公営住宅 型別供給 都道府県・政令指定都市アンケート調査結果
記者会見を行う(左から)尾崎あや子(北多摩第一)、斉藤まりこ(足立区)、とや英津子(練馬区)、原田あきら(杉並区)、曽根はじめ(北区)(2025.4.3)
日本共産党都議団は4月3日、「公営住宅 型別供給 都道府県・政令指定都市アンケート調査結果」を発表し、記者会見しました。
公営住宅 型別供給 都道府県・政令指定都市アンケート調査結果
(調査の目的・背景)
都営住宅では世帯人数ごとに間取りや面積を定める「型別供給」が実施されています。
その中でも特に、子の独立や配偶者の死別などで高齢・単身の居住者が増えるのに合わせて、建て替え時に狭い1DKの住戸ばかりを増やすやり方に、これまでも繰り返し批判の声があがってきました。
ソーシャルミックスの観点から、若い世代や子育て世代が入居でき、その家族構成の変化に対応できる間取りや面積の住戸の提供こそ必要であり、高齢化が進み運営が困難になっている自治会などから、型別供給を廃止するよう要望が上がっていました。
同時に、住棟の建て替えの際に1DKの住戸に移らなければならなくなった一人暮らしの高齢者の住環境にも切実な実態があります。「介護が必要になっても、そのためのスペースがない」「狭くて、介護ベッドだけで部屋がいっぱいになってしまう」「家族が泊まりに来ることができない」などの声が多く寄せられています。
以上のような要望をうけ、日本共産党都議団は型別供給の廃止をくり返し求めてきました。
都は型別供給について「必要な見直しを行っていく」として、現在、単身の入居者を対象に1DKか2Kのどちらを希望するかのアンケート調査を開始しています。しかし、提示されている選択肢は35㎡の1DKか、38㎡の2Kで、どちらも面積がほぼ変わらず、ダイニングがなくなれば、居室を食事のスペースのために使うことになり、結局両者に大きな違いはないのではないか、という声も寄せられています。間取りや面積について、根本的に改善していくことが求められています。
そこで、この「型別供給」について、そもそも全国的にはどのような状況になっているのか、1人暮らしでも2DKへの入居を認めている道府県や政令市はないのかなど、都営住宅が他の公営住宅と比べてどういう状況になっているのかを調べるために、わが党は全国の実態調査を行いました。
2025年3月14日の予算特別委員会で、この調査結果にもとづいて質疑を行いました。これに対して都は、「全国の公営住宅の型別供給基準の状況に関しまして、国などが取りまとめたデータはないと認識をしております」と答弁しました。この私たちの調査が、全国的にみても例のない、おそらく唯一の調査だということが、都の答弁からも明らかになったと考えます。
実際、他県から調査結果を提供してほしいという声をいただいています。
巻末の調査結果一覧に各自治体からの回答一覧を掲載しています。多くのみなさんと共有し、様々な角度からの分析に生かしていただければ幸いです。また、ぜひご意見・ご感想をお寄せください。
(調査のまとめと提案)
2012年度末に公営住宅法の改正により、公営住宅の整備や入居収入基準などを各自治体の条例で定めることになってから、東京都は3つの改悪を行ないました。一つは入居収入基準の大幅な引き下げ、二つ目に使用承継制度、そして三つ目に型別供給を行ない、都営住宅の居住者を追い出し、入居者を狭く、使いづらい住居に移転させてきました。かつて、単身者向けの面積は43㎡でしたが、相次ぐ改悪により、一時は32㎡まで切り下げられ、現在は若干改善されたものの、35㎡の1DKにすぎません。こうした改悪が、冒頭に述べたような、都営住宅の居住実態の全体にも、また単身高齢者の居住環境にも、大きな歪みや困難をもたらしてきました。
今回の調査で、東京都の型別供給による間取りや面積の基準は、全国的にみても極めて厳しいものであり、同様の厳しい基準を用いている道府県や政令市はごく少数だということが明らかになりました。また、基準の特例や運用、基準の変更理由などを見ても、単身者の入居について、東京都よりもかなり緩やかに、柔軟な対応をしている道府県や政令市があることもわかりました。
そもそも国は、現在、「型別供給」という定義や規定を持っていません。1995年度以降は公営住宅の型別供給の根拠となる省令を定めていません。これはすなわち、型別供給について、事業者である東京都が見直しまたは廃止を決められるということに他なりません。
以上を踏まえて、日本共産党都議団はあらためて東京都に対し、以下のことを求めるものです。
・ 型別供給制度を廃止し、単身者でも2DK以上の供給を認める
・ 都市居住型誘導居住面積水準(単身者は40㎡)以上の面積を基準とする