新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更に関する申し入れ
日本共産党都議団は本日、標記の申し入れを小池百合子知事宛てに行いました。黒沼靖副知事が応対し、「都民が不安を抱えることなく、医療現場が混乱することなく、丁寧に進めていく」と述べました。
申し入れ内容は下記のとおりです。
★ 黒沼靖副知事に申し入れる(左から)和泉なおみ、とくとめ道信、斉藤まりこ、福手ゆう子、大山とも子、藤田りょうこの各都議
東京都知事 小池百合子 殿
2023年2月3日
日本共産党東京都議会議員団
新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更に関する申し入れ
岸田政権は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、現在の新型インフルエンザ等感染症から、5類感染症に引き下げる方針を決めました。この変更に伴い、新型コロナの医療費の負担増(現在は基本的に自己負担なし)、診療報酬上の特例措置や病床確保料、高齢者施設等への検査・医療支援などの見直し、感染に不安を感じる方に無料でPCR等検査を行う一般検査事業の終了など、各種のコロナ対策の施策の見直し・縮小・廃止を進めていくとしています。
しかし、5類感染症に変更しても、新型コロナウイルスの性質が変わるわけではありません。1月に報告された東京都のコロナ患者の死亡者数は866人に上り、福祉施設でのクラスターも多発し、救急搬送も極めて困難になりました。新型コロナは季節性インフルエンザよりはるかに感染力が高く、季節を問わずに年に何回も流行を起こし、そのたびに医療体制が大きくひっ迫しており、季節性インフルエンザと同等とは言えません。新型コロナを軽視する誤ったメッセージを発することはあってはなりません。
新型コロナの医療費の負担増が行われれば、経済的理由で受診をためらい、診断が遅れて重症化することや、感染拡大につながることが懸念されます。新型コロナの入院や治療薬の費用は高額であり、お金が心配で治療を受けないという事態も生じかねません。高齢者施設・障害者施設での定期的なPCR検査等が行われなくなれば、感染拡大がさらに深刻になるおそれもあります。
政府は幅広い医療機関が新型コロナに対応するようにしていくとしています。しかし、5類に変更しても、コロナ患者とそれ以外の患者の動線の分離などの対応が不要になるわけではありません。医療機関に対する財政措置が縮小・廃止されていけば、むしろ対応できる医療機関が減少するおそれもあります。医療機関への支援の強化こそ必要です。
新型コロナ対策についての国のアドバイザリーボードに出された専門家の意見では、「パンデミック以前にも医療体制には余裕がなかったところに非常に多くの感染者や医療を必要とする重症者が生じることによって医療ひっ迫は起きていると考えるべきだと考えられる」と述べられており、「流行は今後も長期にわたって続くことを考えると日本の医療体制のあり方そのものを根本的に考え直すことも必要だと考えられる」とされています。医療体制の抜本的な強化に舵を切ることが今こそ求められています。
東京都には、都民の命と健康を守るために必要な対応を行う責任があります。
よって、日本共産党都議団は、小池知事に対し、政府の方針表明を受け、今後の補正予算等の対応を進めるにあたって、以下の事項を行うよう強く求めるものです。
1、新型コロナは引き続き警戒を強めることが必要な感染症であることや、医療・福祉の現場の深刻なひっ迫状況、ワクチン・検査・マスク・換気・手洗いなどの感染対策の有効性などについて、科学的で正確な情報発信を抜本的に強化すること。
2、コロナ医療費の公費負担、診療報酬の特例、病床確保のための支援、入院調整の実施、ワクチン接種費用の公費負担、医療機関や福祉施設・事業所、学校での集中的検査、感染不安のある方への無料のPCR等の検査、臨時の医療施設、発熱相談の窓口の設置、その他必要な対策について継続・強化するよう国に求めるとともに、国が実施しない場合も、原則、都として継続・強化すること。
3、発熱患者を受け入れる外来医療機関を増やすため、現場の実態を把握して、支援を強化すること。
4、パンデミック時に対応できるようにするという考え方で、医療体制の抜本的な強化を進めること。特に東京都立病院機構の病院は後退させるのではなく体制を大幅に強化するとともに、直営化に向けて検討すること。
5、保健所の体制強化を早急に進めるとともに、増設を進める方針を持ち、具体化を急ぐこと。
以上