検査体制の拡充と医療機関への支援を求める申し入れ
日本共産党東京都議団は本日、小池百合子都知事宛に「検査体制の拡充と医療機関への支援を求める申し入れ」を行いました。
内藤淳福祉保健局長が応対し、「(PCR検査センターは)国も基本的には(補助を)出すと言っているので、活用しながらやっていきたい」と述べました。
★(左から)(内藤淳福祉保健局長)大山とも子、藤田りょうこ、白石たみおの各都議(2020.5.18)
東京都知事 小池百合子 殿
2020年5月18日
日本共産党東京都議会議員団
検査体制の拡充と医療機関への支援を求める申し入れ
感染の全体像を把握することは、新型コロナウイルス感染症の対策を立てるための大前提です。しかし、国でも都内でも人口当たりの検査数は国際的に低水準にとどまっています。都は15日に「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ(骨格)」を発表しましたが、科学的根拠に基づいた計画を立てるには、検査の大幅増が必要です。感染症増加の第2波への備えも急がれます。国の専門家会議も、3月下旬ごろからの感染者の急増に十分対応できなかったことや、予期しない状況で重症化するケースが報告されていることなどを踏まえると、PCR検査をさらに拡充させ、より早期の診断と適切な医療につなげることが重要だとしています。
一方医療現場では、院内感染により多くの負担が生じています。とりわけ救急や手術などのハイリスクな医療、また分娩や内視鏡など三密が避けられない場面での感染拡大を防ぐ観点から、事前の速やかな検査の実施など、院内感染対策の強化が求められています。
また東京保険医協会の調査では、回答のあった医療機関の9割以上で患者減があり、減収も9割以上にのぼります。昨年同期に比べて報酬が5割以上減少した医療機関は3割に上っています。現状のままでは、人材不足や経営難などで医療機関そのものが存続できないという事態を招きかねません。杉並区では新型コロナ患者を受け入れる病院に月平均約2億円の支援を行います。経営が悪化した医療機関への支援も急務です。
感染症のリスクのある中で働いている医療従事者への支援の充実も求められています。
よって日本共産党都議団は、都として対策を講ずるよう以下、申し入れます。
- PCR検査センターの予算を早急につけ、国制度への上乗せを含めて手厚い支援をもれなく行い、設置を広げること。また、この間設置してきたPCR検査センターに対しては遡及して支払うこと。
- PCR検査センターのマンパワーの確保のため、積極的な支援を行うこと。防護具など必要な資材の提供を十分に行うこと。
- 自宅やかかりつけ医からPCR検査センターまでの移動等に対して、後部座席を陰圧にしたタクシー車両等の活用を促進することによって、感染拡大防止対策と移動支援を行うこと。
- 国が「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」を改定したが、幅広く検査が行われるよう、都内の保健所設置自治体と協議し、改めて申し合わせを作成すること。
- 濃厚接触者は無症状者もPCR検査を行うこと。
- 抗原検査の活用を早期にすすめること。
- 都が実施する抗体検査の実施病院数を増やし、月3000件の規模をさらに引き上げること。
- 大学の検査能力を活用するため、国に早急な対応を求めるとともに、都としても大学連携の枠組みの活用などによる大学への働きかけを検討すること。
- 都内での新型コロナウイルスによる死亡事例について、迅速にPCR検査や医療提供が行われていたかなどの観点で検証を行うこと。
- 院内感染の発生事例について、院内感染の防止のためにどのような対策が必要なのかを明らかにすることを目的とした検証を行い、都や医療機関での対策に役立てること。
- 妊婦、手術予定者、内視鏡検査の予定者などをはじめとする入院患者等に、無症状の場合も含めて検査を行い、院内感染防止対策を徹底できるようにすること。そのために、国の保険適用に先駆けて都として費用を助成すること。保険適用された後も、その範囲が不十分な場合は、保険適用外の検査への助成を行うこと。
- 医療機関が昨年実績に基づいた診療報酬を受け取れるよう国に求めるとともに、杉並区のように直接、医療機関への財政支援を行うこと。
- 医療機関への家賃補助を行うこと。
- 都として新型コロナ対策のための医療従事者への特殊勤務手当をさらに上乗せするための新たな補助を行うこと。また、現在は手当の対象者は新型コロナ患者の診察や治療などに携わる医療従事者となっているが、それ以外の医療従事者も院内感染のリスクのある中で働いていることから、手当の対象者を都として広げること。
以上