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申し入れ・談話

2020.09.11

新型コロナウイルス対策のための検査・医療・保健体制の 充実を求める緊急申し入れ

 新型コロナの検査体制の強化は引き続き重要で、弱めれば再びの陽性者急増につながります。
 日本共産党都議団は緊急に、スクリーニングでのPCR検査の拡充、インフルエンザ流行期への対策、医療機関の経営や医療現場への支援、保健所の体制強化と負担軽減など、20項目を申し入れました。

★申し入れる(右から)原のり子、藤田りょうこ、白石たみお、斉藤まりこの各都議(2020.9.11)


東京都知事 小池百合子殿
東京都教育長 藤田裕司殿

2020年9月11日
日本共産党東京都議会議員団

新型コロナウイルス対策のための検査・医療・保健体制の充実を求める緊急申し入れ

 新型コロナウイルスへの新規陽性者数は多数に上る日が続いています。昨日の東京都のモニタリング会議では、感染状況に関する警戒レベルは1段階引き下げられましたが、昨日発表の陽性者数は276人と1週間ぶりに200人を超えており、感染の増加に強い警戒が必要です。

 また、新規陽性者数に一定の減少が見られたとしても、検査体制の強化は引き続き必要です。そうしなければ、無症状の感染者からの感染が続き、再び急増することにつながります。東京都内の検査数は8月に入って横ばい傾向が続いていますが、検査数を大きく増やしていく必要があります。

 昨日のモニタリング会議のコメントでも、「感染リスクが高い地域や集団及び高齢者施設などに対して、感染拡大抑止の観点から、無症状者も含めた集中的な PCR検査を行うなどの戦略を検討する必要がある」とされています。都が先週発表した補正予算案に高齢者施設、障害者施設での検査への支援が盛り込まれたことは重要ですが、さらなる対策が不可欠です。

 さらに、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスを臨床的に鑑別することは困難だと指摘されています。今後、インフルエンザの流行があると、発熱などの症状がある多数の患者に対し、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の両方の可能性を考慮して診療、検査を行う必要があります。検査・医療体制の抜本的な強化をはじめとした、インフルエンザの流行期への対策が必要です。

 医療機関は新型コロナウイルスへの対応のための緊張が続き、医療現場は疲弊しています。しかも、医療機関の経営も大きく悪化しています。医療現場への支援を強め、医療体制の強化を進める必要があります。

 保健所は数も職員も減らされた下で新型コロナウイルスへの対応を行っており、現場は多忙を極めています。東京都はこの間、保健師の任期付職員の採用選考などを実施していますが、さらなる体制強化と負担軽減が必要です。

 したがって、日本共産党都議団は、小池都知事に対し、以下の事項を速やかに実施するよう強く求めるものです。

  1. 補正予算に計上された高齢者施設、障害者施設での検査への支援は、併設する事業所の職員や施設に出入りのある業者の従業員、ボランティアなど、施設に出入りがあって感染のリスクがある全ての人を対象にすること。実習生に対しても検査が実施できるようにすること。
  2. 補正予算に計上された職員や利用者などへのスクリーニングを含めた検査は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、障害児者の入所施設を対象としているが、対象を養護老人ホーム、軽費老人ホームなど他の入所施設、通所施設、訪問介護事業所、認可保育園、学童保育なども含め、全ての福祉施設・事業所に広げること。また、医療機関、学校でもスクリーニング検査を実施すること。検査への支援は、十分な頻度で定期的な検査を行えるようにするため、必要に応じて上限額を引き上げること。さらに、検査の実施に関する相談に対し、丁寧に対応できる体制をつくること。
  3. 都立福祉施設の職員、入所者などに対してもスクリーニング検査を実施すること。
  4. 感染者、特に無症状の感染者が集まり、感染が持続的に集積する地域(感染震源地、エピセンター)の住民、事業所の在勤者の全体に対して、PCR等検査を実施すること。
  5. インフルエンザが流行した際にもインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の双方の診療・検査ができる体制を構築すること。特に、かかりつけ医など身近な医療機関で相談・診療・検査を行えるようにすること。そのために、財政支援や防護具の提供など医療機関への十分な支援を行うこと。
  6. 身近な医療機関で受診の相談ができる仕組みの構築に伴い、保健所に受診の相談をすることを原則としている今の仕組みは解消すること。
  7. 現在、小笠原村に向かうおがさわら丸への乗船客を対象にPCR検査が実施されているが、伊豆諸島へ渡航する場合もPCR検査が受けられるようにすること。また、おがさわら丸の乗船前の検査も含め、より迅速に結果が出せるようにし、検査実施率を上げること。
  8. 福祉施設などでの検査に役立つPCR検査車の活用を広げること。
  9. PCR検査センターへの支援を拡充すること。
  10. PCR等検査能力の1日1万件の目標は速やかに達成し、さらに大幅に引き上げること。
  11. 検査能力の強化のため、複数人の検体をまとめて検査するプール式検査を導入すること。
  12. 新型コロナウイルス感染症専用病院の設置をさらに広げること。
  13. 都立病院・公社病院で新型コロナウイルス感染症専用病院の運営を行うことに対応し、職員を抜本的に増員すること。
  14. 都立病院・公社病院の地方独立行政法人化は中止すること。
  15. 新型コロナウイルスの影響により経営が悪化した医療機関への財政支援を引き続き国に強く求めるとともに、都としてもさらなる医療機関への支援を行うこと。
  16. 新たな補正予算に、インフルエンザワクチンの定期接種の対象者である65歳以上の高齢者と60歳から64歳で基礎疾患のある方の接種費用の補助が盛り込まれたことは重要であり、さらに、日本感染症学会が接種を強く推奨している医療従事者や定期接種の対象外で基礎疾患のある方、妊婦、小児の接種費用に対しても補助を行うこと。
  17. インフルエンザワクチンの供給偏在を生じさせないための十分な措置をとるよう国に求めること。
  18. 後部座席を陰圧にしたタクシー車両等の活用を促進することによって、感染拡大防止対策と移動支援を行うこと。
  19. 軽症者、無症状者は引き続き宿泊療養を原則としつつ、療養先の調整中などで自宅で療養している場合には食事の提供をはじめとした生活支援を確実に行うこと。また、自宅で療養している方の健康観察は、地域の医師会や医療機関による実施の導入を進め、保健所の負担を軽減すること。
  20. 経験者を含めた保健所の保健師などの常勤での採用を増やし、非常勤職員の常勤化を進めること。都の保健所を増設し、体制を拡充すること。

以 上