「日の丸・君が代」にかかわる再処分を行わず自由闊達な教育を求める申し入れ
2017年11月30日
東京都教育長 中井 敬三 殿
日本共産党東京都議会議員団
「日の丸・君が代」にかかわる再処分を行わず自由闊達な教育を求める申し入れ
東京地方裁判所は9月15日、教職員が入学式や卒業式で「君が代」斉唱時の起立斉唱を命じた職務命令に拒否したことを理由とする、懲戒処分の取り消しを求めた裁判の判決を出しました。6名、7件の減給・停職は相当性を基礎づける具体的事情がなく、社会通念上著しく妥当性を欠き、懲戒権の範囲を逸脱・濫用しており違法であるとの判断を示すと同時に、不起立の回数のみを理由とする加重処分を断罪しています。
この間の訴訟では63名、73件にのぼる処分を違法とする判決が出ています。今、教育委員会としてなすべきは、教職員への謝罪と名誉回復・権利回復です。
ところが教育委員会は、5名については控訴を断念し処分取り消しは確定しましたが、1名については控訴しました。処分取り消しが確定した原告からは、中井教育長あてに謝罪を求める申し入れもされていますが、何の回答もしていません。
さらに、処分取り消しが確定した原告のうち、現職の都立高校教員2名について、減額分の給料も支払わないまま事情聴取を行おうとしており、新たに戒告処分という「再処分」をする意図があると推測せざるを得ません。
教育委員会の対応は、国旗に向かって起立し斉唱することなどを命じた職務命令が、思想および良心の自由について間接的な制約となり得ることを認め、自由で闊達な教育のために、すべての関係者の真摯で速やかな努力を求めた最高裁判決にも反し、教育行政としてもふさわしくありません。
よって日本共産党都議団は、以下の4点について申し入れます。
- 今回の東京地裁判決で処分が取り消された教職員に対し、再処分のための事情聴取および再処分を行わないこと。1名の控訴を取り下げること。
- 処分取り消しが確定した5名の原告に謝罪し、直ちに名誉回復・権利回復措置を行うこと。処分が取り消された旨を、都教育委員会ホームページで公表すること。
- 原告らが強く求めている話し合いに応じるとともに、学校現場で自由闊達な教育が実施できるよう、教育行政のあり方を改善すること。
- 10・23通達を撤回し、校長の職務命令、累積加重処分、再発防止研修などの「日の丸・君が代」を強制するための一連のやり方を抜本的に改めること。
以 上