小竹ひろ子(文京区選出)
一、 高校授業料無償について
安倍内閣は、2010年に始まったばかりの「高校授業料無償化制度」を廃止する法案を国会で強行しました。「世帯年収910万円以上」の所得制限を設け、それ以上の所得の家庭を対象から外すとともに、公立高校の授業料不徴収条項が削除され、私立と同様に就学支援金を支給する制度とされました。
世界の流れは学費無償です。経済協力開発機構(OECD)加盟国34ヶ国中、公立高校授業料を徴収しているのは日本の他には3ヶ国だけであり、その負担も低廉です。
日本政府は昨年9月、高校の段階的な無償化を定めた国際人権規約第13条2項(b)の留保を撤回しました。それなのに「わずか1年で高校無料化制度を廃止するのはおかしい」との声が上がるのは当然ではないでしょうか。
文部科学省が高校生に配布した案内チラシには、「社会全体であなたの学びを支えます」とあります。教育は人間として生きるために不可欠であり、若い世代が学ぶことは社会の貴重な財産となるからこそ、教育を権利として認め社会全体で支えようというのが、無償制の考え方です。
都内の高校生の6割は私学に通っており、公私の学費の格差も依然として大きく、所得制限の「世帯収入910万円以上」といっても、私立高校に兄弟2人以上通っていたら経済的にも厳しいとの声が関係者から上がっているのです。また、支援金がもらえる生徒と全額自分で負担しなければならない生徒が同じ教室で高校生活を送ることで、人間関係に良くない影響や混乱をもたらしかねないとの心配と不安も広がっています。
Q1、「社会全体で学びを支える」として始めた無償制度をくつがえす法律の撤回を、国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
Q2、「世帯の年収910万円以上」で制度の対象から外される、都内の公立私立高校生は何人くらいと予想していますか。また、そのことによる家計の負担増の総額は、公立私立でそれぞれどの程度と予想されますか。
Q3、東京都は世界の無償化の流れに立ち、学費無償をできるだけ前にすすめる立場での施策の充実を求めます。見解を伺います。
文科省は授業料相当額11万8800円を就学支援金で支給するとしていますが、都立高校の授業料を決めるのは東京都で、現在の授業料徴収条例では年額12万2400円となっています。このままでは就学支援金との差額が発生しかねません。
Q4、少なくとも、国の就学支援金支給の対象となる都立高校生は、差額もふくめ実質無償を継続することを求めます。
新しい制度になれば、保護者の所得が低くても申請しなければ制度から排除されます。現在、若い子育て世帯では、非正規でいくつもの仕事を掛け持ちするなど、所得の証明が難しい家庭も多く、そういう家庭ほど経済的に苦しいのです。また心の問題を抱えて課税証明をとりにいけない保護者や、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待などのケースなど、困難を抱える家庭ほど課税証明がとれないのです。
子どもの貧困化には深刻な実態があり、このままでは子どもの学ぶ権利が排除されかねません。
Q5、このように低所得でありながら、制度から排除されかねない生徒をどうするのですか。
Q6、国は、私立高校に通う低所得者世帯の負担を軽減するため、所得制限で産み出された財源を使って上乗せするとしていますが、それでも生活保護基準程度の250万円以下の収入でも、私立学校の平均授業料と就学支援金の額に差があります。生保に準ずる世帯としている年収350万円以下の世帯も含めて、都独自の授業料補助として上乗せしてきた金額を減らすことなく、国の支援金に加えて都として実質授業料無償にする、また施設費なども補助対象するなど、父母負担の軽減を図るべきと思いますが、いかがですか。
Q7、この制度が実施されると、大多数の世帯の所得を把握するための事務の増大が見込まれます。都として事務職員を拡充し、私立学校にはそのための財政支援をすべきですが、見解を伺います。
Q8、与党の「確認書」には給付制奨学金制度の創設が記されていますが、法律には明記されていません。学費は授業料以外の父母負担大きいものがあります。都として国に先立ち給付制奨学金制度を創設して父母負担軽減すべきと考えますが、いかがですか。
二、公衆浴場について
都民の健康維持と公衆衛生の向上に重要な役割を果たしてきた公衆浴場が、浴場利用者の減少や後継者不足等で転廃業し、大幅な減少によって深刻な状況が生れています。23区で見ると10年前の2003年には1000軒を超していた公衆浴場が、2012年には1/3減り675軒になってしまいました。
Q1、都民の健康維持の点からも、町内の交流の場としても、また首都直下型地震など巨大地震への警鐘が鳴らされるもと、災害時の衛生・健康確保の場としても公衆浴場は欠かせません。公衆浴場の役割についての都の認識を伺います。
Q2、現在、多摩地域を含めても都内で7百数十軒になった公衆浴場は、健康維持や災害時の公衆衛生上の提供の場としても、これ以上減らすわけにはいかないものだと考えますが、認識を伺います。
公衆浴場確保のため、これまで都がハード面の事業を担い、ソフト面は区市が担うなどの役割分担をし、公衆浴場維持の努力をしてきたことは評価しますが、減少に歯止がかかっていません。これだけ減少すると区市の境界を越えて公衆浴場の利用拡大をはかり、存続基盤を整える必要があると考えます。
都はこれまで確保浴場を選定し、浴場を確保するため融資の利息の差を補助してきました。確保浴場の選定基準は、半径500mを利用限界距離として、その商圏に浴場がないこと、過去3年間の営業実績で1日当たりの平均入浴人員数などの合計点数が最低130点あることなどでした。現在は浴場の側から申請に基づいて選定していますが、この点からみれば、今営業している浴場の大半は、確保浴場の基準にあてはまるのではありませんか。
Q3、今ある公衆浴場は何としても残すという立場から、区市町村と共同して、すべての公衆浴場を確保浴場として指定し、融資利息の差補助だけでなく、現行事業の補助率を引上げるなどの支援をすべきではありませんか。
来年4月からの消費税の増税がおこなわれれば、入浴料金に転嫁しなければなりません。上下水道料金の引上げも懸念され、08年に値上げされ6年間据え置かれてきた入浴料金の値上げが危惧されます。現在の入浴料金は大人450円であり、これ以上の値上げは浴場利用者の家計を直撃し、利用を減らすことにつながりかねません。
Q4、公衆浴場の入浴料金の抑制と浴場経営の安定化を一層強化するため、上下水道料金の軽減率の引上げをすべきと考えますが、いかがですか。
私の住む文京区では、2003年に20軒あった公衆浴場が、昨年には12軒、今年は更に2ヶ所廃業し10軒と、半分になってしまいました。そのため公衆浴場が空白の町目が区内の半分以上の11の町目にのぼっており、「銭湯をなんとか残して」「作ってほしい」との願いが町をあげた声になっています。
マンションなど風呂付の住宅が増えているとはいえ、風呂のない木造住宅・アパートも多く存在し、浴場がなくなることは深刻な問題となっています。そこには年金暮らしの高齢者が多く居住しており、健康維持の上からも切実な問題です。
浴場のなくなった地域では、バスに乗って遠くまで行ったり、区境の所に住む人は隣の区の浴場を利用したりしています。他区の浴場を利用する場合には、それぞれの区が行っている浴場事業、たとえば高齢者や区民向けの割引が利用できません。「経済的に厳しいから回数を減らさなければならない」と寂しそうに高齢の方が訴えています。
Q5、都として、利用者の増大をはかるためにも、高齢者の100円入浴など、区市の枠を超えて安く入浴できる仕組みをつくって支援すべきと考えますが、いかがですか。
あらゆる知恵をしぼり、浴場利用者を増やし、これ以上公衆浴場減らさない対策をもとめます。
フ交流の場としても、また首都直下型地震など巨大地震への警鐘が鳴らされるもと、災害時の衛生・健康確保の場としても公衆浴場は欠かせません。公衆浴場の役割についての都の認識を伺います。
回答 公衆浴場は、都民の公衆衛生の確保、健康づくり、さらには地域住民の交流の場として重要な役割を担っています。また、大規模災害発生時においては、都と東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が加入している東京都生活衛生同業組合連合会との協定により、被災者に対して、公衆浴場施設の開放や入浴の便宜供与などを行うこととしています。
Q2、 現在、多摩地域を含めても都内で7百数十軒になった公衆浴場は、健康維持や災害時の公衆衛生上の提供の場としても、これ以上減らすわけにはいかないものだと考えますが、認識を伺います。
回答 都は、公衆浴場を取り巻く経営環境やその果たしている役割を踏まえ、施設確保と経営の安定化を図るため、クリーンエネルギー化等推進事業や耐震化促進支援事業など、各種の助成策を実施しています。平成25年度から補助メニューを拡大するとともに、補助対象限度額と補助率を引き上げ、制度の充実を図りました。
公衆浴場確保のため、これまで都がハード面の事業を担い、ソフト面は区市が担うなどの役割分担をし、公衆浴場維持の努力をしてきたことは評価しますが、減少に歯止がかかっていません。これだけ減少すると区市の境界を越えて公衆浴場の利用拡大をはかり、存続基盤を整える必要があると考えます。
都はこれまで確保浴場を選定し、浴場を確保するため融資の利息の差を補助してきました。確保浴場の選定基準は、半径500mを利用限界距離として、その商圏に浴場がないこと、過去3年間の営業実績で1日当たりの平均入浴人員数などの合計点数が最低130点あることなどでした。現在は浴場の側から申請に基づいて選定していますが、この点からみれば、今営業している浴場の大半は、確保浴場の基準にあてはまるのではありませんか。
Q3、 今ある公衆浴場は何としても残すという立場から、区市町村と共同して、すべての公衆浴場を確保浴場として指定し、融資利息の差補助だけでなく、現行事業の補助率を引上げるなどの支援をすべきではありませんか。
回答 確保浴場の選定は、市町村に所在する浴場については、東京都公衆浴場対策協議会の意見を踏まえ都が適切に選定しています。なお、特別区については、都区間の協議を踏まえ、昭和57年度に特別区に事務移管し実施しています。
現在、都は公衆浴場の施設確保と経営の安定化を図るため、確保浴場だけでなく、全ての公衆浴場を対象に各種の助成策を実施しています。
来年4月からの消費税の増税がおこなわれれば、入浴料金に転嫁しなければなりません。上下水道料金の引上げも懸念され、08年に値上げされ6年間据え置かれてきた入浴料金の値上げが危惧されます。現在の入浴料金は大人450円であり、これ以上の値上げは浴場利用者の家計を直撃し、利用を減らすことにつながりかねません。
Q4、 公衆浴場の入浴料金の抑制と浴場経営の安定化を一層強化するため、上下水道料金の軽減率の引上げをすべきと考えますが、いかがですか。
回答 公衆浴場に係る上下水道料金については、従前から一般世帯に比べ安価な料金としています。公衆浴場営業に対しては、都議会の決議の趣旨を尊重し、減収分を一般会計で補填することを前提として、既に上下水道料金の減免措置を実施しています。これは、公営企業における独立採算の原則及び負担の公平に対する例外的な措置です。したがって、公衆浴場に係る減免措置を拡大するという考えはありません。
私の住む文京区では、2003年に20軒あった公衆浴場が、昨年には12軒、今年は更に2ヶ所廃業し10軒と、半分になってしまいました。そのため公衆浴場が空白の町目が区内の半分以上の11の町目にのぼっており、「銭湯をなんとか残して」「作ってほしい」との願いが町をあげた声になっています。
マンションなど風呂付の住宅が増えているとはいえ、風呂のない木造住宅・アパートも多く存在し、浴場がなくなることは深刻な問題となっています。そこには年金暮らしの高齢者が多く居住しており、健康維持の上からも切実な問題です。
浴場のなくなった地域では、バスに乗って遠くまで行ったり、区境の所に住む人は隣の区の浴場を利用したりしています。他区の浴場を利用する場合には、それぞれの区が行っている浴場事業、たとえば高齢者や区民向けの割引が利用できません。「経済的に厳しいから回数を減らさなければならない」と寂しそうに高齢の方が訴えています。
Q5、 都として、利用者の増大をはかるためにも、高齢者の100円入浴など、区市の枠を超えて安く入浴できる仕組みをつくって支援すべきと考えますが、いかがですか。
回答 高齢者に対する入浴券の配布などは、基礎的自治体の役割である住民サービスの一環として、各区市が地域の特性や住民ニーズを踏まえて、実施しています。
あらゆる知恵をしぼり、浴場利用者を増やし、これ以上公衆浴場減らさない対策をもとめます。