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申し入れ・談話

2025.01.14

長引く物価高騰などで区民生活が深刻なもと、事業主体である特別区として高すぎる国民健康保険料を引き下げるため、あらゆる努力を求める申し入れ

 標記の申し入れを行いました。

申し入れ文書(PDF)


特別区長会会長 吉住健一 殿

2025年1月14日
日本共産党東京都委員会
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党各区議会議員団

長引く物価高騰などで区民生活が深刻なもと、事業主体である特別区として高すぎる国民健康保険料を引き下げるため、あらゆる努力を求める申し入れ

 東京都は、昨年11月の都国民健康保険運営協議会で、国の仮係数に基づいた2025年度の区市町村に課す納付金総額が4361億円と24年度比で260億円の減となること、またそれに基づいた国保加入者1人あたりの国保料が、自治体独自の法定外繰入を行わない場合18万2365円で、今年度19万436円と比べ8071円(▲4.2%)の引き下げになるとの試算を示しました。

 今回の24年度比での引き下げの要因について、東京都は、「(医療)給付費の総額が大きく減額したため」としています。新型コロナ感染拡大による医療控えの状況から、ワクチン接種等が進み医療を受ける人が増え高齢化もあって医療給付費が増加してきましたが、そうしたなかで23年度から24年度にかけての医療給付費の見通しを実際よりも大きく見たことにより、25年度は引き下げの試算になったと思われます。その結果、当時は被保険者数の減少もあり、「過去最高の上げ幅」などの自治体も生じ、その負担は深刻なものとなりました。

 そのうえ今回の試算では、25年度の医療給付費総額が減額としている一方で、国からの公費である保険者努力支援制度による支援金の増額を見込み、納付金総額の必要額を押し下げていると思われます。保険者努力支援制度は、法定外繰入の計画的削減や徴収強化などを進める自治体にはインセンティブとして支援金を多く交付する仕組みを持っており、これを推し進めることによる増額を見込んでいるものと思われます。

 そうしたもとで示された1人あたりの保険料の試算額18万2365円は、2023年度の国の確定係数にもとづく1人あたり保険料の額18万856円よりも高く、「高すぎる保険料」であることには変わりありません。

 この間の社会保障改悪や消費税増税、さらには異常な物価高騰は、貧困と格差を拡大させ都民生活を窮地に陥れています。ところが新たに発足した石破政権は、今年度の補正予算にも表れているように物価高騰からくらしを守る支援策は極めて不十分で、軍事費増強と大企業支援を推し進めています。

 現在の国保制度が、例えば都内で7割を占めるなど国保加入者の多くが所得の低い非正規労働者や無職者・年金生活者で占められているにもかかわらず医療費水準は高く保険料(税)が高いという構造的な問題を抱えているもとで、すでに被保険者は負担能力の限界をはるかに超えた保険料負担を強いられています。

 来年度の保険料については、すでに東京都は、昨年末に国が示した確定係数をもとに、納付金額を決定し年明けに各区市町村に通知しました。その内容は都民には明らかにしていませんが、今回の試算のように区市町村に課す納付金が引き下がることになれば、この物価高騰の中で住民生活が深刻な状況を踏まえ、各自治体として保険料を大幅に引き下げることは当然です。

 特別区長会も、国保の構造的矛盾がより一層深刻化しているとして、厚労省や東京都に対し、25年度予算要望では、保険料の負担軽減策の拡充や子どもの均等割軽減の拡充などを申し入れています。一方で、自治体によっては、この間「財政健全化の目標に沿って、都の示した標準保険料率に近づける」ことを優先する自治体もあり、特別区も法定外繰入の解消を加速させ、被保険者の負担が重いなかで保険料率を引き上げてきました。

 本来、住民の命と健康を守るべき医療保険制度が、生活苦を増大させ、医療を受ける権利を奪うなどということはあってはなりません。

 来年度こそ、特別区長会及び各区としては、高すぎる国保料の大幅な引き下げに踏み出すべきです。納付金の減額を理由に、「法定外繰入の解消」を優先することがあってはなりません。

 よって特別区が、区民に最も身近な保険者として、国民健康保険制度が社会保障として住民の命と健康、くらしを守るという本来の役割を果たす立場から、あらゆる努力をして保険料の大幅引き下げに踏み出すため、以下の点を実施されるよう強く申し入れるものです。

  1. 来年度の国保料については、現状を認識し、特別区長会として、「法定外繰入の解消」優先でなく、保険料の大幅な引き下げを実施すること。
  2. 国保財政の運営主体である東京都に対し、保険料の大幅引き下げのための都独自の財政支出を実施するよう、あらためて申し入れること。
  3. 子どもの均等割軽減の拡充については、さらに18歳までの均等割を早急に廃止するようあらためて申し入れること。また特別区長会として、独自の上乗せ・横出しを行い、子どもの均等割をゼロにすることを申し合わせ実施すること。その財源を国、都にも求めること。
  4. 国保の傷病手当金の支給を再開し、自営業者にも拡大すること。そのために必要な財政支出を都に求め、国として財政措置するよう働きかけること。また物価高騰対策での区民への給付金は収入認定に加えず、保険料に跳ね返らないようにすること。
  5. 来年度の基準保険料率の算定にあたっては、途中経過も含め、すべての情報を区民、区議会に明らかにし、区民参加を貫くこと。
  6. 強権的な徴収強化、差し押さえはしないことを申し合わせること。
  7. 国に対し、保険者努力支援制度を使っての財政支援の増減策など、区市町村への法定外繰入解消の強要をやめるよう申し入れること。そして国保の構造的問題の解消に向け、均等割を廃止し、国保料負担を協会けんぽ並みに引き下げ、そのための公費投入を行うことを求めること。
  8. 出産育児一時金については、常に出産費用が負担にならない額に拡充するよう求めること。また出産育児一時金や子ども・子育て支援金による子育て支援策の財源については、後期高齢者医療保険料をはじめ国保など各医療保険の保険料引き上げに跳ね返らないための財政措置を国に求め、また特別区としても独自に同様の措置をとること。
  9. 特別区長会として、東京都の国民健康保険運営方針での「相互扶助」の位置づけをあらため、社会保障としての国民健康保険制度であることを明記するよう求めるとともに、保険料の大幅値上げにつながる統一化は止め、区市町村に対する法定外繰入解消の強要や保険料の強引な徴収強化の推進を行わないよう、東京都に申し入れること。

以上