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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

都立病院改革についての申し入れ

 都立病院改革会議は七月十三日、石原知事にたいし「報告書」を提出しました。その内容は、「改革」の名で、現在の十六の都立病院を八か所に半減させる、都立病院の大幅縮小・削減計画となっています。
 たとえば都立の小児医療専門病院は、すべて統合・廃止され、府中病院敷地内に新設予定の小児総合医療センターの一か所だけになります。これには「地域の小児医療が崩壊しかねない」とのきびしい批判があがっています。
 都立病院として残すとされている八病院のうち六病院は、特定の専門医療分野の「センター的機能病院」とされていますが、これにより、いままで担ってきた地域医療をはじめ幅広い分野の診療から撤退していくとしたら、地域住民に多大な影響をおよぼします。
 その他の病院は都立病院からきりはなされてしまい、「地域病院」との位置づけになり、民営化や公社移管の対象とされています。現状にくらべ機能を縮小し、サービス低下になることは避けられません。なかでも板橋の老人医療センターは豊島病院に統合し、ただちに民営化するとされているなど、東京都が先駆的にとりくんできた高齢者医療から手を引いていくことになります。
 「報告書」は、公営企業法の〃全部適用〃の方向を提言していますが、これは都立病院の独立採算をつよめ、患者負担の増大につながる心配があります。
 先に都が策定した「都立病院の患者権利章典」は、第一に「だれでも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受ける権利があります」とかかげています。ところが今回の「報告書」では、身近なところから都立病院がなくなり、しかも特定の医療分野の患者しかうけいれない方向をつよめるのですから、患者の権利保障はますますむずかしくなります。そして、都立病院が都民から遠い存在になってしまうのではないでしょうか。
 「だれでも、どのような病気にかかった場合でも、良質な医療を公平に受けられるようにする」ことこそ都立病院が本来はたすべき役割です。「報告書」は、その役割をおおきく後退させるものといわねばなりません。
 都立病院改革会議での議論は、最初から都立病院にたいする都財政の支出をいかにへらすかがいちばんのねらいとされ、民営化の結論が前提というものでした。
 わが党は、こうした「報告書」の方向ではなく、都立病院の本来の役割をいっそう充実させる、ほんとうの改革をおこなうようもとめるものです。
 また都立病院のあり方は、都民のいのちと健康にふかくかかわる問題であり、都民的な議論が必要です。都は、年内にも都としてのマスタープランをまとめるとしていますが、「報告書」を既定の方針とすることなく、自治体と都民、患者、医療関係者にたいする説明会や意見を聞く会などを十分におこない、その意見を尊重すること、「報告書」は議会に報告し審議することを、つよく要請するものです。

二〇〇一年八月八日
日本共産党東京都議会議員団
東京都知事 石原 慎太郎 殿