ご意見・ご要望
ページトップヘ

申し入れ・談話

2022.01.28

「2022年度東京都予算案」について(談話)


「2022年度東京都予算案」について(談話)

2022年1月28日
日本共産党東京都議会議員団幹事長
和泉なおみ

コロナ禍に都立・公社病院を大後退させる独立行政法人化強行予算

 都立・公社病院は都民のいのちを守る最後の砦としての重要な役割を果たしており、コロナ患者も全国で最も積極的・柔軟に受け入れてきました。厚生労働省の資料で、都立・公社病院のコロナ病床確保数は、全国約2,300病院中なんと1位から11位を占めています。ところが小池知事が本日発表した「2022年度東京都予算案」は、都立病院条例廃止が可決されることを前提に、都立・公社病院の予算は6月までしか組まず、7月から独法化を強行するものとなっています。とうてい許されません。

 また国の方針に沿い、消費税を財源にして都内の医療機関の病床を削減する病床機能再編支援事業が予算化されています。

都税収入は大幅増・一般会計予算は過去最高―格差拡大が浮き彫りになった予算案

 コロナ禍で都民と中小企業・小規模事業者のくらしと営業は深刻です。ところが、IT企業や大手製造業などは業績好調で、法人二税など都税収入は今年度比5,858億円、11.6%も増え、驚くことに史上最高水準です。貧しい者はさらに貧しく、富めるものはさらに豊かにという東京と日本社会の格差拡大の実態が浮き彫りになりました。税収増を背景に、一般会計の予算規模は過去最高となっています。この税収増を、都民のくらし・営業を守る給付や支援に思い切って使い、格差是正に舵を切るべきです。ところが、小池知事が編成した新年度予算案にその姿勢はありません。

コロナ対策は、後手後手を繰り返してきたこれまでの延長線上

 福祉保健予算は増えていますが、今年度の補正予算ですでに実施しているコロナ対策が新年度当初予算に計上されたことや、国の補正予算対応が主な中身です。第6波さなかの予算発表ですが、コロナ対策はこれまでの延長線上です。事業者支援のコロナ対策は、新年度予算案にほとんどありません。

 また、国民健康保険料(税)が新年度大幅値上げになるとの試算を都が示して大問題になっているのに、区長会、市長会、町村会も緊急要望した負担軽減予算は組まれていません。コロナ禍で住まいの支援が大事な時に、家賃補助もなく、都営住宅の新規建設は石原都政以来23年間ゼロがつづいています。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設の整備予算は4年連続大幅削減、認可保育園整備支援の予算は半減されています。

不要不急の大規模開発や大型道路建設を拡大・推進

 東京五輪大会が終わり、地に足の着いた施策に取り組むべき時に、国際競争力を口実にした臨海部、築地市場跡地、有楽町周辺、日本橋、渋谷・青山などの大規模開発予算が4割増となっています。陥没事故が大問題になっている外環道、住民の反対がつよい特定整備路線などの大型幹線道路建設予算は、今年度より増え約1,000億円に膨らんでいます。横浜市がIR・カジノ誘致を中止したのに誘致検討予算は9年連続計上され、大型旅客機の都心上空低空飛行を固定化・拡大する羽田空港機能強化の調査費も予算に入っています。コロナ禍で外国人旅行客誘致、国際会議場誘致あわせて93億円を予算化していることも適切ではありません。

日本共産党都議団の前進と都民運動の力で大事な成果も

 一方、昨年の都議選での日本共産党都議団の前進と都民運動の力で切り開いた大事な成果もあります。わが党が繰り返し求め、昨年12月にも条例提案した「18歳までの医療費助成」の23年度実施に向けた準備経費が計上されました。ヤングケアラー支援が新規事業実施をふくめて拡充され、都議会全会派共同で提案して昨年4月に施行された「東京都こども基本条例」に基づき子どもの意見表明や権利擁護を促進する事業や、多摩地域への新たな都立児童相談所設置に向けた調査、都立練馬児童相談所(仮称)の設置が予算化されたことも重要です。保育・介護・障害者福祉の人材確保のための宿舎借り上げ支援事業、受験生チャレンジ支援貸付事業や、ひきこもり支援が拡充・増額されました。

 また、わが党が提案してきた保健所の公衆衛生医師確保が、新規事業で実施されます。

 教育では、フリースクール等に通う児童・生徒支援、スクールカウンセラーによる相談体制の拡充が不登校支援として盛り込まれ、特別支援学校へのスクールカウンセラーの配置が実現しました。また副校長に集中する業務負担軽減のため補佐する人材の配置・教員の時数軽減のための講師派遣の拡充、医療的ケア児の専用車両を知的特別支援学校への拡充も重要です。来年度から35人学級が小学3年生まで拡大されます。都独自に小中学校全学年での35人学級に踏み出すべきです。

 ジェンダー平等に向け、東京都同性パートナーシップ制度(仮称)の導入が盛り込まれました。ファミリーシップ制度も一緒に導入すること、この制度を必要とする人が例外なく利用できるようにすることを求めます。思春期の子どもたちの性の悩みにこたえる「東京ユースヘルスケア推進事業」「都立高校等での生涯の健康に関する理解促進及び相談等への支援」、教育機関と連携した性別による「無意識の思い込み」に気づかせる取り組み、男性の育児休暇取得支援も重要です。性犯罪・性暴力被害者支援コーディネーターによる支援は、ワンストップ支援センターの強化につながるものです。

 気候危機対策を中心に環境局予算が前年比2倍以上に増額されたことは、水素エネルギー偏重などの問題点はありますが重要です。東京ゼロエミ住宅導入促進事業は予算が4倍以上になり、既存住宅の省エネ・再エネを支援する断熱・太陽光住宅普及拡大事業247億円が新規事業で予算計上されました。都有施設における太陽光発電設備設置は、都営住宅をはじめ281施設への設置が予算化されるなど動き出しました。

 中小企業支援では、営業を守るための制度融資が拡充されました。伴走型の商店街支援や就農準備支援事業などが新規事業として計上され、生産緑地買取・活用支援の予算がほぼ倍増されたことも重要です。

19議席の力を生かし、明るい明日への希望がもてる予算に

 日本共産党都議団は19議席に前進した力を生かし、条例提案や、毎年行っている予算の組み替え提案などを含め、都民のいのち・くらし・営業を守りぬき、明るい明日への希望がもてる予算にするため全力をつくすものです。

以 上