ご意見・ご要望
ページトップヘ

申し入れ・談話

2024.12.24

長引く物価高騰などで都民生活が深刻なもと、財政運営の主体の東京都として高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げに向け、あらゆる努力を求める申し入れ

 12月24日に標記の申し入れを行いました。

申し入れ全文(PDF)


東京都知事 小池百合子 殿

2024年12月24日
日本共産党東京都委員会
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党区市町村議員団

長引く物価高騰などで都民生活が深刻なもと、財政運営の主体の東京都として高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げに向け、あらゆる努力を求める申し入れ

 東京都は、11月26日の都国民健康保険運営協議会で、国の仮係数に基づいた2025年度の区市町村に課す納付金総額が4361億円と24年度比で260億円の減となること、またそれに基づいた国保加入者1人あたりの国保料が、自治体独自の法定外繰入を行わない場合18万2365円で、今年度19万436円と比べ8071円(▲4.2%)の引き下げになるとの試算を示しました。

 今回の24年度比での引き下げの要因について、東京都は、「(医療)給付費の総額が大きく減額したため」としています。

 新型コロナ感染拡大による医療控えの状況から、ワクチン接種等が進み医療を受ける人が増え高齢化もあって医療給付費が増加してきましたが、そうしたなかで今回の引き下げの試算について、

 25年度が24年度との比較で医療給付費が減額となっていることは、23年度から24年度にかけての医療給付費の見通しを実際よりも大きく見たと思われます。その結果、当時は被保険者数の減少もあり、「過去最高の上げ幅」などの自治体も生じ、その負担は深刻なものとなりました。

 そのうえ今回の試算では、25年度の医療給付費総額が減額としている一方で、国からの公費である保険者努力支援制度による支援金が24年度の都道府県分18億円、区市町村分39億円から25年度には計74億円と20億円弱の増額を見込むことで、納付金総額の必要額を押し下げていると思われます。保険者努力支援制度は、法定外繰入の計画的削減や徴収強化などを進める自治体にはインセンティブとして支援金を多く交付する仕組みを持っており、これを推し進めることによる増額を見込んでいるものと思われます。

 そうしたもとで示された1人あたりの保険料の試算額18万2365円は、2023年度の国の確定係数にもとづく1人あたり保険料の額18万856円よりも高く、「高すぎる保険料」であることには変わりありません。

 この間の社会保障改悪や消費税増税、さらには異常な物価高騰は、貧困と格差を拡大させ都民生活を窮地に陥れています。ところが新たに発足した石破政権は、今年度の補正予算にも表れているように物価高騰からくらしを守る支援策は極めて不十分で、軍事費増強と大企業支援を推し進めています。

 現在の国保制度が、例えば都内で7割を占めるなど国保加入者の多くが所得の低い非正規労働者や無職者・年金生活者で占められているにもかかわらず医療費水準は高く保険料(税)が高いという構造的な問題を抱えているもとで、すでに被保険者は負担能力の限界をはるかに超えた保険料負担を強いられています。

 本来、住民の命と健康を守るべき医療保険制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪うなどということはあってはなりません。

 来年度こそ、高すぎる国保料の大幅な引き下げに踏み出すべきです。納付金の減額を理由に、「法定外繰入の解消」を優先することがあってはなりません。

 よって、いまこそ東京都が、国保事業の運営に中心的な役割を果たす保険者として、国民健康保険制度が社会保障として住民の命と健康、くらしを守るという本来の役割を果たし、全ての区市町村が保険料(税)の軽減に踏み出すことができるよう、以下の点を実施されることを強く申し入れるものです。

 

  1. 来年度の国保料(税)については、被保険者のおかれている現状を認識し、全ての区市町村が、「法定外繰入の解消」優先でなく、保険料の大幅な引き下げを実施するよう、都として働きかけること。そのために現在の激変緩和策に止まらず、必要な財政支援を講じること。とりわけ町村など保険料の値上げが見込まれる自治体には、保険料引き下げのための抜本的な支援を行うこと。
  2. 国の子どもの均等割軽減については、さらに拡充し18歳までの均等割を廃止するよう申し入れること。また東京都として独自の上乗せ・横出しを行い、子どもの均等割をゼロにすること。
  3. 国保の傷病手当金の支給を再開し、自営業者にも拡大すること。そのために必要な財政支出を都として行うとともに区市町村にはたらきかけること。また国として財政措置するよう働きかけること。
  4. 納付金、標準保険料率の算定にあたっては、常に経過も含め、すべての情報を都民、都議会に明らかにし、都民参加を貫くこと。
  5. 区市町村に強権的な徴収強化、差し押さえをしないよう働きかけること。
  6. 国に対し、保険者努力支援制度を使っての財政支援の増減策など、区市町村への法定外繰入解消の強要をやめるよう申し入れること。そして国保の構造的問題の解消に向け、均等割を廃止し、国保料負担を協会けんぽ並みに引き下げ、そのための公費投入を行うことを求めること。
  7. 出産育児一時金については、常に出産費用が負担にならない額に拡充すること。また出産育児一時金や子ども・子育て支援金による子育て支援策の財源については、後期高齢者医療保険料をはじめ国保など各医療保険の保険料引き上げに跳ね返らないための財政措置を国に求めること。
  8. 東京都国民健康保険運営方針については、「相互扶助」の位置づけをあらため、社会保障としての国民健康保険制度であることを明記しその立場を貫くこと。また保険料の大幅値上げにつながる統一化は止めること。

以上