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2011年第4回定例会 文書質問趣意書 12月13日
たぞえ民夫(世田谷区選出)
コンビニエンスストアの代金収納代行サービスについて
日本共産党都議団は、2001年第1回定例会で、フランチャイズシステムについて国の法整備がおくれているもとで、家族の葬式を出すために店を閉めることすら許されないなどの契約システムになっている残酷な実態をとりあげ、法整備を国に求めること、都としてフランチャイズシステムの健全育成と商店街との共存のためにも指導要綱やガイドラインを検討するよう求めてきました。
その後、フランチャイズチェーン数は1.2倍の1,233チェーン、店舗数は1.1倍の23万店、売上は1.2倍の21兆円の、巨大産業になっています。日本共産党都議団は、その後も、委員会で問題点を指摘し、改善を求めてきましたが、フランチャイズ産業の健全育成は産業政策の上からも大きな課題となっています。
今回は、コンビニエンスストア(コンビニ店)が行っている代金収納代行サービスに関連していくつか質問します。
フランチャイズチェーン店のなかでも、もっとも店舗数が多いコンビニ店ですが、2010年には全国で売上8兆円、店舗4万店、来客数140億人になっています。このコンビニ店がもつ巨大なネットワークをつかって、様々な代金収納サービスができあがっています。
この代金収納サービスの基本は、各コンビニ店を支払窓口にして代金を支払えば、系列コンビニ店のフランチャイズ本部に、自動的に一定割合の手数料が入るというものです。
この代金収納サービスが普及する背景には、フランチャイズ本部と収納先事業者との間で契約さえすれば、支払い窓口となる各コンビニ店の意向、都合などお構いなく、フランチャイズ本部には、各コンビニ店が代金収納の決済サービスを1件行うごと、自動的に「ロイヤリティー」という一定割合の収益が入るという、システムのうまみがあります。
いまでは、この代金収納サービスは、ネットショップでの通信販売の支払い、各種公共料金、税金等も扱っているところも出てきています。あるフランチャイズ本部では、決済サービス額が物販額を上回るという店も出てくるまでに至っていると言われています。
私が聞いたあるお店の方は、ここ数年で、扱う金額が7倍に増えたと言っています。
Q 都が、コンビニ店等を利用した公共料金収納代行事務を委託している公共料金の名称、収納される代金、その10年間の推移を、すべて明らかにしてください。
回答 都がコンビニエンスストアを通じて収納している公金としては、都税及び水道料金等があります。都税は平成16年度からコンビニエンスストアを通じた収納を開始しています。その金額の推移ですが、平成16年度は260億余円、平成17年度は342億余円、平成18年度は710億余円、平成19年度は876億余円、平成20年度は966億余円、平成21年度は1061億余円、平成22年度は1159億余円となっています。
また、水道料金等は、平成13年度は309億余円、平成14年度は351億余円、平成15年度は376億余円、平成16年度は406億余円、平成17年度は412億余円、平成18年度は454億余円、平成19年度は525億余円、平成20年度は547億余円、平成21年度は同じく547億余円、平成22年度は562億余円となっています。
このサービスの特徴は、第1に、多額の代金が各コンビニ店に留め置きされることになるということです。各コンビニ店では一定程度、現金が貯まると銀行まで行って送金をするなど、このサービスには防犯上の潜在リスクがありますが、盗難による損害額は、店の責任になっています。
第2に、取扱伝票の増加、現金と伝票との照合など、間違いが許されない作業量が増加するなど、各コンビニ店には大変な負担が生じているということです。だからといって、その人件費、手数料がフランチャイズ本部から各コンビニ店に支払われるわけではありません。
第3に、各コンビニ店ではアルバイト店員が多額の現金を勘定していますが、収納額に不足が生じれば「店の管理責任」として、各コンビニ店が身銭を切ることになることです。
一方、警視庁統計資料によるとコンビニ強盗は、商店への強盗の60%を占めています。コンビニ強盗が起きる時間は、0時〜5時までに間に82%で、従業員が一人の時が56%です。各コンビニ店は、高いリスクを抱えている状況です。
Q 都は公共料金等を代金収納サービスの利用を拡大していますが、各コンビニ店を利用した決済代行サービスには、このように潜在的リスクが大きいことを、どのように認識していますか。
回答 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などについては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。
公共料金収納代行サービスは、フランチャイズ本部にとっては契約さえすれば、自動的に手数料が入ります。収納先である事業者には、どんな事件があろうと、とにかくコンビニ店で収めたという手続きが伝票上確認できれば、自動的に代金が納入されるという、安上がりで便利なシステムと言えます。
実際の作業をしている各コンビニ店からその実態をみると、その便利さの陰には、盗難などの問題ばかりでなく、そのサービス業務だけを取り出せば非常に手がかかり赤字という店がほとんどなどという様々な問題があります。しかし、この業務は、フランチャイズ本部と収納先事業主との契約で行われるため、個々の加盟店の努力では解決できません。困っていても、引き受けざるを得ないというのが現実です。
これまで主な窓口になっていた銀行は、手間ひまがかかり収入が少ないために「コンビニに行った方が待たされることがない」とコンビニをすすめているとのことです。
Q 盗難などが起きても、その損害は各コンビニ店が自腹を切って負担することについて、サービスを利用している都として、どのように認識していますか。
回答 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などについては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。
Q 都として、フランチャイズ本部に改善を求めるべきではありませんか。
回答 都は、住民サービスの向上等を目的として、収納事務をコンビニエンスストア本部に委託しているものです。各店舗のリスクの状況把握やその管理などにっいては、コンビニ本部と各店舗との間の問題であり、都が直接関知する問題ではありません。
Q コンビニ店では、伝票と金額を照合して間違いが分かり、伝票で支払い者の個人番号が分かって住所、名前を聞こうと行政側に問い合わせても、その個人の連絡先を教えず、結局は泣き寝入りし自腹を切っているということです。代金収納サービスを利用する都として、こんなことを放置していてよいのですか。打開策を打ち出すべきではありませんか。
回答 取扱店等において収納に関する事故が発生した場合は、収納に関する契約に基づき、コンビニエンスストア本部及び収納代行業者を経由して、都に対して直ちに報告をすることとされています。納入者との連絡や確認が必要な場合は、都から納入者に速やかに連絡をし、コンビニエンスストア本部又は取扱店が事故の調査、事後対応ができるような体制を整えています。
例えば、都税の収納に関して事故が起きた事例がこれまでにもありましたが、都から直接納税義務者に直ちに連絡を取るなどして、適切に対処しています。
Q 今では、代金収納代行システムだけではなく、市町村の住民票の写し、印鑑登録証明書も、各コンビニ店でできるようになっています。この代金収納サービス等には、個人情報の漏洩リスクという点もあります。都として、個人情報が守られるように、どのような改善策をとっていますか。
回答 コンビニエンスストア収納に関する契約において、コンビニエンスストア及び収納代行業者に秘密保持義務を課すとともに、業務従事者に対し教育訓練、各種安全対策の実施等を適切に行わせることとしています。また個人情報の管理、不正利用の防止等についても十分な措置を講じることとしています。
なお、都税の収納に際しては、コンビニエンスストア本部や取扱店で保管する収納情報に関する書類に、納入者の氏名以外の個人識別情報が記載されないよう、様式について工夫を施しています。
総務省は、12月9日、「宝くじ活性化検討会報告書」を発表しました。この中で、コンビニ店のATM以外に、マルティメディア端末を使って販売することも検討していることがわかります。この場合、これまでの代行事務の作業量の増加とともに、これまでのケースから考えて、低額当選者には窓口支払いになる可能性があります。その場合、公共料金を含む留め置き金の中から支払われることになります。
Q 公共料金を含む各コンビニ店の留め置き金が、宝くじの当選金支払いに流用されることについて、都としてどのように認識していますか。
回答 各店舗において公金の収納を受け付けると、その収納情報は直ちにコンビニエンスストア本部へ伝達されるシステムとなっています。収納金にっいては、収納に関する契約に基づき、収納情報と突合した金額が、一定期間内にコンビニエンスストア本部から、収納代行業者を経由して確実に都に払い込まれます。各店舗とコンビニエンスストア本部との精算方法にっいては、都が直接関知する事柄ではありません。
Q このような代金収納サービス等が普及することによって、フランチャイズ本部の売り上げが増えたとしても、決して健全な産業育成にはつながりません。都として、フランチャイズ産業の健全育成に向け検討をすすめるべきではありませんか。
回答 フランチャイズシステムは、契約自由の原則に基づいて本部と加盟者が契約を結び、事業を展開するものです。そうした中、同システムは、中小小売商業振興法や独占禁止法により規律されており、フランチャイズ産業の健全育成については、まずは国において対応するべきであると考えています。
以上