「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への知事の「追悼の辞」送付を求める要請
東京都知事 小池百合子殿
2018年8月2日
日本共産党東京都議会議員団
「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への知事の「追悼の辞」送付を求める要請
小池都知事は昨年度、1973年以来歴代都知事が行ってきた「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への「追悼の辞」の送付をとりやめました。その理由をただしたわが党の都議会質問に、知事は「3月と9月に行われる(関東大震災遭難者及び都内戦災遭難者慰霊の)大法要で、関東大震災で犠牲となったすべての方々に追悼の意を表していることから、個別の形での追悼文の提出は控えた」と答弁しました。
しかし、この式典は、関東大震災時に「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマが広がるなかで官憲や市民の手で虐殺された多数の朝鮮人犠牲者を追悼するものです。自然災害による犠牲者と虐殺による犠牲者では、死の性格がまったく異なります。日頃抱いていた民族への差別・偏見が、震災のような大災害時に流言・飛語となって噴き出す問題はけっして過去の出来事にとどまりません。今年の大阪府北部地震でも特定の民族をあげて、差別や偏見をあおるインターネット投稿が相次ぎ、拡散されたことが大きな問題となりました。
知事は、「何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだ」とわが党の代表質問に答弁したように、虐殺の史実そのものを認めようとしていません。しかし、関東大震災において朝鮮人虐殺があった事実を否定する歴史家はおらず、国の中央防災会議の報告書でも、「これほどの規模で人為的な殺傷行為を誘発した例は、日本の災害史上、ほかに確認できず、大規模災害時に発生した最悪の事態」と明記しています。
知事の姿勢や認識は、民族差別を背景とした朝鮮人の虐殺・加害の歴史をうやむやにし、風化させることにつながるもので許されません。また、都が2020年東京オリンピック・パラリンピックを前にして、「ヘイトスピーチのない東京」などオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現をめざそうとしていることにも、逆行するものです。
昨年の追悼文送付中止に対し、幅広い市民、多くのメディアから厳しい批判の声があがったのは当然です。
日本共産党都議団は、小池知事と都に対し、歴史の事実に向き合い、また歴代都知事が「悲劇を二度とくり返さない」と追悼の辞を寄せてきたことに立ち返り、当該式典への「追悼の辞」の送付を再開するよう強く求めるものです。
以 上