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議事録


予算特別委員会 総括質疑 2005年3月14日

古館 和憲(板橋区選出)

大手町再開発で経団連がタダでビルを建替え
大規模開発促進でヒートアイランドや大気汚染の拡大、都財政への重大な影響


センター・コア内の開発計画は約百三十地域

〇古館委員
 それでは、質問させていただきます。
 我が党は、本会議の質問、予算特別委員会総括質疑を通じまして、石原知事のこの六年間の都政運営について、福祉や教育、中小企業などの都民施策、都財政運営の問題など、都民の目線からそのあり方をただしてまいりました。
 きょうは、石原都政の戦略的課題とされている都市再生の問題について質問したいと思います。
 まず、知事は、就任直後の一九九九年に危機突破戦略プランを発表し、続いて翌二〇〇〇年に出した東京構想二〇〇〇で、東京圏メガロポリス構想を打ち出しました。その内容は、東京をよみがえらせるとして、それまでの東京一極集中と都心集中の是正の立場を投げ捨てて、都心を中心に大規模な再開発を進め、多国籍企業を呼び込むための都市づくりを進めようというものであります。
 従来の多心型都市構造は限界を迎えているとして、首都高速道路中央環状線内側地域をセンター・コア・エリアと定め、日本の政治、経済、文化をリードする中心核としての役割を担う地域として重点的に開発を行う。そして、過度に集積をさせた業務機能を働かせるために、首都高速道路中央環状線、外かく環状線、首都圏中央連絡道路の三環状道路を中心に幹線道路建設を促進することとし、そこに予算も重点的に配分され、推進されてまいりました。その結果どうなったかです。
 まず、お伺いをいたしますけれども、都内で指定された七つの都市再生緊急整備地域の現状はどうなっていますか。
 また、一九九九年以降のセンター・コア内の業務・商業ビルの変化はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

〇梶山都市整備局長
 まず、都市再生緊急整備地域の現状でございますが、平成十四年七月に、都内では七地区、約二千三百七十ヘクタールの都市再生緊急整備地域が指定されております。
 都市再生緊急整備地域につきましては、都市再生特別措置法に基づき、都市再生に貢献する民間都市開発を支援するため、都市計画の特例制度としての都市再生特別地区の指定、及び金融支援などを受けるための国土交通大臣による民間都市再生事業計画の認定の二つの制度が設けられております。
 これらの制度の現在までの適用状況でございますが、都市再生特別地区につきましては、大崎駅周辺地区で二件が都市計画決定されており、民間都市再生事業計画につきましては八件が認定されております。
 もう一点のセンター・コア・エリアに対します考えでございますが、おおむねセンター・コアのエリアに相当する都心十一区のデータで見ますと、事務所、店舗等の建物床面積は、平成十一年で約七千三百七十万平方メートル、平成十五年で約七千七百十万平方メートルと、四年間で五%増加しております。

〇古館委員
 これで私が聞いたところでは、延べで、今いったセンター・コア内の開発計画というのは約百三十地域に及ぶと。物すごい規模の開発なんですよね。そして、この都市再生を推進するために、緊急整備地域の指定だけではなくて、都有地を使って超高層化する先行まちづくりプロジェクト、それから北新宿、大橋地区の再開発などの拡大、さらには、環境アセス条例や都市開発規制の大幅緩和などが矢継ぎ早に進められることになりました。
 今わかっている計画だけで、開発面積は五百七ヘクタール、広さでいいますと大体東京ドーム百九個分に当たるもので、二酸化炭素を三・二ポイントも押し上げ、都心部への自動車流入を十四万台もふやすものになります。
 この結果、それ以前から開発が進められていた汐留や品川駅周辺などの大規模開発と合わせて、二〇〇三年問題を、いわゆるビルラッシュが進み、四十二・七度という熱暑を記録するヒートアイランド現象や大気汚染の公害の拡大などの弊害があらわれています。


大手町・丸の内・有楽町地区の超高層ビルは環境アセスなし

 そこで、都市再生緊急整備地域の問題についてであります。
 先ほど伺いましたけれども、都は七つの都市再生緊急整備地域の指定を受けて、開発が進められております。二十三区での百メートル以上の大規模ビルは、二〇〇〇年から二〇〇六年までの計画で百三十八件、延べ床面積では何と千六十七万五千九百平方メートルで、これだけで二十三区内の床面積が一割も増加することになります。
 これらの開発の中でも、丸の内・大手町・有楽町地区は、都市再生の目玉ともいうべき地区になっております。
 先日も私、調査に行ってまいりましたけれども、とりわけ丸の内地域は、指定後のこの二、三年の間に、あっという間に超高層ビルに建てかえられてしまっています。
 そこで伺いますけれども、大手町・丸の内・有楽町地区の再整備前後の状況と見通しはどうなっているでしょうか。

〇梶山都市整備局長
 ビルの延べ床面積につきましては、緊急整備地域が指定されている以前の平成十三年度時点では、地元の大手町・丸の内・有楽町地区再開発推進協議会事務局が地権者に行ったアンケートなどをもとに推計いたしますと、約五百二十ヘクタールでございます。
 その後の平成十四年から十七年までに約五十四ヘクタール増加しており、現在建設中及び計画中のものを合わせますと、今後さらに七十四ヘクタール増加する予定でございます。
 また、高さ百メートルを超えるビルの数は、平成十三年度時点では、建設中を含め十七棟、その後現在までに建設中、計画中合わせて九棟増加する予定でございます。

〇古館委員
 これが今、物すごい開発で、床面積で二五%増しになっています。ご承知のとおり、大手町・丸の内・有楽町地区ですから、あの狭い地域に二十六棟もの超高層ビルが建ち並んでいます。
 もともとこの地域は、マンハッタン計画といいまして三菱地所が中心となって立てた再開発計画がありましたけれども、一極集中是正の立場から認められてこなかったところであります。
 それがこんなに急速に開発がなぜ可能になったのか。石原知事が、都市再生ということで緊急整備地域に指定するなど開発を後押ししたからにほかなりません。しかも、特定容積率の適用や空中権の売買などの都市計画上の優遇、また、この地域のためにといっても過言ではないような環境アセスの改悪を行ってまいりました。
 例えば、環境アセスの改悪で、高さ制限が百メートルから百八十メートルに、面積要件が十万平方メートルから十五万平方メートルに緩和されたことから、軒並みアセスをせずに済むことになり、工期も大幅に短縮されることになりました。


大手町再開発・・千三百億円の土地が最大二・三倍の価値に

 そして、ことし新たな動きを見せているのが、大手町合同庁舎跡地の再開発計画です。大手町再開発は、国の合同庁舎が東京一極集中を是正する立場から埼玉へ移転することになり、その跡地を利用して、大手町地区の再開発を行うものです。
 (パネルを示す)ちょっとここに地図をつくってまいりました。これが大手町の、ある意味で全体像の中の一つなんですけれども、ここに矢印がありますけれども、これが日本経団連の会館であるとか日経ビルとかJAビルなんですね。今回のこの計画では、この国の庁舎をつぶした跡に、そっくりこの日本経団連などのビルがこちらに移るという計画の中身であります。
 この囲まれた地域が大手町地区なんですけれども、ここが今問題となっている合同庁舎を活用した連鎖型再開発の対象地域であります。この更地にした合同庁舎跡地に、まず、先ほどいいましたが、経団連と日経新聞のビル、JAビルが移転し、そのあいたところに今度は中小企業金融公庫などの公庫ビル、日本政策投資銀行ビルが移転するというものであります。
 この合同庁舎は、いろいろいきさつもありましたけれども、この三月に随意契約で都市再生機構に千三百億円でこの国の庁舎が売却される、このことが決まったわけであります。
 問題はここからであります。この合同庁舎の土地は、今、容積率が七〇〇%なんですね。そして、土地を売却した後に容積率の見直しを行うということであります。都に聞きますと、まだ決まっていないというふうにいうんですけれども、もう話はついているのではありませんか。
 この土地の開発の推進を国などに要望するとともに、日本経団連など地元地権者は、ここを一六九〇%の容積率の開発構想を既につくっております。仮に一六〇〇%とした場合に、今七〇〇%ですから、売却時点での容積率に九〇〇%も上乗せされるわけであります。
 そうしますと、開発者側、これは主体は三菱地所などでありますけれども、ここは上乗せされた容積分の床を売るなりリースするなりして利益を上げることができる。もしくは、無料でビルを建てかえるなどということもできるようになります。
 ということは、千三百億円で買った土地が二・三倍もの容積をもらえるわけですから、単純に考えれば、最大で千六百九十億円も価値がふえることになります。これではもう丸もうけということであります。
 ところで、この区画整理事業の一環として、日本橋川沿いに遊歩道を設置するという計画があるようでありますけれども、その目的は何でしょうか。

〇梶山都市整備局長
 大手町の都市再生に当たりまして、歩行者が主役となる緑豊かな歩行者専用道として位置づけ、日本橋川と一体となった親水空間を創出するために歩行者専用道を設けるものでございます。

〇古館委員
 表向きはそうなんですけれども、私も現地を見ました。ちょっと違うんじゃないかというのを非常に強くしたわけです。現地を見ていただきたいんですが、この日本橋川の上には、ご存じのとおり高速道路が通っています。その横のところで川はかみそり護岸になっているんですね。地元の人は、あそこは夜など怖くて歩けるところじゃない、何であんなところに遊歩道などをつくるのかと首をかしげておりました。
 本当の目的は、この遊歩道をつくることで、この地域の容積率を上乗せしてあげることではないんでしょうか。それでは至れり尽くせりではありませんか。
 しかも、調べてみると、この遊歩道は、土地区画整理の減歩で生み出すのだそうであります。もともと十八メートル幅でつくろうということが、いつの間にか十二メートルに縮減されているんですね。つまり、たくさんの減歩をしなくてもよくなったんです。こんなこと、普通の土地区画整理ではあり得ない話なんですね。このように、この開発はおかしな話ばかりついて回っているんですね。
 そこで知事にお尋ねしますけれども、国有地を舞台にこんな至れり尽くせりの大サービスが行われる、これでいいのかということが問われているんです。どうでしょうか。

〇梶山都市整備局長
 事実誤認がございますので、ちょっと訂正させていただきたいと思います。
 区画整理の仕組みからいきますと、道路の幅員が減れば逆に増進がやや落ちるということから、逆に容積率は上がってこない、これが一点。それからもう一つは、歩いて怖いとか、非常に道路の状況が悪い、地域の状況が悪いと。だからこそ区画整理をするんでございます。まちづくりをする。それで、かみそり護岸だからこそ、そういう意味では、一体的に整備をして、よりすぐれた、立派な、あるいは環境のよい、そういう道路をつくる、こういうことでございます。

〇古館委員
 これは、実際にこのようにして減歩をしていきながら、そして、ここで再開発をしようとしている人に対しては、極めて有利になっていく。もう一つ、歩道があるんですね、歩く歩道が。もう一つつくってあげるという計画がありますね。そうなると、結局は、より高い容積率を保証することができるという仕掛けなんですね。


東京都の働きかけで大規模開発に

 しかも、こういうことが都の旗振りでやられているんです。ここに国有財産中央審議会が九六年に出しました国の行政機関移転跡地の利用に関する基本方針というのがあります。これが文書でありますけれども、ここでは、国の行政機関移転跡地については、公用、公共用優先の原則のもとに、東京一極集中是正の趣旨を踏まえ、都区部の都市環境及び生活環境の改善に資するよう利用することを基本とする、このようにはっきりと書いてあるんですね。本来この立場から土地利用が図られるべきものですし、国もその立場でこのように通達を出しているわけです。
 それが、一転して民間ディベロッパーによる大規模開発に姿を変えることを可能にしたのは、実は東京都の働きかけがあったからではないですか。違いますか。

〇梶山都市整備局長
 東京の国際競争力を強化するための都市再生プロジェクトとして、都が本事業を積極的に推進する姿勢は当然でございます。
 しかしながら、基本はあくまで民間活力によるプロジェクトであり、行政はそれを支援する立場でございます。都の主たる役割は、必要な都市計画決定や関係者調整を進めることであり、プロジェクトの推進に当たっては、民間からの提案や意向を踏まえ、協議、検討しながら進めているものでございます。

〇古館委員
 実は、今いった説明なんですけれども、私、ここに、二〇〇二年の東京都が出した−−当時、財務大臣は塩川さんでしたけれども、申し入れを東京都が出したんですね、石原知事名で。
 これによりますと、大手町が金融、情報産業の一大集積地だということで、高次の業務機能やにぎわいのある空間を備えた魅力ある都市の形成が必要として、そのための開発のために処分してほしい、こういうふうに要望しているんですね。
 ここは要望書がちゃんとありまして、ですから、民間というふうにおっしゃいましたけれども、まちづくりの座長にはちゃんと都市整備局の方が座っているじゃありませんか。民間の開発に東京都がわざわざ要請を出して、しかも、そういう形で至れり尽くせりをやっている、これはおかしいと思いませんか。
 ですから、公用、公共用優先の原則が外されたんではありませんか。これが事実だとしたら大変な問題であります。


ただで経団連ビルを一等地に建てかえる

 いろいろいわれますけれども、この処分を検討した国の財政制度等審議会、国有財産分科会で国有財産中央審議会というところがあって、ある委員は、ここに持ってきておりますけれども、このようにいっているんですね。都市防災等を考えた場合、跡地は防災公園的な意味合いで貴重な存在、経済開発だけのために売り払うという発想を変えていくことが必要という発言も行われているんですよ。
 都心に残された貴重な公有地を、防災拠点として、緑の拠点として活用することは極めて重要であります。
 では、なぜそうならなかったのか。私はこの文書の中にキーワードがあると考えております。実は、この文書なんですけれども、これは日本経団連が二〇〇四年五月に開いた第三回定時総会の報告です。表題は新経団連会館建設についてというふうにあります。
 この中でどういうことがいわれているか。再開発計画への参画の条件という項目があって、こう書かれています。日本経団連では、当初より、次の項目が満たされることを本計画の参画への条件としてきた。一つは、新たな資金拠出なしで、日比谷通り沿いに現会館と同等の床面積が確保できる。二番目、リスクは負わない。三番目、近年のリニューアル投資を現会館の資産価値に認める。このことが要件として認められなかったら自分たちは入らない。しかも、付加価値をここではつけろということをいっているんですね。
 上記条件がいずれも達成できる見通しがついてきたということで、今度は参画しましょうと。これって本当におかしな話だというふうに思います。どこの世界に区画整理で全く持ち出しなしで、新しい建物がもらえるなんていうことが、普通は考えられないんですね。何で経団連だけがこんな優遇を受けるんですか。
 結局、土地を売った後に容積率を上げてあげるのも、ただで経団連ビルを、それも一等地に建ててあげる。日比谷通りの前面に出るんですから。
 しかも、大手町まちづくり株式会社が地権者と策定したという開発計画案では、日本経団連の余剰金または保留床取得費として五十一億円も日本経団連が受け取るということになっているんですね。これは本当に断じて認めることはできません。


超高層ビル群が海風をふさぎヒートアイランド現象

 (パネルを示す)大体、この丸の内、大手町を初め、臨海部沿いに超高層ビル群が相次いで建設されております。今わかっているだけで、このとおりで−−これですね。実は、去年の三月末の建築確認をしたのが赤い建物です。臨海部から都心部にかけてです。ですから、ヒートアイランド現象がなぜ起こるかというのはこの図でわかると思います。この青は去年の十二月。わずか九カ月の間に、業務ビルだけですね、これは。マンションは入れておりません。こんなにふえてきているというのが今の状況であります。
 こういうようなビル群が海風をふさいでヒートアイランド現象を巻き起こしているんですね。
 そこで伺いますけれども、東京における直近の二酸化炭素排出量はどうなっていますか。そして、一九九〇年度比ではどうなっていますか。お答えください。

〇平井環境局長
 二〇〇二年度、平成十四年度における東京のCO2の総排出量は、九〇年度、平成二年度比で一六・四%の増加となりました。これを部門別に見ますと、産業部門では三六・六%の減少となる一方、業務部門では三八・九%、家庭部門で二三・二%、運輸部門で二一%の増加でございます。

〇古館委員
 (パネルを示す)ちょっとパネルにしました。実は、この起点が一九九〇年なんですが、京都議定書がここで決まった時点からですね。ところが、こういうふうにどんどんここまで上がり続けているんです、二酸化炭素の排出量が。多くなっている。
 それで、何とか、これじゃまずいというので、ここで修正をしましょうというふうにいったんですけれども、修正がきかないで、ここまで修正して下降させよう。ところが、どんどん上がり続けているというのが、今のこの二酸化炭素の排出量の実態なんですね。物すごい増加であります。
 これは、都の環境基本計画に定めた目標についても、二〇一〇年までにいろいろな対策をやって、ここまでふえることを抑えようと。これも全然実現ができていない。二〇〇二年度で推計値を上回っているんですね。結局これは、都市再生による都市開発、大規模ビルや自動車から発せられる二酸化炭素なんですね。
 この点から見ても、超高層ビルの建設は全面的な再検討をする必要があります。少なくとも、ヒートアイランド現象対策は直ちに着手すべきであります。
 この問題では、対策として風の道が注目をされています。我が党は、北九州市の取り組みを調査して、いち早く提案をしてきたものでありますけれども、改めて伺いますが、品川区でもやられている逆ハの字型方式、風の道を確保することなどは有効な対策と考えますが、いかがでしょうか。

〇平井環境局長
 ヒートアイランド対策といたしましては、人工排熱の抑制や保水性舗装、屋上等緑化などが有効でございます。
 風の道につきましては、市街地における通風を確保することにより、放熱を促進するという意味で有効な方策の一つと考えられます。

〇古館委員
 今、有効な対策ということが答弁されました。今後の開発計画で海風を防ぐような開発は見直すことは直ちに行うべきだと思いますが、いかがですか。

〇梶山都市整備局長
 風の通り道につきましては、都の基本的な計画である東京ベイエリア21や東京都環境基本計画において、建物や緑の計画的な配置などにより確保することといたしております。
 また、現在、新たな取り組みとして、品川駅周辺地区の全体構想の中に、より実効性のあるヒートアイランド対策として、風の道の確保を折り込むよう、調査検討を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、環境と調和した都市開発の実現に努めてまいります。

〇古館委員
 私どもは、超高層ビルは抑制しろということを一貫していってきています。しかし、超高層ビルが建ってヒートアイランド現象になる。であるならば、そういう問題に対しても適切な対応をするということは、これは矛盾していません。ですから、超高層ビルの抑制ということを改めていっておきたい、このように思っております。


大規模再開発で福祉、暮らし、教育を圧迫

 次に、都市再生が与える都財政への影響についてであります。
 例えば、これまで紹介してきた大規模開発の受け皿としての幹線道路への投資であります。幹線道路建設も、首都高速中央環状新宿線は一キロ一千億円に膨れ上がっています。当初の計画の二倍であります。一兆円もの事業費が投入されました。外かく環状道路も、住民の反対を押し切って凍結が事実上解除され、これも一兆五千億円の事業費が必要といわれています。
 さらに、圏央道の場合、国直轄事業負担金に毎年数百億円も投入されるだけでなく、反対する住民の土地を強制的に収用するという強権的なやり方で推進されています。
 このほかにも、臨海副都心へのアクセス道路や調布保谷線などの幹線道路に湯水のように税金がつぎ込まれています。
 このことが都財政に重大な影響を与えているのです。石原知事の都市再生のもとで、投資経費はバブル前の二倍、毎年一兆円規模に達しております。その内容も、都営住宅や公園整備、歩道整備などの予算が減らされ、その一方で、大規模再開発や幹線道路に重点配分されることになったのです。
 その影響は、暮らしや教育への圧迫など、さまざまな分野に及んでいますが、とりわけ重要なのは福祉予算への影響です。福祉関係費と土木関係費の関係を見ても、一般会計決算では、知事が最初に編成した二〇〇〇年度と直近の二〇〇三年度の四年間の決算で比較しますと歴然としております。
 二〇〇〇年度には、福祉関係費が六千六百八十六億円で土木関係費が五千九百三十三億円で、七百五十三億円も福祉関係費が多かったのに、三年後には逆転をし、二〇〇三年度には、土木関係費六千七百九十六億円、福祉関係費が六千十一億円、何と七百八十五億円も土木関係費が多くなっています。これは冷厳なる事実なんですね。
 それから、先週の当委員会で、都道府県分の行政投資額がいわれましたけれども、これは都合のよい数字の取り上げ、ごまかしにすぎません。
 二〇〇一年度と比較された一九九一年度というのは、バブル真っ最中の時期で、東京都が大型の文化施設やインフラ整備に湯水のようにつぎ込んでいた時期で、比較の対象などにはなりません。実は、バブル前の一九八五年と比較すると、二〇〇一年度は六千二百四億円もふえているのですよ。
 しかも、あえていわせてもらうならば、そもそも行政投資というのは、国、都道府県、市町村の投資を合算したものであります。それをもって都財政を論じるなど、論外の話だといわなければなりません。


石原知事のもとで、一たん抑えられた投資が復活、肥大化

 また、確かにバブル期と比べると投資経費と都債の発行は大きく削減されました。しかし、それは青島都政時代の話であって、石原知事の成果とはいえません。むしろ石原知事のもとで、一たん抑えられた投資が復活、肥大化しているのが実態であります。
 その投資の大きなものを紹介しますと、環状二号線新橋・虎ノ門地区、北新宿、大橋地区などの都施行再開発事業で九百億円余り、汐留や秋葉原、豊洲、晴海などの東京都施行の土地区画整理事業で一千億円以上、骨格幹線道路で五千億円余、首都高速道路公団の投資で千二百億円余り、国直轄事業負担金で三千百三十一億円など、まさに大盤振る舞いであります。
 さらに、今後、本来東京都が負担する必要のない首都高速道路公団への投資、国直轄事業の負担金、これについては、首都高速道路公団への無利子貸付をこんなに出している、こういうところはほかにありませんので、全国知事会も、国直轄事業負担金については早急に廃止すべきと明確にいっているではありませんか。知事が率先してこれをやめていく行動に踏み出すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。知事のご答弁伺いたいと思います。

〇松澤財務局長
 今お話がありました国直轄事業負担金は、道路法、河川法など個別の法律によって、国と地方の費用負担が明確に規定されておりまして、都が負担すべきでない支出ということではございません。
 また、首都高速道路の整備に対する出資や貸し付けは、首都高速道路の整備が、やはり慢性化した渋滞の解消など、都民生活の利便性を高める上で重要な事業であることから、毎年度、その必要性や規模等を判断した上で、ルールに従いまして国と協調して行っているものでございます。
 いずれの事業も、現在及び将来の東京にとって、また都民にとって必要性が高く、緊急性も高いものでございまして、極めて重要な事業であり、見直しを行うつもりはございません。

〇古館委員
 かつて知事も、首都高への貸付金につきましては負担の軽減の必要性を認めておりましたし、国直轄事業負担金については、勝手に向こうで決めて何%を持てというのは一方的な話だ、国の国事として考えてもらいたい、制度として改めるよう強く申し入れていると、現在形を使いました。仮に必要な道路だとしても、国直轄事業は、国が責任を持つべきだといっているのです。
 大体、国は、道路建設費を特定目的税のガソリン税で賄っているのです。福祉や教育と同じ器の一般財源を投入しなければならない東京都とは、影響が違うんですね。首都高速道路公団への無利子貸し付けについても、数年間に国の総務庁の行政監査が、首都高速道路公団が自己資金で調達すべきものと改善を求めているんです。ところが、東京都は一向に改善しようとせず、最近は、積極的に肩がわりすることまでやろうとしています。
 首都高の無利子貸し付けの利子分だけでも三十億円にもなります。これがあれば、木造住宅の耐震補強は、一戸当たり五十万円の助成として、六千戸できるではありませんか。少なくとも利子を取るくらいのことを、なぜやらないんですか。お答えいただきたいと思います。

〇松澤財務局長
 まず初めに、国庫の直轄事業負担金を廃止すべきといったというお話がございましたが、いったということはございません。
 都の主張は、あくまで国道という国全体の交通ネットワークの整備に対しまして、地方が一定の負担をすることに合理性があるということで、実際の工事に当たって、その箇所や整備内容をどう国が一方的に決め、地方には請求だけを回すという従来のやり方を改めるべきだということをいっているところでございます。
 それから、土木関係費等、いろんな福祉との関係、お話しございますが、どちらも都民にとって、それから将来の東京にとって大事なものでありまして、殊さらそれを比較して、上回ったとか、上回らないとか、そういうような問題ではございませんし、それから首都高の無利子貸し付けにつきましても、必要なものを、さっき申しましたようにルールに従ってやっているものでございます。

〇古館委員
 時間もなくなりましたのでね……。知事は、何かというと世界の都市と比べて、あるいは、この間も公明党の方もいわれていたようでありますけれども、東京の環状道路が立ちおくれているといいますけれども、これも見当違いの議論であります。
 東京市政調査会で、このメガロポリスの都市交通という本がありますが、ここで世界の大都市の比較を行っております。ニューヨーク、ロンドン、パリ、そして東京です。この中で高速道路についても研究が紹介されておりますけれども、例えば、四つの都市の中で、都心部、東京でいえば都心三区の中に高速道路があるのは東京だけであります。東京の二十三区に該当する地域の高速道路を比較すると、面積当たりではニューヨークが〇・四六キロ、次に東京で〇・三キロ、その次がパリで〇・二一キロ、ロンドンに至っては、わずか〇・〇四キロにすぎません。人口一人当たりパリが〇・五キロ、次いでニューヨークが〇・四六キロ、その次が東京で〇・二三キロです。ロンドンは〇・〇九キロです。東京が特段おくれているわけではない、このことを申し述べて、質問を終わります。(拍手)

〇樺山委員長
 古館和憲委員の発言は終わりました。