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【談話】都議会第四回定例会を終えて
都議会第四回定例会を終えて     
                    
二〇一〇年十二月十五日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 吉田信夫

一、石原知事の暴走にたいする各党の態度が問われた議会

 漫画などの表現に対する行政の介入をすすめる青少年健全育成条例改定、有害物質で汚染された豊洲のガス工場跡地への築地市場移転準備の強行。今議会は、石原都知事による民意を無視した強権的な都政運営がきわだち、それに対する各党の態度が鋭く問われました。


(1)青少年健全育成条例の改悪は歴史的暴挙

            
―撤回、否決のために全力をあげた日本共産党―        
 石原知事が提出した青少年健全育成条例の改定案は、漫画・アニメーション等の性表現にたいする行政の恣意的規制により創作・出版活動の萎縮をもたらす危険があり、また、インターネットや携帯電話の利用について家庭教育への行政の介入をまねきかねないものです。
 最大の問題は、「刑罰法規に触れる」性行為や「近親者間における」性行為を「不当に賛美し又は誇張するように描写し又は表現」という、新たな規制基準を持ち出してきたことです。都は、対象となる性行為が「社会的に許されるものと」青少年に思わせてしまう恐れのある描写・表現も規制対象になりうると答弁しているのです。
 近親者間の性交渉を描いた文学作品は、「古事記」や「源氏物語」などがありますが、都は「古典文学の漫画化のていさいをとりながら、これにかこつけて」性描写がおこなわれているものは、規制対象になりうると答弁しました。作品が描く人間関係、テーマさえ問題にするという条例は、全国に例がありません。
 このため、改定案にたいして、日本漫画家協会、日本ペンクラブをはじめ作家団体、出版団体、日本弁護士連合会など法曹界のみなさんが、こぞって反対の声をあげ、改定案に反対の立場からの請願・陳情が一千件近くにのぼりました。
 青少年の心身のすこやかな成長の環境をととのえるために、図書の販売等にはルールが必要ですが、自主規制を第一とし、行政がおこなう規制は最小限にとどめられるべきです。
 実際、出版と販売の現場では、表現の自由を守りつつ、自主規制の効果を上げていく努力が積み重ねられ、自主規制団体である出版倫理協議会は、月に二千万冊に及ぶ雑誌にシール止めをほどこしています。
 にもかかわらず知事は自主規制団体などの意見を無視して、もっぱら行政による規制強化のために今回の改定案をつくったのです。まさに行政による暴走です。
 もともと改定推進派であった自民党、公明党は、委員会で一言も質疑を行なわずに賛成しました。言論の府である議会の役割を放棄するに等しい、恥ずべき態度と言わざるをえません。
 また、前回改定案に反対した民主党は、石原知事自身が「実質的に前と同じ」と公言しているにもかかわらず、一部の議員が本会議や委員会で問題点を指摘しただけで、会派として賛成し、可決に手を貸したことは重大です。
 三党は、「慎重な運用を求める」などとする付帯決議を付しましたが、改定案の危険性は条文そのものにあり、これによって解消できません。そもそも付帯決議には法的拘束力がなく、都政で効果がなかったことは、新銀行東京の設立や、築地市場の豊洲移転関連予算可決の際の付帯決議によって経験ずみのことです。
 青少年健全育成条例の改悪は強行されましたが、これによって萎縮することなく、関係者の自主的な努力と社会的合意を大切にしながら、漫画・アニメを含む文化・芸術をいっそう豊かに花開かせることが求められます。日本共産党都議団は、そのためにも、都の青少年施策を、治安対策・取締偏重から、青少年の人格形成を支援する原点に立ち帰らせるよう、ひきつづき奮闘するものです。

                         
(2)民意を無視した築地市場の豊洲移転ゴリおし


―汚染対策のごまかしをただし、現在地再整備の展望しめした日本共産党―
 石原知事は、都議会で現在地再整備について審議をつづけているにもかかわらず、一方的に豊洲移転準備を強行しています。昨年の都議選の結果、都議会で移転反対派が多数を占め、最近実施された、水産仲卸組合の総代選挙も反対派が多数を占めているのです。石原知事が民意にそむいて暴走していることは明白です。
 もともと有害物資で汚染された豊洲の東京ガス跡地は、市場用地として論外です。しかも地中深くまでの汚染調査をしていない地域が3分の2を占めており、汚染が広範囲にかくされている危険が強いのです。このことに目をそむけた土壌汚染対策では信用しろというのが無理です。汚染処理実験も高濃度汚染の処理はおこなわれておらず、ごまかしに満ちたものです。これまでわが党がこうした事実をつきつけても、都はまともに答えようとしませんでした。今議会での代表質問の再質問でただしたときも、知事は答弁にたてず、かわりにでてきた市場長も「最高権威の学者の英知をおかりして」などとひたすら一部の学者のお墨付きをふりかざすだけでした。
 石原知事は、築地市場施設の老朽化を移転の理由にあげています。しかし、この十二年、石原都政が十分な改修や耐震化をおこなわなかったのです。自らの責任をたな上げして老朽化を移転の理由にすることは許されません。いま都がやるべきは移転ではなく、何よりも現市場の改修、耐震化です。現在地再整備は十数年かかるといいますが、過大な施設を見直し、建設費や仮移転費などの都負担による整備、同時並行的な準備などによって、工期を短縮し、業者が合意できる案を必ずつくることができます。わが党はいまこそ都議選で豊洲移転反対、現在地再整備を公約したすべての議員が一致して、石原都政の暴走にストップをかけ、現在地再整備を前にすすめるよう、呼びかけるものです。


二、都政が福祉、くらしを守るという立場に立ちかえるかどうかが問われた


 今議会で問われたもう一つの重大な問題は、雇用が破壊され都民のくらしが大変になっているいまだからこそ、都政が住民の福祉、くらしを守るという地方自治体本来の立場に立ちかえるかどうかでした。ところが、知事は雇用情勢が厳しいという認識をしめしていながら、いま以上の雇用対策をやる気がないことを明らかにしたのです。今ほど、都政の転換が求められているときはありません。


(1)雇用、くらし守る具体的提案と財源確保の展望しめした日本共産党

①中小企業支援とセットの雇用拡大を提案


 わが党は、知事自身が経済団体・大企業に乗りこみ、直接雇用拡大を求めるようただしました。同時に都の雇用対策が臨時的短期的雇用対策にとどまっていることを指摘、中小企業支援の強化とセットになった安定的雇用創出にとりくむよう求めました。とりわけ超氷河期といわれる深刻な就職難のなか、インターンシップを受け入れる企業の開拓と財政支援、ニッチトップ企業(これまで目を付けなかった分野)にとりくむ先端企業などの育成、製品開発、売上向上を計画している中小企業に対する資金の助成、専門家の派遣、低利融資などの支援を雇用拡大と結びつけるよう求めました。さらに、全国に広がっている住宅リフォーム制度を都としても創設するよう提案しました。


②国民健康保険の負担軽減を求める


 民主党政権が国民健康保険事業にたいする国や都、区市町村の負担をおさえる方針を打ち出すなかで、二三区では低所得者などの保険料負担が増大するしくみが検討されています。わが党は、知事が国に負担軽減を求めるとともに、都としても区市町村への支援を強め、値上げをおさえるよう要求しました。これにたいし、都は、「都として財政支援をおこなうことや国庫負担を増やすよう求めることは考えていない」と冷たい答弁に終始しました。わが党は、ひきつづき、都民のみなさんと力を合わせて、国民健康保険の負担軽減のために奮闘します。


③多摩地域の小中学校クーラー設置への財政支援が実現


 都民のみなさんとわが党は、市町村立小中学校の普通教室のクーラー設置について都が助成するようくり返し求めてきました。そして、今議会でのわが党の代表質問にたいし、都は「財政支援策を検討していく」と答弁し、今年度から都によるクーラー設置への補助が実現することになりました。重要な成果です。


④浪費の一掃と大企業の適正な負担による財源確保策を提案


 わが党は都にたいし、1㍍1億円もかける外郭環状道路など巨大開発を最重点にした予算の使い方を改めるとともに、東京で集積の利益を享受し巨額な内部留保をためこんでいる大企業に適正な負担を求めることで、都民要求実現のための財源を確保することを提案しました。
 これまでも、法人税や法人事業税の税率引き下げを中心とした税制改定により、都の法人二税は大きく落ちこんでいます。この十数年で、少なく見積もっても、都は八千億円以上の減収になっています。
 また、法人事業税の一部国税化という国の不当な措置でも三千二百五十億円もの減収になっており、合わせて都は1兆円を大きく上回る減収を余儀なくされているのです。さらにいま、民主党政権は、法人税率の5%引き下げをおこなおうとしています。このようなことになれば都はさらに、年間五千百億円もの減収になります。石原知事のように、法人税を引き下げる一方、消費税の増税を求める立場は、都民のくらしを破壊する道です。わが党は、都が政府にたいし、法人税率引き下げをやめるよう強く要求するとともに、都として大企業にたいする法人事業税の超過課税税率を上限まで引き上げることなどで都民のための財源を確保することを求めました。わが党が提案した方向こそ、都民の負担をおさえ、都政が福祉、くらしを充実する財源を確立する道であると確信するものです。


(2)知事の豪華海外出張のムダづかい告発し、是正求めた共産党


 前回の知事選で豪華海外出張に批判が高まり、石原知事は説明不足、反省しているとのべざるをえませんでした。しかし実際はとどまることを知らない豪華海外出張をつづけています。石原知事は就任以来、海外出張に、わかっているだけでも二十八回、四億六千万円もの税金を使っています。前回知事選以降では十三回、二億二千万円、一日当たり三百二十七万円もの税金が使われているのです。中身もひどく、宿泊費一泊十万円、二十四万円など条例でさだめられた上限額などあってなきがごとし、空港から二、三十分のところの交通費が二十四万円など、ムダづかいし放題です。
 その一方で、聴覚障害者のための事業三百五十五万円、高齢者ための事業九百六十万円などわずかな福祉の予算を無慈悲に削っています。このムダづかいを改めるよう知事に求めましたが、知事は答弁に立たず、部下に「支出は妥当なもの」と答えさせました。石原氏の知事としての資質がきびしく問われています。


以上

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