過去のページ

2011年第1回定例会 中途議決討論 2011年2月22日

大島よしえ(足立区選出)

 日本共産党都議団を代表して、第一〇一号議案、「平成二二年度東京都一般会計補正予算」ほか、二議案に反対の立場から討論を行います。
 わが党は、最終補正予算において、税収減による一般財源の減収分を補てんするための減収補てん債を発行することや、既定予算の執行状況を精査し、現時点での不用額を減額し、一定程度の基金を確保することを否定するものではありません。

 しかし、今回の補正予算は、都民の暮らしの困難が増大している中で、基金残高を確保することを第一義的なものとしており、財源を緊急に必要な都民施策を充実するために振り向けるという点で根本的弱点があると言わざるを得ません。

 すなわち、国の補正予算に関連した子宮頸がん等ワクチン接種や、緊急雇用創出事業など、暮らしや福祉に関わる施策はあるものの、都独自の施策はなく、都民の切実な願いに照らせば、極めて不十分です。
 わが党は、未就職卒業者と中小企業をマッチングさせる未就職卒業者緊急就職サポート事業や、生活道路の維持・補修、歩道の整備など、来年度を待たず実施できるものは、前倒しして直ちに実施すべきと考えます。

 また、視力と聴覚の障害がある盲ろう者に対する通訳介助者派遣の時間数が少ないため、年度末になると利用を抑制せざるを得ない深刻な事態が生じています。年度当初から派遣時間数を増やしてほしいという要望が出されていました。被爆者団体・東友会の健康指導委託費も、被爆者の高齢化に伴って相談件数が増え、相談時間も長くなっている実態に合わせて増額することが、切実に求められています。補正予算を組むなら、こういう問題への対応こそ優先するべきです。

 また、都財政が厳しいと言いながら、本来、国の責任で行われるべき首都高速道路整備事業に一〇億円もの都債を発行し、出資を続けることは認められません。

 次に、第八八号議案についてです。もともと中央環状品川線は、首都高速道路株式会社が行なう事業です。にもかかわらず、東京都は総事業費の半分である二千億円も負担して街路事業として直接施工で乗り出したのです。今回の請負契約は、こうした事業の一環として施工される事業です。東京都が、首都高の事業を肩代わりし、税金を投入することは認められません。
 第九三号議案、環二地下トンネル築造工事請負契約についてです。もともと環状二号線道路事業は、現道のない住宅密集地域に骨格幹線道路を整備するものであり、長年にわたって住民の強い反対があったものです。ところが新橋〜虎ノ門間については、森ビルによる超高層ビル建設と一体ですすめられることになり、森ビルが特定建築者になって、市街地再開発事業により生ずる保留床を取得することを前提に、超高層ビル建設とその下の地下トンネルの整備を一体で行うものです。こうして、地下トンネルの虎ノ門出入口は、地上五一階の超高層ビルである森ビルに接するという、いたれりつくくせりの開発になるものです。
環状2号線建設を、成算もない国際コンテナ戦略の過大な港湾計画と臨海部開発の受け皿として、また、開発利益を享受する大企業の適正な負担もなしに、工事をすすめることには重大な疑義があり見直すべきです。

 都民のくらし、雇用が一層深刻さを増しているもとで、総力を挙げて都民施策の拡充に取り組むことが求められています。高速道路や港湾建設など国の大型開発を肩代わりすることはきっぱりとやめ、都民の雇用、住宅、福祉の充実に全力をつくすことを求めて討論を終わります。

以上