■政策と主張

日本共産党東京都委員会の緊急・重点政策

2000年12月18日

福祉・くらし・平和を守る都政へ力をあわせましょう

 日本共産党東京都委員会は、都民の福祉やくらし、平和を守るための「緊急・重点政策」を発表しました。
 社会保障のあいつぐ切り下げと老後への不安、史上最悪の失業率と倒産による生活の破壊と困難、子どもと教育をめぐる深刻な状況、環境破壊…。都民生活はかつてない危機に直面しています。こうしたときだからこそ、東京都は国の悪政から、都民の福祉とくらし、営業、環境をまもるために力をつくしてもらいたい──これが多くの都民の願いです。
 しかし、いまの石原都政はこの願いにこたえているでしょうか。石原都政は、わが党も賛成できる大銀行への課税強化やディーゼル車規制をうちだしたり、首都移転に反対の立場をとっていることは知られていますが、その一方で、地方自治体の本来の立場である、くらしと福祉をまもる役割を投げすてる道をすすんでいます。

石原都政と自民・公明などが都政史上かつてない福祉の全面切り下げ

 介護保険がはじまってから、重い利用料が高齢者の生活を直撃しています。介護サービスは、限度額の5割程度しか利用されず、介護保険がはじまる前より介護サービスが後退した人がたくさんいます。これにくわえて月から、高齢者からの保険料徴収もはじまりました。このためいま、「負担が重すぎてやっていけない。介護保険の負担を軽くしてもらいたい」という都民の声が大きくひろがっています。
 しかし、石原都政は、介護保険の保険料も、利用料についても、〃国に軽減を要求することは考えてないし、都独自に軽減にとりくむつもりもない〃と都民の願いを冷たく拒否しています。
 しかも石原都政は、介護保険の導入をも口実にして、福祉をのきなみ切り下げることを主な目的とした「都財政再建推進プラン」をつくり、今年3月に、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成(マル福)と老人福祉手当の段階的廃止、そして特別養護老人ホームへの補助や障害者医療費助成、重度障害者手当の全面切り下げなどを決めました(資料1)。これは、これまでどの都政もできなかった福祉切り下げです。
 自民党や公明党は、都議選での「シルバーパスを現行どおり存続」「福祉をまもる」という公約を投げすて、これにすべて賛成しました。民主党、社民党も障害者施策を除くすべての切り下げに賛成しました。
 いま、介護保険の重い負担と都の福祉切り下げの影響がしだいにひろがり、高齢者、障害者をはじめ都民生活を苦しめています。特別養護老人ホームは、介護保険の実施と都の補助切り下げによってのきなみ1億円程度収入が減っています。日本共産党都議団の調査によれば、多くの特別養護老人ホームで、介護の職員を減らし、食事の質を落とし、バス旅行会をはじめとしたレクリェーションをなくすなど、6割の施設でサービスが後退しています。また、老人福祉手当が月5万5000円だったものが、毎年1万3750円ずつ減らされ3年で廃止になることや、マル福が現在歳以下の人は利用できなくなり6年で廃止されること、シルバーパスが有料化されることが、欠陥介護保険制度の実施や医療保険の改悪などとあわさって、二重、三重に都民生活を苦しめています。
 そして、「老人福祉手当があるから、ようやく介護保険の利用料が払えるのに、今年からそれが4分の1減らされ、来年、再来年とさらに切られてなくなってしまいます。もうやっていけません」「歳になるから、マル福で糖尿病の医療費負担が軽くなると思っていたのに、再来年までうけられなくなった」など悲鳴の声がひろがっています。
 東京の年金生活者の6割を占める国民年金生活者の平均月収は5万円程度です。これで、介護保険の利用料や保険料を払い、大幅値上げの医療費を負担し、シルバーパスの代金を払わなければなりません。その一方で老人福祉手当が減らされます。都営住宅居住者は減免制度が切り下げられ家賃負担増がくわわります。とてもくらしていけません。
 障害者とその家族の苦しみもほんとうに深刻です。月に万円程度収入がある家庭は、医療費助成も重度心身障害者手当も打ち切られてしまったのです。「重度の障害があるために外来で1回7000円かかる。日入院したら万円かかった。医者にモニターとか、心電図をつけないでいいです、といったら『それでは死んでしまいます』といわれた」「家賃や物価は高くても、福祉の充実している東京に移ってきました。でも、医療費助成や重度手当がうけられなくなってしまったのでは、もう東京には住めません」などという切実な声がよせられています。
 公明党などは「東京都はいい仕事をしている」「福祉の切りすては当たらない」と言いわけにけんめいですが、高齢者や障害者の福祉予算は大幅に減らされ、都民が苦しんでいることは明白な事実です。石原都政の福祉切り下げを美化する公明党などへの批判が高まるのは当然です。
 このほかいま、生活と営業の深刻な困難に直面している都民から、都政にたいし「都営住宅家賃の減額、免除が打ち切られて払いきれない。なんとかならないか」「働きたくても仕事がない。失業対策事業をやってもらいたい」などという切実な要求がたくさんうずまいています。しかし、石原都政と自民党・公明党などはこうした声に耳をかたむけようともしないのです。

福祉切り下げの一方で大型開発のムダづかいすすめる

 なぜ、こんなことになっているのでしょうか。
 それは、都政が地方自治体の一番の仕事であるくらし、福祉をまもるという立場を投げすて、大型開発のムダづかいをつづけているからです。
 これまで、長年の自民党と公明党を中心とする都政は、臨海副都心開発や豪華都庁舎などゼネコン型公共事業に湯水のようにお金を使い、一般会計だけで7兆円という莫大な借金をつくりました。これが都財政を大きく圧迫しています。公共事業予算は、この数年はさすがにへってはきました。しかし、石原都政になった今年度の予算でも、福祉に大ナタをふるう一方で、6兆円の予算のうち公共事業予算を約1兆1000億円も計上しました。これは、バブル前の時期と比べるとまだ2倍も多いのです。なかでも、破たんした「臨海」開発に600億円、首都高速道路公団に139億円も無利子でお金をかしつけるなど大型道路建設に1000億円、汐留再開発など大型開発に1000億円もつぎこんでいます。この逆立ちをあらため、予算の主役を福祉、暮らし中心に切りかえれば、多くの都民要求が実現できます(資料2)
 ところが、石原都政は逆立ちをただそうとしません。自民党や公明党、そして民主党までも、都議会で臨海副都心開発など大型公共事業推進の立場をとっています。
 そればかりか、石原都政は、最近発表した「東京構想2000」(中間のまとめ)などで、大型道路や大型開発を首都圏規模で次つぎにすすめるという方針を打ちだしています。臨海部の開発は、現在の臨海副都心開発の倍以上の区域に開発をひろげ、東京圏大改造の起爆剤にするというのです。臨海副都心開発は、いまでも借金が1兆3000億円もあるうえ、毎日1億円も赤字をふやしつづけています。石原知事や公明党などは、首都移転にかける費用、約兆円の半分をこうした大型事業などにつぎこませるのだといっています。そんなことをやったら、いまでも借金づけで破たんしている都や国の財政はとりかえしがつかなくなります。
 その一方で、〃福祉は民間企業にまかせる。サービスは有料にする〃といって、事実上、都が福祉から手をひき、高負担とサービス切り下げをいっそうつよめようとしているのです。また、法人事業税の外形標準課税を実質的に中小企業へひろげることや庶民増税となる所得税の課税最低限の引き下げを提案する(都税制調査会答申)など、庶民と中小企業への増税の旗ふりをおこなっています。

憲法否定の特異な政治的立場を都政にもちこむ石原知事

 石原知事は、アジアの人々を「三国人」とべっ視する発言をおこない、都知事として初めて靖国神社を公式に参拝するなど、内外からきびしい批判をうけました。さらに、「陸海空『三軍』を使った災害時の合同大演習を」「治安出動が必要だ」「戦車、装甲車でまちを封鎖する訓練を」などといって、今年9月3日、自衛隊中心の防災訓練をおこないました。地方自治体や住民、消防はそっちのけ、自衛隊だけが突出した「防災訓練」に都民の批判の声がひろがったのは当然です。
 その後も、日本の武器輸出禁止の原則を「ばかなルール」というなど、石原知事の特異な発言はエスカレートしています。石原知事のこうした発言の根底には、「わけのわからない憲法を米国から押しつけられた」、「日本は完ぺきな再軍備をする。そういう軍事大国になったらいい」などという、同氏の侵略戦争への無反省と憲法否定の立場があります。衆議院憲法調査会(2000年月日)では、「国会で(憲法を)否定したらいい。憲法を歴史的に否定していただきたい」などというおどろくべき発言をおこない、改憲勢力のなかでもきわだった憲法否定の立場をあらわにしました。
 石原氏は都知事選のとき、こうした特異な公約をかかげたわけではありません。にもかかわらず、都知事としての地位を利用して憲法に反する特異な主張を都政にもちこむことは、都政の私物化ではないでしょうか。憲法をまもるべき知事の立場とも相いれません。
 また、副知事がおこした暴力的事件にたいして、これを容認し、毅然とした対応をしないことも、石原都政のこうした体質を示すものとして都民の批判がひろがっています。

日本共産党は悪政とたたかい、都民要求を実現するためにがんばっています

 石原知事の目にあまる都民いじめ・憲法否定の都政に歯止めをかけ、都民の福祉、くらし、そして民主主義をまもるために、都議会がそのチェック機能を発揮し、都政改革にとりくむときではないでしょうか。
 日本共産党は、前回の都議選で第2党・名に躍進した力で、悪政ときっぱりたたかい、都民生活をまもるためにがんばっています。日本共産党は、大型開発への投資を削減し、福祉やくらしを充実するという具体的提案をくりかえしおこなってきました。このため、東京都も不十分とはいえ、大型公共事業をある程度削減せざるをえなくなりました。また、都税収入をふやすために、日本共産党は大銀行への外形標準課税の実施をいち早く提案、今年これが実現することによって1100億円の財源を生み出しました。切り下げの対象だった乳幼児医療費助成制度は、都民のみなさんの運動と力を合わせて、対象を3歳未満児から5歳未満児までひろげることができました。さらに障害者の都営交通乗車証、高齢者の生活支援ヘルパーや生きがいデイサービスを実施させるなど、たくさんの福祉の要求を実現しています。スクールカウンセラーの配置などいじめや不登校対策もとりくみに手をつけさせました。商店街を支援するための「元気だせ商店街事業」の継続と拡充や「空き店舗対策」の充実、無担保無証人融資の限度額と融資期間の拡充など中小企業対策もすすめさせました。ディーゼル車規制の提案もくりかえしおこない、推進の流れをつくりだしました。こうした実績をあげることができるのは、都議会で都民のみなさんの運動とむすんだ建設的提案と論戦を積極的にすすめているからです。じっさいに、都議会の各常任委員会の質問の4割は日本共産党議員の発言です(資料3)
 都議会改革にもとりくみ、日本共産党の提案で、都議会の情報公開条例が制定され、都議会の海外視察も中止・自粛させてきました。石原知事の憲法否定の特異な立場を都政にもちこむことにたいし、きっぱりノーといってたたかっている党も日本共産党です。
 こんどの都議選で、日本共産党のの議席をまもりぬき、さらに前進できるようぜひ力をおかしください。前回の都議選で「都民いじめの財政健全化計画を許さない」と訴えた日本共産党が大きく躍進することよって、青島都政の福祉切り下げをやめさせることができました。その後、石原都政が誕生し、自民、公明などが公約を投げ捨てるなかで、福祉切り下げが強行されましたが、都議選で、日本共産党がふたたび躍進すれば石原都政の都民いじめをやめさせ、都民の福祉とくらしをまもる大きな展望が切りひらけます。

都民のみなさんとすすめる当面の緊急・重点政策

 日本共産党は、憲法と地方自治をまもり生かす、「都民が主人公」の都政への改革をすすめるために全力をつくします。当面、くらしと福祉、環境などをまもるために解決が急がれる次の緊急政策、重点政策の実現をめざします。大型開発の事業費の一部をまわせば、必要な財源は生み出せます。しかも、今年度、来年度の都税収入が当初の見込みより三千億円から四千億円ふえるため、この一部を使うだけで、所得の低い人に介護保険の保険料、利用料を減免し、切り下げられた福祉を復活すること、乳幼児医療費を就学前の子どもまでひろげること、そして失業や倒産に苦しむ都民の生活を支援することなどはすぐにでも実施できます。

1、介護保険の重い負担の緩和、介護基盤の緊急整備、切り下げられた福祉の復活など、高齢者や障害者をささえる体制を確立する

 重い介護保険の負担を少しでもやわらげようと、都内の区市町村(月日現在)が所得の低い人に保険料や利用料を減免しています。東京都市長会も都独自の介護保険料の減免を求めています。区市町村と協力し、都として所得の低い人に保険料、利用料減免制度を緊急に確立します。
 東京では、かつての革新都政時代に「全国一」といわれた福祉がきずかれました。しかし、長年の自民党型都政のもとで、状況がかわってきました。老人保健施設の定員や在宅介護支援センターの整備状況は全国最低。デイサービスセンターは全国番目、特別養護老人ホームの定員も番目と、介護の基盤整備の遅れは深刻です(資料4)。そのうえ、石原都政が各種の医療費助成や福祉手当など東京の先進的な福祉を切り下げたのです。
 東京以外の多くの大都市では、老人医療費助成やシルバーパス制度、障害者医療費無料制度がまもられています(資料5)。また、ヨーロッパの多くの都市では、いまでも各種の手当で高齢者や障害者、子どもの福祉がささえられています。
 東京は、いまや〃福祉後進県〃になったといっても過言ではなくなってしまいました。
 都の寝たきり高齢者の老人福祉手当は、段階的廃止を中止し、介護保険の欠陥をおぎなえるよう拡充します。
 また、老人医療費助成(マル福)、障害者医療費助成、障害者の福祉手当など、切り下げられた福祉をもとの制度にもどします。
 ヘルパーやケアマネージャーなど人材確保とあわせて、特別養護老人ホーム、デイサービスなどの高齢者介護基盤緊急整備計画をつくり、すすめます。

2、乳幼児医療費助成や保育の充実、育児休業支援事業など、子育て支援・少子化対策をすすめる

 乳幼児医療費助成は、対象年齢や所得制限などについて、区と財政力の弱い多摩地域とのあいだで格差がうまれています。都として就学前までのすべての子どもに医療費助成をおこなえるようにします。また、有料化された入院食事代は無料にもどします。
 東京の女性が生涯に産む子どもの数は1・人と全国最低であり、働きながら子育てができる条件づくりが緊急課題です。じっさい、保育園に入園を申し込みながら入れない子どもが都内に1万2000人と全国最悪水準であり、延長保育やゼロ歳児保育などもまだまだ不十分です。
 しかし、石原都政は、保育園への補助金を大幅にけずりました。このため、多くの保育園で早朝や夕方のパート保育士をけずらざるをえなくなるなどの問題が生まれています。乳児保育は、看護婦や調理師などの配置が義務づけられていたのに、これもなくされ、保育園の職員配置と施設面積の設置基準を年前の水準にもどしました。このため東京では保育士がほとんどふえていません(資料6)
 保育水準切り下げにストップをかけ、保育所の増設とゼロ歳児保育、延長保育、夜間保育など保育内容の充実、保育士の増員などへの助成をつよめます。
 また、育児休業中に雇用保険で保障される給付金は、来年1月から多少改善されるものの、生活をささえるには不十分です。しかも、育児休業中に多少なりとも賃金を支給する会社はほとんどないうえ、従業員に育児休業を保障しない会社もたくさんあります。高知県など四県では、育児休業や子どもが病気のとき看護できるよう制度をつくった会社に補助金を支給するなどの支援事業をすすめています。
 子育てをする男女が残業の免除を請求できる制度や子どもの看護休暇制度をつくることをふくめ、育児休業制度を拡充・促進するよう、東京都が国や企業にはたらきかけるとともに、都独自に中小企業にたいし助成をおこない、育児休業制度推進相談員の派遣などをすすめるなど育児休業支援事業をつくります。
 また、不妊治療の保険適用をもとめるとともに都として不妊治療と出産費用への助成をおこないます。

3、生活保護の拡充、失業対策事業、リストラ規制条例の制定、青年の雇用確保など、働く人の権利と暮らしをまもる

 大企業などのリストラによる失業と倒産がふえ、東京を中心とする南関東地域の失業率は5・2%と全国平均を大きく上まわっています。とくに青年は%台とほんとうに深刻です。
 このため、「働こうにも職がない。失業者は人間としての尊厳をも奪われてしまう」という悲痛な声がひろがり、生活保護をうける人も激増しています。
 働きたくても働く場所のない人のために、生活保護対策や子どもの就学援助を充実します。石原都政のすすめる職業訓練校の統廃合を中止し、コンピューター技術を身につけたり、ホームヘルパー、商品販売士などを養成するための職業訓練事業を大幅に拡充します。
 公共建築物の集中的耐震診断事業やごみリサイクル事業などの緊急失業対策事業をおこし、また、保育や介護事業への助成と支援を大幅に強化するなど、都民の福祉を拡充しながら教職員、保育士、看護婦、消防士などの雇用の拡大をはかります。
 都として、働く人の約3分の1近くを占めるパートやアルバイト、派遣労働者の待遇改善のため、社会保険への加入を促進し、退職金共済や休業補償制度を充実するための支援をつよめます。都として障害者雇用を積極的にすすめ、企業での雇用促進を支援します。
 ヨーロッパやアメリカなみに、大企業の身勝手なリストラやサービス残業などを規制し、労働者のくらしと権利をまもるルール(仮称「東京雇用ルール」)を確立するとともに、東京都と取引のある大企業などを中心に身勝手なリストラをおさえ、労働条件を改善させるリストラ規制条例をつくります。

4、商店街振興、工業活性化支援など、中小企業を支援する

 石原都政のもとで、都の中小企業対策が一部のベンチャー企業などだけを支援する方向にゆがめられ、不況で苦しむ多くの中小企業が見すてられる危険がつよまっています。地域経済の主役である中小企業をまもる緊急対策をすすめます。
 中小企業への貸し渋りをやめさせ、長引く不況に対応した緊急融資や無担保無保証人融資の拡充をおこないます。都議会議員などが介在する不正融資をただします。
 高齢化社会をむかえ、大きな役割を期待されている地域の商店街をまもるために、商店への家賃補助、駐車場確保、消費税還元セール、個別の商店の改造・改装などにたいする支援と助成をつよめます。区市町村と協力して無秩序な大型店進出や、てまえ勝手な撤退を規制します。
 都内の金属、精密機械など製造業は、この5年間に5000もの企業がなくなるなど、深刻な危機に直面しています。
 中小企業支援センターをふやし、充実するとともに、都内の大学や試験研究機関との技術連携をつよめ、製品開発や販路拡大、展示会の開催、工業集積地域の活性化事業の継続・拡充などをすすめます。機械金属、印刷製本、アパレルなどを三大地場産業として支援します。商業、工業、建設業など分野ごとの中小企業振興プランと商工業振興の条例づくりをすすめます。
 生産緑地の保全と拡大、相続税の減免など都市農業をまもります。

5、傷んだ校舎などを緊急に修理し、人学級を段階的実施するなど、ゆきとどいた教育をすすめる

 教育や福祉予算が年々削られ、学校や保育園、児童遊園などの建物や設備、備品の傷みがひどくなっています。古い蛍光灯による学校のPCB汚染も問題になっています。子どもたちにゆきとどいた教育、保育を保障するために、都として必要な助成をし、緊急計画で修理や備品のとりかえ、整備をすすめます。
 子どもたちの「勉強がわからない」という最大の悩みを解決するために、受験中心のつめこみ教育をやめるとともに少人数学級化が急がれます。政府の教育基本法改悪のくわだてに反対するとともに、体罰を賛美する石原知事の特異な教育観のもちこみをやめさせ、子どもの自主性を伸ばし、基礎学力と健全な市民道徳をはぐくむ教育をめざします。
 学年ごとに段階的に人学級化をすすめます(資料7)
 また、暴力や性をむきだしにした映像や雑誌から、子どもたちをまもる自主的な規制の確立をめざします。そのために、専門家、都民が参加する懇談と協議の場をもうけます。
 都立高校への入学希望者がふえており、今年度は1500人もが全日制高校に希望しても入れませんでした。都立高校統廃合・改編計画を見直し、希望者全員入学をめざします。また、私学助成の削減をやめさせ、充実します。

6、三宅島などの噴火・地震被害の救済をすすめ、住民参加の防災まちづくり、防災体制の確立で、地震と災害につよい東京をつくる

 三宅島など噴火と地震で被害をうけた住民にたいし、全面的な生活支援をおこない、住宅や店舗などの個人補償、事業再建への支援を実現します。火山灰の除去や道路など公共・公益施設の整備、観光、農漁業対策の強化など島の復興をすすめ、火山活動や地震の監視・予知体制をつよめます。
 都市型水害を防ぐために、雨水土壌浸透の促進、調節池や護岸整備など総合的治水対策をすすめます。
 また、東京では、直下型の大規模地震から都民のいのちと財産をまもる対策をすすめることが緊急課題となっています。しかし、石原知事は消防力や人命救助体制の充実にほんとうに不熱心です。「自分の身は自分で守れ」といって、震災予防条例を改悪し、前文でうたいあげられていた「人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最小限にくいとめることができる」という予防の立場を削除し、建築物の耐震性の強化など震災予防対策への都の責任を縮小しようとしています。
 防災対策でいま必要なのは、阪神・淡路大震災の教訓にもとづいて、なによりも初期消化、人命救助などの体制を確立し、建築物を耐震性の強化をはじめ防災まちづくりをすすめることです。また、自治体と住民、消防などが協力して、震災発生直後の消火・人命の救助の体制と訓練を積み重ねることです。これをやらないで、自衛隊中心の防災訓練に熱中するのは、本末転倒です。
 都民の住宅への耐震診断の実施と補強、改築への助成をおこなうとともにすべての都市計画事業に防災アセスメントを実施し、災害危険地域を中心に区市町村や住民とともに防災まちづくりをすすめます。
 ポンプ車や化学車、ハシゴ車、クレーン車、耐震性貯水槽、レスキュー隊の増強など、防災と人命救助の体制を大幅に充実し(資料8)、ライフラインの安全対策をつよめます。震災復興計画の上からのおしつけは、やめさせます。

7、特別養護老人ホームや都営住宅、生活道路など都民のくらし・福祉に役立つ公共事業を積極的にすすめる

 石原都政は、大型開発をすすめる一方、都営住宅の新築はゼロにするなど、都民生活に密着した公共事業を大幅にへらしています。この逆立ちをただし、大手ゼネコンだけがうるおう大型公共事業優先をあらため、特別養護老人ホームや高齢者在宅サービスセンター、保育園、重度障害者寮などのような福祉施設や学校、都営住宅などの整備を優先した公共事業を緊急計画をつくって積極的にすすめます。
 交通渋滞、交通事故対策として、右折レーンの大幅増設(資料9)、歩行者の安全確保のための道路・歩道整備などを緊急計画ですすめます。こうすれば、都民のくらしの向上にも役立ち、中小企業の仕事も確保できます(資料10)

8、自然保護条例の改正、大型公共事業見直しのルール化など、みどりをまもり、環境共生型のまちづくりをすすめる

 東京の貴重なみどりと自然が開発によって失われようとしています。改悪された自然保護条例を抜本的に改正し、里山や市街地に残された貴重なみどりと清流などをまもるとともに、都内に残された遊休地を活用した都市公園の確保をすすめます。オオタカやオオムラサキなど希少動植物の保護条例を制定します。ディーゼル車の排ガス規制をさらに拡充するとともに、自動車交通総量規制、交通需要マネージメントなど自動車公害対策を促進します。
 メーカー責任を明確にした容器包装リサイクル法への見直しを国に求めるとともに、区市町村と協力し、製造段階からの発生抑制と都民参加での減量・リサイクルの運動をすすめます。産業廃棄物の増大をおさえるため、地域内で資源を循環・再利用し、ごみをださない、いわゆる「ゼロ・エミッション」の推進などを企業に求め、産業Gメンによる不法投棄のとりしまりなど適正な処理・処分をすすめます。
 いま、ニューヨークやロンドンなど世界の大都市では、環境をまもるためにゆきすぎた幹線道路建設をおさえ、再開発を見直すなど、都市の成長をコントロールする政策が大きな流れとなっています。日本でも、公共事業見直しの大きな世論のなかで、吉野川可動堰や愛知万博などが見直されることになりました。東京でも、環境への影響や財政負担などもふくめて、住民参加で公共事業のあり方を決める「事業評価制度」や計画の廃止もふくめた環境影響評価(アセスメント)をおこなう、総合的アセスメント制度など、公共事業をコントロールするしくみをつくります。

9、憲法を都政に生かし、平和と民主主義をまもる都政へ

 石原知事の憲法否定の特異な立場の都政へのもちこみを許さず、平和、人権、社会保障、地方自治など憲法の大事な原則を都政に生かすことをめざします。横田基地の撤去をめざし、爆音被害の緩和・解消の都民的共同をすすめます。