ICOMOSヘリテージ・アラートをうけ、神宮外苑再開発に係る 都市計画決定・環境影響評価を見直し、同開発の中止を求める 申し入れ
中村副知事(中央)に申し入れを行う(左から)尾崎あや子(北多摩第一)、原純子(江戸川区)、和泉なおみ(葛飾区)、大山とも子(新宿区)、原田あきら(杉並区)、里吉ゆみ(世田谷区)各都議
日本共産党都議団は9月15日、標記の申し入れを小池百合子あてに行いました。
中村倫治副知事が応対し、「ご要望は伺いました。関係部署にしっかり伝えます。法令に則ってやっていきます。」と述べました。申し入れ内容は以下のとおりです。
東京都知事 小池百合子 殿
ICOMOSヘリテージ・アラートをうけ、神宮外苑再開発に係る
都市計画決定・環境影響評価を見直し、同開発の中止を求める申し入れ
2023年9月15日 日本共産党東京都議会議員団
9月7日、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)は日本イコモス国内委員会とともに、神宮外苑地区再開発事業の撤回を緊急要請するヘリテージ・アラートを発令しました。国内では高輪築堤に続く3例目で、同再開発事業に対して、文化遺産保護を使命とし、世界遺産登録の審査も担う国際機関から、最も厳しい警告が発せられたことになります。
ヘリテージ・アラートは、「神宮外苑は、市民の献金と労働奉仕により創り出された世界の公園史でも類例のない文化的資産」であり、再開発により超高層ビルが建設され、野球場、ラグビー場が解体、新設されることにより、第一期工事だけでも3000 本の樹木が伐採・移植され「100 年にわたり育まれてきた森は、完膚無きまでに、破壊される」と警告しています。なかでも、事業者である三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興協会、伊藤忠商事とならんで東京都が「市民や多くのステークホルダー不在のまま、多くの反対を押し切り、これを承認した」と名指しで指摘されていることを都は重く受け止めるべきです。
ヘリテージ・アラートは、東京都に対し、「都市計画公園を削除し、超高層ビルを建設することにより、永久に市民が公園を使用する権利を剥奪したという重大事に鑑み、都市計画決定の見直しを行い、環境アセスメントの再審を行うべきである」としています。
知事は翌8日の記者会見で「アセスについては条例・答申に従って適切に手続をして進めている」と述べました。しかし同アセスがイチョウ並木の状態評価をはじめ、日本イコモス国内委員会が提起した数々の誤りについての指摘に十分答えていないことは周知の事実であり、国際環境影響評価学会日本支部は6月、都に対し「事業者による一方的な説明に終始し科学的議論は不十分だった」と勧告しています。また事業者自身その後、質問受付ページで、植生図の正確性を上げることや群落数の見直しを求める質問に対し、「今後~事後調査報告等により内容について報告するとともに、プロジェクトサイトにおいても公表を予定しております」と回答しています。
また、事業者が7月に行った住民説明会では、超高層ビル建築に対する疑問が集中し、都市計画公園を削除し、超高層ビル建設を可能にした「公園まちづくり制度」にもとづく都市計画決定に対してあらためて強い疑念が寄せられています。2月に周辺住民らが提訴した「神宮外苑再開発認可取り消し訴訟」では、原告は、都市計画公園に再開発等促進区を定めた同都市計画決定について、都市計画法違反であるとしています。
これらをふまえ、日本共産党東京都議会議員団は、以下について要請するものです。
1,ICOMOSヘリテージ・アラートを、世界に類例のない歴史的・文化的遺産を破壊する神宮外苑再開発に対する重大な警告とうけとめ、同開発に係る都市計画決定、環境影響評価を見直し、同開発を中止すること。
以上