。また、操業マナーの悪さも指摘されており、他県船の夜間操業規制を含め、適切な対策が求められている。
Q2、@東京都として巻き網試験操業の実態調査を行うこと、A巻き網操業の全面禁止に向けた実効ある対策を具体化すること、B他県船によるキンメ漁などの夜間操業の規制、密漁の取締りを強化することを求めます。それぞれ伺います。
A2 @まき網漁業の試験操業は、昭和40年代から八丈島南西海域に試験操業区が設定されていましたが、平成10年に廃止され、現在、試験操業は行われていません。A大中型まき網漁業は、漁業法第52条の規定に基づき、政令で大臣指定漁業に定められています。Bキンメダイの一本釣り漁業については、漁業関係法令による制限がないことから夜間操業の規制を行うことはできません。また、漁業関係法令に抵触する操業については、水産庁や海上保安庁、近隣県とも連携を図り、船舶や航空機による取締りを実施しています。
農漁業生産物の細胞を壊さず冷凍するCAS冷凍法は、鮮度を落とさず都内市場に搬入できるなど、島しょの農漁業生産物の販売を可能とし、島民の強い要望でもあります。
Q3、島しょの農漁業生産物の販路拡大に効果的であり、その導入に対しての農漁業生産物の販路拡大に向けたCAS(キャス)冷凍法の導入補助金を創設していただきたいと思うがどうか。
A3 冷凍・冷蔵施設等の整備に関しては、費用対効果を十分に検証したうえで対応しています。CAS冷凍法に関しては、現状ではコスト面等に課題があることから導入は考えていません。
Q4、有害鳥獣すなわち、野生の猿、鹿、山羊、キョン、リス、キジなどによる農産物被害の防止対策は切実である。防止対策支援事業を拡充するとともに、カラス駆除用防鳥ネット設置等への助成などもふくめ、適切な対応策をおこなうことを求めるが、どうか。
A4 島しょ地域の獣害対策については、既に獣害対策基本計画に基づき、町村が行う有害獣の生息状況調査や捕獲などに対して支援を実施しています。
Q5、人口透析治療が、すでに導入されている町村医療機関への専門医の派遣と、新たな導入に向けた町村への支援、さらに「導入できない」村で島外治療を受けている患者への生活支援など、きめ細やかな対応を具体化することが強く求められているが、どうか。
A5 都は、島しょ地域の透析医療体制確保のための支援を行っており、現在、4町村で人工透析治療を実施しています。
Q6、島しょと本土を結ぶ海路・空路の運賃の高さは、住民の足としてはもちろん、観光をはじめとする産業振興の障壁となっている。国に対して、離島航路補助の拡充を求めるとともに、東京都としても「島しょ海路・空路」を「都道」として位置付け、船賃・航空運賃の値下げに向けた実効ある支援策をおこなうことを求めるが、どうか。
A6 都は、航路補助については、国の補助額の算定方式が、運航経費が割高となる夜間航行の必要な東京の離島航路の実態を考慮していないなど、不十分なものであることから、制度の改善を要求する一方、国の制度の欠陥を補い、実際の事業者の損失額と国の補助額との差額を補填する、都独自の手厚い支援を行っています。また、航空路補助については、都は国と協調し運航費や航空機等購入費の補助を行う一方、都独自に保安検査業務に要する費用を補助しています。なお、これら離島航路・航空路の維持・存続を図るための支援策は、運賃を抑制する効果も挙げているものと認識しています。
Q7、島しょ町村ですすめている「管理型最終処分場整備事業」等については、施設整備、運営経費のほか、中間処理施設の整備およびその維持管理費、輸送費など、膨大な経費を必要としており、すでに供用開始している大島、現在整備中の八丈などへの補助制度の継続とともに、今後すすめていく自治体に対して財政支援を行っていただきたいが、どうか。
A7 東京都では、従前から、島しょ地域の町村や一部事務組合が行う廃棄物処理施設整備に対して補助金を交付し、島しょ地域における廃棄物の適正な処理を促進しています。
Q8、平成23年7月に、一斉デジタル放送に切り替わる予定だが、住民にとっては施設改修等の負担の増大が見込まれている。受信不可能となる自治体、住民に対して、都として財政支援を行うことを求めるが、どうか。
A8 平成23年7月の地上デジタル放送への完全移行に向け、島しょ地域においてテレビが視聴できない事態が生じないよう、国及び放送事業者によりデジタル中継局の整備が進められており、中継局による対応が困難な小笠原村については、都として海底光ケーブルの整備を進めています。また、経済的弱者に対するデジタルチューナーの無償給付をはじめ、共聴施設のデジタル化改修に対する助成制度など、国において各種の支援策が実施されており、都は、区市町村等とも連携してこうした支援策の利用促進に努めています。以上のとおり、必要な対策はすでに講じられており、都として新たな財政支援を行うことは考えていません。
『三宅島の復興支援について』
いま、島しょでは、老若男女を問わず仕事がなく生活に不安を抱えている人が多くにのぼっています。とりわけ、三宅島は「高濃度地区」の家屋での傷みの進行。漁業にでようと思うがガソリン代が高い。農作物もカラスなどの被害にあっているなどの実態も聞いています。
いま、東京都がやるべきことは、三宅島民の切実多様な要求にしっかりと耳を傾け、それを実現するための施策展開こそが必要になっている。
Q9、『漁』を営んでいる島民からは、火山灰が海中に入りこみ、トコブシ・天草・魚類等に打撃的な影響を与えており、資源保護に向けた河川の末端処理の作業を一刻も早く進めてほしいとの声がある。都としてこの声にどう応えていこうとしているのか、明らかにしていただきたい。
A9 これまで都は、泥流対策として、流出してくる火山灰や土砂などを貯める砂防えん堤の整備、堆積物の除去などの砂防事業を実施してきました。今後も、砂防事業を着実に実施し、土砂流出の防止に努めていきます。
Q10、大久保浜の海中の砂や砂利の移動を止めるための工事を急いでほしい、大崎線の「波返し」かさ上げ工事を早期に実施してほしい、などの声があがっているが、こうした声を東京都として認識しているのか。都として、これらの願いにどう応えていこうとしているのか。
A10 海岸管理者として現場の状況を把握していますが、現在の大久保港海岸では、砂や砂利の著しい移動は見受けられません。また、村や東京都町村会から大久保港海岸に関する要望は受けていません。なお、村道・大崎線について地元から要望のある箇所は、海岸保全区域外にあり、道路管理者である村が対応するものと考えています。
Q11、島内経済回復のため、国と協力し公的就労を確保する手立てを早急に取ることが重要だと考えるが、こうした取り組みについてどうか、明らかにしていただきたい。
A11 既に、国の交付金を活用した基金により、臨時的な雇用を生み出す「緊急雇用創出事業」、及び、継続的な雇用に繋げる「ふるさと雇用再生特別基金事業」を実施しており、島しょ地域においても活用が可能となっています。
Q12、また、高濃度地区の家屋は、長期化しているため傷みがひどくなってきており、その維持に向けた再度の支援が不可欠ではないか。都として今後どのような対応策、支援策を考えているのか。
A12 三宅島島民の生活再建については、都はこれまで、三宅村との役割分担を図りながら、「東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援制度」等を活用し、支援を実施してきました。こうした中で、高濃度地区内の家屋の劣化保全等については、現在三宅村が、「高濃度地区内における被災住宅劣化保全支援金」を設け、居住できない高濃度地区内の家屋の補修・修繕のための支援を実施しています。したがって、都としては、高濃度地区内の家屋の劣化保全に向けた再度の支援等について実施することは考えていません。
Q13、住宅再建支援について、限度額の引き上げや対象期間を国並みに延長すること、また、住宅再建のための10年間据え置き、長期返済の無利子貸し付けを行うことが必要と考えるが、どうか。住宅再建支援の適用期間については、高濃度地区全面解除までは延長して適用することを改めて求めるが、どうか。
A13 都は、平成!6年度から三宅村民の帰島に際し、引っ越し経費等を支給する国の「被災者生活再建支援制度」とあわせ、住宅の新築、修繕等に要する経費を支給する「三宅島帰島生活再建支援制度」を実施しています。平成22年度においても、国制度と同様に引き続き支援を実施します。ご提案の、当制度の限度額の引上げや、無利子貸付けなどを新たに実施する考えはありません。
Q14、三池地区の防潮堤のかさ上げ、ならびに同地区周辺のがけ崩れ対策が急がれているときいているが、どのような対策をとるのか。
A14 三池地区の防潮堤については、平成17年度にかさ上げ工事が完了しており、津波や高潮に対する安全性は確保されています。三宅島三池地区の治山事業については、平成20年度より事業を開始し、保安林指定の地主承諾が得られた区域から順次、法枠工や谷止工を実施しています。
Q15、定期航路船が常時就航できるように伊賀谷港を整備することを求めるが、どうか。
A15 三宅島では、定期船が常時就航する港として、三池港、阿古漁港の整備を推進しています。伊ヶ谷漁港は、噴火等の災害時に島民が避難に利用できるよう、大型船が接岸することを想定した岸壁の整備を完了しており、災害時でなくとも、気象海象の影響により、定期船が三池、阿古の両港に着けないが、伊ヶ谷漁港に着岸できる場合には、すでに利用できるようになっています。また、伊ヶ谷漁港については、東京都町村会からの避難港としての整備促進要望を受け、波浪の影響をさらに軽減するよう、岸壁から防波堤を延長するなどの方策を検討しています。
Q16、島民が抱えている債務の償還期限の延長、利子補給の延長を関係機関に働きかけること。
A16 都は、平成!7年2.月の三宅島災害における避難i指示解除から平成19年3月末までを貸付申請期限とする国の貸付金「災害援護資金」に対して都独自の上乗せを行うとともに、これら貸付金に係る利息分に対する補助を実施しています。ご提案の災害援護資金貸付の償還期限、利子補給については、延長する考えはありません。
Q17、わが党は、自然環境に悪影響を及ぼすバイクフェスタについては、中止を求め続けている。東京都の三宅島への支援は、以上述べた生活再建での対応策こそ緊急重要な解決すべき課題だと確信している。見解を求める。
A17 三宅島では、観光客数が噴火前の半数程度に止まっており、その回復が大きな課題です。このため、村では、観光振興の起爆剤として、3年前から三宅島モーターサイクルフェスティバルを開催しており、現在、島の観光イベントの中でも最も多くの来島者を集め、観光振興策の核となっています。都としては、引き続きこうした村の取組を積極的に支援することが、村民の生活再建にとって重要であると考えています。
以 上