新型コロナの感染を抑え、亡くなる方を減らすための申し入れ
日本共産党都議団は本日、標記の申し入れを小池百合子都知事あてに行いました。福祉保健局の関口尚志感染症対策部長が応対し、「オミクロン株の特徴に応じて適切に対応をさせていただきたい」と答えました。
感染症対策部長に申し入れを手渡す(左から)藤田りょうこ、アオヤギ有希子、福手ゆう子、大山とも子の各都議
東京都知事 小池百合子 殿
新型コロナの感染を抑え、亡くなる方を減らすための申し入れ
2022年9月9日
日本共産党東京都議会議員団
東京都内の第7波での死亡者数はすでに第5波を上回り、現在報告されている死亡者数は連日30人前後と、高止まりの状況です。6月末以降、新規陽性者は急増し、7月28日には約4万人に上りました。こうした感染拡大によって、検査にも保健所にも病院や診療所にもアクセスが困難となり、必要な医療が受けられない事態が再びひろがりました。
7月28日にコロナと診断された80代の方は、救急搬送を依頼しましたが入院先が決まらず、感染判明の翌日の早朝に自宅で亡くなりました。7月1日から8月28日までに、救急搬送を希望したコロナ陽性者のうち「不搬送」となった件数は5000件を超え、搬送までに10時間以上を要した件数は100件を超えました(件数はいずれも速報値)。
都内の病床確保数は約7000床とされていますが、8月中旬には、都内の入院患者数が第5波・第6波のピークと並ぶ4000人台前半でピークとなりました。8月16日に会見した東京都医師会の猪口正孝副会長は、「東京の入院というのは~この辺ぐらいが非常に限界」とコメントしました。病床使用率が6割台でも入院は極めて難しくなります。
医療機関では、発熱等の症状のある方が外来に殺到した上に、発生届の入力や自宅療養者への健康観察などを行っており、非常に負担が大きくなりました。都は負担軽減のために、8月からオンラインによる有症状者への抗原検査キットの配布を始め、陽性者登録センターを開設しましたが、センターでの登録から薬の処方につながる仕組みを作るなどして、より利用されやすい取り組みにする必要があります。
保健所は様々な連絡の窓口となっているにもかかわらず、電話がつながりづらいという状況も引き続き生じています。
国の重症度分類は主に呼吸不全の観点からの基準となっており、都が従来から採用している重症者の基準も人工呼吸器管理かECMOを使用している方に限定されています。こうした呼吸器の状態を基準にした重症度の判断が実態に合わないという状況が、第6波以降、顕著になっています。軽症と分類されても全身状態の悪化により、重症者とカウントされないまま亡くなる方が増えているのです。都は第6波から新たに「オミクロン株の特性を踏まえた重症者用病床使用率」も公表していますが、症状で基準になるのは呼吸器の状態である点は同じであることに加え、知事が記者会見で発信しているのは従来からの定義の重症者数です。医療のひっ迫状況が的確に伝わるようにするためにも、適切な医療提供を進めるためにも是正が必要です。
9月から新学期も始まり、新たな変異株への置き換わりも懸念される中、医療へのアクセスを改善し、早期治療ができる体制を一刻も早く作る必要があります。よって、日本共産党都議団は以下の項目について申し入れるものです。
- 科学に基づいた対策で、感染を抑えるための戦略を示すこと。
- 国に対し、引き下げられた新型コロナの検査に係る診療報酬をもとに戻すこと、二類感染症患者入院診療加算と重症化リスクの高い新型コロナウイルス感染症患者への電話等による診療に関する診療報酬上の臨時的な取扱いを10月以降も継続することを求めること。
- 発生届の簡略化については、医療現場の意見をよく聞くこと。
- 陽性者登録センターの登録とセットで、オンライン診療を大規模に行い、薬の処方もできる仕組みをつくること。
- 有症状者へのキット配布と陽性者登録センターの周知を強化すること。
- 東京都PCR等検査無料化事業による検査が、いつでも身近な地域で受けられるよう、都が責任をもって検査場所の設置を広げること。また、検査場所に出向けない方で希望する方には、東京都から無料で検査キットの配布を行うこと。
- 感染の急拡大に備えて、PCR検査も含めて検査キットの備蓄を行うこと。
- ワクチンを希望する方に、安全、迅速に接種できるよう、区市町村、医療機関の支援と都独自の取り組みを進めること。
- 入院が必要な方を受け入れるための病院職員の体制確保への支援を強力に行うこと。特に、地方独立行政法人東京都立病院機構の病院は独法化前の都立・公社病院と同様の迅速・積極的な対応を行うこと。
- 保健所の体制強化のための取り組みを強めること。
- 都の重症基準を見直し、実態を反映したものにすること。新型コロナ患者の入院の判断は、全身状態の評価を踏まえるとともに、障害者であることなども考慮して行うよう、都の考え方を示すこと。
以上