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■ 申し入れ/談話/声明 日本共産党東京都議団 |
財務大臣 塩川正十郎殿
2001年12月18日
日本共産党東京都議会議員団
21世紀を迎えましたが、戦後最悪の不況とリストラの嵐にくわえ、医療保険をはじめとする社会保障制度の連続的改悪など、小泉政権がすすめる「構造改革」のもとで、国民・都民は明るい希望どころか、かつてない痛み、苦しみの中におかれています。とりわけ東京は、失業率が全国平均をこえ、企業倒産も昨年をうわまわる勢いであり、いっそう深刻な事態です。
こうしたもとで政府に求められているのは、不況を打開し、国民のくらしと福祉、中小企業の営業を守りぬくために、あらゆる手だてをつくすことです。とりわけ、長期に低迷している個人消費を拡大して、景気を回復の軌道にのせることが急がれています。
来年度政府予算編成にあたっては、大型公共事業にかたよった税金の使い方をあらためて、緊急の雇用対策や、中小企業支援、少子・高齢化対策、教育など国民が切実に求めている施策や、地球温暖化対策をはじめとする環境保全のための施策などに予算を重点的に配分することが重要です。
以上の立場から、日本共産党東京都議会議員団は、2002年度政府予算編成に関して、以下の重要事項について、特別な措置が講ぜられるよう、つよく要請するものです。
(1)大量の失業者を生み出す大企業のリストラを規制するため、解雇規制法の制定など雇用のルールづくりを早急に行うこと。サービス残業を根絶させる国の指導を抜本的に強めること。
(2)期限を切らない安定的な失業対策事業など緊急雇用対策の抜本的拡充を行うこと。
(3)雇用保険をフランスなみに5年程度延長することなど、失業保障を拡充すること。自治体が職業紹介事業を実施できるよう制度改正を行うこと。
(4)失業者のために生活つなぎ資金を支給すること。失業家庭などへ就学支援を行うこと。日本育英会は廃止しないこと。
(5)大学・高校新卒者の採用枠拡大など企業に働きかけること。低賃金や無年金など、フリーター、パート労働者の無権利状態の改善につとめること。
(6)「自死遺児」「交通事故遺児」へ奨学金の支給や生活資金援助を行うこと。
(7)消費税の増税計画を中止し、消費税率の引き下げを行うこと。マル優は存続させること。
(8)中小企業予算の一般会計予算の2%への水準への引き上げなど抜本的拡充を図ること。
(9)中小企業金融安定化特別保障制度を復活するとともに別枠、超低利、据え置き期間5年程度の制度融資を認めること。
(10)無秩序な大型店出店の規制を図るとともに、地域商店街支援の拡充を図ること。
(11)東京都の工業集積地域活性化事業への支援を行うこと。下請け保護法の抜本的強化など大企業の横暴なリストラ下請けいじめを規制すること。
(12)不況の打撃が大きい中小建設業のための下請け保護法の適用、仕事確保などの支援を行うこと。
(13)倒産やリストラを拡大する、「不良債権早期一括処理」や、信用金庫、信用組合に対する金融マニュアルにもとづく一律処理はやめること。地域に密着した金融機関の育成を図ること。国民生活金融公庫は廃止しないこと
(14)BSE(牛海綿状脳症)感染の根絶と被害補償をおこなうこと。
(15)避難が長期化している三宅島村民への生活支援を抜本的に強化すること。被災者生活再建支援法にもとづく支援金については、日常生活費を対象にするとともに、長期化をふまえ、くりかえし支給できるようにするなど、抜本的に改善すること。
(16)帰島後の三宅村民生活の早期安定および復旧・復興対策に向けた取り組みについて、東京都の提案要求に基づき、特段の措置をとること。
(17)サラリーマンや高齢者の医療費自己負担の引き上げや、政管健保の保険料値上げなどの医療保険制度の改悪を行わないこと。70歳以上の老人医療健康制度を堅持すること
(18)国民年金をはじめとする年金給付を大幅に拡充し、最低保障年金制度を確立すること。基礎年金への国庫負担を2分の1にするとともに、無年金障害者などの救済措置を早急に講じること。
(19)乳幼児医療費無料化制度を創設すること。児童手当の拡充、出産・妊産婦検診費用の負担軽減をはじめ子育て支援・少子化対策を抜本的に強化すること。
(20)小児科医養成の強化、診療報酬の抜本的改善、小児救急医療支援事業補助の拡充などにより、小児医療体制の危機打開をはかること
(21)保育所、学童保育の運営費、施設整備費に対する財政支援を拡充すること。父母負担の軽減を図ること。認可保育所の最低基準を引き上げるとともに、営利企業の参入をやめること。
(22)ひとり親家庭医療費無料制度の創設など、ひとり親家庭にたいする支援策を抜本的に強化すること。児童扶養手当は拡充し、改悪を行わないこと。
(23)障害者(児)の所得・医療保障を拡充するとともに、重度身体障害者のための福祉ホームをはじめ多様な居住の場を制度化すること。小規模法内通所授産施設にたいする補助を大幅に拡充をすること。精神障害者に対する福祉施策を抜本的に拡充すること。
(24)障害者福祉への支援費支給制度により、障害者の負担増やサービス低下が起きないようにすること。
(26)国民健康保険に対する国庫補助の大幅増額を行うこと。建設国保をはじめとする国民健康保険組合への支援を強めること。
(27)家族看護休暇の保障をはじめ育児介護休業制度を拡充し、家庭と仕事の両立支援を強化すること。
(28)生活保護を必要とする人に対し確実に適用、支給すること。ホームレスに対する総合的支援策を図ること。
(29)介護保険の保険料、利用料の減免を実施すること。現行の特別対策は抜本的に拡充すること。介護保険に対する国庫負担を大幅に増やすとともに、介護報酬を実態に見合ったものに引き上げること。
(30)在宅、施設の介護サービス基盤整備の促進を図ること。特別養護老人ホームや老人保健施設、デイサービスなどの施設整備、及び運営の充実に対する支援を拡充すること。特別養護老人ホームにホテルコストの導入を行わないこと。
(31)ケアマネージャー、ヘルパーなど人材の確保と待遇改善を図ること。
(32)ねたきりゼロをめざし、介護予防や生活支援事業、健康づくりのための施策を大幅に拡充すること。
(33)京都議定書を1日も早く批准し、温室効果ガスの6%削減目標を確実に達成すること。また、現在の「地球温暖化対策推進大綱」を早急にみなおし、実効性のある具体的施策を導入すること。
(34)浮遊粒子状物質、窒素酸化物の発生を抑制するためディーゼル車への規制を抜本的に強化すること。大都市における自動車交通総量規制を進めること。また、公害健康被害者補償法によるな地域指定を復活すること。
(35)都市公園の拡充や自然樹林地・屋敷林などの自然緑地保全を図るなど、地球温暖化対策を図ること。
(36)生産緑地の拡大、農地の相続税減免など都市農業支援を図ること。
(37)森林、樹林地に対する相続税などの軽減及び猶予措置を拡充すること。
(38)住宅行政からの撤退をやめ、公営住宅の建設戸数を引き上げるとともに、用地費などの国庫補助を大都市の実情に合わせて拡充し、超過負担を解消すること。また、公営住宅の入居収入基準及び明け渡し収入基準を大都市の実態に合わせて引き上げること。住宅金融公庫は廃止しないこと。
(39)分譲マンションの管理、大規模改修、建て替えなどへの支援を強化すること。
(40)建築基準法の見直しや消防職員の増員など緊急雑居ビル対策を図ること。
(41)ごみの多種分別収集、減量リサイクルのための補助を抜本的に強化すること。
(42)交通不便地域解消のため域内交通を交通政策に位置づけるとともに、ミニバスやライトレールトランジット(LRT)への国庫補助を拡充すること。
(43)ゆとりある学校教育を保障するため、国の財政負担で小中高校の30人学級を実施すること。
(44)養護教諭の全校複数配置、スクールカウンセラー配置など、心のケア対策のための教育条件整備を急ぐこと。
(45)障害児の重度重複児の増加に対応し、学校、施設、教員の増配置などの抜本的拡充と医療的ケアの必要な児童生徒への対応を図ること。
(46)小中学校の老朽校舎の改築や大規模改修事業、耐震補強への必要な国庫補助事業量を確保すること。高等学校への国庫補助を復活すること。
(47)私立学校助成制度を堅持し、私立高校経常費助成を拡充すること。30人学級実施、老朽校舎改築などのための特別助成を実施すること。私立専修学校に対する助成を拡充し、高等課程への助成を創設すること。
(48)学校週5日制完全実施に向け、学校での生活リズムや学習内容の後退をまねかないようにすること。「子どもゆめ基金」を拡充し、全ての子どもに土曜・休日の居場所を保障するための対策を抜本的に強化すること。
(49)国立公立大学の独立行政法人化に道をひらく大学関連法の改悪を行わないこと。
(50)大型公共事業優先をあらため、公共住宅、生活道路、公共交通網、介護基盤整備など生活密着型公共事業への転換を図ること。
(51)壮大なムダ使いとなる「首都機能移転」は中止すること。
(52)首都圏規模での大規模開発をすすめる「都市再生プロジェクト」は中止すること。
(53)自然や住環境破壊、公害の拡大、財政破綻などをもたらす、圏央道、外郭環状道路、首都高速中央環状線など3環状道路は、都民参加で抜本的に見直すこと。
(54)過大なウォータープランにもとづくダム建設を抜本的に見直し、本格的な施設更新期を迎える上下水道の改良事業を国庫補助対象とし、財政援助を行うこと。
(55)国と地方の税源配分を抜本的に見直し、所得税の地方税への委譲を中心とした大幅な税源委譲を行うこと。
(56)地方交付税の算定にあたっては、膨大な昼間流入人口に伴う大都市特有の財政需要や国会等の首都としての財政需要を的確に反映させること。警視庁職員のうち首都機能に対応するものについては国が財源負担をおこなうこと。
(57)義務教育国庫負担制度を堅持するとともに、各種国庫負担金財政調整措置を廃止すること。
(58)都債の低利借換えを認めること。
(59)首都高速道路公団への無利子貸付や各種国直轄事業の押し付けなど、地方自治体に過大な財政負担を押しつけないこと。
以上