新型コロナウイルス感染症対策に、特別に配慮の必要な方の人権を守る視点を 徹底することを求める申し入れ
8日、日本共産党東京都議団は、感染症拡大により、子どもや女性、障害者、生活困窮者などに悪影響が生じていることから「新型コロナウイルス感染症対策に、特別に配慮の必要な方の人権を守る視点を 徹底することを求める申し入れ」を小池百合子知事宛に行いました。
★左から、あぜ上三和子、藤田りょうこ、とや英津子、里吉ゆみ、米倉春奈の各都議。
★新型コロナウイルスアンケートにご協力ください。
東京都知事 小池百合子 殿
2020年4月8日
日本共産党東京都議会議員団
新型コロナウイルス感染症対策に、特別に配慮の必要な方の人権を守る視点を徹底することを求める申し入れ
感染症拡大により、子どもや女性、障害者、生活困窮者などに悪影響が生じています。昨日、緊急事態宣言が出され、都からは外出自粛要請が行われました。外出はさらに強く抑制されることになります。その際、最も影響を受けるのは、社会的に弱い立場に置かれている人々です。都として、こうした人々の人権を守る視点を徹底することが必要です。
外出制限により、世界各国で家庭内暴力(DV)件数が急増していることを受け、5日、国連のグテーレス事務総長は、女性への暴力防止と救済を新型コロナウイルス対策の主要項目とするよう各国に求め、具体的な取り組みを要請しています。DVが3割以上増加したフランスは、被害から逃れた人のために計2万泊分のホテルの部屋購入を発表し、外出制限下でも営業している食料品店周辺に臨時の相談窓口を設置することも決めました。
さらにユニセフも、社会の混乱により、すでに暴力、搾取、虐待の危険にさらされている子どもはさらに脆弱となるとして、政府に新型コロナ感染症への対策を計画するにあたっては、弱い立場に置かれた少女や子どもの特有のリスクを考慮する必要があると呼びかけています。
日本でもDVや児童虐待が深刻化すること、家にいられず、宿泊費もない少女につけ込む加害者や斡旋業者などによる性犯罪や性搾取に巻き込まれることが指摘されています。国連事務総長の要請や国連女性機関の声明「女性と新型コロナウイルス」、ユニセフのよびかけなどに基づき、対策の抜本的強化が急がれています。
新型コロナ感染症に関わる情報保障は、障害者への配慮を徹底する必要があります。また、障害者本人の生活や障害者支援事業者の運営が困難に陥らないよう、対応が必要です。
小池知事が6日、施設を分類し休業を求めましたが、それによりネットカフェで寝泊まりするおよそ4000人が行き場を失おうとしています。さらに生活困窮者が増え、住まいを失う方が増加することも支援関係者からは指摘されています。そこで以下の事項について申し入れます。
(子ども・少女・女性について)
① すべてのDV被害者や児童虐待相談のための相談窓口の運営を継続し、相談・支援体制を強化すること。外出制限時にも行くことができる食料品店や薬局などに臨時の相談窓口を設置するなど積極的な対応を行うこと。相談のための外出は自粛要請の対象外であることを明確に発信すること。
② 児童養護施設や乳児院、婦人保護施設、民間シェルターの感染予防支援について、都が責任をもち現場の状況を聞き取りながら行うこと。マスクや消毒液、調理に使う手袋などを支給すること。感染者が出た場合の対応について支援を行うこと。
③ シェルター運営の維持とともに、被害者の避難先を増やすためにホテルの部屋などを確保すること。
④ 若年被害女性等支援モデル事業などのアウトリーチ支援の重要性が高まっている中、都として、感染症対応も含めた活動への支援を強化すること。
⑤ 民間支援団体が面談や相談のために利用している公共施設が全面閉鎖され、相談活動に困難が生まれている例がある。さらに、今後施設の使用停止の要請が行われた場合でも公共施設を利用した、緊急の相談や支援が行えるよう対応すること。
⑥ 今後も感染防止対策が長期化すると、都の女性相談センターの一時保護等の業務が滞ることも起こりうる。また、配偶者が自宅にいることで、事前相談なしの緊急一時避難が増えることが懸念されている。被害者が民間シェルターに逃げ込んだ場合、従来から北海道が行なっているように、ただちに一時保護を開始できるように対応すること。
⑦ 婦人保護施設や民間シェルターが衛生用品の購入などにより、平常時よりも経費がかかることになる。また、調理員の感染による欠勤、施設内で調理ができなくなる場合、経費が大幅に膨れ上がることも懸念されている。感染症対策として必要となった経費を補助すること。支援員増員の予算をつけること。
⑧ 場所を秘匿している施設やシェルターの利用者やスタッフに感染者が出た場合、シェルターの場所が知られないよう、発表内容への配慮をすること。
⑨ 緊急経済対策としての給付金等の支給の際には、DV被害により家を出ている方で住民票を移さないままでいる配偶者や子どもは援助が受け取れない可能性がある。本来は個人単位で救済するべきであるが、住民票上の世帯主でなくとも、少なくとも以下のようなDV被害者が申し出た場合、給付措置をとるよう国に求め、都としても対応すること。
・DVの相談証明がある人
・DV法の保護命令が出ている事件の被害者
・住民基本台帳の閲覧制限等の支援措置がとられている人
・その他、児童相談所、警察、配偶者暴力相談センター、自治体の男女共同参画推進センターの相談窓口、民間団体などが相談を受けており、それらの機関が住民票所在地ではない所に居住しているDV被害者であることを証明する人
(障害者について)
⑩ 聴覚障害者、難聴者に対する新型コロナ感染症に係る情報提供は、都の広報の映像には手話と見やすい字幕をつけること。またNHKと民報にも要請すること。マスクをつけていると口元が見えず通訳に支障があるため、フェイスガードを都として手話通訳派遣事業者へ提供すること。
⑪ 新型コロナ感染症対策の広報資料は、わかりやすい版のもの、点字、大活字、録音物版のものを作成すること。
⑫ 人工透析を行う施設での感染予防対策を徹底すること。透析患者が入院できる医療機関を拡充すること。感染者の発生により透析施設の閉鎖をしなければならない場合も想定し、その場合の他の施設での透析患者の受け入れを確実にできるようにすること。
⑬ 障害者福祉サービス等事業所で新型コロナウイルスへの対応で利用者が通所等を行わない場合に、利用者の居宅等において健康管理や相談支援などできる限りの支援を行なったと区市町村が認める場合は、報酬の対象とできることが国から都を通じて区市町村と事業所に通知されているが、区市町村によっては具体的にどのような場合に報酬の対象と判断するかについて事業所からの問い合わせに回答しない自治体もある。事業所に対して丁寧に対応し、柔軟な対応を行うよう区市町村に働きかけること。
(生活困窮者について)
⑭ 路上やネットカフェなどで生活している方に、安全が保てる個室の住まいを行政の責任で提供すること。都は「住居喪失者への一時住宅等の提供」としてチャレンジネット事業で確保している住宅を現在の100戸から500戸に増やすとともに、ホテル等を100室確保するとしているが、ネットカフェなどで寝泊まりしながら生活している方だけで約4000人と推計されている。数を大幅に増やすとともに、路上生活から生活保護を受けた方なども含め幅広く利用できるようにすること。そのために、民間賃貸住宅や建て替えのために空けてあるものも含めた都営住宅の利用をさらに進めるとともに、五輪用の施設等の活用も行い、活用可能なUR・国家公務員宿舎などを提供することを国に求めること。さらに、宿泊料の補助も行うこと。
⑮ 路上やネットカフェで生活している方に、新型コロナ感染症についてチラシを配布するなど予防法や相談窓口を周知すること。
⑯ 住まいを失い路上生活になったばかりの方を含め、民間と連携したアウトリーチ支援を強化し、住まい提供や生活保護などの支援に繋げること。
以上