会計年度任用職員の処遇改善と正規化を求める申し入れ
日本共産党都議団は9日、東京都に対し会計年度任用職員の処遇改善と正規化を求める申し入れを行いました。10日には独自調査で明らかになった会計年度任用職員の女性割合などについて、申し入れと併せ発表しました。
★都総務局と教育庁職員に申し入れを手渡す(右から)原純子、清水とし子、アオヤギ有希子、池川友一、とや英津子、米倉春奈、斉藤まりこの各都議(2024.9.9)
★記者会見する(左から)池川友一、とや英津子、米倉春奈、アオヤギ有希子、原純子の各都議(2024.9.10)
2024年9月9日
東京都知事 小池百合子 殿
東京都教育長 浜佳葉子 殿
警視総監 緒方禎己 殿
消防総監 吉田義実 殿
日本共産党東京都議会議員団
会計年度任用職員の処遇改善と正規化を求める申し入れ
非正規雇用を理由とする賃金・労働条件の差別が社会問題になっています。非正規労働者には女性が多く、雇用形態を通じたジェンダー不平等、女性差別にもなっています。
東京都の非正規雇用である会計年度任用職員は、この3月にスクールカウンセラーが大量雇い止めされたことをはじめ、その理不尽な扱いが問題になり、日本共産党都議団はくり返し改善を求めてきました。
小池知事は、選挙の公約で「男女賃金格差の解消」「非正規雇用の処遇改善」を掲げました。だとすれば東京都の非正規雇用職員から取り組むべきです。
この立場から、東京都として当事者である労働者の意見を良く聞き、以下の項目をはじめとする改善をはかること求めるものです。
1、東京都の会計年度任用職員の年齢別等の男女別人数を調査し、公表すること
日本共産党都議団が、会計年度任用職員の年齢別人数を調査したところ61歳未満の現役世代では72.6%が女性でした。女性相談支援員、消費生活相談員、学校司書、スクールカウンセラーなど女性が多い専門職を会計年度任用職員として雇用しています。事務職なども含め、結局、都民にとって必要な仕事を安い賃金で女性に担わせています。
東京都でも他の公務職場や企業と同様に、会計年度任用職員制度が雇用形態を通じた女性差別につながっていることは明らかです。都として局別、職別、年齢別の男女別人数やその実態を調査し、公表することを求めます。
*日本共産党都議団調査。詳細は末尾参照。
2、現在4回までとなっている「公募によらない再度の任用」(更新)の回数の上限を撤廃すること
東京都の会計年度任用職員は1年契約で、更新は4回までです。3月にはスクールカウンセラーの大量雇い止めが大問題になりました。非正規雇用のため女性が安心して妊娠・出産・子育てを選べない事例も発生し、私たちに相談が寄せられています。
人事院は6月、国の非正規公務員の更新を原則2回までとする制限の撤廃を各府省に通知しました。都内でも文京、世田谷、板橋、八王子、狛江には雇用年限の上限がなく、調布市も今年度なくしました。東京都も雇用年限の上限を撤廃すべきです。
3、妊娠や産休育休取得を理由に再度任用しないことは認められないことを各部署に周知すること
国の会計年度任用職員制度の事務マニュアルによれば、産休や育休取得を理由に再度任用しないことは認められません。妊娠中の場合も同様です。ところが東京都では、妊娠した会計年度任用職員が、それを理由に公募による再度任用に合格しなかった事例が発生しています。このような扱いは地方公務員法の平等取り扱い原則に反し違法であることを改めて周知徹底することを求めます。
4、会計年度任用職員の給料を、経験年数に応じて昇給させること。人事委員会勧告による昇給は10円単位(時給の場合)で行うこと
同一労働同一賃金というなら、正規職員の給料表に格付け、正規職員に準じた昇給を行うべきです。都内でも墨田、港、杉並では昇給制度を設けています。
職業能力開発センター講師など時給が100円単位の職は、人事委員会勧告による引き上げが50円に達しないと昇給がなく、長年据え置かれ不利益が生じています。
5、社会保険の適用事業所は、東京都全体で1か所とすること
複数の都内公立学校で働く時間講師は、複数校を合計した勤務時間は社会保険の加入要件である週20時間に達するのに、1校ごとでは20時間にならず社会保険に加入できない場合があります。東京都全体を1つの適用事業所とすれば解決する問題で、早急に改善すべきです。
6、学校で学期中に週20時間以上働いている会計年度任用職員は社会保険に加入させること。勤務時間を週19時間以内とする条件設定は撤廃すること
3校を受け持つスクールカウンセラーは、学期中は週20時間以上働いているにもかかわらず、夏休み等を含め1年間で平均すると20時間未満になるとして、社会保険に加入させてもらえません。これは不適切だと厚生労働省に確認しました。
また、都立学校非常勤看護師は、人員不足であるにもかかわらず、勤務条件が週19時間以内とされている職があり、社会保険逃れと言うべき状況になっており、改善すべきです。
7、勤務時間の管理はタイムカード的なシステムを用いて正確に行い、超過勤務には残業代を支払うこと
例えば都立学校では、残業代支払い義務のない教員はタイムカード的なシステムにより勤務時間の管理を行っています。一方、残業代支払い義務のあるスクールカウンセラーは、このシステムでなく手入力の書面等により管理しています。そして、実際には残業が発生していても、それが記録されず、残業代の支払い実績がありません。
勤務時間は正確に管理し残業代を支払うべきです。
8、会計年度任用職員を対象にしたハラスメント実態調査を行い、ハラスメント撲滅対策を強化すること
会計年度任用職員は勤務評価が雇用の継続に直結することなどから、職場での立場が弱く、ハラスメントにあいやすい、ハラスメントや理不尽な扱いがあっても相談しにくいと指摘されています。実態調査と対策強化が必要です。
9、継続的に必要な仕事をする職員は正規雇用とすること
日本共産党都議団の調査によれば、東京都では約3万人の会計年度任用職員が働いています。その約6割の約1万7千人が教育庁に所属し学校などで教育に携わる職員であることも明らかになりました(末尾参照)。加えて学校には、スクールサポートスタッフや副校長補佐など、東京都が費用を負担し身分は区市町村の会計年度任用職員として働いている職員も大勢います。
職員定数が抑制されるもとで、かつては正規職員が行っていた仕事も、非正規雇用に置き換えられてきました。新しい仕事が生じても正規職員増の壁が厚く、会計年度任用職員を採用している場合も少なくありません。
会計年度任用職員の処遇を改善するとともに、継続的に必要な仕事をする職員は正規雇用とすることを強く求めます。
以 上