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文書質問趣意書

2010年10月7日
たぞえ民夫(世田谷区選出)

介護福祉施設への水道・下水道料金軽減措置の改善について

 東京をはじめ全国的に、人口の高齢化が急速にすすんでいます。とりわけ東京では、戦後の高度経済成長期に地方から移り住んできた人たちが年を重ね、2025年には高齢者は340万人をこえ、都民4人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢者社会が到来します。
 介護体制の整備はまったなしです。ところが東京では、特別養護老人ホームもグループホーム、小規模多機能型施設も整備状況は全国最低水準です。介護現場の人材も深刻で、訪問介護事業所の廃業が相次ぎ、介護体制の維持・存続さえ問われる深刻な事態に直面しています。
 2000年4月に介護保険がスタートして十年、サービスの受給者、介護費用は右肩上がりに増加し続けていますが、制度の改訂のたびに費用負担がふやされ、利用が制約され、介護職員が働き続けられない介護報酬が続いて結果、政府が当初かかげた「介護の社会化」とは裏腹に「介護崩壊」といわれる危機的な状況が広がっている現実があります。
 こうした中で、「住みなれた家で介護を受けながら住み続けたい」と、ひとり暮らしや認知症をはじめ、高齢者が地域で安心して暮らし続けられる地域ケアの充実・推進を図るために、ホームヘルパーなどが家庭を訪問し、食事、入浴などの介助など身体的援助や清掃、洗濯、買い物など日常生活の家事援助をおこなうヘルパーステーションが各地で介護のネットワークを広げています。

 これらのヘルパーステーションは、特養やグループホーム、デイサービスり機能とともに併設されているのが多くの実態です。
私の地元世田谷にある東京さくら福祉会が運営する施設では、職員の賃金水準の確保に努めながらも、厳しい経営の中で、デイサービスに通所している高齢者が一番に楽しみにしているのが入浴サービスです。そのための水準を低下しないよう努力しています。
 高齢者は入浴サービスを受けることで、身体の清潔・血行促進で心身のリフレッシュをはかられ、大変喜ばれています。車椅子のまま入浴できるよう機械浴も設けられ、週三回通所している高齢者は、毎回入浴していますが、施設側はその都度浴槽のお湯を交換するため、浴場の湯気が消えることはありません。
 認知症の方が暮らすグループホームでも、スタッフの援助を受けての週三回の入浴は、病状の進行が緩やかになり、生活の大きなささえになっています。
 世田谷区内ではディサービスで入浴している高齢者は2000人を超えており、デイサービスを受けたいと希望する高齢者の第一の条件は何と言っても入浴があるかどうかだと言われています。
 そのため水道使用量が2か月間で、5000立方メートルにもおよび、毎回の二カ月分で平均して28万円から30万円の支払いで大きな額となっていて、法人の財政運営上占める水道料金の割合も大きく、施設側の大きな負担になっています。

 都議会は、不況下のもとで中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、社会福祉施設や低所得者に係わる水道料金について、減免措置の継続を強く求める決議を今年三月に全会一致で採択しました。
 東京都給水条例の30条でも、「公益上その他特別の理由があると認めた時は、料金又は手数料を減額し、又は免除することができる」として、生活保護法や児童扶養手当法により生活扶助や手当の支給を受ける都民について、軽減を図っています。
 この水道料金・下水道料金の減額制度では、対象としているのは老人福祉法で指定を受けた指定介護老人福祉施設や、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設など社会福祉施設ですが、2010年度には、112施設がすでに新規に減免の適用をうけました。
 しかし、東京さくら福祉会のように、社会福祉法の適用を受ける社会福祉事業として認定を受けていても、日常生活支援事業や訪問事業および移動支援事業をおこなうスペースや職員がいるだけで減免制度の対象から除かれているのです。
Q1 水道料金・下水道料金表の中の減免のお知らせには、減額措置を行うものとして、社会福祉施設も含まれていると明記しています。福祉介護の前線に立つ、部署の重要がなぜ減額対象から除かれているのですか。その理由を示してください。

A1. 水道料金及び下水道料金の減免措置は、公営企業における独立採算の原則及び受益者負担の公平に対する例外的な措置であるため、実施にあたっては慎重に対処することとしています。
 このため、社会福祉法に定める社会福祉事業であっても、日常生活支援事業や訪問事業等、用水型ではない事業については、負担の軽減を図る積極的な理由がないことから、減額措置の適用対象としていません。

Q2 私は、こうした福祉施設を調査しましたが、これらの介護機能をもつ施設は都内で相当数あることが分かりました。施設から軽減制度の改善の声が多数寄せられていることを承知しているのですか。

A2.水道料金及び下水道料金の減免措置に関する様々な相談、問い合わせ等については、水道局営業所窓口等において、制度の趣旨を説明するなど適切に対応しています。

Q3 今回の調査で、減免の適用を希望していても、初めから対象外になっているために、手続きの申請していないことが分かりました。しかし、減免の要件を満たすかどうかの線引きは、現実にはたいへん複雑です。
 少なくとも該当するのかどうか、相談への対応を強化するなどの改善をすすめるべきと思いますがいかがですか。

A3. 水道料金及び下水道料金に対する減免制度については、関係機関に通知し、ホームページへの掲載、リーフレットの作成等により周知するとともに、水道局営業所等において、減免に対する相談に応じています。
 今後も引き続き、制度の周知や相談への対応に努めていきます。

 ヘルパーステーションに働くヘルパー職員は朝施設に出勤し、居宅介護のために日中は外で生活支援をおこなっている時間がほとんとどです。施設内で水道水を使用するのは、朝のお茶を飲んだり、帰宅後の手洗い程度で全体の使用率の5パーセント程度です。

Q4 減免の対象外としているヘルパーステーションなどを併設した施設の実態を水道局はどう把握しているのですか。

A4. 社会福祉施設に関する減額の申請があった場合には、水道局営業所等で現場調査を行い、福祉保健局などの関係機関に確認を行った上で、減額適用の可否を決定しています。

Q5 施設での直接使用よりも事務管理による間接使用の水量がごくわずかですから、施設内にヘルパースティションが併設されていても、水道料金減免の対象に加えるべきだと思いますが、どうですか。

A5. 社会福祉施設の減額措置については、減免制度の趣旨を踏まえ、今後とも、適切に対応していきます。

以上