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2012年第3回定例会 文書質問趣意書 10月2日

大山とも子(新宿区選出)

霞ヶ丘国立競技場の建て替えと都営霞ヶ丘アパートについて

 新宿区内にある都営霞ヶ丘アパートには、230世帯を超える方々が暮らしています。1960年代前半の建設のため、霞ヶ丘町会では数年前から東京都に、建て替え計画はどうなっているのか、再三確認をしてきましたが、その都度都からは、建て替え対象にはなっているが、具体的な建て替え計画がない旨の回答でした。
 ところが今年7月20日に突然、霞ヶ丘アパートも関連敷地とした、新国立競技場の国際デザインコンクールの公募が発表されました。
「新国立競技場基本構想国際デザイン競技募集要項」には、そのまえがきで、「招致をめざす2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアム」として、「国立競技場を改築」することが記述されています。住民からも、そこのけそこのけオリンピックが通るではないか、という意見が出されています。
8月26日には「国立競技場の建て替えに伴う移転に関する説明会」が居住者向けに開かれましたが、新国立競技場をつくるから移転してくれとの、都や日本スポーツ振興センターの説明に居住者は納得できず、様々な意見が出されました。

Q1 霞ヶ丘国立競技場の建て替えについては、文部科学省のもとに国立競技場将来構想有識者会議が設置され、具体化されたものと言われています。しかし、この有識者会議は非公開で行われ、議事録さえも公開されていないということは大問題です。有識者会議及び国にたいし、議事録の公開を求めるべきです。

A1. 国立競技場将来構想有識者会議は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが非公開を前提に開催しているため、都としては、公開を求める考えはありません。

Q2 奥村展三文部科学副大臣は、3月7日の記者会見で有識者会議について、「石原知事もおいでいただいたわけでございますが、精力的に是非2020年を招致をしたい、そのためには、東京都は当然協力というか、ある意味ではリーダーシップを取りながら、国の協力をいただいてしっかり進めていきたいというようにおっしゃってもおりました。」と発言しています。知事は有識者会議にどのような立場で臨んだのか、またその会議での知事の発言を明らかにすべきです。

A2. 知事は、平成24年3月6日に開催された第一回国立競技場将来構想有識者会議に委員として出席しています。また、その際の発言については、非公開を前提とした会議のため、都としては、公開する考えはありません。

Q3 現に居住者がいて、そこで生活しているのに、居住者に相談もなくデザイン公募をすること自体、大問題です。都営霞ヶ丘アパートを「計画対象範囲」とした経過を、時系列で明らかにしてください。

A3. 計画対象範囲については、平成24年7月20日に、独立行政法人日本スポーツ振興センターにより公表された新国立競技場基本構想国際デザイン競技の募集要項の中で明らかになったものです。

Q4 2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるとのことで期限を切り、日程を設定しています。ラグビーワールドカップの会場は霞ヶ丘国立競技場と決められているわけでもありません。国内にはラグビーワールドカップの開催可能な会場は現在でもあると思いますが、どうですか。

A4. 2019年のラグビーワールドカップの会場については、ラグビーワールドカップ2019組織委員会が決定するものであり、都は回答する立場にはありません。

Q5 霞ヶ丘アパート居住者の年齢構成は、66歳以上が214名、約6割が高齢者であり、71歳以上が160人を超え、とりわけそのうち81歳以上が65名もいます。住民の多くが高齢者であるだけに、今まで培ってきた地域のコミュニティーを壊すこと、なじみのない地域への引っ越しなど住環境の激変は、精神的なダメージが大きく認知症や健康面への悪影響が心配されますが、どう認識しているのですか。

A5. 国は、ナショナルプロジェクトとして、国立霞ヶ丘競技場の建替えを行うことを決定しました。競技場の建替えの計画対象範囲に、霞ヶ丘アパートの敷地が含まれていることから、霞ヶ丘アパート居住者の移転が必要となりました。居住者の移転については、適切に対応することとしています。

Q6 高齢者だけに、コミュニティーが壊れることや住みなれた地域を離れることは、生命や健康に大きな影響を与えます。認知症の進行、ひきこもりなどを誘発するケースも多くみられます。せめて現在の同じ地域にみんなで一緒に住めるように、建て替えてほしいとの声があります。都は、この切実なせめてもの願いにこたえることを求めるものですが、こうした住民の願いをどう受け止めているのですか。

A6. 国立霞ヶ丘競技場の建替えの計画対象範囲に、霞ヶ丘アパートの敷地が含まれていることから、霞ヶ丘アパート居住者の移転が必要となりました。

Q7 約230世帯を超える居住者が現に生活している都営住宅を、居住者の合意も得ずに「計画対象範囲」として公募に出すこと自体、許されないことです。都営霞ヶ丘アパートについては、現在の計画を白紙に戻してほしいという願いにこたえて、あらためて住民との話し合いから始めるべきです。答弁を求めます。

A7. 国において国立霞ヶ丘競技場の建替えを行うこととなっており、競技場の建替えの計画対象範囲に、霞ヶ丘アパートの敷地が含まれることは、既に決定されています。

以上