小池都政の驚くべき強権的「土地収用促進」方針について あなたの土地家屋も危ない !? ―日本共産党都議団が入手した資料で明らかに―
小池都政の驚くべき強権的「土地収用促進」方針について
あなたの土地家屋も危ない !?
―日本共産党都議団が入手した資料で明らかに―
2024年7月2日
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党都議団の調査と情報公開請求で入手した開示文書から、大型道路建設などを行う際の用地買収について、小池都政の驚くべき方針変更が明らかになりました。
■ 驚くべきこと① ― 強権発動のためのルール変更
▽ 東京都建設局が道路建設などの用地買収を行う際の「『建設局土地収用制度適用基準』の運用」が、今年の予算議会閉会直後、3月29日付で大きく変更されました。【資料①~④】(「建設局土地収用制度適用基準」は【資料⑤】)
▽ この運用方針変更により、「事業用地の取得は、任意折衝による円満解決を原則とする」という方針が削除されました。そして、「事業の早期完成のため緊急を要する場合や事業効果の早期発現に支障がある場合等には、建設局土地収用制度適用基準に基づき土地収用法に定める手続きを進めること」とされました。【資料④】1⑴
▽ 「土地収用法に定める手続きを進める」とは、どういうことか―。東京都収用委員会は土地収用法について、「公共事業のためにどうしても土地を取得しなければならない場合に、土地収用法により、権利者の意思に関わりなく、土地を取得させる土地収用制度が設けられています」と説明しています。またネットで公開されている不動産用語集は、「公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を収用(所有権などを強制的に取得すること)、または使用することをいう」としています。
* 下線は日本共産党都議団
▽ 要するに今回の運用方針変更は、東京都が「事業の早期完成のため緊急を要する」とか「事業効果の早期発現に支障がある」と勝手に判断すれば、土地所有者の意思に関わりなく強制的に土地収用手続きを進めるという、強権発動ができるようにするものです。
▽ 土地収用の強権発動を脅しに使い、早期の用地買収で大型道路建設などをどんどん進めようというのがねらいです。小池都政の強権的体質が、改めて浮き彫りになりました。
▽ 「土地所有者や権利人の生活再建等に十分な配慮をしつつ」などと書いていますが、言葉だけです。土地明け渡しの申し立てについて、これまでは、土地所有者や関係人の生活再建の事情をふまえて申請を遅らせることが明記されていたのに、今回の運用方針変更で、あいまいな表現に書き換えられました。そのうえ、都市計画の事業認可から4年以内に土地明け渡しの申し立てをする重要性が特筆されています。【資料④】6
■ 驚くべきこと② ― 秘密裏に変更・ブラックボックスそのもの
▽ しかも、これほど重大な運用方針の変更を、東京都は都議会、都議会議員、都民、地元自治体に報告することも説明することもしないまま、秘密裏に行っていました。わが党の問い合わせに対しても、東京都建設局は当初、方針変更の事実を隠していました。
▽ わが党の情報公開請求に対して6月26日に開示された文書で、はじめて具体的内容が明らかになりました。「都庁のブラックボックスをなくす」という小池知事の公約は、完全に投げ捨てられました。小池都政そのものがブラックボックスです。
■ 驚くべきこと③ ― 建設局の用地買収全体が対象・多くの都民に影響
▽ この強権的方針変更は、大型道路の新設・拡幅など東京都建設局が行う用地買収の全体が対象とされます。
▽ 今年度の用地取得方針では、骨格幹線道路、特定整備路線のほか、善福寺川上流調整池(仮称)や石神井川上流地下調整池などが重点事業とされています。【資料⑥】1⑶
▽ 多くの都民に深刻な影響が及ぶ、都民いじめの方針変更です。
■ 驚くべきこと④ ― 特定整備路線を本気で進める「機動取得推進課」を新設
▽ 小池知事は、運用方針変更を使って特定整備路線を本気で進める実行部隊として、本庁に63人体制の「機動取得推進課」を、4月1日付で設置しました。同課設置の予算は知事査定で増額されました。
▽ 特定整備路線は、震災時に燃えない、燃え広がらない街づくりのための道路だと小池知事は説明しています。しかし実際は、多くの立ち退きや商店街の分断などにより住民の反対がつよく、進まなかった大型道路計画を、反対をおさえこんで強引に進めるため、東日本大震災の翌年に防災目的だということにして都が決定したのが特定整備路線です。特定整備路線を決定した際、都は防災の専門家に相談していないことも裁判で明らかになっています。
▽ その後も住民の反対で思うように進まなかった特定整備路線を、今度は能登半島地震を契機にして、より強権的に進めようというのが「機動取得推進課」です。都民に対する強権発動を、本気で進める構えです。
▽ 「機動取得推進課」は、特定整備路線の中でもとくに東京都が事業効果の発現が早期に見込まれるとして定める一部区間に集中投入されます。【資料⑥~⑨】
▽ 開示された「事務分担表」によれば、今年度は8路線101区間に集中投入され、そのうち、豊島区内の補助82号線、補助81号線、補助26号線の3路線45件で約45%を占めています。【資料⑨】
▽ 「機動取得推進」という名のとおり、案件の進ちょくや予算執行の管理などを直接行う権限が同課に与えられました。土地収用のための手続きも、「機動取得推進課」を所管する用地部長が決定できるようになりました。【資料④】8⑴⑵
■ 驚くべきこと⑤ ―「賢い支出」も放棄
▽ 都民の反対が強く用地買収が計画どおり進まない特定整備路線の予算について、小池知事は2018年、19年、21年の予算議会で、前年度の事業進ちょくを踏まえて減額したことを「賢い支出」の一環だと、わが党に対し前向きに答弁していました。
▽ 「賢い支出(ワイズスペンディング)」は、小池知事が特別顧問をつとめる都民ファーストの会の綱領で、「都民ファースト」「情報公開」と並ぶ公約とされています。
▽ ところが今回の運用方針変更は、小池都政が、事業の進ちょくを踏まえて予算を減額するという「賢い支出」の立場を放棄し、土地収用の強権発動で事業を進ちょくさせるという方針に転換したとことを示すものです。
▽ 実際に今年度予算編成の知事査定で小池知事は、特定整備路線の予算を事業の進ちょくを踏まえて減額するところか、減額要求だったのを70億円も上乗せして増額予算にしました。一方、能登半島地震で住宅倒壊の深刻な被害を目の当たりにしながら、木造住宅耐震化助成の予算は1割減額しています。
▽ そもそも、特定整備路線の予算532億3千万円に対し、木造住宅耐震化助成の予算は5億1千万円、特定整備路線の100分の1にすぎません。
■ 大型開発・大型道路優先の自民党と二人三脚の小池都政
小池知事と自民党の接近は、選挙だけの話ではありません。都政の中身も自民党と二人三脚です。大型開発・大型道路のための用地取得を強権的に進める今回の運用方針変更は、財界ファーストの自民党政治そのものです。8年前に期待を集めた「反自民」の姿勢は、見る影もありません。
以 上