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【談話】二〇一三年第2回定例会を終えて

二〇一三年第2回定例会を終えて


二〇一三年六月七日
日本共産党東京都議会議員団
 幹事長 大山とも子


 今定例会では、都議選、参院選を目前にして、長年の自民党型国政・都政のもとで、軽視、切りさげられてきた保育や高齢者福祉をどう緊急に拡充するのか、破壊された都民のくらしと東京の経済をどうたてなおすのか、そして、都政がどのような方向にすすむのかが、猪瀬都政と都議会各党にするどく問われました。


認可保育園の大増設をはじめ、保育施策の充実は緊急課題
 わが党は認可保育園の増設をいっかんして要求し、この3年間に150カ所、1万7500人分の定員増を実現しました。しかし、まだ大幅に不足しています。このため、わが党は、認可保育園に申しこみながら入れなかった子ども(旧定義の待機児)が、今年4月1日時点で2万1000人におよび、昨年より2000人もふえていることをあきらかにし、都の認識と対応をただしました。
 ところが都は、認証保育所などに入れたら待機児童にふくまないという国の新定義をもちだし、認可保育園の整備計画をしめそうとしませんでした。新定義は厚生労働省が、認可保育園を極力つくらずにすまそうという立場から、待機児を少なく見せるために変えたものです。
 心とからだの発達を保障し、基礎をつくる大切な乳幼児期に、1日の大半を過ごす保育園の環境はきわめて大事です。園庭はもちろん、雨の日でも遊べるホールをそなえ、保育士と子どもの安定した関係をつくることができる保育園の整備が、いっかんして都民からもとめられてきました。
 ところが石原前都政は、認可保育園の設置・運営基準を都独自に引き上げていた「都基準」を廃止したり、低い国の最低基準を都としてさらに引きさげて、保育条件を低下させてきました。認証保育所など認可外保育では、なおのことです。
 施設の設置基準や職員配置、有資格者の割合などの引きさげは、子どもたちの命と安全を守る条件を切りさげる結果になります。待機児解消の名で、都が保育の質を軽視して安上がりの保育ですまそうとするのは、100年の計を誤るものであることはあきらかです。
 都議会の自民、公明、民主の3党はこれまで「大都市特有のニーズにこたえられていない」などと認可保育園を攻撃し、増設をもとめる請願に反対してきました。また、認可保育園の設置基準の引きさげには、生活者ネットもふくめ賛成しました。今定例会でも、維新の会、みんなの党をふくめた「オール与党」は認可保育園の増設をもとめず、自民党は東京では園庭を確保できないとまで発言したことは、都民の願いに背をむけるものです。
東京には、活用可能な都有地や国有地がたくさんあります。わが党は、今後4年間で3万人分の認可保育園増設を実現するために全力をつくすものです。
 一方、今定例会では、わが党が再三もとめてきた、保育士等の待遇改善が、不十分とはいえ補正予算に計上されたことは重要です。わが党は、認可保育園も、認証保育所も小規模保育も、質の底上げをはかるために、職員のさらなる待遇改善はもとより、職員配置や施設の充実をすすめるため全力をつくすものです。それが、子どもたちの豊かな成長を保障し、安全を確保する道です。


高齢者対策は、切りすてから充実へ転換を
 高齢者一人当たりの老人福祉費は、この12年間で13万5千円から10万4千円へ、23%もへらされ、全国1位から29位に転落しました。他の道府県は平均53%ふやしています。へらしたのは東京都だけです。
 わが党がこの事実を追及したのにたいし、知事は、「福祉と保健の予算が1兆円を超えた」とか、介護保険制度の導入など制度が変わっているなかで、高齢者一人当たりの額を議論することは意味がない、などと言いのがれをしました。
 しかし、福祉と保健の予算増額の主な内容は、高齢化の進展などにともなう社会保障費の当然増にすぎません。また、制度の変更は全国どこでも同じであり、東京都だけ一人当たりの老人福祉費を減らしたことの重大性をうち消せるものではありません。
 一人当たりの老人福祉費の大幅減額は、高齢者の医療費助成廃止、寝たきり高齢者への老人福祉手当廃止、シルバーパス全面有料化など、都独自事業をつぎつぎ廃止、後退させた結果にほかならないのです。自民・公明・民主各党が、これらすべての福祉切りすてをあおりたて、賛成してきた責任は重大です。
 こうしたなか、特別養護老人ホームの待機者は、東京では4万3千人におよびます。また、老人保健施設も、グループホームも、小規模多機能施設も、整備率は全国最低水準です。日本共産党は、この事態を解決するために、特別養護老人ホームをはじめ介護施設の緊急増設をすみやかにすすめるよう、全力をつくします。
 東京の高齢者の国民年金の平均受給額は月5万4千円で、全国平均以下であり、家賃や物価の高い東京で人間らしい生活ができるようにするには、在宅高齢者への経済的支援の抜本的充実が必要です。福祉の増進という地方自治体としての役割を発揮し、高齢者福祉をはじめ都独自の福祉事業をたてなおし、全国一の福祉都市東京をとりもどすことこそ、もとめられています。


税金の使い方を大型開発優先から福祉・くらし優先へ
 石原前都政を継承する猪瀬知事は、大型開発優先、福祉・くらしに冷たい都政をすすめています。都民の重い負担になっている国民健康保険料(税)の軽減にも、背をむけています。そうした姿勢は、都の3カ年の重点計画「アクションプログラム2013」で、総事業費の31%が大型開発にあてられる一方、少子化対策、医療対策はそれぞれ2%、高齢者対策は3%にすぎないことにあらわれています。
 不要不急の大型開発にメスを入れ、少子高齢社会に対応できるよう、福祉・くらしを最優先にした財政運営に転換するかどうかが、都政と都議会各党に問われています。
 とりわけ都と国は、関越〜東名間の外環道を建設しようとしていますが、その地下本線と地上部道路をあわせると事業費は約2兆円、1メートル1億円もかかります。
 わが党は、外環道3キロ分の事業費で3万人分の認可保育園、2万人分の特養ホームが整備できることをあきらかにし、外環道建設を中止し、福祉・くらしの充実にまわすよう、つよくもとめました。わが党の提案の方向こそ、都民の願いにこたえる道だと確信します。
 これにたいし、自民、公明、民主の3党は、いっかんして外環道建設など大型開発の推進を主張しつづけています。これらの党に、福祉・くらしの充実が期待できないことはあきらかです。


経済対策は内外の多国籍企業への支援中心から、家計をあたため中小企業振興中心に
 わが党は、アベノミクスなる経済政策が、「投機とバブル」をあおり、また消費税増税と、生活保護制度の改悪、年金給付の連続削減、医療費の負担増などの社会保障大改悪を計画していることをきびしく批判し、これらがすすめられたら、くらしが破壊され、日本経済がさらに冷えこむことを指摘し、知事の見解をただしました。
 これにたいし猪瀬知事は、アベノミクスは「効果をあげている」と評価し、政府の経済政策と連携していくと述べたばかりか、いま必要なのは「困難をのりこえようとする前向きな気持ちだ」として、都民に、物価高や増税、社会保障改悪の痛みにたえるようもとめる立場をしめしたことは重大です。
 しかも、いま安倍政権は、財界・大企業の要求にこたえ、「解雇の自由化」や「サービス残業の合法化」、派遣労働の拡大などの規制緩和、法人税の減税などをすすめ、内外の多国籍企業による国民、労働者のくらし、経済をかえりみない無責任な活動を、いっそう後おししようとしています。その一方、国民の所得をふやす政策はなにもありません。
 猪瀬都政が、〃大企業あって国民なし〃のこの危険な政策に呼応し、東京への外国企業誘致のため、特定地域(アジア・ヘッドクォーター特区)については、法人実効税率を20・2%まで引き下げるよう提案していることは見すごせません。
 いま、多国籍企業へのゆきすぎた減税競争などが世界の多くの国の財政を悪化させていることに、国際的批判がひろがっています。わが党は、日本をふくむ国際社会にとって重要なことは、「無国籍企業」化した多国籍企業にたいし、各国の税財政制度や雇用などのルールをまもるという、社会的責任をはたさせることだと主張しました。
 これにたいし都は、多国籍企業にたいする課税制度の適切なルール化が国際社会で検討されていることを認めたものの、基本的立場を変えようとしませんでした。
 また猪瀬知事は、観光対策と称して、カジノの実現をうち出しました。カジノを実施している各国では、「ギャンブル依存症」が大問題になり、暴力団の介在などの弊害が指摘されています。わが党は、カジノ誘致・合法化を中止するよう、つよく主張しました。
わが党は、経済のたてなおしは日本経済の6割をしめる家計をあたため、事業所の99%をしめる中小企業を元気にすることであると指摘しました。その実現をめざし全力をつくすものです。


憲法をまもり、96条改悪をゆるさない
 わが党は、国会で憲法9条改定を中心とした改憲派が多数をしめており、とりわけ96条の改定による改憲手続きの緩和を、憲法改定の突破口としておしだしたことに、立場の違いをこえて批判がひろがっていることを指摘し、改憲手続きの緩和は絶対に許してはならないというわが党の立場を表明して、知事の見解をただしました。
 これにたいし知事が、「憲法の改正条項についても様々な議論が起こるのは当然」だと答弁したことは重大です。
 近代の立憲主義は、主権者である国民がその人権をまもるため、憲法によって国家権力をしばるという考え方に立っています。そのために、憲法を、時の権力者の都合で簡単に変えることができないよう、改定要件をきびしくしているのです。憲法改定の発議要件を緩和し、一般の法律なみにしてしまうことは、立憲主義を根底から否定するものにほかなりません。だからこそ、憲法改定の是非をこえて批判がひろがっているのです。
 このため、わが党は「憲法96条の改定反対に関する意見書」を、都議会として国にあげようと提案しました。ところが、自民、公明、民主3党が意見書提出に反対したため、採択できなかったことは、きわめて遺憾です。
 また猪瀬知事が憲法9条について、戦争を想定外にしてきたことで、戦争をふせぐ手立てをなくしていると答弁したことも重大です。紛争はなくならないかもしれませんが、紛争を戦争にしないことは人類の英知でできるという理想を最も先駆的にきざんだのが、日本国憲法第9条です。わが党は憲法9条をまもり生かすことで、世界の平和に貢献するために全力をつくすものです。
 また、わが党は、日本維新の会共同代表・橋下徹大阪市長の「慰安婦制度というのが必要なのは誰だってわかる」という、「女性の人権を踏みにじり、人間の尊厳をおとしめる暴言」に関し、撤回と謝罪を求める決議を提案しました。しかし、自民党、公明党の反対で採択できませんでした。


目前の都議選での躍進にむけ全力
 都議会議員選挙が目前です。日本共産党は、認可保育園や特別養護老人ホームの大増設、国民健康保険料(税)の負担軽減をはじめ切実な都民要求の実現をかかげ、働く人や中小企業が元気な東京、原発ゼロ、防災都市東京、憲法をまもり基地のない東京実現のため、躍進にむけ全力をつくす決意です。

以 上



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