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2012年第1回定例会 文書質問趣意書 3月27日

あぜ上三和子(江東区選出)

一、 都内に避難している被災者支援について

 東日本大震災、福島原発事故から、一年が経ちました。しかし、今もなお東京に避難を余儀なくされている方は、9,226人にのぼります(2月23日現在)。その8割以上が福島県の方々であり、原発事故収束の見通しが立たないなかで、「帰りたいけど帰れない」「これからの生活設計が立てられない」など、まったく先の見えない不安や、被ばくしているのではないかという恐怖など、避難生活が長期化するなかで大変な困難と苦しみを抱えています。自主避難といわれる方々も絶えず支援の線引きに苦しみ続けています。東京都が、こうした被災者の苦しみに心を寄せ、被災者が東京で安心して暮らすことができるよう被災者の実態に合った支援をするよう強く求めるものです。とりわけ被災者のみなさんからは、「来年の7月以降も、いまの住宅に住めるのか、大変不安」という多数の声が寄せられています。放射能がどうなるのか見通しがまったく立たない以上、都として、自主避難の人も含め、応急仮設住宅期限の延長を決めるべきです。同時にそれは、自己負担なしでの住宅提供であるべきです。 知事は、3月9日の定例記者会見において、「その人たちを無理やり帰すわけにいかないじゃないですか。東京は東京の責任でその人たちをかばいますよ」とおっしゃっていました。

Q1.応急仮設住宅の「入居から2年」という期限を延長することを居住者に、早期にお知らせすることを求めますが、どうですか。

回答1 都は、災害救助法に基づく応急仮設住宅として、都営住宅等の提供を行い、平成24年3月末現在、約5千4百人の避i難i者の方々を受け入れています。受入期間については、国の通知及び被災県からの依頼に基づき、入居日から3年間としており、既に、全ての受入世帯にお知らせしています。

Q2.親せき宅などに避難していた人たちが、これ以上親せきに頼れないと、応急仮設住宅への入居を望んでいます。また、少しずつですが東京に避難する人が増えており、住まいの支援が必要です。さらに、取り急ぎ3世帯4世帯一緒に入居したけれど、生活基盤をつくる上で別居できるようにしてほしいなど、避難生活が長期化するなかで、新たな問題も出てきています。こうした住宅要望にこたえることを求めます。どうですか。

回答2 都内に避難された方については、被災県の意見等を踏まえ、応急仮設住宅への受入れを行い、平成23年12月28日をもって受入相談の受付を終了しました。受入れに当たっては、十分な期間を設け、随時の相談も受けるとともに、入居を希望される地域、高齢者の有無など世帯の状況や、個別の事情などに十分配慮しながら、都営住宅等による受入れを行って参りました。

Q3.仕事の都合上、父親だけは福島にいるなど、家族がバラバラの生活を強いられている家庭も多くあり、お金の心配なく東京と福島を行き来できるよう支援が求められています。被災者の高速道路利用の無料化を継続するよう、国に求めてはどうですか。
 また、離れて暮らす家族が週末には行き来できるよう、東京と福島を結ぶ無料バスを都が運行してはどうですか。

回答3 高速道路の無料化についてですが、原発事故による避難者の支援として、平成24年4月1日から平成24年9.月30日までの期間、被災時の居住地が福島第一原子力発電所の事故による国が定めた警戒区域、計画的避難区域または緊急時避難準備区域にあった方については、無料措置が適用されています。さらに、平成24年4月20日付けの国土交通省発表によると、平成24年4月28日より対象者及び対象インターチェンジの見直しが行われ、対象者については、居住地が特定避難勧奨地点の設定を受けた者が追加となり、また、対象インターチェンジについては、仮移転している町村役場の最寄りのインターチェンジが追加となりました。これらの見直し措置は、被災市町村や被災者等からの要望を受けて実施されたものであると聞いており、都として新たに無料措置を国に求める予定はありません。
 また、無料バスの運行にっいてですが、現在、東京電力株式会社に対し、避難等対象者は、帰宅の際に自家用車や公共交通機関を使った場合の移動費用を請求することが可能となっています。都が東京と福島を結ぶ無料バスを運行する予定はありません。

Q4.4月の失業手当の打ち切りが迫っており、就労支援の強化は急務です。就職相談活動をきめ細かに進めるとともに、区市町村が行っている雇用創出を促進すること、都としても雇用の提供を行うことが必要です。避難している人向けに、都が雇用の提供をはじめ就労支援をおこなうべきと考えますが、伺います。

同答4 都は、被災され都内に避難している方々に対し、被災求職者を優先的に雇用する震災等緊急雇用対応事業により、区市町村とも連携しっっ、臨時的な雇用の場の創出を図っています。
 また、都内での就職を希望されている避難者の方の就職を支援する窓口を昨年8月から東京しごとセンターに開設し、就職に関する相談・助言から就職後の定着に至るまで一貫した支援を行うなど、就労文援に取り組んでいます。

Q5.東京では、移動に公共交通の利用が不可欠で、その交通費は大きな負担です。都営交通の一日乗車券を、高齢者や障害者に限定せず、被災者全員に支給すること、シルバーパスのように民間バスも利用できるものに改善することなど、負担の軽減が求められています。都営交通や都内交通の無料パスを被災者に支給すること、また子どもたちの急病などに対応できるようタクシー券等を提供することを求めます。

同答5 都営交通や都内交通の無料パスについてですが、都内避難者で、70歳以上の高齢者及び障害者手帳等をお持ちの方を対象に、利用者負担なしに、都営交通の地下鉄、バス等を無料で何回でもご利用頂くことができる、都営交通優待一日乗車券を平成23年8月から交付しております。
 また、子どもたちの急病等への対応についてですが、専門の救急隊による救急搬送サービスがあるほか、都内全避難世帯に対し、「医療機関案内サービスひまわり」の案内ダイヤルをはじめとする各種相談窓口の一覧表を郵送にて案内していることから、最寄の医療機関を受診することが可能であると考えており、都がタクシー券等を提供する予定はありません。

Q6.きめ細かな情報提供を強めるとともに、都が補助金を支給している区市町村社協による孤立化防止事業を実施している自治体は都内で何カ所ですか。都内全域で実施されるよう支援することを求めますが、どうですか。

回答6 都は、都内避難者向けに、被災地の行政情報や都の支援情報を定期的に提供するほか、平成23年7月に福祉総合相談窓口を設置し、様々な相談に対応しています。
 平成23年9月に開始した、都内避難者への戸別訪問や交流会の開催などを行う孤立化防止事業については、平成23年度末現在、15区市の社会福祉協議会で実施しており、このほか、区市町村も、避難者の受入状況に応じて、保健師や地域包括支援センター職員による戸別訪問など、独自に支援を行っています。

Q7.「小さくてよいから畑で土いじりがしたい」との要望が寄せられています。避難者のみなさんは慣れない東京でたくさんのストレスをため込んでいます。1,260人の被災者がいる東雲住宅の近くにある江東区の都立辰巳公園の一角などを、農園として活用することが切望されていますが、都として被災者農園を早急に設置してはいかがでしょうか。

回答7 国家公務員宿舎東雲住宅に避難している避難者からの要望とのことですが、江東区においては、現在、近隣の公園などで土に触れることができる支援策を検討していると聞いています。

Q8.父親は仕事で福島を離れられないため、実態として「ひとり親」状態になっている親子が多くいます。一時保育をはじめ、都民と同様のひとり親支援策などの適用が急がれていますが、都の認識を伺います。

回答8 都は、平成23年7月に都内避難者を対象とした福祉総合相談窓口を設置し、広く周知を図りながら、様々な相談に対応しています。また、母子のみで避難している方については、保育所や学校の決定など、二重生活における課題を抱えていることから、平成24年1月から3月まで、専門の窓口を設置し、相談支援を行っています。

Q9.避難先の区市町村が住民に対して独自に実施している乳幼児医療費助成や小中学生の医療費助成を、避難している子どもたちに実施した場合、国の財政措置を受けることができることになりました。しかし、私が知るかぎり都内で実施している自治体はありません。都はこの制度を区市町村に周知していると言いますが、都内自治体で実施している所はあるのですか。

回答9 都内に避難されている方のうち、医療費の窓口負担が免除の対象とならない方に対する乳幼児医療費助成や義務教育就学児医療費助成については、実施主体である各区市町村が判断し実施するものであり、その状況について都は区市町村から報告を求めていません。

Q10.国の財政措置がせっかくできたのに活用されていないのは、対象者の把握の設定や、医療機関、審査支払い機関、被災地の地元自治体との調整など、さまざまな課題があり、容易に実施できるものではないからです。そのことを、どう認識しているのですか。

回答10 現在、東日本大震災による被災者のうち、原子力発電所の事故に伴う警戒区域等の住民であるなど、一定の要件に該当する方については、医療費の窓口負担は免除されています。また、免除の対象とならない方であっても、償還払いにより住民票のある市町村が実施する医療費助成を受けることができる仕組みになっています。都内に避難されている方のうち、医療費の窓口負担が免除の対象とならない方に対する乳幼児医療費助成や義務教育就学児医療費助成については、実施主体である各区市町村が判断し実施すべきものと考えます。

Q11. 乳幼児や小中学生の子どもといっしょに都内に避難している被災者にとって、乳幼児医療費助成や小中学生の医療費助成の窓口無料化は、切実な願いです。都内避難者のこの切実な願いにこたえるため、都内区市町村が国の財政措置を活用した窓口無料化にふみだすことができるよう、東京都として、医療機関、審査支払機関、被災地の地元自治体との調整に乗り出すことや、対象者の把握の設定について支援を行うよう求めるものですが、どうですか。

回答11 都内に避難されている方のうち、医療費の窓口負担が免除の対象とならない方に対する乳幼児医療費助成や義務教育就業時医療費助成については、実施主体である各区市町村が判断し実施するものであり、都として調整や支援を行うことは考えていません。

二、商店街支援の推進について

1.商店街の現状認識について

 日本経済の長期低迷と世界経済危機、これらを「口実」にした大企業のリストラ、雇用破壊のもとで、国民の所得が大幅に減り、貧困と格差が広がり、多くの中小企業が経営難におちいり、地域経済は深刻な実態にあります。こうした中でも、商店街は地域の住民が必要とする商品やサービスを提供する重要な拠点であると同時に、安心して暮らし続けられる、そのまちの要としての役割を果たそうと、懸命に努力を続けています。
 日本共産党都議団は、今年の1月末から2月中旬にかけて、島しょ地域を除く全区市町村と都内の約1400商店街にアンケート調査を実施したところ、53区市町並びに81商店街から、回答をいただきましたが、そのことがよく分りました。
 そのアンケートに示された実態は、経済の長期低迷、少子高齢化、大型店の出店による売上の減少、世代交代を機に店をたたまざるを得ないなど個々の商店の状況は厳しく、商店街としても実に厳しい環境におかれていることがよくわかります。私は、商店街を守り、発展させていくために、東京都の商店街支援施策の抜本的拡充が求められていることを痛感しました。

Q1. 東京都は、商店街実態調査、商店街施策の説明会、支援事業の相談、各種支援事業などを通して、都内の商店街について実情を把握していることと思います。都として、現在の商店街の状況について、どのように認識していますか。

回答1 都内の商店街の状況については、今年3月に発表した「東京都産業振興基本戦略」(2011〜2020)のなかで記したとおり、「近年、商店街の衰退が全国的に深刻な問題となっている。多くの商店街が、経営者の高齢化や後継者不足、消費者ニーズの多様化、大型店の進出、激化する低価格競争などの課題を抱え、厳しい経営環境に立たされている。一方、都内、特に区部においては、公共交通機関のネットワークが高度に発達しており、消費者の徒歩による買物行動が多く見られることから、にぎわいのある商店街が多数存在し、全国的に見ればけ有な地域といえる。」と認識しています。

2.情報交換会の開催について

 まず、私が驚いたのは、都と区市町村、商店街との情報交換が、スムーズにいっていないことです。これまで、私たちは商店街施策についての提案を、いく度となくしていますが、決まって東京都の回答は、区市、商店街の要望を聞きながら、その実態を十分に把握したうえで実施しているという旨の回答をくり返してきたからです。
 しかし、自治体へのアンケートでは、残念ながら都と区市の情報交換が密接に行われていないことをしめす声が上がっています。たとえば、「新規事業等に関する情報提供をもっと頻繁にやってほしい」「都と区市がもっと連携すれば活性化につながることができるはずなので、もっと密になって話し合いをし、商店街活性化に頑張りたい」「都の実務担当者が直接商店街と意見交換を行い商店街の現状を把握してもらいたい」「区での定数確定や予算要求終了後の情報提供では、次年度の事業実施は困難だ」などです。
 これまで商店街振興プランを改定するにあたって、6区市が勉強会・情報交換会、4市町が情報提供の改善を求めています。買い物困難者支援では、成功例、消費行動調査・買物趣向調査など情報を要望している自治体が13%もありました。
 商店街からも、「東京都の事業説明会が駆け足で説明されよくわからない」などの声でも出ています。

Q2. 商店街振興連絡会の開催時期、区市町村への説明会の時期を早めて、新規事業や事業変更内容等の情報を早く提供すること。全国の先進的な取り組みの情報提供、区市町村、商店街と連携した情報・意見交換会を頻繁におこない、商店街・地元自治体の現状・要望をよく聞くこと。それぞれ提案しますが、どうですか。
 こうした改善は、お金をかけなくてもできるわけですから、直ちに検討にはいってもらいたいと思います。

回答2 都は、商店街振興施策の実施に当たっては、これまでも区市町村や商店街に対する情報提供に力を入れています。

3.新元気を出せ!商店街事業について

 「新元気を出せ!商店街事業」の改善を求める声も、多く寄せられました。

Q3. 「新元気を出せ!商店街事業費補助金交付申請」の区から都への申請にあたり、申請時期が年度当初の4月に限られているという声があがっています。なぜですか。
 「空き店舗対策」事業については、空き店舗の性質上、最長1年先の契約交渉が難しく、4月1日申請のみというのは、極めて機械的な対応です。年度途中での対応をできるよう要望しますが、どうですか。
 その他にも、商店街からの年度途中での事業申請などがあっても、現状の制度のままでは対応が難しいわけですから、せめて年度上半期、下半期など複数時期の申請が可能になるように改善できないのですか。

回答3 「新・元気を出せ!商店街事業」の申請時期については、前年度に区市町村向けの事前説明会を実施し、区市町村が商店街と十分な検討を行う期間を設けた上で新年度の4月に受付を行っているものです。

4.自己資金がない商店街への支援について

 自己資金がなく、商店街活動の支援事業を受けられない事態になっている現状も浮かび上がりました。都や区の商店街支援事業について、活用したことがない商店街が8%近くありました。その理由は、「自己資金がない」が33%です。
 しかし、先に述べたように、商店街の実態は深刻であり、自己資金がなければ商店街の活性化をしようにも、その支援事業も受けられないというのでは、打開の糸口を見いだすことさえ極めて困難になります。
 街路灯のLED化についても、環境改善に必要だということは分っていても、なかなか踏み出せず、なんとか地元負担の改善はできないかという声も11%ありました。自治体からは、特定施策推進型商店街事業で対応したとしても地元負担が1/5があることについて、単価が高いので地元負担の軽減を求めています。

Q4. このように、自己資金が捻出できずに支援事業の活用もできない商店街にたいして、自己負担がなくても受けられる支援事業をつくる必要があると思いませんか。そういう時期になっているという認識はありますか。

回答4 商店街は商業を営む商店の集合であり、これに対して自己負担を伴わない支援事業を作る考えはありません。

5.立て替え払いの負担軽減について

 自己資金が無い中でやっと支援事業を受けられたとしても、事業終了後でないと支援金が交付されないという、立て替え払いによる自己資金不足の問題も起きています。
 この問題では、私たちは2010年第2回定例会で、補助金の交付が工事費用支払い完了後になることで財政力の弱い商店街がLED化に踏み切れないでいることを紹介し、改善を求めましたが、都は答えようともしませんでした。残念でなりません。
 震災ガレキの受け入れでは、運搬、放射線測定等の請負事業者にたいして、国の補助金の支払いまで待たせないようにと、都が東京都環境整備公社に運転資金を貸付、公社が請負業者に迅速な支払いを出来るような仕組みをつくりました。
 やろうと思えばできるのではないですか。

Q5. 商店街の支援事業でも、交付金が下りるまで商店街が自己負担しなければならない問題を改善する仕組みを考えるよう提案しますがどうですか。

回答5 地方自治体の支出について、地方自治法の規定では、金額が確定し、履行の確認後に支払を行うことを基本としています。また、補助金の支出に当たって特例として前払いすると、提出書類が増加するなど商店街の事務手続の大きな負担になることから行う考えはありません。

Q6. ある商店街では、街路灯の交換費用を用意するために、会長、役員等が個人で保証手続きをしているとのことです。商店街は、公共的要素が強い訳ですから、都としてこのような問題を解決する仕組みを考えたらどうですか。

回答6 商店街の街路灯は、にぎわいの創出や買物客が安心して買物できる環境を整備するため、商店街自らが設置したものであり、その街路灯の維持は、各設置者の責任により行われるべきものと考えます。

6.書類の作成などの負担の軽減について

商店街の負担は、資金問題だけではありません。書類の作成なども負担もあります。そのため、商店街支援事業を活用したことがない理由として、その「手続きが負担だ」とするところが22%もありました。一方商店街支援事業を活用している商店街でも、改善して欲しい点の一番は、「実績報告の簡素化」が52%、次に多いのが「申請手続きの簡素化」が45%です。
 区市町村からも、「商店会の役員の高齢化もあり書類の作成の煩わしさから補助金申請が減少傾向にある」との声が上がっています。
 申請手続きの簡素化は、公金を扱う行政側からは、その性格上、厳格な手続きを要求するのは当然という言い分があります。しかし、本当に改善できないことなのでしょうか。

Q7. 都として、商店街に実情に気持ちを寄せて、事務の合理化、簡素化と不正受給の防止の両立が、どうしたら図られるのか、真剣にその打開策の検討に入るべきではありませんか。都は、これまで、何か具体的に検討したことはあるのですか。検討したことがあるというなら、具体的に示して下さい。行政側だけで考えるのではなく、商店街、区市町村と連携して、よりよい方法を考えて、少しずつでも前にすすめたらどうですか。

回答7 公金を支出する以上、適正な手続が求められます。都は、これまでも必要最小限の資料の提出を求めた上で、書類の記入に当たってきめ細かくサポートするなど、十分な対応を行っています。

Q8. 支援事業の手続きの実務作業を専門にして、困難な商店街に専門家を派遣する制度はつくれませんか。

回答8 都は、これまでも必要最小限の資料の提出を求めた上で、書類の記入に当たってきめ細かくサポートするなど、十分な対応を行っています。ご質問の制度を作る考えはありません。

7.適用要件の緩和について

都の商店街支援事業についての改善要望として、商店街から「適用要件の緩和を」が33%、「複数年にまたがる活用を可能にする」という要望も27%もあります。
 区市町村からも、適用要件の緩和、補助対象・補助率の拡大などは、25%の自治体からあがっています。

Q9. 商店街、区市町村からも共通してあがり、各事業にも共通するものとして、商店街支援事業を複数年にまたがって活用できるようにする仕組みをつくるよう提案します。

回答9 地方自治法第208条で「会計年度及びその独立の原則」が規定されています。商店街が取り組む事業については、会計制度にのっとり、それぞれ実施される年度において補助しているところから、年度をまたがる補助を行うことはできません。

8.専門家の支援について

 東京都には、約10年前までは、経営の現場を回り、要望や経営相談にきめ細かく応じ、現場の実態を都の施策に反映することに責任を負った都の常勤職員である経営指導職が50人以上もいました。
 ところが、東京都は2001年4月から、その専門員が活躍していた現場である商工指導所を廃止しました。2007年4月からは、この専門職制度さえも廃止してしまいました。このため、業者からは、経営に行き詰まったとき、いつでも相談できる所がなくなってしまい困っているとの声も上がっていました。
 それでも問題がないとする都の言い分は、都と中小企業振興公社や東京商工会議所などの支援機関が連携し、経営指導員などが中小企業を直接訪問して経営改善を助言するなど、引き続き個々の中小企業の経営課題にもきめ細かく対応するからだというものです。
 ところが、今回アンケートによって、実際に利用している商店街からは、「評論家ではなく本当の専門家を」「実績を積んだ人が必要」「実態に合わない指導が多い」などがあり、その商店街の問題について精通した、実際に役立つ専門家を要望するものが、約半数を占めています。

Q10. 都は、現在の専門家派遣制度で十分だという認識は、商店街の要望とかけ離れたものだとは思いませんか。自治体からも商業振興策を考えるうえで、専門家のサポートを要望しています。都として、従来のように商店街の問題にきめ細かく、責任をもって、系統的に相談にのり、提言できる常勤の専門職を置くよう求めます。お答え下さい。

回答10 都は、これまでも専門家チームを商店街に派遣して、きめ細かなサポートを行っています。

9.区市町村包括補助制度の創設について

都の2001年3月に策定された「商店街振興プラン」に基づき、各区市町が商店街振興プランを作成した自治体は、42区市町ありました。しかし、その後改定しているところは、14区市にとどまっています。
 改定にあたっては、事前に商店主及び消費者を対象に実態調査等を行い商店街の現状把握・分析の必要性を認識しながら、経費上の理由からプラン改定の先送りをせざるを得ない実態があることもわかりました。

Q11. 各区市町村が商店街振興プランの改定、新規作成をするための費用を、財政支援するよう求めますがどうですか。
 区市町村からは、「広い事業に利用できる補助事業を新設してほしい」「活力が低下している商店会、資産が少ない商店会への支援メニューを新設してほしい」「新規商店会設立への支援事業を新設してほしい」「地域ブランド開発につながる事業への支援をしてほしい」など、新規事業の創設を要望している区市町村も、6自治体からありました。
 各区市町村が商店街振興プランで掲げる自治体独自のメニューに沿った事業に対する補助制度の創設も、7区市が求めています。

回答11 平成13年4月に都が発表した「区市町村商店街振興プラン策定に関する指針」では、区市町村の主体性を最大限尊重しており、プランの改定や新規作成は、区市町村が自らの責任において行うものです。

Q12. 都として、各区市町村が行う商店街振興・活性化事業に対し、これまでの都の支援メニューにない商店街支援事業を行う場合でも支援できる、包括補助制度の創設が有効であると考えますが、どうですか。

同答12 都は既に「栽・元気を出せ!商店街事業」において、区市町村が策定した商店街振興プランに基づく、商店街の自主的・意欲的で多種多様な取組を支援しています。区市町村に対する包括的な補助制度を新たに立ち上げることは考えていません。

10.街路灯、LED化について

Q13. 商店街の街路灯について、その電気料金について、都も負担してほしいとの要望は、86%の商店街からあがっています。財政難の商店街も増えています。都は検討をすすめるべきではないですか。
街路灯の電気料金について、LED化で最小契約電力料金を引き下げることができるかもしれないのに、そうした仕組みがあることさえ知らないという商店街も少なくありませんでした。

回答13 商店街の街路灯は、にぎわいの創出や買物客が安心して買物ができる環境の整備などのため、商店街自らが設置したものであり、都としては、その街路灯の電気代は、各設置者が負担すべきものと考えます。

Q14. 東京都として、LED化を進めた各商店街にたいして最小契約電力料金を引き下げ制度を周知すること、LED化の普及にともない最小契約電力の引き下げることを、東京電力に申し入れたらどうですか。

回答14 LED化により街路灯の使用電力が削減されることは、当該商店街も当然把握しているものです。契約電力の変更は、各設置者と東京電力との協議により行われるべきものと考えます。

Q15. 都はLED化した商店街を把握しているわけですから、東京電力の対応を待つのではなく、都として、このような制度を商店街に周知してはどうですか。

回答15 LED化により街路灯の使用電力が削減されることは、当該商店街も当然把握しているものです。契約電力の変更は、各設置者と東京電力との協議により行われるべきものと考えます。

Q16. 複数区にまたがっている商店街がLED化を進める場合は、商店街が各区との調整をするのは困難であるという声が上がっています。このような商店街については、都が把握できているわけですから、地元商店街にまかせるのではなく、都としてそれぞれの区にたいして調整役を買って出るべきではありませんか。

回答16 商店街は地域に密着した存在であり、まず地元自治体と十分に調整を行って頂きたいと思います。

Q17. 商店街街路灯のLED化支援事業について、老朽化した街路灯の支柱を含めた更新する際にLED化する場合の支援を、都は2013年度で終了すると告知していると、複数の区市町村が言っています。
 これにたいして期間の延長を求める声が11自治体(21%)からでています。こうした声を重く受けとめるべきではありませんか。

回答17 都は、「環境対応型商店街活性化事業」により、商店街において、LEDや太陽光を活用した街路灯などを整備し、地球温暖化対策の必要性を地域社会にPRすることを支援しています。こうした環境問題については、都民のご理解とご協力を速やかに得ることが重要であり、同事業を短期間に集中して展開することでその効果を高めています。

Q18. 商店街では、LED化については検討中、あるいは今後検討するとしているところもあります。都内全商店街のLED化の実施状況について、示してください。

同答18 都は、「特定施策推進型商店街事業」により、平成18年度から平成22年度までに157件の街路灯等のLED化を支援しています。

11.買い物弱者支援事業について

 買物弱者支援については、私たちは、2010年6月に、いち早く都議会で提案し、その実態調査、支援策を求めてきました。その後、都は、昨年12月「高齢者の購買動向に関する調査報告書」を発表、今年度からモデル支援事業を打ち出しました。
 もう一歩進めるために、何点か提案します。

Q19. 買物弱者支援事業については、38%の自治体が、「事業プランの策定から事業実施まで資金面での複数年にわたる助成」など、財政面での具体的な支援を要望しています。今年度から実施されるモデル事業の複数年の支援と事業経費支援を求めていることを合わせると、すでにいろいろ検討に進み出した40%の自治体が財政面での具体的な支援を要望していることになります。こうした声を、都としてどう受けとめますか。

回答19 「買物弱者支援モデル事業」では、買物弱者へのサポート事業として優れた成果を期待できる商店街の取組をモデルとして選び、地元の区市町村と協力して助成を行います。この場合、区市町村の事業計画については、区市町村の負担において策定して頂くことになります。

Q20. 買い物弱者支援事業は、社会問題となっている孤立化の問題を考えると、福祉分野との連携によるマンパワーを活用した仕組みづくりを検討することも重要です。
 主に宅配事業における宅配員や事務員の人件費の補助をはじめ、高齢者や障害者の利用者に対する配送料の補助など、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストに対する補助制度を検討すべきと考えますが、どうですか。
 商店街が、サービス介助士の民間資格をもった人を養成し、商店街に来た高齢者の荷物を持ったり商品の詳細な説明をしたりして買い物を補助する。こうした取り組みをする場合について、支援したらどうですか。

回答20 「買物弱者支援モデル事業」は、買物弱者へのサポート事業として優れた成果を期待できる商店街の意欲的な取組をモデルとして選び、地元の区市町村と協力して助成するものです。モデル事業の実施により課題を検証して参ります。なお、人件費などの経常的経費は補助対象とはなりません。

12.後継者対策問題、空き店舗対策について

Q21. 後継者難のなかで、商店街の機能を維持するための施策の要望を聞く際に、私たちは、具体例として、「商店街機能を維持するために、事業承継を希望する経営者と、事業承継したい起業者をマッチングさせ、事業が軌道にのるまで、金融支援、経営相談、専門家を派遣する。協力できる貸店主にも生活支援事業を都として立ち上げるなど、どうですか。その他、ご提案はありませんか。」とお尋ねしました。その結果、12%の商店街が、積極的に受けとめて回答を寄せていました。都として検討してはどうですか。

同答21 既に「新・元気を出せ!商店街事業」などを通じて、事業承継の取組を支援しています。

Q22. 自治体として事業継承プランを策定しているところが5自治体あります。これから、具体化が始まろうとしているところです。各自治体が考えている、振興プラン作り、アンケート調査、中間組織の設立、街コンなど、具体的な取り組みに支援してはどうですか。都としても、こうした動きを積極的に支援して行くことが必要だと考えますが、どうですか。

回答22 平成13年4月に発表した区市町村商店街振興プラン策定に関する指針では、区市町村の主体性を最大限尊重しており、これまでも都は、区市町村のプランに基づいた商店街の取組に対して、支援を行っています。なお、各区市町村においては、地域の特性を踏まえたプランを各々の責任において作成しているものと承知しています。

13.大型店問題について

大型店問題で意見を寄せていただいた商店街は54%と、非常に関心が高いことが、改めてよくわかりました。
 大型店の集客能力を商店街との敵対ではなく「共生」の方向で行っている商店街も11%ありましたが、45%が「共存共栄などあり得ない」とはっきり言い、商店街の半数以上が 大型店の身勝手な出店に、困り果てている声が寄せられました。
 東京都の「商店街実態調査」によれば、2007年と2010年を比較すると、商圏内への大型店の増加で、来街者が「減少した」は70.5%から76.2%に増加、売上が「減少した」は75.6%から81.7%に増加するなど、深刻です。5人以下の小規模店舗は、この8年間で73%に減少しました。売上高も73%に減少しました。このまま、大型店の身勝手な出店を、見過ごしておくことはできない事態です。

Q23. 都として、大規模店舗の無秩序な出店を規制する新たな法整備を国に求めるよう要望します。

回答23 大規模店舗の出店については、大規模小売店舗立地法に基づき、設置者は周辺の生活環境に配慮し、維持運営を行うこととなっています。都としても、法の趣旨を踏まえ、引き続き適切な運用に努めます。

Q24. 大型店の身勝手な出店について、出店事業者と住民団体、商店街、自治体とが、地域経済振興をめざし、事前説明会の実施、影響調査の実施、商店街への影響軽減策、商店街振興への協力などを、相互で取り決める「商店街振興協定」を結べるようなルールづくりをしてはどうですか。
 都有地など公有地は、公共目的で活用すべきものであり、地域商業に打撃を与える大型商業施設の誘致になる売却、貸付は中止するよう求めますがどうですか。
 小売商業調整法にもとづく中小業者からの申請について、地域経済振興の立場から活用できるように積極的に支援するよう求めますが、どうですか。

回答24 大型店の出店については、大規模小売店舗立地法に基づき適正に対応していきます。また、小売商業調整特別措置法は、小売業の事業活動の機会の適正な確保等を目的として、中小小売商団体からの申出に、相当の理由があると認められるなどの場合には、都道府県知事が必要な調査等を行うこととなっています。都としては法の趣旨にのっとり適切に対処していきます。
 都有地は都民から付託された貴重な財産であり、その財産価値を最大限に発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決に向け、利活用を推進していくことが重要です。このため、行政用途が廃止された都有地の利活用については、まず、第一に、都の事業への活用可能性につき、庁内各局に照会し、活用希望がない場合には、地元区市町村に照会を行います。地元の区市町村でも活用希望がない場合に、民間への貸付や売却について検討していきますが、その際、規模の大きな都有地については、地元区市町村とも十分協議を行っています。今後とも、都有財産のより一層の利活用を推進していきます。

以上