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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


本会議 代表質問 二〇〇五年三月一日

渡辺 康信(足立区選出)

国の悪政が都民生活を直撃しているいまこそ、都民のくらしへの応援を拡充すべき
「都市再生」のツケが、福祉、中小企業の予算を圧迫

7兆円の大増税・負担増計画の撤回を要求せよ
福祉削減による都民の痛みを考えたことがあるのか
高齢者福祉の充実は、緊急課題
高齢者への新たな経済的支援を
中小企業への支援も大後退・・・予算拡充を
大型店の出店に自治体の権限で規制できる法改正を求めよ
「都市再生」のために巨額投資
中央環状品川線の直轄事業化は前例のないやり方
臨海関連三セク五社の累積損失は合計で千三百億円超 破綻した臨海開発は抜本見直しを
三十道府県が、投資的経費をマイナスシーリング
東京都だけが三〇人学級を拒否

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7兆円の大増税・負担増計画の撤回を要求せよ

 私は、日本共産党都議団を代表して質問します。
 いま小泉政権により、国民に、総額七兆円におよぶ大増税・負担増がおしつけられようとしています。これに対し新聞各紙も、「負担増路線が確定」「老いも若きも負担増」と、きびしい論調で報じています。今議会において都政の課題を論じ、予算のあり方を考えるときに、この問題を避けてとおることはできません。
 おもなものだけでも、所得税、住民税を減額している定率減税の縮小・廃止が勤労者世帯を直撃します。消費税の免税点引き下げで、中小業者に大きな負担増がおそいかかります。青年には年収わずか百万円台のフリーターに対する課税の強化、国立大の学費の値上げ。はたらく世代には国民年金、厚生年金の保険料値上げ、高齢者には、老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小など年金課税の強化、さらには生活保護の老齢加算の削減、特別養護老人ホーム利用者からの家賃徴収、介護保険料値上げなど、まさに、あらゆる世代から、しぼれるだけしぼりとるというものです。
 この四年間連続して家計の所得は数兆円規模で減りつづけているときに、こんな大増税・負担増路線にふみだすことは、戦後前例のないことです。七兆円の負担増は、橋本内閣の大失政の二の舞というだけではすみません。国民生活と日本経済にはかりしれない打撃となることは、明らかではありませんか。国民、都民の怒りが日に日にひろがっています。
 政府がこの大増税・負担増を都民におしつけることは許されません。知事、そう思いませんか。
 私は、知事が政府に対して、この大増税・負担増計画を撤回するよう、つよく要求すべきだと考えますが。見解を伺います。

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福祉削減による都民の痛みを考えたことがあるのか

 小泉政権が、都民生活にいっそうの「痛みを」おしつけようとしているときに、石原知事が編成した来年度予算案には、この国の悪政から都民をまもるという立場がないのは驚くべきことです。福祉予算は、「三位一体改革」にともなう国民健康保険に対する国庫負担が都におしつけられた予算増をのぞけば、実質減です。医療、教育、住宅、中小企業、環境など、都民生活にかかわる予算はのきなみ減らされました。その一方で巨大ビルと大型道路の「都市再生」の予算は大幅に増額されています。今年度と来年度で六千億円もの増収が見込まれるのに、福祉や都民のくらしのためにはほとんどまわされていないことに対して、「おかしいじゃないか」という声が、多くの都民からあがっているのは当然のことです。
 なかでも福祉関係費はこれまでに、決算でみると八百五十六億円も削減されてきたのです。高齢者の人口が増えているのに福祉関係費がこれほど減らされたのは、ほんとうに異常なことです。
 これに対し、知事は歴代知事と比べると、福祉予算の構成比は自分のときがもっとも高いと言い訳しました。とんでもないごまかしです。歴代知事が福祉予算をどれだけふやしたのか。美濃部都政は福祉の構成比を三・二%から六・五%へ倍加させ、予算額を十二倍にふやしました。鈴木知事は、構成比を〇・四%伸ばし、予算額で二・四倍に増やしました。青島都政は構成比を二%ふやし、予算額では一・二倍にふやしたのです。これにたいし石原知事はどうでしょうか。青島知事のとき、八・五%だった福祉費の構成比を二〇〇三年度決算では七・九六%へと後退させ、額も一割も減らしたではありませんか。
 福祉削減の中身もひどいものです。医療費助成や福祉手当など都民の命綱をばっさり削り、シルバーパスは全面有料化で、以前は七十歳以上の高齢者の七割以上が利用していましたが、いまでは五割程度までおちこみました。マル福は、来年度六十八歳と六十九歳だけの制度となり、二〇〇七年六月末で廃止されます。「東京都患者調査」の結果によれば、六十五歳から六十九歳の高齢者十万人に対する医療機関の診療をうけた人数は、マル福廃止前の七十九%までおちこんでいます。他の年齢層や、全国平均の同じ年齢の状況とくらべても、受診抑制がはっきりあらわれています。ねたきり高齢者の老人福祉手当が廃止され、必要なサービスがうけられない、入院費用が払えないなどの事態がひろがっています。
 このほか、特別養護老人ホームや私立保育園の運営費補助、区市町村の国民健康保険などの補助を大きく減らし、保健所、都立病院、福祉施設などの廃止や民営化を次々すすめています。福祉の「改革」だといいますが、福祉改悪ではありませんか。
 知事は、福祉削減による都民の痛みを考えたことがあるのでしょうか。
 国の悪政が都民生活を直撃しているいまこそ、東京都の予算のあり方を都民の立場で検証し、福祉予算を大幅に増やすなど、都民のくらしへの応援を拡充すべきです。知事、お答え下さい。

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高齢者福祉の充実は、緊急課題

 とくに、いま緊急の課題になっているのが、高齢者福祉の充実です。石原知事は、年金が充実した、高齢者は豊かになったといって、経済給付的事業のきりさげをしてきました。当時でも事実とちがっていましたが、その後、医療費の負担は増え、年金は減り、高齢者の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかりです。都内高齢者の老齢基礎年金受給額の平均額はわずか五万三千円で、九九年度の全国六位から、二〇〇三年度には十八位までおちこんでいます。年金が中心の高齢者世帯の家計は赤字で、預貯金のとりくずしが増えています。それに加えて今後、小泉内閣による年金課税強化により、高齢者の負担は雪だるま式にふくらんでいくのです。
 ことし一・二月分の年金から所得税が増税され、一年間にうけとる年金の額が何万円も減る高齢者が多数うまれており、大きな不安と怒りの声があがっています。これはまだトバ口にすぎません。つぎは住民税が増税され、住民税をもとに計算される国民健康保険料や介護保険料、都営住宅家賃などが連動して値上げになります。
 私は、足立区に住む八十四歳のひとり暮らしの女性から話しを聞きました。この方は年金収入が二百二十六万円ですが、区役所の試算によれば、所得税も住民税も非課税だったのが、ことしから所得税が年額四万九千円。住民税が来年から三万八千円とられることになります。これに加えて国保料と介護保険料があわせて年額六万五千円から、なんと二十四万四千円に、三・七倍化。そのうえシルバーパスが千円から二万五百十円にはねあがります。全部あわせると一年間に二十八万円をこえる負担増になるのです。「どうして年寄りに、いまになって税金をかけるのか」「政治は私たちのくらしを苦しめるためにあるのでしょうか」と、怒りをあらわにしていました。
 所得税や住民税非課税が課税となり、負担増に苦しむ高齢者は、わが党の試算では東京でおよそ二十万人、そのほか何らかの負担増の影響をうける人をいれると数十万人におよぶと思われます。
 年金に対する所得税、住民税の増税と、それに連動したシルバーパス、国民健康保険料、介護保険料などの負担増の影響をうける人数や影響額について、都として明らかにしていただきたい。答弁を求めます。
 高齢者の平均所得は他の世代とくらべて遜色ない。高齢者は豊かだという知事のいい分はまちがっています。ごく一部の高額所得者が平均を引き上げており、年間所得二百五十万円以下の世帯が全体の六割におよびます。だからこそ、高齢者福祉では、所得の低い人の負担は軽くする、いわゆる「応能負担」といわれる社会保障の大原則が、特別の重要性をもってきました。なかでも東京の高齢者は、家賃をはじめ世界一物価が高い東京で、年金の額は全国一律の低い水準というきびしい条件におかれています。ところが石原都政の福祉施策は、事実をねじ曲げ、「応能負担」という原則を次々にくずしています。
 月額わずか三万円、四万円という国民年金の高齢者から、厚生年金の世帯まで支援をきりさげ、負担を強化する方向をつづけてきました。こんなむごいことはありません。
 知事、いままでになかった負担増が次々おしよせるという、新しい事態がうまれているのです。これまでのやり方を見直し、高齢者への新たな経済的支援を都として確立していくことが、つよく求められていると考えるものですが、見解を伺います。

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高齢者への新たな経済的支援を

 具体的提案の第一は、年金への課税強化により、シルバーパスや国民健康保険料などの負担が増えないようにすることです。
 住民税課税か非課税かで天と地の違いになるような所得基準の見直しをはじめ、シルバーパスや都営住宅家賃などの都民の負担軽減をはかるための具体策を講じる必要があると考えますが、お答え下さい。
 シルバーパスは、東京都が全面有料化をおこなったのに対し、政令市のほとんどが所得制限なしで、八自治体は全面無料を継続しています。有料化を導入したところも、たとえば神戸市は本人所得三百七十八万円未満の人は無料です。東京都のように住民税を課税されたら、千円から一気に二万五百十円になるところなどありません。
 厚労省が資料として全国に配った研究論文のなかでも、自治体が実施している敬老乗車証は、高齢者の閉じこもり予防に大きな貢献をしている。バスに乗っていると最高のバランストレーニングになるし楽しい。したがって公共交通料金の助成事業は、介護予防を十分な効果が期待されるものとして高く評価されています。
 シルバーパスは無料にもどすことが必要ですが、せめて当面、所得に応じて三千円や五千円、一万円のパスをつくり負担軽減をはかることや、半年ずつ年二回の分割払いを認めることは都民の切実な要求です。「利用したいが二万円では手が出ない」という声が多数あがっており、改善を求めるものです。見解を伺います。
 第二に、医療費の負担軽減です。
 高齢者の医療費の負担が重くなるなかで、経済的負担による受診抑制が深刻な問題になっています。「医者に行くのをがまんしている」などの声は、ほんとうに切実なものです。高齢社会に対応するためには、病気の早期発見・早期治療を推進すること、重症化する前に医療をうけやすい条件をつくることがきわめて重要です。そのために、介護予防や健康づくりなどの対策強化とともに、医療費の負担軽減が、どうしても必要であります。
 京都府は、六十五歳から所得の低い高齢者に対する医療費助成を実施していますが、事業の休廃止をしたばあいの影響評価をおこなった結果、「所得の少ない高齢者にとって、医療費にかかる経済的負担から受診抑制につながりかねず、高齢者の健康の保持、増進に支障をきたすことが考えられる」として、存続を決めています。自治体として当然のことではないでしょうか。
 都独自のマル福は、これ以上の縮小廃止をやめ、六十七歳から六十九歳までの現行制度を当面維持するとともに、六十五歳からの制度にもどす方向で再検討することを求めるものです。お答え下さい。
 第三に、介護の負担軽減です。
 老人福祉手当の廃止をめぐり、都議会でも経済給付は「介護の社会化」に逆行するなどの意見がありました。しかし昨年、内閣府経済社会総合研究所の研究員が、介護保険導入後、「介護の社会化」がなぜすすまないかという分析結果を発表し、一割の自己負担がサービスへの需要を減少させ、結果として家族に介護を強いていることを明らかにしました。そして、「長時間介護を強いられている世帯に対しては、自己負担を軽減する措置が必要」だと提言しています。このような現実があるからこそ、群馬、富山、山梨、兵庫、愛媛の五県をはじめ、千葉市、さいたま市、このほか全国の少なくとも百をこえる市町村が、独自の介護手当を実施しているのです。
 介護度の重い高齢者や家族の負担を少しでも軽減するため、都独自の新しい介護手当の創設にふみだすことを提案するものです。答弁を求めます。
 介護保険の利用料について、国は介護保険制度以前からヘルパー派遣を利用していた低所得者の利用料を六%に軽減する特別対策を、この三月かぎりで廃止する方針です。都内の多くの区市町村は、この国の制度を活用して対象者をひろげたり、負担を軽減しており、国が廃止すると大きな影響をうけます。都も国に追随して廃止することにしていますが、四億六千万円の予算でできるのですから国のいかんにかかわらず都独自に存続すべきです。

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中小企業への支援も大後退・・・予算拡充を

 石原都政のもとでおおきく後退させられたのは、福祉だけではありません。知事が施政方針演説で、「日本の産業を支える重要な役割を担っている」と述べられた中小企業への支援のとりくみも後退させられてきました。
 中小企業対策予算は、ピーク時には四千億円以上あったのに、来年度はその半分に落とされ、この六年間だけでも千二百億円も後退させられています。このため、都内の事業所あたりの予算はこの六年間に四位も順位をさげ、全国で下から八番目の三十七位という有様です。石原都政の産業政策は、大企業や一部の優良企業が栄えれば良いというものに等しく、中小業者には、制度融資の後退、試験研究機関の廃止、商工業施策の縮小など、さらなる「痛み」を押しつけるものとなっています。
 石原都政のこのような姿勢は、全国の自治体がきびしい財政状況でも、商工予算を守り、それなりに拡充しようとしているのとはおお違いです。わが党は、全国のこの分野での予算と施策を調査しました。他の自治体が中小企業対策をおしなべてよくやっているということではありませんし、よくやっているところでも問題がないわけではありません。しかし、他県と比べるだけでも、東京都の中小企業対策がいかに軽視されているか、歴然とします。そういう意味で、地域経済がおおきく落ちこんできた大阪府とくらべるとどうでしょうか。大阪府は、二〇〇〇年に「大阪産業再生プログラム」を策定しましたが、このなかで大阪の産業の中心であるものづくりの復活を位置づけ、商工予算を倍加させるなど力をそそいでいます。大阪府の来年度の商工予算は四〇五五億円、二千百億円台の東京都のほぼ二倍にあたり、一般会計に占める割合も、大阪府の一二.八%に対して、東京都はわずかに三・七%にすぎません。
 知事、予算のうらづけなしに、施策の拡充はありません。全国の中小企業対策費の平均は予算の六・八%ですが、東京都も、予算を増やして施策を拡充して欲しいという中小業者の声に耳をかたむけ、せめて、各県なみ、いまの二倍の水準に引きあげることをもとめるものですが、見解を伺います。
 ものづくり支援でも、おおきな違いが生まれています。
 大阪府は、ものづくり再生のためには、試験研究機関の拡充が不可欠としてその拡充にあたり、この四年間に、ものづくり支援拠点としてもともとあった「産業技術総合研究所」や試験機関などにくわえ、あらたに業者が下駄履きで通える地域密着型のものづくり拠点としてワンストップでサービスがうけられる「クリエイションコア・東大阪」や産学公連携の拠点となる「大阪TLO」、さらには「研究成果活用大阪プラザ」「いずみテクノサポートセンター」などを開設して、支援にあたっています。試験研究機関は現在、全部で九カ所あり、業者に活用されているとのことです。京都府では、友禅や縮緬などの伝統織物産業の衰退をふせぐために伝統工芸、地場産業振興を目的とした県条例の準備をすすめています。
 またいま、着目すべきことは、これまで仕事が海外に流出していた精密加工部品の製造が国内にもどりだしたことです。これは世界的な競争に打ち勝つうえで、高品質の製品を製造できる日本の製造業の高い技術力があらためて必要となってきたことを示すものです。城南地域で話を聞いたところ、「中国やインドから仕事が戻ってきた」「人材育成や技術革新」など支援してほしいというものでした。
 東京では、十年間に約二割、一万八千の工場が閉鎖されるなど、急速な空洞化がすすんでいます。にもかかわらず、こうした中小企業の要望にこたえず東京の中小企業の「頭脳」的役割を果たしてきた商工指導所や、経済事務所を廃止したり、工業集積活性化事業を打ちきりにしてしまうなど、有効な対策が取られず、工場跡地がつぎつぎとマンションに変わっています。
 商工指導所の再開をはじめものづくりのコアとなる大学と連携した研究室や産学公連携、インキュベート、常設展示室などをもった総合的な研究、支援施設を集積地域ごとに開設することを提案するものですが、どうか。
 これ以上のものづくりの衰退に歯止めをかけるために、工場用地の転用を防ぐべきだと考えます。また、工業集積地域に着目した支援制度を再構築することを求めるものです。それぞれ答弁をもとめます。

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大型店の出店に自治体の権限で規制できる法改正を求めよ

 大型店の無秩序な進出から地域商業を守るという問題は、どうでしょうか。すでに都内の大型店の売り場面積に占める割合は四十五%を超え、地域によっては八割ちかいところも生まれ、地域商店街の衰退だけでなく高齢者など都民の生活にも深刻な影響をおよぼす事態が生まれています。都内でもイオンやイトーヨーカ堂などが超大型のショッピングセンターの進出計画などが目白押しとなっており、地元商店街や住民の反対運動も各地でひろがっています。
 この点でも、いくつかの県では、大型店の出店を規制するための条例づくりがすすめられています。中心市街地の空洞化が深刻化している福島県では、一昨年五月に「まちづくり懇談会」を立ち上げ、大型店に地域との共生をもとめる「広域的な町作りのあり方に関する提言」を発表、行政による大型店の立地の調整の必要を提案しています。県は提言をふまえ、「まちづくりの視点」「生活者の視点」「(県の)施策の効果的推進」の立場から、大型店の出店について調整をおこなう条例を年内に議会に提案する方向で準備をすすめています。また、兵庫県でも同様の条例を開会中の県議会に提案しています。
 国は、立地法の見直しをすすめていますが、商業調整をともなわない規制には限界があります。地域経済と地域コミュニティの破壊をもたらす無秩序な大型店の出店について、自治体の権限で規制できるよう改正することを求めるべきではありませんか。知事の答弁をもとめます。
 あわせて、小売商業調整法にもとづく申請について、中小業者の営業を守る立場から積極的に対応することを求めておくものです。
 ひきつづき業者の要望のたかい制度融資の問題ではどうでしょうか。東京では、石原都政のもとで、預託原資がおおきく削られ、それまではすべての融資が低利の政策金利であったものが、いまではその半分が金融機関指定の高い金利に変えられてしまいました。また、景気が長期にわたって低迷するもとで、おおくの業者が融資の残金を返すための借換融資を必要としています。しかし、これに応えるメニューがないのです。このため、融資実績が伸びるどころか後退し、都政史上初めて融資額が目標額を下まわるという事態を迎えたのです。
 これに対して、たとえば京都府は、すべての融資を一・五%の超低利のものとすることや国のセイフティネットとだきあわせの借換融資を新規にたちあげることで、融資目標の二倍もの貸し出しを実現しています。このほかにも予算をふやして、融資を拡充している自治体がうまれています。
 東京でも、預託原資を積み増しし、すべての融資に預託をおこない、低利の政策金利とするなど、業者が使いやすいものと改善することをもとめるものです。見解を伺います。

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「都市再生」のために巨額投資

 知事は、福祉や中小企業対策の切りすてを、財政がきびしいから、このままでは「財政再建団体に転落」するなどといって、おしすすめてきました。しかし、本当に、東京都には都民のために使うお金がなかったのでしょうか。
 この間の都政の予算の使い方をみれば、決してそんなことはありません。福祉や中小企業の予算を削ったお金を、「都市再生」につぎ込んできたことは、この間の決算を見れば明らかです。すなわち、石原知事が最初に編成した二〇〇〇年度予算では福祉関係費の方が、土木関係費より、七五三億円も多かったのです。ところが「都市再生」が本格化するもとで、二〇〇三年度では、これが逆転し、土木費が福祉関係費を七八五億円も上まわりました。ちょうど福祉関係費が減った分、土木費が増えた勘定になるわけです。
 なぜ、こんなことになったのか。この五年間で秋葉原や北新宿、丸の内・大手町などの大規模開発、大型幹線道路、臨海関連道路などの予算には六千億円以上もつぎこみました。国直轄事業負担金や首都高速道路への貸付、羽田空港再拡張など、本来、東京都が負担する必要のない公共事業だけでも、この五年間で四千億円近くもつぎこまれたのです。こうした「都市再生」を中心とした投資の全体額は補正予算も含め毎年一兆円規模におよんでいます。
 さらに、臨海副都心開発にたしては一般会計による以外の会計も総動員して、現金投入や土地の提供などで二兆五〇〇〇億円もつぎこんできました。
 このように、石原都政のもとで、「都市再生」に集中的な投資がおこなわれた結果、都債の残高は一般会計だけでも過去最高の六兆九千億円台を記録し、借金の返済にあてる公債費もいまや五千億円規模にもふくれあがって、福祉を切りちぢめ、都財政をおおきく圧迫するものとなっています。
 都税収入が伸びても、そのかなりの部分を借金返済にあてざるを得ないという現状について、知事は、その責任をどう認識しているのですか。
 知事は経常収支比率が高く、財政の弾力性がなくなっていると言いますが、その最大の要因が、巨額な投資とそのツケである公債費にあることは明白です。そのことは口をつぐんだまま、あたかも、福祉や教育などの都民施策に原因があるかのようにいうことは間違いです。知事の答弁をそれぞれもとめます。

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中央環状品川線の直轄事業化は前例のないやり方

 今定例会に提案された来年度予算では、この方向にいっそうの拍車がかけられています。来年度の投資的経費は、幹線道路や再開発に力がそそがれた結果、八・九%増と十四年ぶりの大幅増となったのです。投資型経費は当初予算の段階ですでに一兆円にちかい規模に達し、福祉や教育、中小企業予算を圧迫するものとなっていることは見過ごすことはできません。
 しかも問題は、これらの支出が今後さらにふくれあがり、都財政をさらに圧迫するものであることです。たとえば、首都高速道路中央環状品川線や羽田空港の再拡張にそれぞれ一千億円もの都民の税金を投入しようとしています。圏央道もこれから自然の宝庫である高尾山のトンネル工事がひかえています。一兆五〇〇〇億円と言われる外郭環状道路も、国直轄事業になれば三分の一の負担や関連街路として数千億円の支出がもとめられることが予想されます。区部、多摩地域の都市計画道路などもあわせて幹線道路建設に、今後一〇兆円をはるかに超える財源が投入されます。臨海開発にも今後、一兆円以上の都財政投入が予定されています。こうした大型公共事業にいまこそメスを入れることがもとめられています。
 なかでも問題なのは、首都高の中央環状品川線です。この道路は本来、道路公団が、自己資金で賄い、料金で回収すべきものです。現在、実施されている都による無利子貸付も、渋滞解消と名をうっていますが、実際は、料金に転嫁できないために、その肩代わりをしているものです。だからこそ、知事でさえ、かつては問題があることを認めていたのではありませんか。それを今回は、「民営化されると資金調達が困難」「先行きが不透明」といって、地方自治体が直轄事業としておこなうという前例のないことまでやることにしたものです。これほど理屈の通らない話はありません。この知事の決断によって、〃これからの公共事業は税金で、しかも地方自治体に負わせる〃という財界の要求がまかりとおることになってしまったのです。
 知事、これではいくら税金があっても足りません。中央環状品川線をはじめ、このような「都市再生」のため、なんでもありの無謀な財政運営はあらためるべきではありませんか。見解を伺います。

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臨海関連三セク五社の累積損失は合計で千三百億円超

 臨海副都心開発の抜本見直しも急務です。「臨海開発は」、計画からすでに二〇年以上が経過し、当初の予定では、二一世紀当初、すなわち今日では、都市の整備がおわり、未来都市が完成しているはずだったのであります。しかし、バブル型の開発計画は破たんし、あれだけ都財政をつぎこんだのに、一兆円を超える借金と売れない土地が残されています。臨海副都心開発事業会計が借り入れ、返済しなければならない借金は、今後、のこされた土地のすべてが売れたとしても、完済することは困難です。数年後からはじまるその借金返済で、資金ショートし、それこそ知事のいう「隠れ借金」をふくらませていくことが現実の問題となっているのです。
 抜本見直しのチャンスがあったにもかかわらず、石原知事がこれをしなかったことが、今日の事態をむかえている重大な原因のひとつになっています。これこそ過去の知事に責任を押しつけることのできない、石原知事固有の責任であります。
 知事、臨海副都心開発が都財政をおおきく圧迫している事実をどう認識しているのですか。ただちに臨海副都心開発の抜本的見直しに着手すべきです。知事の所見を伺います。
 臨海関連の第三セクターの破たん処理もさけてとおれない問題です。東京都がこれまで三百億円以上の財政支援をおこなってきたにもかかわらず、昨年の決算では、臨海関連三セク五社はのき並み赤字で、その累積損失は合計で千三百億円を超えるという異常事態です。にもかかわらず知事は、破たん処理をただ先送りし、事態をいっそう深刻化させているのです。このまま放置すれば、さらなる都財政投入はさけられません。
 こうした事態をふまえ、臨海三セク都民オンブズマンは、去る二月に「臨海幹線第三セクター破たん処理の提言」をおこない、税金投入などの支援をうち切ること、出資金や貸付金などを全額回収することを前提に、完全民営化すること、それができない場合は、法的整理をおこなうことをもとめています。
 知事、この道理ある提言を真摯にうけとめ、臨海ビル三セクについては、先送りせず、ただちに破たん処理にふみだすべきではありませんか。知事の見解を伺います。

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三十道府県が、投資的経費をマイナスシーリング

 このような福祉や教育の予算を削って、「都市再生」の大型公共事業につぎこむという都財政運営は、全国の自治体の動向とくらべてもきわめて異常なものです。わが党は、全国の予算編成方針をとりよせてたしかめてみましたが、ほとんどの道府県が投資的経費の抑制をかかげ、うち三十道府県が、投資的経費のマイナスシーリングをかけているのです。そして注目すべきことは、こうして確保した財源を不十分ではありますが、中小企業や少子・高齢化対策の財源として活用する考え方を示していることです。
 実際に提案された各道府県の来年度予算案では、昨年の水害や地震被害などに対する臨時的な予算が増加しているところもありますが、全体の基調は公共事業の抑制であり、ひとり大幅に投資的経費をふくらませている東京都の異常さがうきぼりとなっているのです。
 あらためて、東京都が「住民の福祉の増進」という地方自治体の本来の姿にたちかえることをもとめるものです。
 いま、都財政を立てなおし、都民のくらしを守るためにも、そして、環境と共生し、地震につよい都市づくりをすすめるためにも、都市の再生という問題を、あらたな視点から見直すことがもとめられています。すでに、わが党がくりかえし指摘してきたように、ヒートアイランド現象や大気汚染の激化など、いまでも大問題が発生しています。それにくわえ、近い将来、急激な人口減少時代を迎えます。ある試算では、二〇五〇年には日本の人口は、今日の三分の二の八千五百万人に減少することが予測されており、東京都も同じ傾向にあります。したがって、都市の再生も、これに対応した方向に転換することを求められることは、当然です。
 ところが、東京都が「都市再生」路線をうちだした「東京構想二〇〇〇」は、東京の人口や経済が伸びていくピークを想定して、都市づくりをすすめるものとなっています。その後におとずれる人口減少社会を無視して、超高層ビルや大型幹線道路を建設しても、将来、だれがそれを利用するのかという問題には口をつぐんでいます。
 ある経済学者は、この問題について、「人口の減少高齢化とその結果としての日本経済の縮小」は避けられないと指摘したうえで、「都市の収支は今後確実に、かつ大幅に悪化せざるを得ない。そして収支の悪化は大都市ほど著しい」、「都市の収支の悪化は、財政収支の悪化となって表れ、行き着く先は都市の老朽化であり、スラム化である」とまで警告を発しているのです。
 東京に必要な都市の再生とは、いたずらに超高層ビルをたて、高速道路をはりめぐらせて、環境やくらし、都財政への負の遺産を拡大することではありません。環境との共生、地震にまけない都市構造、さらには人口減少という将来をみすえた視点で、適正な規模の都市計画の方向にあらためることが必要です。知事の見解を伺います。
 そして成長神話にもとづく公共事業は、人口減少や環境を見すえて見直し、浪費をあらためるべきです。公共事業についてはむしろ、その軸足を、老朽化した橋や学校施設などの改修、木造密集地域の改善や木造個人住宅の耐震化、さらには、都市公園など緑の回復、生活道路の緊急整備など、いまあるストックを大切にし、その維持、更新につとめることではありませんか。見解をもとめます。
 真に都市の再生というのであれば、そこに住み、はたらいている都民が主人公であるべきです。経済の活性化だけでなく、「老いも若きも」誰もが、安心して、健康で文化的な生活を送るにふさわしい都市をつくりあげることではないでしょうか。知事の見解を伺います。

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三〇人学級を拒否するのは東京都だけ

 最後に、都民の切実な要望である三〇人学級についてです。
 今年度少人数学級を実施していない五都県のうち佐賀県、石川県が昨年、岐阜県が二月の予算内示で来年度実施を表明したため、未実施は香川県と東京都だけとなりました。
 しかもつい先日、「香川の教育を良くする会」が少人数学級の実施を求める7万8千人の署名を集めて、三〇人学級実現を要請したのに対して、今後の方向をあらためて検討する姿勢を示したとつたえられています。
 また二月二三日、中山文部科学大臣は衆議院でわが党の石井郁子議員の質問に、「集団的な行動を学ぶにはある程度の数は必要ではないかという認識だったが」、「少しでも少人数、クラスの人数を減らすほうに行かないといけないと思っている」と、文科大臣として初めて少人数学級の必要性を認める注目すべき答弁をおこないました。
 知事、いよいよ三〇人学級の実施はもちろん、少人数指導との比較検証さえ拒否しつづけているのは、文字通り東京都だけになろうとしています。
昨年の第四回定例会で横山教育長は、三〇人学級にした場合「十五人と十六人の小規模な学級が増加する」ことで「学級内の人間関係が固定したり子どもどうしの切磋琢磨する機会が不足」するとして生活集団としては望ましくないと答えています。
 ところがいま、急速に少人数学級が全国に広がる中で、どこでも、教育長の答弁とは全くあべこべに、すばらしい変化が日々あらたに起きています。
 わが党は、全ての道府県に、アンケート調査を実施し、四二道府県から回答を得ました。
 その結果、少人数学級実施の効果を問う質問には、未実施で「調査検討中」の数県を除き全ての回答の中で、学習面はもちろん生活面でも大きな前進が見られたことが書かれていたのです。
 例えば生活面での変化として、「生活や学習のしつけが身につく」「授業中席を離れたり教室から出なくなった」「朝礼や当番など集団生活への適応が早くなった」「学校が楽しいという子どもが増えた」など、大いに歓迎されており、保護者にも「全ての学年でやってほしい」などと期待が広がっている様子が手に取るように分かります。
 全国に先駆けて三〇人学級に取りくんでいる山形県では、不登校児童が2割以上減ったこと、一人の児童の欠席日数が年平均四日から三日以下に減ったことなどを明確な成果として報告されているのです。
 東京でも校長をふくめたおおく教員関係者は、「少人数学級の子どもは、何よりも担任教員が集団生活でも個別指導でも子ども一人一人の個性に応じた指導が充実でき、むしろ切磋琢磨が保障されるようになる」と述べています。小一プロブレムなどこれまでにない様々な問題をかかえた子どもたちをみれば当然の指摘ではないでしょうか。
 子どもの「社会性を養う」とか「切磋琢磨が必要」などの集団生活の指導が、少人数学級の中でこそ充実できるという報告が全国から続々と寄せられているのです。全国での少人数学級の実践・経験の成果を大いに学び、分析して取り入れるべきではありませんか。お答えください。
百二十万人を超える都議会請願にこめられた都民の世論をはじめ、まさに都民的な要求となっているのです。そしてどの県でも、最後は知事の決断で、三〇人学級は実現の道が切り開かれています。
 知事、ぜひ圧倒的多数の声である三〇人学級実現に向けて取り組みを開始すべきではありませんか。答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。

【再質問】

 臨海副都心開発の現状にたいする認識と見直し、臨海三セクの破たん処理に関する質問は、知事の見解をきいたものだ。知事は逃げないで答えてください。
 福祉きりさげによる都民の痛みを考えたことがあるのか、と私は聞いたんです。それに、まったく答えていない。都の福祉切り下げの痛みに加え、小泉内閣の悪政で、たいへんな大増税・負担増がおしよせつつある。そのときに知事は、都民の痛みに思いをよせたことはないのですか。答えてください。
 知事は「東京が沈めば日本が沈む」といったが、思い上がりもはなはなだしい。東京が栄えても、地方が同じように栄えるわけでないことは、今日の事態を見れば明らかです。今年度の税収も大企業がおおもうけした東京は大幅に税収が伸びたが、地方は沈んだままです。知事は、「経済活動の活性化は、あらたな富を生み出す」といいますが、その恩恵を受けているのは一部の大企業だけで、地方や中小企業、都民にはまわっていないのではないですか。見解を伺います。

以上