2015年第4回定例会代表質問 全文 12月8日

尾崎あや子(北多摩第一選出)

新国立競技場について
社会保障・福祉の充実について
雇用・中小企業振興対策について
財政運用について
横田基地へのオスプレイ配備について

答弁
再質問
再質問答弁

新国立競技場について

 日本共産党都議団を代表して質問します。はじめに新国立競技場をめぐる問題です。

Q1 知事は、国の要請を受け入れ、新国立競技場整備費の4分の1、現時点で金額にして395億円を負担し、加えて連絡デッキや公園などの整備に53億円を負担することを表明しました。合計で448億円、さらに整備費の増加に応じて都負担は上限なしに増加します。都民から、「国立なのになぜ都が負担するのか」などの疑問や怒りの声があがっています。知事は、新国立競技場整備への都負担について、国立である以上国が負担すべきが原則という態度をとってきたのではありませんか。前任の知事も文科大臣の負担要請に対し「競技場本体の建設費は負担できないと伝えた」と発言しました。知事、これが都の基本方針だったのではありませんか。なぜ変えたのですか。

Q2 そもそも整備費は、1600億円を超えるもので、過去最高だったロンドンの約800億円と比べても格段に高く、高さ70メートル、8万席を収容する巨大な計画で、とうてい都民が納得できるものではありません。
 知事はメインスタジアムだから負担すると言いますが、都は都立競技施設を8ヵ所も整備し、そのために、用地費をふくめて2452億円も負担する計画になっています。そのうえなぜ、国立競技場の整備費まで都が負担しなければならないのですか。

Q3 都民便益などを負担の理由にしていますが、立地地域の便益に応じて国立のスポーツ施設整備費の一定割合を負担する根拠はどこにあるのですか。他の自治体で4分の1負担などの例はあるのですか。

Q4 知事は法整備がされるから問題ないと述べていますが、法的根拠がない負担を約束するのは、おかしいのではありませんか。

Q5 なぜ本体整備費の4分の1が都負担なのですか。知事は、かつて、負担にあたってはその根拠を明確にする必要があると主張していました。今回の負担は、防災機能や経済効果など積み上げたものだと述べています。それなら積み上げの内訳、なぜそれが4分の1負担なのか、明確に示して下さい。

Q6 新国立競技場まで負担すれば、都の財政負担は、競技場整備だけで総額2900億円をこえます。
今後、物価上昇や消費税増税など、整備費が増えるごとに都の負担はふくれあがるのではありませんか。知事、いかがですか。

Q7 IOCは、オリンピック憲章で人間の尊厳保持の重視を基本理念とし、競技場整備費の抑制を求めています。オリンピックを理由に競技施設整備や都市インフラ整備に過大な税金が投入され、都民施策が犠牲にされるようなことがあってはなりません。
知事、オリンピックのための財政投入は最大限抑制し、都民生活の向上と調和したオリンピック・パラリンピックとなるよう、力をつくすべきではありませんか。

 以上7点について知事、お答え下さい。

社会保障・福祉の充実について

 次に、社会保障・福祉の充実について伺います。

Q1 知事は所信表明で、「新・三本の矢」を掲げた政府と、経済成長と生活の質の向上に向けてスクラムを組んで政策を進めると表明しました。
 しかし、安倍政権発足以来3年にわたる「アベノミクス」の結果、大企業は空前の収益を上げ、内部留保は過去最高の300兆円にまでふくらんでいる一方、国民のくらしはきびしいままです。中小企業は、円安による原材料の高騰、消費税増税や単価の切り下げで、苦しい経営環境が続いており、経済は低迷したままです。
 そのうえ安倍政権は、社会保障費の自然増を来年度からの3年間で9千億円から1兆5千億円も削減するとして介護保険利用料の一律2割負担や年金支給年齢のさらなる引き上げ、診療報酬本体のマイナス改定を検討し、「残業代ゼロ制度」の導入などの労働法制の規制緩和にも踏み込むなど、ますます国民、都民のくらしを困難に追い込もうとしています。政府が宣伝している「新・三本の矢」についても、介護報酬を大幅に引き下げたばかりの政府が介護離職ゼロを掲げるなど、ごまかしにみちたものであり、財源や人材確保など政策的裏づけがないと批判されているものです。
 いま何よりも重要なことは、都民生活を苦しめる政策については、きびしく是正を迫ることが必要ではありませんか。

Q2 「舛添レポート」で知事は、「GDPの4分の1が社会保障費に消える」と見出しをたて、「高齢者対策に、子育てなどの10倍の経費が使われている」と述べています。しかし国際的に見れば、公的社会支出の対GDP比は、フランスやデンマークは30%台であるのに対し、より高齢化が進んでいる日本は、約23%にとどまっています。
 知事、高齢者対策か少子化対策かではなく、社会保障の全体を拡充することが必要ではありませんか。

 私は、国も都も、安定的な社会保障制度があってこそ、経済成長に資するという考え方に確固として立つことが必要だと思います。

Q3 世界保健機関WHOが、10月に発表した「高齢化と健康に関するワールドレポート」では、高齢者の社会的貢献の大きさを明らかにし、社会的コストとして大きいのは、高齢者を支援するための費用ではなく、高齢者を支援しないことによって失われる利益だとしています。そして、高齢化は社会にとって貴重なチャンスであり、高齢者増加を重荷とする考え方は時代遅れであると指摘しています。知事は、こうした指摘をどのように受け止めますか。

Q4 知事は、社会保障のために消費税増税だ、税と社会保障の一体改革だと、政府と同じことを述べていますが、実際には消費税が導入されて以降、そして8%への増税以降も、社会保障の切り下げが続いているではありませんか。その一方、大企業への法人税は引き下げているのです。消費税増税分の多くは大企業などへの減税の穴埋めにあてられる結果になっているのです。おかしいではありませんか。
 消費税は弱い立場の人ほど負担の重い逆進性の強い税制であり、増税は国民の購買力を低下させ、GDPを押し下げる結果につながっています。いま、求められているのは庶民増税ではなく、応能負担を基本として現在の不公平な税や社会保険料のあり方を見直すことです。所得が1億円を超えると税率が下がる所得税の見直しや、大企業ほど実質的な負担率が低くなっている法人税の是正、あるいは300兆円を超える大企業の内部留保に対する適切な課税こそ、国に求めるべきです。大企業や富裕層に適正な負担を求めれば、社会保障の財源は十分確保できます。知事、いかがですか。

Q5 ヨーロッパでは、介護、医療、子育てなどに対する経済的支援が、社会保障の重要な柱になっています。多くの国が、医療費は無料ないし少額で、住宅手当も広く実施され、イギリスやドイツ、オーストリアの介護手当は高く評価されています。フランスは手厚い家族手当が、少子化打開に大きな役割を発揮しています。こうした公的支援により、安心してくらせるたしかな基盤がつくられているのです。知事は、フランスをはじめヨーロッパ諸国で実施されている社会手当の重要性を、どう認識していますか。
 国に対し、介護、医療、子育てなどに対する経済的支援の強化を求めるとともに、都独自の経済的支援の拡充を進めることが必要ではありませんか。

 国政、都政の軸足を、福祉・くらし最優先に切り替えなければ、福祉先進都市などつくれません。

  Q6 下流老人、老後破産、介護難民、老人漂流社会などの言葉が飛び交う、深刻な状況が広がっています。高齢者福祉の拡充は、切実な課題です。
 自宅で認知症の家族を介護している女性は、特養ホームにいつ入れるか見通しのない中で「『一緒に死んだら楽になれるかも』と何度もそう思った。お金の都合でショートステイは年に数回使うのがやっと。認知症グループホームでは月20万円かかり、とても払えない」と言います。
 先月発表された都の世論調査では、高齢者福祉が、都政に対する要望の1位となりました。知事はこの調査結果と高齢者の切実な実態をどう受け止め、どのように都民要望にこたえていくのですか。

Q7 東京都の特別養護老人ホームの待機者は、4万3千人にのぼります。都がこの問題を重視して、10年間で1万8千人分増やす目標をたてたことは重要です。しかし、この目標を達成したとしても、まだまだ足りません。しかも、昨年度の整備状況は、1年間で約2500人分増やす計画に対し、実績は1400人分弱にとどまっています。整備促進が求められますが、都はどのように取り組むのですか。
 整備費補助の増額や、整備が遅れた地域への加算などの拡充が求められると思いますが、いかがですか。

Q8 介護報酬の引き下げによる影響は深刻です。東京都高齢者福祉施設協議会が行った特養ホームへの調査では、86%の施設が「悪影響」が出ていると回答し、多くの施設が職員の採用にも苦戦しており、82%の施設が介護職員の充足のために給与などの待遇改善が必要と考えているなどの調査結果が出ています。私たちのアンケート調査でも多数の施設で職員体制の見直し、職員採用の見送り、利用者受け入れの見直しが行われています。都は、介護報酬引き下げによる影響を、どう考えていますか。
 国に対し、介護報酬の引き下げをやめ、事業者や職員、自治体への支援を強化して、介護の充実にむけた国の責任を果たすよう求めるべきです。また、都として、職員の処遇改善のための人件費補助を行うことをはじめとした支援の強化が必要です。いかがですか。

 保育園の待機児童解消も、待ったなしの課題です。
 しかし、この問題でも安倍政権が、最低2人となっている保育士配置基準を大幅に緩和し、営利企業の参入を拡大するなど、水準を引き下げて待機児童対策を進めようとしていることは重大です。

  Q9 政府のように保育への規制を緩和していったら、どうなるでしょうか。たとえば先日、フェリーチェという認証保育所2ヵ所の廃止が公表されました。2ヵ所で約40人の子どもが在籍しているのにどちらも保育士はゼロという実態でした。職員配置について、都から毎年のように指導を受け、勧告を受けても改善しなかったのです。
 規制緩和の結果、こうした問題が生じていることを、都は、どう受け止めていますか。そして再発防止にむけ、どう取り組むのですか。

Q10 これまでも、いくつもの認証保育所などで、職員の架空申請、補助金の不正請求、給食の質の低下をはじめとした問題が生じてきました。これ以上、規制緩和を進めたら、さらに問題が拡大することは避けられません。保育の質を守るための規制を緩和する政策を改め、保育への投資を抜本的に強化し、質の高い保育園を増設するよう、国も都も力をつくすべきではありませんか。

Q11 保育の質と量を拡充するうえで、保育士の低すぎる給与を引き上げることが重要です。保育士の給与引き上げができるよう、国に対し財政措置の拡充を強く求めるとともに、都として保育園への補助の拡充に踏み出すことが必要です。見解を伺います。

Q12 舛添知事のもとで進められた都有地活用などが、福祉施設増設のうえで重要な役割を果たしており、さらなる推進が求められています。
 「東京都総合戦略」では、高齢者施設などの整備について、「地価の高い東京の特性を考慮した用地確保策を拡充」としていますが、どのように拡充するのですか。また、保育園の整備についても、用地確保策の拡充が必要ではありませんか。

Q13 渋谷区幡ヶ谷原町アパートは、空き家になったままであり、区からも取得要望が出ています。早急に除却し、保育園や特養ホームなどに使えるようにすることが必要です。

Q14 中野区野方一丁目の警察寮跡地については、来年度に財務局に移管され普通財産になると聞いています。福祉インフラ整備に活用できるよう、早急に区と協議を開始することが求められています。いかがですか。

Q15 高齢者施設について、国有地の借地料が減額されることになりましたが、はじめの10年間だけです。都有地と同じように、貸付期間を通じて減額するよう、求めるべきではありませんか。

Q16 また、保育園は減額の対象になっていません。国が、改めて待機児童ゼロを打ち出したのですから、国有地の減額を保育園などに拡大するよう強く求めるべきです。いかがですか。

雇用・中小企業について

 次に、雇用について伺います。

Q1 安倍政権は、雇用が拡大したと宣伝していますが、正規雇用が減って非正規労働者が4割を超えたということであって、国民、都民の願いに逆行する事態が、ますます広がっています。そればかりか、労働界あげて反対し、二度にわたり廃案になった派遣労働法改悪を強行したことで、派遣労働がさらに拡大する危険があります。
 知事は、雇用におけるこうした異常な事態をどう認識していますか。国に対し、非正規雇用拡大政策をやめ、希望する非正規労働者を正規に切り替えるため、全力を上げるよう要請すべきではありませんか。

Q2 雇用の正規化と同時に、非正規労働者もふくめた最低賃金の引き上げが決定的に重要です。
 アメリカではロサンゼルス市が、時給1860円に段階的に引き上げる法律を可決しました。市長は、これによって労働意欲も高まるし、購買力も増し、地元中小企業も潤うと、その意義を強調しています。イギリスでは、労働者がまともに生活できる賃金にするという立場から、時給を1248円から1728円に、段階的に引き上げる計画です。

 EU諸国をはじめ世界中で、最低賃金の大幅引き上げが進んでいるのです。知事は、こうした先進国の流れ、そして最低賃金を早急に引き上げる意義を、どうとらえていますか。

Q3 都内の最低賃金をすみやかに時給1000円以上に引き上げるため、知事が国や経済団体などに強力に働きかけることを求めるものですが、いかがですか。

Q4 アメリカがかつて3年間で最低賃金を引き上げた時は中小企業に対し5年間で8800億円の減税を行いました。フランスでも同様に、中小企業の負担軽減を図りながら、最低賃金を引き上げています。
 これに対し日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は4年間で149億円にすぎず、東京都は対象外です。この支援策を抜本的に拡充、増額するとともに、東京都内の中小企業も対象とするよう、国に求めるべきです。見解を伺います。

 次に、中小企業振興対策です。

  Q5 東京の中小企業は、ロケットエンジンの中枢部品の開発から、最先端の医療機器の開発など、多分野にわたって超高性能な新製品・新技術を生み出す力があります。
 城南地域を中心とした機械系、城東を中心とした生活関連産業、城北の光学、都心の出版・印刷、城西のアニメ・コンテンツ産業、多摩地域の研究開発型企業の集積など多彩であり、これだけの産業集積がある首都は、世界の中でもほかにはありません。
 しかし現状は、加工業の転廃業が進み、産業集積によって効率的に連携していたネットワークの弱体化に歯止めがかかっていません。これは、集積効果による技術の創造や応用力の低下をもたらし、東京の産業空洞化につながる深刻な問題です。
 高度な技術力をもつ産業集積を、首都東京の強みとしてとらえることが重要だと思いますが、知事の認識を伺います。
 ものづくり産業の集積を維持し、全面的に生かす施策を、都政の重要な柱として位置づけて、まちづくり、福祉・医療、大学・学校との連携など全庁をあげて取り組むことが重要ですが、知事の見解を求めます。

  Q6 産業集積の力を生かして経済を振興するために、10数億円にとどまっている都のものづくり産業集積の支援予算を抜本的に増額することが必要です。そして、集積地域ごとに、必要な人材を投入し、研究開発機関や実験施設を整備し、異業種との連携を支援することが重要ですが、いかがですか。

Q7 多摩地域には、6千におよぶ工場と、15万人もの従業員がおり、工業出荷額は約4・9兆円と東京全体の50%を示しています。高い技術力をもつ中小企業や、大学・研究機関も多く立地しています。多摩地域の特色をいかした、ものづくりへの支援の拡充・強化が求められますが、知事はどのように取り組むのですか。

Q8 多摩地域における都の中小企業支援拠点は、昭島に中小企業公社、産業技術研究センターがあるのみです。かつては経済事務所が5ヵ所ありました。産業支援センターの増設をはじめ、広大な多摩地域に散在している中小企業への、きめ細かい支援の強化が必要ではありませんか。

Q9 また、「東京都総合戦略」で示されている、広域的産業交流の中核機能を担う拠点整備は、どのように具体化するのですか。 Q10 国もようやく、ものづくり基盤をささえる小規模企業の事業継承、再生支援など、持続的発展を支援するようになりました。都として、国、都などの各種施策を周知し、活用できるようにすることや、専門家が経営診断から安定するまでの中長期にわたって切れ目なく支援するなどの拡充が求められますが、いかがですか。

財政運営について

 地方自治体として、「住民の福祉の増進を図る」ことに全力をつくすには、財政運営のあり方の改革が必要です。

Q1 都は、「社会資本ストックの維持・更新及び社会保障に係る費用の将来推計」を委託し、その報告をもとに、「年次財務報告書」を発表しました。
 それによると、都は、今後毎年3百億円の社会保障関連費の増加を見込み、現在1兆円規模の社会保障費は、2033年度には、1兆4430億円になると試算しています。そして、将来推計の報告書では、推計値より増加する可能性があることが、指摘されています。また、この推計では、現状の事業の継続を前提とし、施策の拡充は見込んでいませんが、もちろん今後、施策の抜本的拡充が必要です。
 さらに、都が所有する社会資本ストックの維持・更新費は、2033年までに少なくとも6兆円必要と推計されています。これについても将来推計の報告書は、推計を上回る可能性を指摘しています。
 将来推計の報告書を、どう受け止めますか。都市インフラ施設の新設は、最大限、抑制することが求められていると考えますが、お答え下さい。

 こうした中で「東京都総合戦略」が、「世界一の都市・東京にふさわしい交通インフラと拠点機能の創造」を掲げ、幹線道路建設の推進、都心等における拠点機能の充実・強化、東京港の物流機能強化などを強調していることは、見過ごせません。
 都心の超高層ビル開発を都市計画規制のいたれりつくせりの緩和で誘導し、果てしない幹線道路建設の推進、港湾機能の巨大化、業務機能やビジネスマンの都心集中などによる公共施設整備費が増大する構造が、つくり出されているのです。
 このような大型開発をつぎつぎ進めていたら、福祉先進都市の実現のための財源など、とうていつくれないではありませんか。

  Q2 今、都の財政投入が拡大しつつあるのが、オリンピックや観光振興、国際物流競争を理由にして開発を進めている臨海部です。環状2号線の臨海部延伸で約350億円、東京港国道トンネルや南北道路など、国の事業の都負担分で約800億円、青海地区に整備中の新客船埠頭も総額100億円以上を投入しています。さらに五輪のための恒久施設として、海の森水上競技場など3施設で1800億円が投入されます。このほか臨海部の進出企業のためのインフラ整備などもあり、臨海部だけで少なくとも3千億円規模の都財政が投入されます。事業の必要性を精査し、中止や廃止をふくめて必要な見直しを行うとともに、都財政投入は、それぞれ可能な限り抑制していくことが必要ではありませんか。

Q3 都の道路計画全体も、抜本的な見直しは避けて通れません。たとえば、1200キロメートル余の都市計画道路を事業化すれば、推計で約15兆円の事業費が必要であり、多くの住民の立ち退きにつながります。人口減少に向かう中で、このような莫大な財源を投入することは許されません。
 都は都市計画道路の整備方針の見直しを進めていますが、大胆な見直しを行うことが必要です。いかがですか。

Q4 都が幹線道路建設を推進する理由は、おもに渋滞解消対策です。しかし、ヨーロッパやアメリカでは、すでに幹線道路建設中心主義から抜け出し、自動車交通から公共交通利用への転換、IT技術を利用して自動車の流れをスムーズにするシステムの導入や、パークアンドライドなどの政策を進めています。こうした政策を取り入れることが必要ではありませんか。

Q5 都民のくらし・福祉を拡充するためには、財源確保が欠かせません。この間、都の法人税収から国が不当に1兆3千億円もの財源を奪ってきた「偏在是正」なる措置は、断固跳ね返し、復元させねばなりません。日本共産党都議団は、国会議員団とともに国に対し、今後の地方法人税のさらなる改悪を断念するとともに、法人事業税も法人住民税も元通りに復元し、地方自治の原則を守るよう、強く要請したところです。
 国に不当な措置をやめるようきびしく求める取り組みを、知事を先頭に、都議会と都民が一緒になって進める必要があると思いますが、知事、いかがですか。

横田基地へのオスプレイ配備について

 最後に、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備の問題です。

Q1 オスプレイは、エンジン故障が多い、油圧パイプの油漏れが多い、悪天候に弱い、気象レーダーがない、エンジンに砂や泥を吸い込んで事故が起こりやすいなど、欠陥機であることは、アメリカ議会調査室の報告などから明らかです。そのうえ横田基地に配備されようとしている空軍のCV22オスプレイは、超低空で敵地に潜入するなどの特殊任務を行うため、危険な訓練をともなうことを、米軍は認めています。欠陥機が危険な訓練を行うから、重大事故率がきわめて高いのです。
 ところが、10月に発表されたCV22オスプレイ配備に関し、計画と影響などを示した「環境レビュー」では、そのCV22オスプレイが、東京上空の1都8県におよぶ「横田エリア」という、広大な米軍専用空域で訓練を行うことが明らかになりました。さらに、静岡、青森、そして沖縄で、実弾射撃訓練を行うことが明記されています。それだけに、首都圏をはじめ全国各地から、「オスプレイは来るな」の声が広がっています。
 横田基地へのCV22オスプレイ配備をゆるせば、基地周辺だけでなく、首都圏さらには全国各地の住民を危険にさらす結果になることを、知事はどう考えますか。国の専管事項などと言っている場合ではありません。知事が先頭に立って、政府や米軍に強力に働きかけるべきです。知事、いかがですか。

Q2 「環境レビュー」では、横田基地に特殊作戦部隊が配備され、特殊部隊の司令部をつくることも明らかになりました。さらに中谷防衛大臣は、CV22オスプレイ配備によって、米軍と自衛隊の特殊部隊間の共同訓練が可能になると答弁しています。
 都は、横田基地はあくまでも輸送基地だと答弁してきましたが、これはまさに横田基地が日米の特殊部隊の拠点になることを示しているのではありませんか。知事は、どのように認識していますか。

Q3 特殊作戦部隊の重要な役割のひとつは、中東などにおける対テロ作戦です。戦争法のもとで、このような特殊作戦部隊が横田基地に配備されるなら、東京がテロ攻撃の標的にされる危険が高まることになります。知事は、どう認識していますか。
 横田基地を拠点に、米軍と自衛隊が対テロ攻撃に参加するようなことは、断じて許されないと思いますが、知事いかがですか。

 パリ同時テロで妻を殺害されたジャーナリストが、実行犯に、「私たちは君たちに憎しみの贈り物をあげない」というメッセージを述べたことが、世界に大きな感動を広げています。テロは、決して武力行使では根絶できません。
 日本共産党は、テロ組織への資金提供を遮断する、テロリストの国際的移動や武器入手を阻止する、貧困や政治的宗教的差別などをなくしていく、シリア、イラクでの内戦、混乱を平和的に解決していく外交努力を強める、難民の人権を守りぬく国際的支援を強めるなどの取り組みを、国際社会が一致して取り組んでこそ解決できると提唱しています。この立場でテロ根絶に力をつくすことを表明し、再質問を留保して質問を終わります。

【答弁】

〇知事 尾崎あや子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場の整備に対する都の基本的な考え方についてでございますが、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
 一方で、政府において、透明性を確保しながら整備計画が策定され、都民が納得できるものであれば、都が一定の負担をすることは可能であるというのが、私の基本的な考えであります。
 都議会に対しましても、私は新国立競技場の整備に全面的に協力すると申し上げております。
 このたび新たな整備計画において、アスリートファーストや周辺のまちづくりとの調和など、私が関係閣僚会議に出席して申し上げた都の考え方が反映されておりまして、この計画のもとで国と都がしっかりと協議を行ってまいりました。
 こうしたことから、今般、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談して、応分の財政負担をすることを決断いたしました。

 新国立競技場の整備費負担についてでありますが、新国立競技場は二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして、大会の成功のためになくてはならない施設であり、また、大会後においても多様なレガシーを末永く東京にもたらします。
 新国立競技場の整備は国が責任を持って行うものではありますが、開催都市の都としても、大会の成功と大会後にもたらされる多大な便益などを踏まえ、財政負担について決断をいたしました。

 新国立競技場の整備費負担にかかわる法的根拠についてでありますが、今般、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文科大臣との会談の場におきまして、馳大臣から、今後、必要な法改正の準備も進めてまいりたい旨の発言がありました。
 財源案には、国において必要な法的措置を講じることも含まれていることから、両大臣と合意したものであります。

 新国立競技場整備費の負担理由についてでありますが、新国立競技場が東京や都民へもたらす便益については、大会の開催や大会後のレガシーといった機能に着目し精査し、まとめ上げたものであります。
 都の財政負担に当たりましては、国と地方で費用を二対一の割合で分担し合う国直轄事業の考え方に準拠した上で、さらにスポーツ振興くじを財源として活用することにより、都は費用の四分の一を負担することといたしました。
 この負担とお示ししている便益とを照らし合わせれば、十分見合うものと総合的に判断したところでございます。

 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、私はこれまでも、コストやレガシーの視点から、都が整備する競技会場計画を見直し、全体整備費を圧縮してまいりました。また、責任を明確化し、透明性を確保しながら、施設整備の進行管理を行うなど、大会の成功に向け、着実に取り組んでおります。
 オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、大会後も有形無形の大きなレガシーを末永く東京に残すことで、世界一の都市東京をつくり上げてまいります。

 次に、安倍政権との連携についてでありますが、日本は約十五年にわたる長期のデフレから脱却し、未来に向かって飛躍しなければなりません。
 二〇一九年ラグビーワールドカップと二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを控えたこの機会は、東京や日本をさらなる成長軌道に乗せる千載一遇のチャンスであります。
 安倍政権は、アベノミクスを展開し、経済再生への努力を続けております。新三本の矢を掲げ、一億総活躍社会を目指して、先般、緊急対策を取りまとめました。また、地方創生で日本各地から明るい展望を開こうとしております。
 こうした安倍政権と連携し、現場を持つ首都東京が先進的な施策に取り組んでこそ、日本の明るい未来を開くことができます。今を逃して日本の再生はあり得ないという危機感のもと、総理、官房長官と会談し、国と都がスクラムを組んで知恵を絞っていくことで意見が一致したところであります。
 ご質問にあったような政策の是正を安倍政権に迫る考えはございません。

 社会保障制度についてでありますが、公的社会支出の対GDP比を諸外国と比較して議論するのであれば、同時に国民負担率についてもあわせて議論することが必要であります。
 対GDP比の国民負担率を見ると、日本が三〇・一%であるのに対して、お話のフランスは四六・二%、デンマークは四七・六%であります。
 今後必要なのは、負担と給付のバランスを考え、現在の社会保障システムを国民のコンセンサスを得て持続可能なものへとつくり変えていくことだと考えております。

 本年十月にWHOが発表しました高齢化と健康に関するワールド・レポートについてでありますが、このレポートで述べられているのは、高齢者の健康を維持するための公衆衛生分野からの支援の必要性であります。
 この考え方は、健康寿命の延伸を目標とする第二次東京都健康推進プラン21と軌を一にしております。
 また、本年三月に策定した東京都高齢者保健福祉計画でも、元気な高齢者の社会参加の促進や健康づくりの推進のための施策を盛り込んでございます。

 次に、社会保障財源と税制についてでありますが、少子高齢化が急速に進行する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築を図るためには、安定財源の確保が不可欠であります。
 そのためには、広く消費に負担を求め、世代間の公平を図ることができる消費税の税率引き上げにより、社会保障財源を拡充することは避けて通れません。
 税制全体のあり方については、社会保障財源のみならず、幅広い観点から議論が行われるべきものと考えております。

 経済的支援の拡充についてでありますが、社会保障制度は、財源も含め、国によって異なっており、経済的支援を行っている分野や対象はさまざまであります。
 我が国におきましては、所得保障は、経済政策や社会政策の一環として、基本的に国の責任で対応すべきものでありまして、児童手当や障害児福祉手当など、分野ごとに制度が整備されてございます。
 都が果たすべき役割は、サービスの基盤整備など、東京の福祉水準全体の向上を図ることであります。

 次に、高齢者福祉についてでありますが、高齢者の生活実態はさまざまであり、低所得の方や家族の支援を受けられない方がいることは十分承知しております。また、高齢者対策に対する都民要望が高いことも承知しております。
 都は、こうした高齢者の生活実態やニーズを踏まえ、本年三月に高齢者保健福祉計画を策定し、介護サービス基盤の整備や在宅療養の推進など、さまざまな施策を進めております。

 次に、非正規雇用対策についてでありますが、先月発表された厚生労働省の調査で、非正規雇用の割合が四割に達しました。高齢者の再雇用がふえたことなども要因として考えられますが、私は、この状況は尋常ではないといつも申し上げているとおりでございます。
 国は、非正規労働者の正社員転換を加速させ、雇用の質を高めていくとの方針を本年六月に示しております。
 働き方には派遣やアルバイトなどいろいろありますが、安定した仕事につくことを希望しながら、自分の意に反して非正規で働いている方を一人でも多く正社員化していきたいというのは私の思いであります。
 都は、国に先駆けて、今年度より、東京労働局と密接に連携した独自の非正規雇用対策に取り組んでおり、こうした取り組みを着実に進めてまいります。

 次に、ものづくり産業の集積についてでありますが、都内に集積するものづくり中小企業は、地域の産業や雇用を支える原動力であると認識しております。
 このため都は、既に、東京都長期ビジョンに産業集積の維持発展を位置づけ、工場の操業継続のための環境整備や、地域における多様な主体との連携による新たなネットワークの構築など、さまざまな施策を展開しております。
 今後とも、これらの施策に取り組んでまいります。

 次に、不合理な偏在是正措置についてでありますが、もとより、私みずからが先頭に立って、不合理な偏在是正措置の撤廃などに向け、あらゆる機会を捉え国に働きかけております。
 また、都議会におかれても、この間、不合理な偏在是正措置に対する反対意見書を可決するなど、積極的にこの問題に取り組んでいただいております。
 国における税制改革論議は、まさに今、大詰めを迎えているところでありまして、こうした取り組みを踏まえた判断が下されるべきであると考えております。

 次に、オスプレイの配備についてでありますが、安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要であります。
 横田基地へのオスプレイ配備について、都は、国の責任において、地元自治体や周辺住民に対して十分な説明責務を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮を米国に働きかけることを既に要請しております。
 今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことは申し入れてまいります。

 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。

〇東京都技監 五点の質問にお答えいたします。
 まず、都営幡ヶ谷原町アパートの敷地についてでございますが、現在、アパートの居住者の移転が完了しており、今後、建物を除却することとしております。
 都営住宅用地は都民の貴重な財産であり、これまでも、まちづくりなど、都の政策目的の実現等に活用しております。

 次に、都市計画道路の整備方針についてでございますが、都市計画道路は、活発な都市活動を支えるとともに、都民の安全・安心を確保する上で極めて重要な役割を果たす都市基盤でございます。
 将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や、高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくり等を支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 こうした目的の達成に向け、新たな整備方針を策定し、今後とも、関係区市町と連携の上、必要な財源の確保に努めつつ、計画的かつ効率的に都市計画道路の整備に取り組んでまいります。

 次に、渋滞解消に向けた交通政策についてでございますが、東京では、高密度で安全な鉄道ネットワークが形成されております。その結果、例えば区部においては、業務目的を含め、移動の際には半数以上の人々が鉄道やバスを利用するなど、東京は、既に世界的に見て公共交通の利用が進んでいる大都市となってございます。
 一方、道路につきましては、これまでも海外主要都市に比べて整備率が低い環状道路などの整備を推進し、都心部から通過交通を排除することにより、慢性的な渋滞の緩和や環境負荷の低減などに努めてまいりました。
 都内の都市計画道路の整備率は約六割にとどまっており、人や物の流れを円滑にし、経済の活性化や利便性を高めるためにも、今後とも、三環状道路はもとより、都市計画道路ネットワークの形成に向けて積極的に取り組んでまいります。

 次に、横田基地の機能についてでございますが、横田基地は西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地として、輸送部隊が駐留しております。
 CV22オスプレイの配備に伴い、飛行部隊や群司令部などが新たに置かれる予定と聞いておりますが、国は、CV22オスプレイの配備は、横田基地の輸送基地としての機能の範囲内で行うものとしており、配備後におきましても、横田基地の空輸基地としての役割は変わらないものと認識しております。

 最後に、横田基地に配備される部隊の任務についてでございますが、国からは、CV22オスプレイの横田基地配備に伴い、CV22十機と関連要員等から構成される飛行部隊が新編される予定と聞いております。
 その主な任務は、各種事態が発生した場合に、初動対応を行うアジア太平洋地域の米軍部隊を輸送することであると説明を受けてございます。
 これまでも繰り返し申し上げているとおり、安全保障に関することは国の専管事項でございまして、米軍や自衛隊の運用につきましては、国の責任で行われるべきものでございます。
 都は、都民の安全と生活環境を守る観点から、地域に影響を及ぼす米軍の運用につきまして、国や米軍に要請を行っております。

〇オリンピック・パラリンピック準備局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場整備費の負担根拠についてでございますが、新国立競技場は、国が整備するのが基本である一方、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとしてなくてはならない施設でございます。
 また、大会後の東京において、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 国立のスポーツ施設整備費に対する地方自治体の負担例は承知しておりませんが、こうした便益を踏まえ、地元の受益を勘案して国と地方で費用を分担し合う国直轄事業の考え方に準拠し、財政負担を行うことが妥当と考えました。
 この点につきまして、地方財政法により、国の事務事業に対する地方自治体の支出には制約があることから、国において必要な法的措置が講じられることとなっております。

 次に、新国立競技場整備費に係る今後の都の財政負担についてでございますが、本年八月に開催されました新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議で決定された新たな整備計画におきまして、新国立競技場のスタジアム本体及び周辺整備に係る工事費の合計額は千五百五十億円以下とするなど、コストの上限が定められております。
 その上で、例外として、賃金または物価等の変動が生じた場合の工事請負代金額の取り扱いにつきましては、国の定めるところにより、金額を変更することができること、また、将来、消費税率一〇%が適用される場合には、現在八%で計算されている金額との差額が別途必要となることが、既に定められております。このようにコストの上限が定められ、その例外が限定されております。
 また、国と分担し合う対象経費につきましても、明確化されております。
 したがいまして、物価騰貴や消費税率の変更以外に都の負担が増加する要素はございません。

〇福祉保健局長 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、昨年策定した長期ビジョンの目標は、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえ、定めたものでございます。
 都はこれまで、整備率が低い地域の整備費補助単価に対する加算や、建築価格高騰に対する加算、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じており、今後とも、目標達成に向け区市町村や事業者を支援してまいります。

 次に、介護報酬についてでありますが、本年四月の改定は、国の社会保障審議会の答申に基づき行われたものであり、改定率は、賃金や物価の状況、平成二十六年の介護事業経営実態調査での各サービスの収支状況等を踏まえて算出されたものと認識しております。
 また、改定では、介護職員処遇改善加算を充実するとともに、サービス提供体制強化加算に、介護福祉士の配置をより一層促進するための区分が創設されております。
 都はこれまで、国に対し、介護事業者が介護人材の定着、確保を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう、繰り返し提案要求をしております。
 また、今年度から国のキャリア段位制度を活用し、職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度を開始しております。
 事業者の運営状況につきましては、今後、第七期の高齢者保健福祉計画策定に向けた取り組みの中で調査等を行ってまいります。

 次に、保育サービスに対する指導監督についてでありますが、都は児童福祉法等に基づき指導監督を行っており、設備及び運営に関する基準に抵触した場合、改善を指導し、その後も改善されない場合には、報告期限を付して改善勧告を行っております。
 それでもなお改善が図られない場合には、児童の処遇を確保した上で、取り消しも含めて厳正に対処しております。
 保育サービスの質を確保することは重要であり、今後とも都は事業者に対して法令等に基づいた指導を実施してまいります。

 次に、保育サービスについてでありますが、職員配置や必要な面積など保育サービスの基準は、国が社会保障審議会等の議論を経て省令等で規定し、都や区市町村はそれらを踏まえ、議会等の審議を経て条例等で定めております。
 都は保育サービスの整備を進めるため、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸し付け等を初めとした独自の支援策を実施いたしますとともに、保育の質の向上に向け、障害児やアレルギー児等、特に配慮が必要な児童に対する支援や経営者向け研修等を実施しております。
 また、国に対しては、待機児童対策を初めとした子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分確保するよう繰り返し提案要求を行っております。

 次に、保育所に対する財政支援についてでありますが、都はこれまで、子供、子育て支援施策の強化、推進を図るため、恒久的、安定的財源を十分に確保することや、保育士の安定的な確保、定着のために、地方自治体や事業者等の意見を聞きながら、キャリアアップのための仕組みを検討し、施策の充実を図るとともに、十分な財源を確保することを国に対し提案要求してまいりました。
 また、今年度から、多様な保育サービスを対象に、保育士等キャリアアップ補助や保育の質の向上に向けた補助を行うなど、都独自の財政支援の充実を図っております。

 次に、東京の特性を踏まえた用地確保策についてでありますが、都はこれまで、特別養護老人ホームや保育所等の整備を促進するため、都有地の減額貸付や定期借地権の一時金の補助、国有地、民有地の借地料補助など、さまざまな支援策を独自に実施してまいりました。
 今後ともこうした取り組みによりその整備を進めてまいります。

 次に、国有地の貸付料の減額についてでありますが、国は都市部における介護施設整備を加速化するため、政策的に必要な期間、地域、対象施設において、初期投資の負担軽減に資するよう、定期借地権契約の貸付料を契約締結日から十年間に限り五割減額するとし、本年十一月二十四日の財政制度等審議会国有財産分科会において了承されました。地方自治体に対しましては、今後、制度内容の説明が行われる予定でございます。
 なお、国有地貸付料の減額等につきましては、都はこれまで繰り返し提案要求しております。

 最後に、保育所に対する国有地の貸付料の減額についてでありますが、ただいま申し上げたとおり、都はこれまでも国に対し、国有地の貸付料の減額を行うよう提案要求しております。
 都は、昨年度から保育所整備のための国有地の借地料補助や定期借地権補助の国有地への拡大など、都独自の支援策を実施しております。

〇財務局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都施設の移転跡地の活用についてでございますが、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、都政の喫緊の課題解決のため、最大限有効活用していくことが重要でございます。
 都が抱える行政需要は福祉施設整備を初め、学校、道路、公園、都民の安全・安心にかかわる施設など多岐にわたっております。
 これらの行政需要を踏まえ、まず、都みずからによる利用を検討することとしております。都みずからが利用しない場合には、個々の都有地の形状や立地等を踏まえ、福祉インフラ整備に活用可能と判断される都有地については、適切に区市町村に対して情報提供を行ってまいります。

 次に、都市インフラの新設についてでございますが、社会資本ストックの維持更新経費や社会保障関係経費の増加は重要な課題であると認識しております。同時に、道路、港湾を初めとする都市インフラの新たな整備は、東京の活性化や国際競争力の向上はもちろん、都民生活の向上を図る上でも必要不可欠な取り組みでございます。
 引き続き社会資本ストック一つ一つについて必要性を検証いたしますとともに、長寿命化などによりまして経費の平準化や縮減などを図りながら、必要な社会資本の整備に着実に取り組んでまいります。

 最後に、都市インフラ整備への財源配分についてでございますが、都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活性化などのために不可欠な取り組みであり、臨海部も含め必要な施策は着実に進めてまいります。
 今後とも限りある財源を重点的、効率的に配分しながら、適切かつ着実に社会資本の整備に取り組んでまいります。

〇産業労働局長 八点のご質問にお答えをいたします。
 まず、最低賃金の引き上げについてでありますが、欧米諸国の動向は把握しておりますが、国によって経済状況、社会保障制度、雇用の流動性などが異なるため、背景となる事情を抜きにして一概に論じることは適当ではないと考えております。
 また、現在、国において継続的な好循環の確立に向け、最低賃金の引き上げが議論されているところでございます。

 次に、国や経済団体等への働きかけについてでございますが、東京の最低賃金は法に基づき、労働者、使用者、公益の三者の代表が審議し、国において決定をする仕組みとなっております。

 次に、最低賃金引き上げに向けた支援についてでございますが、最低賃金は地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国において決めることとなっており、都としてはこの制度が適切に運用されるべきものと考えております。

 次に、ものづくり産業集積に対する支援についてでございますが、都はこれまで、区市町村による計画的な産業集積の取り組みに対する支援を行ってきており、本年度からは広域的なビジネスマッチング等の事業も対象としております。
 また、産業技術研究センターでは、各地域に四つの拠点を設けるとともに、異業種交流グループを毎年立ち上げ、支援をしております。

 次に、多摩地域のものづくりに対する支援についてでございますが、都は、高度な技術を有する中小企業や大手企業、大学、研究機関が集積する多摩地域の特性を生かし、交流会やそこで生まれたプロジェクトの事業化に向けた支援を既に行っております。

 次に、多摩地域における中小企業支援についてでございますが、都は産業サポートスクエア・TAMAを設置し、経営相談や専門家派遣等の経営支援とともに、技術相談や各企業現場での技術支援を行っております。
 また、二十八カ所ある多摩地域の商工会や商工会議所等と連携して、きめ細かな巡回指導や資金繰りの相談などにより、中小企業を幅広く支援をしております。

 次に、産業交流拠点の整備についてでありますが、八王子市に設置する産業交流拠点は、多摩地域における産業集積や産業交流を促進するため、展示会を行うためのホールや交流会に活用できる会議室等を整備するものであり、今年度から基本設計を行うこととしております。

 最後に、小規模企業に対する支援についてでございますが、都は事業承継等に関する普及啓発等を行うとともに、外部専門家等を活用した継続的な支援体制を整備するなど支援策を拡充してきたところであり、引き続き必要な取り組みを進めてまいります。

【再質問】

 知事は就任以来、本会議での再質問に対し一度も答弁に立ちませんでした。都議会会議規則と議会制民主主義の軽視といわざるを得ません。
 埼玉、千葉、神奈川各県議会では、我が党を初め自民、民主、公明など各会派が再質問を行っており、いずれも知事が答弁に立っています。知事への再質問に知事が答弁しない現状は異常です。
 都議会における議論をより活発化し、知事と議会が緊張感を持って都政をよりよい方向に進めるために、知事、再質問にきちんと答えるべきです。
 また、新国立競技場の都負担問題について、知事は先日の記者会見で、どのように都民の理解を得るのかと聞かれて、都議会で都民の代表である議員の質問にきちんと答弁していくと答えました。しかし、先ほどの答弁では、私は全然納得できません。都民の皆さんも納得できないと思います。
 そこで、以下、再質問しますので、知事がきちんと答弁してください。

 第一に、なぜ四分の一負担かという問題です。知事は都負担を発表したとき、便益などを積み上げた数字だといいました。ところが、今の答弁は積み上げた数字ではないというものです。積み上げでないというなら、当初、なぜ積み上げた数字だといったのですか。

 第二に、四分の一負担の根拠について、知事は東京の便益を踏まえたと答えました。しかし、国立施設を整備すれば、地域に便益をもたらすのは当然であり、特に新国立競技場の整備費を負担する理由になりません。違いますか。
 例えば、スポーツを行う都民がふえるなどという便益は、どのようなスポーツ施設でも共通するものです。
 便益の例について、八万人相当の備蓄倉庫ができると説明されています。しかし、新国立競技場の観客数は最大八万人であり、この観客数に見合った備蓄倉庫などをつくるのは、設置者である国としての当然の責務です。
 帰宅困難者などを受け入れる事業所に対する備蓄倉庫などへの国の補助制度も、その事業所の従業員と観客の定員数分は対象外とされているのです。都が財政負担する理由にはなりません。知事、いかがですか。
 以上、政治家として知事みずから明確にお答えください。

【再質問答弁】

〇オリンピック・パラリンピック準備局長 四分の一負担の根拠についてでございますが、先ほど知事が答弁しましたように、新国立競技場が東京や都民へもたらす便益につきましては、大会の開催や大会後のレガシーといった機能に着目して精査し、この便益をまとめ上げたものでございます。
 都の財政負担に当たりましては、国と地方で費用を二対一の割合で分担し合う国直轄事業の考え方に準拠した上で、さらにスポーツ振興くじを財源として活用することによりまして、東京都は費用の四分の一を負担するとしたものでございます。

 それと、二問目の便益の理由でございますが、殊さら防災機能に特化したご質問でございましたが、新国立競技場につきましては、防災機能ももちろんその便益の一部でございますが、都民に対してすばらしいスポーツのレガシーを残すということ、あと周辺環境にバリアフリー化が進むということで、その周辺環境の向上にもつながると。
 また、世界的なスポーツイベントを実施することで、都民のスポーツへの関心、また、スポーツ都市東京の実現に著しく寄与する、こういった便益を総合的に勘案して、今回、国との合意を決断されたものでございます。