2016年度における国民健康保険の収納率向上のための研修における 各種資料の開示を求める申し入れ
東京都知事 小池百合子殿
2017年4月13日
日本共産党東京都議会議員団
2016年度における国民健康保険の収納率向上のための研修における各種資料の開示を求める申し入れ
わが党は、3月15日の予算特別委員会において、国民健康保険の滞納世帯に対する徴収強化の問題を取り上げ、その背景に、都が区市町村に対して行っている指導があることを指摘しました。その際、実態を把握するために、わが党が開示請求を行った収納率向上のための研修に関する資料のうち、非開示となった部分を開示することを求めました。
知事は、「基本的には、個人情報に関わる問題については、これはしっかりと守る」と述べた上で、「精査すべきだ」と答弁しました。
今回、非開示となった部分のうち、個人情報にかかわるものは徴収指導員氏名と指導員氏名であり、全体の中ではごくわずかなものです。圧倒的に多くの部分の非開示理由は「滞納処分等を効果的に執行するための専門的な技術、手法であり、これを公にすることにより、滞納者等に滞納処分等を免れるための対抗措置をとられるおそれがあるなど、各区市町村が行う滞納処分の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。」となっています。非開示の根拠となっている東京都情報公開条例第7条第6号の規定は、「徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」がある場合等に非開示にできるというものです。
しかし、国民健康保険の滞納処分に関していえば、滞納の事実自体は隠しようのないものです。また、徴収のためにどのような権限を行使できるかは法令で明確にされており、もし本当に滞納が悪質であれば、法令に基づいた権限と適切な手続きに則って業務を行えば強制力を持って財産調査や差し押さえが可能です。したがって、国民健康保険の滞納処分に関する情報を非開示にしなければ事務の遂行に支障が出るというのは考え難いことです。
現に、例えば滋賀県野洲市では国民健康保険税を含めた債権管理マニュアルを市のウェブサイトに掲載し、滞納整理をどのように進めるかを詳細に明らかにしていますが、そのことによって問題が生じてはいません。
ましてや、非公開となった内容の中には「着任係長が滞納整理未経験の場合等の心得及び行動」のように、そもそも滞納処分に関する「専門的な技術、技法」に該当するとは考えられないものもあります。また、3月15日の予算特別委員会で示した文書以外でも、「職場研修の職場講師育成」に関する研修資料の「職場講師の職場研修受講職員に対する心使い等」の部分など、該当するとは考えられないにも関わらず非開示になっているものが様々にあります。
知事は予算特別委員会で「(全く)魂なくやっていると私は考えておりません」と答弁しましたが、都は差し押さえの件数が多い区市町村に対する交付金まで出しています。その都が行う研修が、住民の困難に寄り添って丁寧に問題解決を図ることを後押しするものになっているのか、強い疑問を持たざるを得ません。都として、改めるべきところがあれば改めるためにも、実態を知る必要があります。予算特別委員会で紹介した回以外の研修の資料も多くの部分が非開示となっており、それらを含めて明らかにすることが求められます。
よって、以下の資料に関し、個人情報に係る徴収指導員氏名、指導員氏名を除くすべての部分について、開示することを求めるものです。
・2016年度研修資料「収納をめぐる状況と各保険者の取組等」
・2016年度研修資料「滞納整理の進め方」
・2016年度研修資料「職場研修の職場講師育成」
・2016年度研修資料「滞納処分の停止について」
・実施支援報告書(中央区)(2016年度分)
・実施支援報告書(品川区)(2016年度分)
・実施支援報告書(中央区)(2016年度分)
以上