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2011年第3回定例会 文書質問趣意書 10月7日
大島よしえ(足立区選出)
木造住宅密集地域の整備促進について
木造住宅密集地域の整備は、倒壊と火災から都民を守るために不可欠の課題です。
知事は第三回定例会の所信表明で「木造地域不燃化10年プロジェクト(仮称)」(以下「プロジェクト」)をたちあげ、取組を加速させると述べました。
木造密集地域では、地域に長く居住している高齢者世帯の方も少なくありません。また、近隣の顔がみえ、声をかけやすい人間関係に強い愛着をもっている方も多くいます。それだけに、長いあいだかけてつくりあげられたコミュニティのかけがえない役割を尊重した地域の整備が必要になります。「プロジェクト」について、報道では、木造密集地域の解消をはかる、地区からの転居を勧めるといわれていますが、住民の追い出しは許されません。
世田谷区太子堂地区、足立区関原地区などで行われてきた修復型のまちづくりでは、地域住民が主体的に「まちづくり協議会」を結成して、町の特性に応じた密集事業の整備計画、街づくりのルール、公園の基本計画などを住民と行政が共同して考え、行き止まり路の解消、建替えにあわせて通り抜け路の確保や、道路幅員の確保を進め、小規模用地は積極的に公園・広場を要所に配置し、災害に強い市街地づくりがおこなわれてきました。
Q、木造住宅密集地域の耐震化・不燃化の推進にあたっては、地域の住民の合意と納得を原則にすべきだと考えますが、いかがですか。
A. 木造住宅密集地域は、老朽建築物が多いことに加え、狭あいな道路や行き止まり道路など、基盤が脆弱であり、安全なまちに造り変えていくためには、建築物の耐震化・不燃化とともに、避難や延焼防止に役立っ道路、公園等の基盤整備を行うことが重要です。
こうした住民の安全を守るという公共性の高いまちづくりを進める上では、地元の理解を得ながら、スピード感を持って確実にやり遂げることが行政の責務です。
このような考え方に基づいて、今後とも木造住宅密集地域の耐震化・不燃化に取り組んでいきます。
Q、住民が主人公になって整備を推進するためには、専門の知識をもって相談や啓発にあたるコンサルタントの存在が重要です。コンサルタントの派遣を都として支援すべきだと思いますが、いかがですか。
A. 木造住宅密集地域整備事業において、地元区が住民に対し、共同建替え等に関する計画作成や建設資金などの相談等を行うコンサルタントを派遣する場合、都は既に、その費用の一部を補助しています。
Q、地震による住宅倒壊と火災から地域の住民の命と財産を守るためにあらゆる努力をはらうことが必要です。既存住宅の耐震化や不燃化にたいする都の助成の拡充を求めるものですが、いかがですか。
A. 住宅の耐震化を促進するためには、所有者自らがその必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠です。
一方、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により、避難・応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災にっながるおそれがあるため、公共性の観点から、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象に、区と連携して木造住宅の耐震化助成を行っています。
不燃化については、同じく整備地域において、延焼を防止するという公共性の観、点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建替えや、老朽建築物の共同建替え等に対し、区と連携して助成を行っています。
Q、耐震化の拡充策として、高齢者や障がいをもつ方などいわゆる災害弱者がいる世帯にたいして助成の上乗せをおこなうべきではありませんか。
A. 住宅の耐震化は、自助・共助・公助の原則を踏まえ、まず建物所有者が自らの問題であり、かっ、地域の問題であることを認識し、主体的に取り組むことが不可欠です。
しかし、特に老朽化した木造建築物が集積した区域が連担する、防災都市づくり推進計画に定める整備地域では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により避難・応急活動などが妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながることから公的助成を行っています。
また、阪神・淡路大震災等で、多数の高齢者等が犠牲になっていることを踏まえ、住宅の倒壊から高齢者や障害者等の生命を守るために、緊急に対応すべき施策として、耐震シェルター及び防災ベッドの設置費用助成を実施しています。
都としては、耐震化に向けた建物所有者の意識を高め、積極的な行動を促すことが重要と考えており、普及啓発にさらに取り組むとともに、各種施策を着実に実施していきます。従って、御指摘のような助成の上乗せは考えていません。
Q、耐震性能を向上させる部分改修や段階的な改修を耐震化として扱っている区もあるが、こうしたとりくみの重要性について、都としてどのように認識していますか。
A. 部分改修については、住宅の耐震性能が十分に向上するとは限らず、地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性があることから、住宅の耐震化としては十分ではないと考えます。
一方、段階的な改修については、建物の倒壊による道路閉塞の防止や、建物全体の耐震性が将来的に確保されることを前提としており、住宅の耐震化が図られるものと考えています。
Q、部分改修や段階的改修への助成にとりくむ区に対して、都として財政支援すべきだと思いますが、いかがですか。
A. 住宅の部分改修への助成については、住宅の耐震性能が十分に向上するとは限らず、地震発生時に倒壊し、道路閉塞を引き起こす可能性があることから、助成対象とはしておりません。
一方、段階的な改修については、建物の倒壊による道路閉塞の防止や、建物全体の耐震性が将来的に確保されることを前提としており、平成22年度から既に助成を開始しています。
Q、外壁の難燃化など、住宅の不燃化へのとりくみについて、都として助成すべきだと思いますが、いかがですか。
A. 都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域において、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建替えや、老朽住宅の共同建替え等に対し、区と連携して助成を行っています。
Q、コミュニティを保全しながら、空地や避難路の確保、不燃化など地震に強いまちづくりをすすめるためには、住宅や店舗、工場の建て替えへの支援が必要です。住宅や店舗、工場の建て替えへの助成を拡充すべきだと考えますがいかがですか。
A. 都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域において、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建替えや、老朽住宅の共同建替え等に対し、区と連携して助成を行っています。
Q、とくに住宅の建て替えへの支援の強化が求められています。耐震基準を満たさない住宅を総合評点1.0以上を満たすものに建て替える場合には、整備費を都の耐震改修助成の対象にすべきではありませんか。延焼防止に貢献するということから、不燃化を促進する建て替えすべてを対象にするよう、不燃化助成を拡充すべきではありませんか。
A. 住宅の耐震改修助成では、耐震改修だけでなく、建替えについても、耐震改修相当分の助成を既に行っています。
また、防災都市づくり推進計画に定める整備地域において、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建替えや、老朽住宅の共同建替え等に対し、区と連携して助成を行っています。今後とも、こうした公共性の観点から、対象を絞って助成を行っていきます。
Q、賃貸住宅居住者など、従前居住者の住まいを確保するために、区市町村などが建設するコミュニティ住宅への支援も重要です。墨田区京島地域の事業では、費用の大半がコミュニティ住宅の整備費にあてられていますが、木造密集地域住宅は、土地や家屋の権利関係が複雑であったり、居住者が高齢で収入が少ない方が多かったりすることなどから、コミュニティ住宅の整備なしには、地域の整備は進まないと聞きます。都は、コミュニティ住宅の整備費への助成率を引き上げるべきではありませんか。
A. 木造住宅密集地域整備事業において、地元区が、従前居住者の受皿となるコミュニティ住宅を建設する場合、国が3分の2、都が6分の1を補助しています。限られた財源を効率的、効果的に活用する観点から、補助率の引上げは考えていません。
以上