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申し入れ・談話

2023.12.01

『困難な問題を抱える女性への支援に関する法律』に基づく基本的な計画の策定に関する申し入れ

 日本共産党都議団は本日、標記の申し入れを小池百合子知事宛てに行いました。
 福祉局の新倉吉和子供・子育て施策推進担当部長が応対し、「計画を作った上で、施策をしっかり進めていきたい」と述べました。申し入れ内容は以下のとおりです。

★ 左から(新倉吉和子供・子育て施策推進担当部長)あぜ上三和子、原のり子、里吉ゆみ、米倉春奈、 とや英津子、福手ゆう子、池川友一の各都議


東京都知事 小池百合子 殿

2023年12月1日
日本共産党東京都議会議員団

 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、女性支援法)が成立し、来年4月から施行されます。従来の売春防止法に基づく婦人保護事業が「要保護女子」の保護更生を目的としていたのに対し、女性支援法では女性の福祉の増進、人権の尊重、男女平等などが位置づけられたことは重要です。現在、「困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画」が、東京都が設置する委員会で検討されています。
 東京都が責任をもって、女性支援法制定の意義を踏まえ、女性が自らの意思を尊重されながら最適な支援を受けられるよう、「人権の擁護」と「男女平等の実現」に資する計画にし、東京都として、そのための体制や予算もしっかり確保することが求められています。また、性搾取の課題にしっかりと取り組む計画とすること、性搾取などの問題の根底には女性蔑視と性差別があり、そのために女性支援法による取り組みが必要とされていることを踏まえて施策を進める計画とすることが求められています。
 よって、日本共産党東京都議団は、計画策定にあたり、以下のことを求めます。

  1. 計画に、都が一人ひとりの女性の人権を保障する責任を負うことを明記し、女性支援法制定の意義を踏まえ、施策の充実を行うこと。現在の予算や体制等では難しいことがあれば、抜本的な見直しや拡充を行うことも含めて対応すること。
  2. 当事者中心の支援であることを明確にすること。
  3. 性暴力などの被害からの回復を図る支援を重視すること。
  4. 国の基本的な方針にもあるように、行政機関と民間団体は対等な立場で協働していくことが求められることを認識し、都として民間団体とよく協議し、協同して事業を推進すること。民間団体がその役割を十分発揮できるよう、都はその必要性を認識し、十分な財政的支援等を行うこと。
  5. 困難な状況におかれていても、行政には相談したくないと考えている方が少なくないことを踏まえて施策のあり方を検討すること。
  6. 当事者のヒアリングは、一時保護所入所者、委託先一時保護者、婦人保護施設(女性自立支援施設)の入退所者に加え、区市の婦人相談員(女性相談支援員)への相談者なども対象とすること。
  7. 都の女性相談センター及びウィメンズプラザの女性相談支援員等の体制を強化し、正規化、待遇改善を進めること。また、各区市町村で女性相談支援員を配置し、正規化、専任化等の体制強化や待遇改善を進められるよう都として財政的支援を行うこと。女性相談支援員の研修機会の保障を位置づけること。
  8. 女性のいる所に直接出向くアウトリーチを重視して位置づけること。また、相談窓口を周知することを位置づけること。
  9. 女性自立支援施設の直接入所方式を本格施行すること。
  10. 女性自立支援施設の職員の処遇改善のための補助を充実すること。
  11. 女性自立支援施設について、個室化の推進、本人への支給金の実施などの拡充を行うこと。
  12. 一時保護や女性自立支援施設への入所に際して、加害者追跡遮断が必要なDV被害者支援と中長期の困難な問題を抱える女性への支援等が同じ施設内で実施されることの問題点を整理し、加害者追跡遮断期の安全な施設を独立して設置する検討を行うなど、施設や支援のあり方を検討すること。
  13. 若年女性について、児童相談所等と連携しつつも、困難な問題を抱える女性への支援として、制度の狭間に落ちずに適切な支援が行われるようにすることなど、若年女性への支援を計画に位置づけること。
  14. 若年女性への支援に都が責任を持つこと。また、若年女性等向けシェアハウス等の社会資源をふやすこと。
  15. 公的機関につながりにくいシングル女性に対する相談、住宅や職業等の支援を位置づけること。
  16. 性自認が女性であるトランスジェンダーの方は、人権侵害・差別により困難に直面しており、そのことを踏まえた支援を計画の中に位置づけること。
  17. 外国人女性への支援を計画に位置づけ、適切な支援のために必要な取り組みを行うこと。
  18. 女性とともに一時保護となった子どもが通学できるようにすることなどにより学ぶ権利の保障を行う等、子どもを権利の主体として尊重すること。
  19. 区市町村が、女性たちの居場所確保や中長期の自立支援をできるよう、都として財政支援を行うこと。
  20. 支援調整会議を都として設置し、各区市町村に設置できるよう支援すること。
  21. 「買売春」において、買う側は罰に問われない一方で、「売春」の勧誘をした者を処罰し、性搾取の被害者を犯罪者とする女性差別的な規定である第5条を削除するなど、売春防止法を改正して、女性の人権を守り、性的搾取の被害者救済、ジェンダー平等の立場に立った法整備を行うよう国に求めること。