過去のページ

文書質問趣意書

2010年10月7日
ふるだて和憲(板橋区選出)

環状八号道路建設工事にともなう損害賠償問題について

 環状8号道路の板橋区相生町交差点〜練馬区北町間の建設工事は、2001年(平成13年)3月から開始されました。
 道路予定地は、第4建設事務所が、2001年8月の事業説明会で、道路予定が「数百メートルにわたって旧蓮根側の河川敷にあり、ピート層・軟弱地盤である」と強調したような地盤です。
 しかし、都は、2001年の秋から翌年の春にかけて行なった「家屋調査」(事前調査)において道路予定地に隣接する住宅地の地盤調査を実施しませんでした。
 その後、周辺地域では、家屋の傾斜、住宅の壁のひび割れ、柱の傾斜、自宅前の私道の地盤沈下など、工事が原因とみられるさまざまな被害が起きています。
 地元住民でつくる「環八の会」は、第四建設事務所にたいして、原因究明、再発防止、被害補償を求めて、再三にわたって申し入れ、交渉を行っています。  
 このなかで、第四建設事務所は「原因のすべてが工事によるものと断定できない」と回答したり、地元工務店の修繕費用見積もり額を著しく下回る賠償額しか提示しないなど、住民の要望から大きくへだたりのある姿勢をとっています。

 そこで、以下の問題について、質問します。

1. 工事被害の損害賠償問題の早期解決について

Q1、工事被害の損害賠償問題の解決件数・未解決件数についてそれぞれ具体的に示してください。

A1. 環状第8号線の練馬区北町から板橋区相生町までの区間は、平成12年度から工事を実施しており、平成18年5月に本線を、平成21年3月に側道を交通開放しています。
 建設局施行の工事に起因する家屋等損傷事故を把握するため、家屋調査を行っており、家屋等損傷事故として204件を賠償することとしました。
 平成22年9月末までに131件が示談締結し、引き続き、残る73件についても賠償対象の方と示談交渉を進めていきます。

 この問題では担当者がわずか二人と少ないことを指摘しないわけにはいきません。その結果、未解決のまま2〜3年放置されていたり、再調査を申し込んでも「早くて1カ月後」といわれるなど、人員不足が原因であることは、明らかです。人員を増員することが必要です。
Q2、第四建設事務所の担当者を増やして、損害賠償問題の解決を急ぐべきです。

A2. これまでも、北町若木地区の損害賠償事務に精力的に取り組んでおり、引き続き、早期解決を図るよう損害賠償の示談交渉を進めていきます。

2. 損害賠償は「原状回復」に必要な費用を基準に。「算定内容」についての十分な説明を

 損害賠償額の「算定」について、被害者がよくわかるように親切な説明を求める声もあがっています。
 2008年9月19日に、第四建設事務所は「賠償金の提示に当たっては、それぞれの損害の修復が、どの工法、どの工種に該当したか、明確にする」と約束したが、これが守られていないとの指摘がされています。

Q3、損害賠償の基準は「原状回復」に必要な費用負担とすることを求めます。また、「算定内容」について関係住民への説明責任を果たすことを改めて求めます。

A3. 建設局は、局が行う工事により家屋等に損傷事故が発生した場合には、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、原状回復に必要な費用を賠償することとしており、賠償対象の方々に対しては、賠償額の算定内容について、適正な説明を十分に行ってきています。

Q4、また、そのための「指針」はあるのかどうか。あるのであれば関係住民に明らかにすることを求めます。

A4. 損害賠償額は、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により個別に算定を行い、賠償の内容について十分に説明しています。

3. 地盤被害の問題について

 関係住民は、第四建設事務所が「道路部分の地盤改良工事」をやりながら、隣接する住宅・宅地の地盤については事前調査をせず、対策もとらなかったと指摘し、住民の被害を軽視する対応だったと批判しています。

Q5、工学博士の小松田精吉氏の所見『環状八号線工事の地盤被害の原因について』に対する、都ならびに建設局第四建設事務所の見解を示していただきたい。

A5.小松田氏の所見は、意見の一つであると考えています。なお、工事に起因する家屋等損傷事故については、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、適正に補償を行っています。

Q6、建設局第四建設事務所は、「損害賠償は、家屋だけでなく、塀、敷地、私道などの被害を含む」(2008年9月19日、担当課長)と約束したが、この実行は担保されているのか、それぞれ明らかにされたい。

A6.工事に起因する家屋等損傷事故については、工作物及び動産の損傷事故を含め、既に適正に補償を行っています。

Q7、住民側は専門的な検討をおこなうためにも、都側と住民側の専門家の合同の「地盤変動・工事被害に対する調査委員会」の設置を求めているが、いかがか。

A7. 工事に起因する家屋等損傷事故については、「建設局施行の工事に伴う家屋等損傷事故損害賠償額算定基準・同実施細目」により、適正に補償を行っており、「地盤変動・工事被害に対する調査委員会」の設置は考えていません。

以上