豊洲市場を中央卸売市場として認可しないことを求める申し入れ
農林水産大臣 齋藤 健 殿
2018年8月29日
日本共産党東京都議会議員団
豊洲市場を中央卸売市場として認可しないことを求める申し入れ
小池百合子東京知事は7月31日、豊洲市場の「安全宣言」を行い、8月1日、農林水産大臣に認可申請を行いました。しかし、豊洲市場を中央卸売市場として認可する条件は整っていません。
第一に、豊洲市場の地下水から、昨年来いっかんして、環境基準を大きくこえる有害物質が検出されています。7月30日に発表されたモニタリング調査結果でも、環境基準の170倍もの発がん性物質ベンゼンが検出され、環境基準では検出されてはならない猛毒のシアンも全街区で検出されています。
地下水にふくまれる汚染物質の影響が地上に出ないようにするため、地下水の水位を当面AP(海抜)+2メートル以下におさえるとした目標は、追加対策工事完了後も達成されていません。達成できる見通しも示されていません。
知事は、土壌汚染対策の追加対策工事について、専門家会議が有効性を確認したことを、「安全宣言」の根拠にしています。しかし、この話にも大きな問題があります。専門家会議は設置要綱で、「公開で行う」とされていますが、公開の専門家会議は、昨年6月11日を最後に開かれていません。つまり、有効性を確認する専門家会議は開かれておらず、正当な手続ではありません。専門家会議以外の科学者・研究者によるクロスチェックもされていません。
「食の安全・安心」は、生鮮食品をあつかう中央卸売市場にとって何をおいても優先すべきものです。事実の裏づけのない偽りの「安全宣言」で、「食の安全・安心」を確保することはできません。
第二に、豊洲市場の開場に対し、仲卸をはじめとした市場業者の合意と納得は、得られていません。
築地女将さん会が、築地市場の水産仲卸業者などへの、築地市場の移転についてのアンケート調査を行い、261人の市場業者が回答した結果を6月に発表しました。移転計画について、「今からでも中止すべき」が31%、「もう一度凍結して話し合う」が39%、合わせて70%です。豊洲と築地どちらで商売したいかの問いには、「当然築地」が61%、「できれば築地」が32%、合わせて93%に及びます。
マグロ包丁が使えないほど狭い仲卸店舗、急斜面・急カーブがあり長くて複雑な流通動線、大型トラック荷台の横扉が開けられない構造、駐車場不足、いまだ示されない水光熱費等の費用負担などなど、市場業者の問題指摘の多くが未解決です。そもそも、豊洲市場は現場の声を聞かずにつくられたため、多くの問題が噴出しており、まともに市場として機能するかどうかも危惧されています。
また、豊洲市場への移転は、築地市場業者の営業権を無視するものだとして、築地市場営業権組合が新たに結成され、仲卸をはじめ150人をこえる業者が参加しています。
築地市場を買い回りで利用してきた料理店、鮮魚店などの業者からも、反対の声があがっています。
豊洲移転中止署名をすすめる会は、小池都知事による「安全宣言」と認可申請への抗議声明を発表しています。日本の伝統食文化を考える会・東京連絡会有志は7月および本日の2度にわたり、築地市場移転反対の合計5千人もの署名を、小池都知事に提出しています。築地市場の豊洲市場への移転に、市場業者だけでなく、都民的な合意も得られていません。
こうしたもとで、豊洲市場を中央卸売市場として認可することは、とうてい許されません。認可しないことを、強く申し入れるものです。
以 上