小中学校の特別支援教室の教育環境の維持向上を求める申し入れ
日本共産党都議団は9月30日、標記の申し入れを藤田裕司教育長あてに行いました。特別支援教育課発達障害教育推進担当課長が対応しました。
★右から、福手ゆう子、とくとめ道信、斉藤まりこ、アオヤギ有希子、とや英津子の各都議(2021.09.30)
申し入れ内容は以下のとおりです。
2021年9月30日
東京都教育長 藤田裕司 殿
日本共産党東京都議会議員団
小中学校の特別支援教室の教育環境の維持向上を求める申し入れ
小中学校内に設置され、通常の学級に在籍しながら週に数時間、障害に応じた特別な指導を受けることのできる特別支援教室は、発達障害のある子どもたちを支え、成長に大きな役割を果たしています。
ところが都教育委員会は今年3月、特別支援教室に係るガイドラインを改訂し、子どもたちが教室で指導を受けられる期間を原則1年、延長しても2年までとするとしました。さらに区市町村ごとに児童・生徒10人に対し1名とされている教員の配置基準を、来年度から12人対し1人に引き下げると、区市町村教育委員会に説明しました。
これを知った校長、副校長、教員や保護者、関係者から「障害は治るものではなく、年齢ごとに新たな課題が生じてくるので、指導期間の制限は現実的でない」「子どもが4年間通った。必要な期間だった」「中学1年で教室に入った場合、3年生で指導を受けられなくなるのは困る」「最大2年とされると、学びが中断されたり、入室を先延ばしにしてしまうのではないか」「年度途中の入室などにより、今でも1人で13人、15人と受け持つ教員がおり、さらに増えたら回していくのは困難」「コロナ対策で業務が増えているのに、さらに負担増となるような基準の引き下げは、働き方改革に逆行している」など、到底受け入れられないという声が上がっています。
そもそも都教委は5年前に通級指導学級を特別支援教室に制度変更した際に、教員配置を3割減とする改悪を行いました。このため本当は週4時間の指導が必要な子どもが2時間しか受けられなくなったり、小集団指導ができなくなったりする例が生じています。さらに今回、教員の配置基準を少なくすることは、認められません。
加えて都教委は、教員の異動の必要性から区市町村教委に指示をする一方、都民や保護者、学校関係者には、情報提供も説明も意見を聞くこともしていなく、あまりにも不誠実です。
発達障害への理解の広がりや、障害者への合理的配慮の義務化と発達障害者支援法の改正を踏まえた支援の進展などを背景に、特別支援教室で指導を受ける児童・生徒は、2016年度の1万1545人から2020年度は2万6323人と、約2.3倍に増加しています。都教委の今回のやり方は、教員数の抑制、あるいは今年度から段階的に実施されている小学校の35人学級に対応した教員確保という意図が透けて見えると言わざるをえません。
発達障害の子どもたちが手厚い教育を受けられるように条件を整えることこそ、都教委の役割です。よって日本共産党都議団は、以下の事項について強く要望するものです。
- 教員の配置基準は、児童・生徒10人に対し教員1人より引き下げないこと。むしろ教員1人当たりの児童・生徒数を減らし、手厚くすること。
- 年度途中に児童・生徒が増加することを見越した教員の配置基準に改善すること。
- ガイドラインや教員配置基準変更の案について、保護者や都民に説明するとともに、意見を踏まえた制度とすること。
- 特別支援教室での指導期間を制限するのではなく、必要な子どもが必要な期間指導を受けることを保障すること。
- 指導目標の達成に2年以上を要する場合や、新たな課題が生じた場合は、2年を超えて指導を受けることも可能であることを明確にすること。
- 区市町村や学校が地域の実情を踏まえて行っている拠点校の設置方法や指導の工夫を尊重し、特定の方法を押し付けないこと。
以 上