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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

一九九九年第四回都議会定例会を終わって(談話)

一九九九年十二月十六日
日本共産党東京都議会議員団団長
秋 田 か く お

一、今定例会は、石原都政がすすめている都政史上かつてない福祉きりすて計画が最大の焦点となり、多くの都民の関心があつまった。
 各局が示した案は、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成と老人福祉手当の廃止のほか、障害者、乳幼児、ひとり親家庭の医療費助成や福祉手当をはじめ都民の宝ともいうべき東京都独自の福祉事業をのきなみ大きく削減する重大な内容である。それだけに、多くの都民のあいだから「命づなをきりすてないで」「弱い者をこれ以上苦しめないで」など痛切な声がひろがり、こうした局案と都民の声にたいする石原知事の姿勢と、各党の態度がするどく問われた。
 わが党は、今回の計画は、都民のいのちと健康、生活の支えをうばい、住民の福祉をまもるべき自治体の変質につながるものであること、また、見直しの理由、根拠も道理のないものであることを明らかにし、見直し案の撤回と、抜本的な再検討をせまった。ところが石原知事は、まともにこたえることなく、あくまで福祉きりすてをすすめるとの考えをくりかえした。また各党から、一律削減への批判と懸念が共通してだされた。
 石原知事は、年内にも福祉見直しの知事案を固め、あくまでも福祉きりすてを都民におしつけようとしており、定例会終了後も緊迫した状況がつづくこととなる。わが党は、来年度予算で福祉きりすての強行をゆるさず、かけがえのない福祉とくらしをまもりぬくため、都民のみなさんと力をあわせて、ひきつづき全力をあげるものである。

一、石原知事は、福祉はあれもこれも削減する一方で、不要不急の浪費である有明の丘の買いとり、有明北地区埋立などには巨額の財政投入をおこなうことを言明した。これは都民を犠牲にして、破たんが明らかな「臨海」開発は聖域として、その救済を最優先するものであり、断じて容認できない。
 わが党は、大型開発温存の姿勢をあらためて、浪費とムダにメスを入れれば、都財政たてなおしと都民要求実現は可能であることを示したが、石原知事は、「危機突破・戦略プラン」でうちだした臨海部開発の拡大や首都圏規模の都市開発など、これまで以上の規模とスピードで大規模開発をすすめることをあらためて表明した。この方向をすすめば、業務機能のさらなる集中をまねくだけでなく、都財政を泥沼にひきこむとりかえしのつかない事態におちいることは避けられない。

一、わが党は、都政が全力をあげてとりくむべき課題について積極的に提案した。大企業のリストラから雇用と中小企業の営業を守ることを、都政の重要課題として位置づけ、知事がその先頭に立つことをもとめ、日産村山工場問題での「情報連絡会」の開催、都が独自に雇用対策室を設置することについて「検討」を約束させるなど、一定の方向をきりひらいた。
 商店街振興で、未交付となっている元気出せ商店街支援事業交付金の支給と追加指定について実行すると約束させたことは、貴重な成果である。
 東部療育センター建設や障害児学校の増改築について、それぞれ前向きの回答を得た。内部河川の改修など生活密着型公共事業を重視する立場から提案をおこない、「都民生活への密着性を十分に勘案」するとの答弁をえた。
 都は財政難を理由に都市計画税の軽減措置を見直すことを検討しており、わが党の提案によって「都市計画税の軽減措置の継続に関する決議」が全会派一致で採択された。これは不況と重税に苦しむ都民の負担を軽減するために提案したもので、石原知事が決議を尊重することを要望する。

一、介護保険の実施がせまるにつれ、介護の充実どころか、逆にこれまでの不十分なサービス水準さえ維持できない問題がはっきりしてきた。
 わが党は、この問題の解決にむけ、老人福祉手当や特別養護老人ホームへの補助をはじめ現行の都独自の福祉事業をまもりぬくこと、基盤整備目標のひきあげ、特別養護老人ホームの待機者解消などを提案した。なかでも、介護保険の対象外となる人だけでなく、認定をうけた人でも介護保険の給付だけでは現行のサービスが維持できない場合が少なくない実態を示し、都の対応を求めた。
 これにたいし石原知事は、「区市町村と協議しながら対応していく」ことを表明した。わが党は政府にたいし、保険料・利用料の減免やおくれている基盤整備など介護保険制度の問題点の解決をつよく要請するとともに、だれもが安心できる介護保険制度を実現するよう、ひきつづき全力をつくすものである。

以 上