神宮外苑再開発事業の施行認可を行わないことを求める申し入れ
日本共産党都議団は1月30日、標記の申し入れを小池百合子都知事宛てに行いました。武市敬副知事が対応し、「ご意見は承りました。両件(同時に申し入れを行った五輪汚職・談合疑惑の全容解明を求める申し入れのこと)とも私を含め関係者で共有します。それぞれ動いている最中のものであり、状況を踏まえて対応します」と述べました。
申し入れ全文は以下の通りです。
申し入れには(バナー写真左から)里吉ゆみ(世田谷区)、尾崎あや子(北多摩第一)、原田あきら(杉並区)、あぜ上三和子(江東区)、原のり子(北多摩第四)、福手ゆう子(文京区)の各都議が参加しました。
東京都知事 小池百合子殿
神宮外苑再開発事業の施行認可を行わないことを求める申し入れ
2023年1月30日
日本共産党東京都議会議員団
神宮外苑再開発は、外苑の歴史と文化、環境と景観が破壊されることに多くの国民が心を痛めています。11万人を超えた再開発見直しを求める署名に加え、秩父宮ラグビー場、神宮球場の建て替え計画の見直しを求める署名が相次いで立ち上がるなど、計画の抜本的見直しを求める声は日増しに高まっています。
ところがこうした声に耳を傾けることなく、小池都知事により、本事業の施行認可が行われようとしています。認可が行われれば、本格的な工事着工へ大きく近づきます。
事業者は銀杏の枯死の危険性について事実を把握しながら報告していなかったことや、樹林地を大きく損なうラグビー場の位置変更、外部専門家を交えての調査など、これまで環境影響評価審議会において繰り返し指摘され、対応が求められた点について、なお誠実に対応しているとは言えません。さらに1月25日、日本イコモス国内委員会は記者会見を行い、新たに、事業者の樹木の現状分析や創出される樹林帯の計画が科学性を欠き、多くの誤りを含んでいると指摘し、再審議を求めています。誠実な手続き履行を定めた環境影響評価条例第7条に照らして、事業者はこれらの指摘に明確に回答・対応する責務があります。
以上をふまえれば、この再開発について都市計画決定(地区計画)で定めた「銀杏並木をはじめとする歴史的な景観や緑地等の保全」という方針が厳格に守られる保証は極めて乏しいと言わざるを得ません。
したがって、法令順守、都市計画への適合などを施行認可の条件とした都市再開発法第7条の十四に照らして、小池知事がこの神宮外苑再開発事業の施行を認めることはとうてい許されません。また、本事業は絵画館前広場を改変すること抜きには成り立たず、これを市街地再開発事業に含まず、アセスの対象外とすることは極めて作為的です。同法第7条の十四第三号に照らせば、施工地区が第一種市街地再開発事業の施行区域の内外にわたる場合は認可の対象とはなり得ず、この点でも疑義があります。さらに日本共産党都議団が繰り返し追及してきたとおり、この地に190m級の超高層ビル2棟を建てることは都市計画公園の機能を大きく毀損するものであり、土地の高度利用が都市機能の更新に貢献することを条件とした同法第3条の四に照らしても施行認可は断じて認められません。
上記のような問題点があることを知るからこそ、多くの都民が計画の見直しを強く求めているのであり、この間発足した国会議員連盟も、重ねて見直しを求め小池知事宛てに申し入れを行っています。
ところが事業者は上記以外にも、「枯損木」の数のごまかしや、「事業の進捗がある際には~プロジェクトサイト等を通じて情報公開に努める」としてきたにもかかわらず、昨年12月27日に施行認可申請を行ったことを掲載しないなど、閉鎖的な対応を繰り返しています。
これは小池知事が、昨年5月に事業者に対して行った要請や、同8月の環境影響評価書案審査意見書でくりかえし積極的な情報公開や都民参加を求めてきたことに著しく反する行為です。また昨年12月、都議会で、事業者に銀杏並木の実効性ある保全策を講じることを求める陳情が全会一致で趣旨採択されており、この趣旨にも背くものです。
こうしたもとで施行認可を行うことは、都知事自身の意向や都議会の意志にも反するものであることを重ねて強調するものです。
よって日本共産党都議団は以下について要望します。
1、神宮外苑再開発事業の施行認可および権利変換計画の認可を行わないこと。
2、知事から事業者に、現在の環境影響評価の精査を求め、その際、日本イコモス国内委員会など外部専門家の協力も得るよう働きかけること。また、より根本的に事業内容の変更を行い、環境影響評価手続きの再実施を行うよう働きかけること。
3、事業内容の見直しにあたっては、歴史的文化的遺産である神宮球場、秩父宮ラグビー場のほか、各種スポーツ施設の改変について幅広く市民や専門家の声を取り入れ、抜本的に計画を見直すよう、事業者に働きかけること。
4、銀杏並木の名勝指定にむけて必要な調査を行い、積極的に事業者や国に働きかけること。
以上