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申し入れ・談話

2016.05.31

都市計画道路の第四次事業化計画に関する申し入れ

東京都知事 舛添要一殿

都市計画道路の第四次事業化計画に関する申し入れ

2016年5月25日
日本共産党東京都議会議員団

 東京都は、3月30日、「東京都における都市計画道路の整備方針(第4次事業化計画)を決定しました。
事業計画は、都内で未整備になっている都市計画道路について、必要性を検討し、必要とされた都市計画道路の中から、今後10年以内に着手を目指す路線(優先整備路線)を選定するものですが、都は今回の整備方針で、残された1210㎞の未整備路線のうち、必要性の検証をおこない、9区間、約5㎞の路線を見直すだけで、320区間、226㎞を優先整備路線としました。日本共産党都議団の調べでは、優先整備路線にかかる建物は1万3000棟にもおよぶと推計されます。都の道路の新規整備予算は近年増大を続けており、今年度は2000億円近くにのぼっています。
都市計画道路の大幅な見直しをせず、このように大量に整備する方針をいまだに取っているのは、東京だけであり、他府県では大幅に見直しています。例えば、大阪府は280路線386㎞、京都府は105路線112㎞、福岡県で100路線132㎞を廃止しています。
東京都による今回の第四次事業化計画は、根拠すらまともに示さず、一方的に押し付ける乱暴なやり方であり、断じて容認できるものではありません。

問題の第1は、「交通量減少時代の到来」を策定初期段階では掲げていたものの、都内の交通量の減少を示すデータを明らかにせず、専門家からも道路の存続などの理由について、根拠が乏しいことを指摘されているにもかかわらず、根拠の補強もできないままに、計画決定を強行したことです。検討も、ほとんど密室で行われ、わが党の開示請求についても、決定前に出された資料のほとんどは、黒く塗りつぶされたものであり、それすら一か月半も開示を延長し、計画決定直後に出すというものでした。

第2に、計画決定する要件として、15項目の検証項目を設定し、そのうちの一つでも該当すれば、未整備の都市計画道路として存続させるという、他都市ではおよそ考えられない、乱暴なやり方をとったことです。

第3に、関係する住民や商店街の多数が反対しているにもかかわらず、また、地元議会で見直しを求める陳情や意見書が採択されても、一顧だにせず、強行決定したことです。

第4に、都の「幹線道路を整備すれば、通過交通が減り、地域内の安全を確保できる」という主張に対し、専門家からも疑義が出され、都も「道路整備と事故件数との因果関係を明確に示すものはない」と認めていたにもかかわらず、道路整備により安全が確保されるという、主張を取り下げず、このことを理由にした優先整備路線の選定を強行していることです。

第5に、専門家からの「地域の人たちの意向を丁寧に組み上げる仕組みになっていないのではないか」「駐車場がない『歴史的建造物』などに対するアクセス道路をつくるのはおかしい」などという指摘を再三受けながら、こうした意見が計画に反映されていないことなどです。

知事は、都のこうした問答無用の都市計画道路方針決定のやり方について、どう認識しているのか。以上5点について、根拠を明確にした都民が納得しうる回答をいただきたい。

同時に、わが党は、都市計画道路整備方針の決定の仕方、そして決定後に開示された資料から浮かび上がった問題点をただす立場から、知事に、以下の申し入れをおこないます。それぞれ根拠を明確にした回答を求めるものです。

  1. 「地域のまちづくりとの協同」に該当する路線については、改めて住民意向調査を行い、存廃の是非を再検討すること。
  2. 「『歴史的建造物』『新東京百景』にアクセス」するための道路に関して、改めて、当該施設などに駐車場の有無、規模、管理者の要望などについて調査し、必要性を再検証すること。
  3. 1日6000台以上の交通量があるという根拠、そしてその道路を整備しなければ「周辺の交通の渋滞が緩和されない」「通過交通が排除されず、安全が確保されない」という、客観的根拠を明らかにすること。
  4. 「幹線道路を整備すれば、通過交通が減り、地域内の安全が確保される」として行っている優先整備路線の選定のしくみと考え方について、詳しく明らかにすること。
  5. 都内の自動車交通量の現況・将来見通しについて、その根拠となるデータをすべて明らかにすること。将来交通量、混雑時の平均速度、混雑度の検証に用いた、将来の人口の増減や自動車保有台数、経済成長率などの算定根拠を明らかにすること。「交通量減少時代」という文言を削った経緯・理由について明らかにすること。

以上

開示資料で明らかになった「第4次事業化計画」の重大な問題点について

「第四次事業化計画」に関する開示資料