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第1回定例会 文書質問趣意書 2011年3月8日
清水ひで子(八王子市選出)
1.未就職卒業者緊急就職サポート事業について
都民のくらし、雇用がいっそう深刻さをましているもとで、東京都が総力をあげて都民施策の拡充にとりくむことが求められています。日本共産党都議団は、大学、高校などを卒業して就職できていない人たちへの就職支援策を繰り返し提案してきました。そうした中、来年度の予算で中小企業への就職支援策の取組みが始まります。
たとえば2011年度予算で提案されている未就職卒業者緊急就職サポート事業ですが、都の発表によれば、都が民間派遣事業者に事業委託するというものになっています。すでに行われた入札結果によると、委託先はマンパワー・ジャパン(株)、アデコ(株)になっています。実際の事業は、その事業を受託した派遣元となる企業が、未就職者と雇用契約を結び、派遣契約をする派遣先企業で未就職者が体験就労するというものです。
こうした事業が、より充実した支援事業、正規雇用に役立つ事業になるのかが問題です。そこで何点か質問します。
日本共産党では、国会議員事務所が、すでに昨年12月に各県の担当課に、同様な事業内容としてとりくまれている地域人材育成事業の一つである「学卒未就職対策」について聞き取りをおこないました。
その結果、愛知県では、派遣会社が未就職者を一定期間雇用して、そこから別会社に派遣して体験雇用をして、その派遣先と未就職者が合意できれば正規雇用するというものです。賃金などの費用は国が負担します。実際に事業をおこなっている派遣会社は、パソナ、アデコ、インテリジェンスなど3社です。県は5億円で委託し、200人目標で半年間雇用し、研修・実習を実施し、対象者には賃金として14万4千円(交通費別)が支給されるというものです。その雇用実績ですが、2010年7月から2011年2月までの研修に200人(応募600人)が参加し、3月に就職対策をおこなうというもので、12月の段階で就職は3人という話しでした。
千葉県は、同様にパソナ、マンパワージャパン、インテリジェンスに210人募集、7.5億円の事業として委託さしています。受託した派遣会社は、各派遣会社で「座学」が1〜2ヶ月、派遣会社からの派遣先企業での実習が3〜4ヶ月をおこなわれ、雇用期間中に委託された派遣会社が就職相談にのるという事業になっています。しかし、座学後の実習先は派遣会社が開拓した派遣先企業しか選択できず、希望職種がないなど、全体の1/3近い61人が11月を過ぎても実習にいけない事態が生まれていました。
こうした、人材派遣会社等に希望者を有期雇用させ、募集から別会社での体験就労と相談まで一括した事業として委託するという取組みは、2010年度に20道府県でおこなわれました。雇用数(予定を含む)は3774人、予算額は68億円でした。
Q1 都の未就職卒業者緊急就職サポート事業を実施するにあたって、前述の国の「地域人材育成事業」を活用した他県の取り組についてどのように認識していましたか。実施するにあたって、どのような検証をしましたか。
A1 他県の取組は承知しており、それぞれの地域の実情に応じて施策を実施し、成果を上げていると認識しています。
都においては、今春の厳しい就職状況や、人材を求める中小企業に学生の目が向きにくくミスマッチが生じている現状を踏まえ、新たに都内中小企業と未就職卒業者を効果的に結びつける実効性の高い事業を開始することとしたものです。
Q2 都の事業よると、未就職卒業者が希望就職先とする企業は、全国の事業と同様に派遣元企業が契約している派遣先になってしまうという限界があります。かつ、この事業は派遣事業としてとりくまれますから、派遣先は法律によって職種が限定されています。したがって、これでは就職者が体験就労できる企業は限られてしまいます。これでは、未就職卒業者が希望する職種、企業を十分確保できるかどうか心配です。
都は、こうした問題についてどのように認識し、どのようにして未就職卒業者が希望する職種、就職希望先を十分確保、保障しようとしていますか。
A2 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律によれば、労働者派遣は第4条に定める港湾運送などの一部を除く幅広い業務で認められています。
本事業の実施に当たっては、受託事業者が今後新たに受入企業の開拓を行い、未就職卒業者がその希望や適性に応じて就職先を選択することができるよう、幅広い業種・職種の都内企業を確保していきます。
Q3 未就職卒業者が生活できる賃金を確保できるようにする必要があります。都として派遣元にどのような契約内容で、それを保障させていますか。
A3 本事業の支援期間中の賃金は、雇用主である受託事業者が未就職卒業者に明示し、労働契約に基づき決定されます。
賃金について、都は委託契約の中で、受託事業者が市場実勢や法令等を踏まえた適切な水準とするよう定めています。
Q4 未就職者の正規雇用就職について、派遣企業まかせでは実績が上がらないと思います。都として派遣元にどのような契約内容で、正規雇用就職を確保し、保障させていますか。
A4 本事業は、未就職卒業者の正規雇用化に向けた実効性のある支援策を民間事業者のノウハウを活用して実施するものです。
都は、委託契約の中で、受託事業者が実施する研修や、就業体験先企業とのマッチング、企業での就業体験、職場定着に向けたフォローアップ等の支援内容を定めており、これにより未就職卒業者の正規雇用化の促進を図っていきます。
Q5 都として、未就職卒業者緊急就職サポート事業を利用する未就職者からの様々な問題、要望にたいして、どのようにくみ上げ、いち早く改善し、解決させるためにどのような体制をとるのですか。
A5 本事業の実施に当たっては、受託事業者が雇用するキャリアカウンセラーが、未就職卒業者に対するカウンセリングを実施するほか、必要に応じてメールや電話でも随時相談ができる体制を整備します。
また、企業での就業期間中も、キャリアカウンセラーが職場を訪問し、相談に応じるなど、未就職卒業者に対してきめ細かいサポートを行っていきます。
2.買い物困難者支援について
Q6 日本共産党都議団は、いわゆる「買い物難民」、「買い物困難者」の問題をいち早くとりあげ、都の認識、きめ細かな実態調査、支援策などについて質してきました。
「買い物困難者」への支援策について、当初、産業労働局の答弁は、「既に『新・元気を出せ!商店街事業』などの様々な商店街振興策を通じて、地域の住民が便利で安心して買物ができるよう対応を進めています」というものでした。その具体化が急がれますが、その後、この支援策について、どのような取組みをする予定ですか。
A6 既に「新・元気を出せ!商店街事業」などの様々な商店街振興策を通じて、地域の住民が便利で安心して買物ができるよう対応を進めています。
日本共産党都議団は、区市町村議員団の協力を得て、買い物困難者が起きている各地域の実情も調べています。
買い物困難者問題が起きている要因は、中・大型量販店の出店による地域商店街の衰退、そうした地域からの中・大型量販店の撤退、団地・地域の高齢化、団地の建替えにともなう商店の撤退など、様々です。
Q7 産業労働局は、「これまでも地域の実態を十分に把握したうえで商店街の振興に取り組んでいます」といいますが、都はこれらの実態は産業労働局の事業範囲を超えた問題があるとの認識はお持ちですか。都として、各局が連携して実態を把握する必要性についての認識はお持ちですか。
A7 都は、これまでも地域の実情を十分に把握したうえで商店街の振興に取り組んでいます。
各地域の実情については、住民により身近な区市町村がその実態を把握するなどの対応を行うことが適切であると考えています。
Q8 産業労働局は「身近な区市町村がその実態を把握するなどの対応を行うことが適切である」としていますが、それぞれの問題が起きている所は、必ずしも単一自治体に限られる問題だけではありません。また、要因として多くの地域が上げている中・大型店の出店は、広域性があるものです。したがって、産業労働局のこの認識は十分ではないと思いますがいかがですか。都は、区市町村まかせにできる問題だけではないとの認識はありませんか。
A8 中・大型店の出店に際しては、大規模小売店舗立地法に基づき当該区市町村の意見を聴取し適切な法運用に努めています。
各地では、すでに買い物困難者を支援するための、様々な自主的取組みがされています。そうしたところからは、商店街の配達サービスへの助成、コミュニティバスやデマンドタクシーへの運行経費の助成、移動販売車や店舗誘致への支援、買い物送迎のボランティアへの支援、地元農業者などによる朝市・夕市開催への支援など、様々な要望があがっています。
Q9 買い物困難者が生まれている実態にあわせて問題を解決するためには、今後、問題に応じて関係各局等と連携しながら、打開策を検討する必要あると思いますが、いかがですか。
A9 各地域の実情については、住民により身近な区市町村がその実態を把握するなどの対応を行うことが適切であると考えています。
以上