原発事故による福島県の区域外避難者への住宅提供継続についての申し入れ
東京都知事 小池百合子 殿
2016年10月28日
日本共産党東京都議会議員団
原発事故による福島県の区域外避難者への住宅提供継続についての申し入れ
福島県は昨年6月、国との協議により東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う避難者が入居する応急仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供を、避難指示区域外からの避難者(以下、区域外避難者)については、2017年3月末で打ち切ることを発表しました。この方針を受け、区域外避難者に対する都と福島の個別面談が行われ、二次にわたる区域外避難者向けの都営住宅の募集が実施されました。
しかし、区域外避難者の方からは、この面談や電話は、区域外避難者の意向や生活状況に寄り添うものではなく、一方的に転居や区域外避難者向けの都営住宅申し込みを迫るものとなっており、「電話や訪問がこわい」「眠れない」「具合が悪くなった」などの声が少なからず寄せられています。
二次にわたる区域外避難者向けの都営住宅の募集は重要ですが、現在住んでいる団地の募集枠が少なく、ようやく住み慣れた住戸から移転せざるをえないという不安の声があがっています。高齢の区域外避難者のなかには、人工透析を週3回受けているなど、深刻な病気を抱えていて、現住居からの転居は通院に大きな困難が生じるなど命にかかわりかねないような方もいます。子どもたちは避難のなかで何度も学校も転校し、やっと落ちついた学校生活を送れるようになったところでの転校はたいへんな負担になります。
全国の自治体では、県の独自負担などにより入居期限を2018年度末まで延長する、自主避難者が現に居住している団地で一定数の自主避難者向け専用の募集戸数を確保し継続して住めるようにする、福島県が予定している民間賃貸住宅への家賃補助に上乗せをするなどさまざまな努力をしている県もあります。
復興五輪をかかげる東京都こそ、自主避難者の居住の安定にむけて支援を抜本的に強めるべきであり、日本共産党都議会議員団は、以下のことを強く求めるものです。
一、国と福島県に対して応急仮設住宅の提供を継続するよう要望するとともに、国がたとえ仮設住宅の提供継続を決断しない場合も、都の負担で応急仮設住宅・民間借上住宅の入居期間を延長する、入居継続に配慮した都営住宅の第三次募集を行う、家賃補助を上乗せするなど、継続して同じ住宅に居住できるよう、都独自の支援策を実施すること。とりわけ、子どものいる世帯、高齢者、病弱者、低所得者、障害者世帯などには特別な措置をとって、区域外避難者の居住の安定をはかること。
二、東雲住宅をはじめ、国家公務員住宅(廃止したものも含む)については、国に対して提供を続けるようよう要望すること。
三、戸別訪問や相談の実態を掌握し、訪問・電話の強要や人権侵害にあたるような言動は行わず、区域外避難者の要望にそった丁寧な対応を行うようにすること。
以上