「中学校英語スピーキングテスト」の中止を求める申し入れ
日本共産党都議団は7月6日、「中学校英語スピーキングテスト」の中止を求める申し入れを浜佳葉子教育長あてに行いました。新田智哉担当部長が応対しました。
申し入れを行う(中央から)とや、
アオヤギ、斉藤の各都議
2022年7月6日
東京都教育長 浜 佳葉子 殿
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉 なおみ
「中学校英語スピーキングテスト」の中止を求める申し入れ
東京都教育委員会は「中学校英語スピーキングテスト(E-SATJ)」を都立高校入試に活用するとし、都内全公立中学校3年生を対象として11月27日にテストを行う予定です。テストの申請・申込は7月7日から始まる予定で、目前に迫っています。
しかし、この間の都教委の都民への対応や学校での説明は不十分かつあいまいで、到底納得が得られるものではありません。
保護者からは、「英語が苦手な子はもっと嫌いになってしまう」「英語スピーキングテストのことを調べて見るとやはりおかしい、子どもが犠牲になる」などの声が寄せられています。とりわけ英語教育の専門家らでつくる「入試改革を考える会」が6月はじめに都教委に提出した質問状「不受験者の扱いについて」に対する都教委の回答は、すでに公表されていることを繰り返すだけで、まともに答えていないと、怒りの声が寄せられています。
日本共産党都議会議員団は、5月16日から英語スピーキングについてアンケートをおこなっていますが、200人を超える人たちが答えてくれました。自由記述欄では、「子どもの将来を左右する受験に公平性に欠けるテストを導入するのはやめて欲しい。」「都立高校を受験するとなれば、テストを受けなければならなくなり、対策が必要になります。1月の結果をみていったん決めた志望校を変更しなければならない受験生も出てくる」など、心配や中止を求める声が多数寄せられています。
保護者や関係者のこうした声は、英語スピーキングテストの様々な問題点が解決されず、納得を得られていないことの証左です。
文教委員会の質疑でも、重要な問題点が明らかになりました。採点の公平性・正確性について、8万人の生徒の点数を短期間で正確に行えるかどうかの保障もなく、生徒が自分の回答の採点結果を情報開示請求することもできません。また、100点満点の英語スピーキングテストを、入試に活用する際に20点に換算しますが、その計算方法が公正とは言えず、テストが1点違いでも入試では4点の差に拡大する場合が生じることも看過できません。
今回のテストは株式会社ベネッセコーポレーションが問題作成から採点までおこないますが、ベネッセの商品であるGTECとそっくりだということも明らかになり、不公平が生じると指摘されています。また家庭用学習教材の販売会社であるベネッセが関係することで、利益相反の疑いが拭えません。
さらに、今回専門家からも指摘されている「不受験者の扱い」では、病気などで英語スピーキングテストを受験できなかった生徒の点数を、2月の都立高校入試の英語の点数が近い生徒の点数から推定するといいますが、二者に相関関係があるというデータはなく、本人の実力が正当に評価されないことになります。
都教委が2013年から16年に開いた「英語教育戦略会議」には、ベネッセや(公財)日本英語検定協会の職員が委員として参加し、2014年1月の「戦略会議」では、ベネッセのGTECについて議論し、「戦略会議」の報告書に「都立高校入試にスピーキングテストを加え」ることが明記されました。しかも「戦略会議」は条例で設置した附属機関ではないにもかかわらず、その報告書を「提言」「答申」と位置付けて、パブリックコメントもせずに、スピーキングテストありきで推進してきたことは、地方自治法からも逸脱し、きわめて恣意的です。
スピーキングテストを実施する根拠は崩れています。英語教育については、広く都民からの意見を反映させて進める必要があります。これらの問題点が解決されないままテストを強行すれば、犠牲になるのは子どもたちです。
よって日本共産党東京都議会議員団は、以下のことを申し入れます。
1、「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」の高校入試への活用は中止すること。テストの実施・申し込みも中止すること。
2、都民からの質問や意見には真摯に対応し、質問には改めて丁寧に回答すること。
3、英語における少人数授業は、現在の2学級3展開(2つの学級を3つのグループに分ける)でなく、1学級2展開を基本とするなど、英語教育の充実をはかること。
以 上