河野ゆりえ(江戸川区選出)
柳瀬川、空堀川の河川整備について
50ミリを超える集中豪雨時に対応する治水対策を目的に、清瀬市内の柳瀬川下流域から進められてきた河川整備計画は、近隣住民や環境保全団体など市民参加の「川づくり懇談会」で話し合いがもたれ、河床等をコンクリート等で固めた従来型の河川工事ではなく、治水対策を前提にしながら、水辺の植物や昆虫、魚類、鳥類などが共生できる「多自然型」の河川整備へ要望が寄せられ、東京都もこれに応える努力をしてきた経過があります。
現在、進められている「柳瀬・空堀川合流点付近の河川整備計画(第2段階)」も、市民参加の河川整備の延長線上にあると認識してします。
埼玉県所沢市と清瀬市の境を流れる柳瀬川の治水対策のため、第1段階の拡幅工事を終えた空堀川に、集中豪雨に備えたバイパスをつくり、合流させようというのが、第2段階の整備です。所沢市を迂回して流れる旧柳瀬川は、昔ながらの自然景観と河畔林を残す都内でも数少ない都市河川です。
2011年、この第2段階の整備にあたり、近隣住民や環境保全団体など市民参加の「川づくり懇談会」で3回にわたる話し合いが行なわれ、整備に関しての要望が出されました。これまでの、治水対策を前提にすること、自然豊かな河畔林を保全すること、とした住民合意の上に立ち、基本設計に基づいた10分の1の模型による流量・流速実験が実施され、見学会ももたれたとのことです。
しかし、その後、河川整備にあたっている東京都北多摩北部建設事務所から、何の連絡もないまま、1年以上の空白の時が過ぎました。
問題は、2013年12月、東京都北多摩北部建設事務所は、整備について話し合いを重ねてきた「川づくり懇談会」の関係者に連絡がないまま、「住民説明会」を開いたことです。
東京都による突然の「住民説明会」開催に驚いた「川づくり清瀬の会」、「清瀬の自然を守る会」は、これまでの話し合いの積み重ねを尊重した都の努力を求め、さらに、自然環境保全のための河川整備の要求に基づき3600筆の署名を集めて、請願を清瀬市議会に提出し可決されています。
この間、設計改善を求めて「川づくり懇談会」や清瀬市が交渉を続ける努力はありましたが、東京都北多摩北部事務所は「工事期限が迫っているから」との理由で、交渉は閉ざされた状態になっています。
豊かな自然環境を保全し地域住民に愛される河川、また、豪雨時には地域住民の命を守る治水対策が万全になるよう、東京都は地域住民と力を合わせ て、河川整備に力を注ぐことが求められています。そこで、次の点について質問します。
Q1 長年にわたって、協力しながら河川整備にあたってきた、東京都北多摩北部建設事務所建設事務所と住民の対話、交流が閉ざされている今のような事態が起きた原因についてのご認識をご説明ください。
Q2 第2期整備計画の設計、工法などについての理解、住民合意の形成についての努力は、どのようにされたのでしょうか。
Q3 「川づくり懇談会」の合意事項に無かった中里地域の管理道路に橋を架けることになった経緯について、住民の理解をうる努力は十分にされたと認識していますか。
Q4 河床や分水施設をコンクリートで固める河川整備の方法では、河畔林を守れない、と多自然型河川工事の提案が住民から出されています。東京都の考えをお示しください。
Q5 空堀川と旧柳瀬川の分水地点に設けられる分水堰は、水辺と河畔林の保全のために、可能な限り自然を残す工法にするように要望されています。住民要望を取り入れた工法になることを求めますが、いかがですか。また、現在の計画はどのようなものでしょうか。お答えください。
Q6 所沢市の旧柳瀬川護岸は、木々が茂り、魚類、鳥類、水生動物などの生息地です。この護岸もコンクリートで固められてしまうのではないか、との懸念が出されています。護岸の自然環境を損なうことがない整備を求めます。見解をお示しください。
Q7 大切な自然環境が保全されるように「川づくり」に努力してきた関係住民の皆さんは、河畔林が、今回の整備計画でどのようになるのか、大きな関心を持ち、河畔林が損なわれないことを願っています。河畔林への影響について、東京都の見解をお示しください。
Q8 中里地域のくるまや橋近くの流域は、今の計画では、1m20センチくらいの落差が生じると説明されています。これだけの高さの落差になっては、が魚類や水生動物が上流に遡れないと心配され、また、清瀬橋近くで、旧柳瀬川が空堀川に流れ込む地点についても、同じ心配が出ています。
河床がコンクリートで固められ、遡上が困難な落差ができてしまえば、生態系に大きく影響するものですが、魚類等が遡上できる川に整備することは重要です。生き物の多様な生活環境を作り出す多自然河川とするための整備計画はどのようになっていますか。お答えください。
Q9 都市河川の整備にあたっては、全国的にも早い時期から「多自然型」の工法に拠ることが望ましいとされてきました。
川底や護岸をコンクリートで固めず、クリ石を敷き詰めるなど、各地で人間だけでなく、魚類、昆虫、水生植物に優しい川つくりの取組みがされてきました。川との生物の共生が損なわれるようにならない河川整備への努力を求めますが、いかがでしょうか。
Q10 多自然型の河川整備には、工事にあたる人達の専門性も求められます。
北多摩北部事務所の職員体制や、工事業者など、工事担当職員の体制はどのようになっていますか。お答えください。
Q11 先に述べたように、柳瀬川・空掘川の整備計画について、住民の協力が得られるように、早期に説明会を開催することが求められています。豪雨時の川の流量の予測、豪雨に備えた河川施設の構造とその必要性を都が明らかにするとともに、住民の提案にも応えていくことが大事です。都の努力方向をお示しください。
Q12 整備後の河川や河畔林の保全について、記録、調査、監視の継続が重要です。そのためにも、地域住民の協力は欠かせません。長期にわたった粘り強い河川の環境保全に取り組んでいくことを東京都に求めるもので すが、お考えはいかがでしょうか。
以上