東京五輪招致をめぐる贈賄疑惑の解明を求める申し入れ
2019年1月15日
東京都知事 小池百合子 殿
日本共産党東京都議会議員団
東京五輪招致をめぐる贈賄疑惑の解明を求める申し入れ
2020年オリンピック・パラリンピックの東京招致をめぐる贈賄疑惑で、招致委員会理事長を務めていた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長にたいし、フランス司法当局が捜査を開始したと報道されています。竹田氏に対し昨年12月に事情聴取が行われ、また、2017年2月には仏当局の要請により東京地検が都内のホテルで竹田氏の聴取を実施しました。国際オリンピック委員会(IOC)は、この件について同倫理委員会が調査を始めたと発表しました。
疑惑は、招致に向け、アフリカのIOCメンバーの支持を取り付けるために、竹田会長が裏取引に関わったというものです。招致委員会は五輪東京開催が決まった2013年9月の前後2回にわたり、シンガポールのコンサルタント会社の口座に計2億2千万円を振り込みましたが、これが当時IOC委員で国際陸連前会長のラミン・ディアク氏とその息子に流れて、五輪招致の集票の贈賄資金に使われた可能性があるとされています。
竹田会長は今回の疑惑報道を受けて本日記者会見し、コンサルタント業務に対する適切な対価であったと、贈賄の意図を否定しています。しかし、招致委員会が振り込んだ2億円余が誰に流れ、どのように使われたのかについての説明がありません。JOCは2016年に仏検察によりこの疑惑が浮上した際に調査委員会を設けましたが、国内調査にとどまり、コンサルタント会社やラミン・ディアク氏とその息子への調査も行われてなく、そこでも使途は解明されていません。また竹田会長は日本法において違法性はないといいますが、五輪の倫理規定や招致の行動規範に照らしてのどうなのかの言及もありません。
ラミン・ディアク氏はロシア陸上界のドーピング疑惑の隠蔽で金銭を授受した疑いで仏検察から起訴され、IOC委員の資格停止処分を受けました。また2016年リオデジャネイロ五輪招致をめぐる買収疑惑もディアク親子が密接に絡み、当時のブラジルオリンピック委員会会長はブラジル連邦警察に逮捕されました。招致委員会が「国際大会などでの実績」を評価して、ディアク親子との関係が濃いコンサルタント会社に振り込んだ費用が、適切なものだったのかどうかを調査・解明する必要があります。
2020年五輪は、竹田JOC会長が招致委員会理事長、東京都副知事が同副理事長、石原知事(当時)が同評議会会長となり五輪招致を進めました。招致活動の内容については東京都に重い責任があります。また開催都市として、1年半後に控えた東京2020大会を、胸を張って迎え、成功させるためにも疑惑の解明は必要不可欠です。
2020年五輪招致にあたっては、当時の石原知事が2011年9月のわが党の代表質問への答弁で、五輪招致とは「とにかく裏の裏の裏があるどろどろした」もので「きれいごとではこれでは勝てない」と述べ、また同年8月には新聞紙上で「招致を成功させる決め手はと問われたら、それはわけのわからない金をつくることですよ」と発言しました。わが党は、こうした発言は五輪招致の行動規範を冒涜するものであり、もしそうした「裏の」招致活動を進めるなら、まさに違反行為だと厳しく批判しましたが、こうした当時の知事の態度が招致活動に影響することがなかったのかも問われます。
よって日本共産党都議団は、小池知事に対し、以下の2点を強く申し入れるものです。
- 2020五輪の東京招致にかかわる今回の贈賄疑惑について、開催都市である東京都としてすみやかに調査・解明を行い、その結果を公表すること。
- 都として、組織委員会およびJOCにたいし、今回の贈賄疑惑についてすみやかに調査・解明を行いその結果を公表するよう求めること。
以 上